(1) 黄麻繊維の生育に伴なう繊維の収量および品質の変化並びに栽培条件が生育収量および繊維の品質に及ぼす影響について実験調査した.
(2) 黄麻繊維の収量ならびに品質の, 生育に伴なう変化を播種期をかえて実験した結果, 繊維収量は生育が進むにしたがい早播きの場合には著しく増加したが, 遅播きの場合には比較的緩慢であつた.一方繊維の抗張力は早播きの場合には変化が少なく, 遅播きの場合は初期には弱く, 生育が進むにしたがつて著しく強くなつた.
しかし生育が進むにしたがつて剥皮が困難になり, 繊維もまた粗剛になるためその収穫は開花始め後約20日位が適期と思われる.
(3) 播種期が繊維収量および品質に及ぼす影響を調査した結果, 5月上旬から6月上旬の間では収量には影響が少なかつたが, 抗張力は播種期がおくれるにしたがつてやや低下する傾向が認められた.また6月中旬から7月下旬の間では播種期が遅れるにしたがつて繊維収量は著しく低下したが抗張力は逆に播種期が遅れるにしたがつて強くなる傾向があつた.
(4) 黄麻の生育は土壌水分が多いほどが良好で繊維収量も多いが, 立枯病の発生もこれに伴なつてやや多かつた.単繊維の長さ, 幅はともに土壌水分が増加するにしたがつて増大した.しかし抗張力には著しい差はみられなかつたがやや土壌水分の少ない場合に強いようであつた.
(5) 栽植密度は密植がややよく, 3.3m
2あたり100株位が適当のようであり, 雑草の防除さえ充分に行なえば散播でも相当の収量を上げることができる.また繊維の抗張力には, 栽植密度の影響は少なかつたが, 密植区の方がやや強いように認められた.
(6) 黄麻の水田転換、畑作は, 畑作よりも繊維の収量が高くまた繊維が柔軟で光沢も良好であつた.繊維の抗張力は早播きにおいては畑作よりも転換畑作の方が強かつたが, 遅播きにおいては逆にやや弱いような傾向が認められた.
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