日本禁煙学会雑誌
Online ISSN : 1882-6806
ISSN-L : 1882-6806
14 巻, 4 号
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巻頭言
原著
  • 福本友絵 , 西井研治
    原稿種別: 原著
    2019 年 14 巻 4 号 p. 79-84
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー
    【目 的】 運動会や参観日などの行事における、保護者・来賓に対する喫煙対策と敷地内禁煙実施が職員へ及ぼした影響について調査し、検討した。
    【方 法】 岡山県下の小学校に対し、行事における保護者・来賓に対する喫煙対策と職員の禁煙意識変化に関する質問票を送付し、解析を行った。
    【結 果】 回答のあった209校(回答率63%)のうち、敷地内禁煙は200校(95.7%)であった。喫煙対策について、敷地内での喫煙を許可しているのは7校のみであった。敷地内禁煙になったため禁煙した職員がいる学校は33校あり、禁煙した職員のうち、新型タバコに切り替えた職員が36校で見られた。
    【考 察】 多くの小学校で、行事の際も敷地内禁煙は守られていた。さらに、小学校が敷地内禁煙になることで、教職員に対する禁煙効果も見られた。
    【結 論】 小学校が敷地内禁煙となることで、禁煙の推進や受動喫煙防止対策としても良い効果を上げていると考えられた。
  • 石橋 正祥, 山本 彩加, 大西 司, 石井 正和
    原稿種別: 原著
    2019 年 14 巻 4 号 p. 85-92
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー
    【目 的】 薬局での実務実習における禁煙支援の現状を明らかにするために、薬学生を対象にアンケート調査を実施した。
    【方 法】 実務実習を終了した薬学生(220名)を対象にアンケート調査を実施した。社会的ニコチン依存度はKTSNDを用いて評価した。
    【結 果】 回収率は95.9%(211名/220名)だった。改訂モデル・コアカリキュラムに準拠した実習を行ったのは34名、従来のモデル・コアカリキュラムのもとで実習を行ったのは165名だった。禁煙支援の見学や実施をできた学生は少なく、両群間で違いは認められなかった。禁煙支援の必要性に関しては両群とも多くの学生がその必要性を感じていた。しかし社会的ニコチン依存度が高い学生は、低い学生と比較して、禁煙支援には消極的であった。
    【結 論】 改訂モデル・コアカリキュラムのもとで行う実務実習では、禁煙支援の実施率を高める必要がある。
  • 藤原 直子, 中角 祐治, 中嶋 貴子
    原稿種別: 原著
    2019 年 14 巻 4 号 p. 93-99
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー
    【目 的】 大学生の喫煙に対する認識とコーピングの関連を明らかにし、禁煙の促進方法を検討する。
    【方 法】 大学生305名に対して、喫煙状況、ストレス度、コーピング、加濃式社会的ニコチン依存度(KTSND)について回答を求め、有効回答286名分を集計した。
    【結 果】 喫煙群と非喫煙群を比較した結果、KTSNDは喫煙群のほうが有意に高く、ストレスの「不機嫌・怒り」と、コーピングスタイルの「責任転嫁」「放棄・諦め」「問題回避」も喫煙群のほうが高かった。また、KTSNDと「情報収集」「責任転嫁」「放棄・諦め」の関連も示された。
    【考 察】 喫煙行動および喫煙に対する認識とコーピングスタイルは関連しており、喫煙を容認する心理社会的依存度が高い者は、不適切なコーピングをとりやすいことが示唆された。
    【結 語】 喫煙者に限らず、心理社会的依存を予防するためには、コーピングの知識や方法を教え、適切なコーピングスタイルを習得するトレーニングを行うことが必要である。
調査報告
  • 板井 麻衣, 佐々木 明子, 津田 紫緒
    原稿種別: 調査報告
    2019 年 14 巻 4 号 p. 100-106
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー
    乳幼児を養育する母親と周囲の喫煙の実態を明らかにするため、乳幼児健康診査に来院した母親に無記名自記式質問紙調査を実施して記述的統計分析を行った。有効回答数72人のうち、調査時点で喫煙者は3人(4.2%)、過去喫煙していたがやめている者22人(30.6%)であった。これらを合わせた25人すべてに禁煙経験があった。禁煙理由としては「妊娠した」が最も多く、結婚・妊娠というライフイベントが女性の禁煙を促進する契機となっていた。同居家族に喫煙者がいる割合は31.9%であり、母親および乳幼児が受動喫煙にさらされている現状が推測された。妊婦の喫煙による胎児への影響については94.4%、受動喫煙と齲歯に関する知識については5.6%が知っていると回答した。今後は、結婚や妊娠を機に女性が禁煙に至るプロセスを明らかにし、妊娠中から育児期間中の母親の禁煙支援と、母子を取り巻く環境全体での禁煙推進が必要である。
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