日本禁煙学会雑誌
Online ISSN : 1882-6806
ISSN-L : 1882-6806
15 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 大見 広規, 荻野 大助, メドウズ マーティン
    原稿種別: 原著
    2020 年 15 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 2020/03/27
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

    【目 的】 健康増進法改正に伴い、大学では2019年7月から、原則敷地内禁煙となった。ただし、一定条件下では屋外喫煙場所設置を認めている。明文化された敷地内禁煙規程の策定に向けての参考とするため、学生の意識調査を実施した。

    【方 法】 2年生を対象に、無記名質問紙法で性別、喫煙状況、周囲歩道上での喫煙への態度、規程の要否、屋外喫煙所設置への賛否、加濃式社会的ニコチン依存度を質問した。

    【結 果】 授業出席者を対象として回収率は90.1%(172名)で、2名は過去喫煙者で170名が非喫煙者であった。対象者の79.1%が、「大学独自の対策として規程の必要性が高い」と回答し、67.9%は「規程の中に周辺歩道喫煙の制限を規程に含めるべき」と回答した。屋外喫煙場所の設置は条件が合えば62.2%が容認していた。

    【考 察】 本学の喫煙率はきわめて低いため、規程の必要性や歩道喫煙の制限に賛成する意見が多い。屋外喫煙場所を認める意見が多い理由として、屋外喫煙場所を設置することで受動喫煙の曝露を防ぎたいと考えているものが多いことが推察された。

    【結 語】 大多数の学生が大学独自の禁煙規程の策定を望んでいた。

調査報告
  • 小西 彩絵, 大和 浩, 西山 信吾, 姜 英, 土井 たかし, 西河 浩之, 宮脇 尚志
    原稿種別: 調査報告
    2020 年 15 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2020/03/27
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

    【目 的】ホテルにおいて空気中の微小粒子状物質(PM2.5)濃度の測定を行い、宿泊者に曝露される受動喫煙を評価すること。

    【方 法】喫煙フロアおよび禁煙フロアに分けられているビジネスホテルXにおいて、屋外、禁煙の1階ロビー、禁煙フロアおよび喫煙フロアの廊下におけるPM2.5 の測定を行った。また、喫煙フロアの宿泊室内で喫煙を行い、宿泊室の前の廊下にてPM2.5の変化も評価した。

    【結 果】喫煙フロアの廊下のPM2.5濃度は、屋外、ロビーおよび禁煙フロアよりも有意に高値であり、禁煙フロアのPM2.5濃度も、屋外に連続するロビーより有意に高値であった。喫煙フロアの宿泊室で喫煙を行うと、宿泊室の前の廊下のPM2.5が喫煙前の約2~3倍に上昇した。喫煙フロアのPM2.5の平均値は、環境省の定める大気環境基準の1年平均値を上回った。

    【考 察】PM2.5の濃度は喫煙フロアのみならず禁煙フロアにおいても高値であり、エレベーターや階段を通してタバコ煙が拡散していると考えられた。また、喫煙者が宿泊室内で喫煙を行うと、宿泊室のドアの隙間から廊下にPM2.5が漏出することが認められた。

    【結 論】ホテルで禁煙フロアと喫煙フロアを階で分けていても受動喫煙は防止できない。

  • 栗岡 成人
    原稿種別: 調査報告
    2020 年 15 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 2020/03/27
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

     今日でも精神科病院の喫煙規制は特別扱いされているが、改正健康増進法(改正法)が2019年7月1日に施行され、精神科病院を含むすべての病院は原則敷地内禁煙になった。京都府下の精神科病院間で敷地内禁煙化の情報を共有し、円滑な敷地内禁煙化を進めることを目的に、改正法施行前後に病院管理者宛に喫煙対策の状況についてアンケートを行った。改正法施行前には、12病院中敷地内禁煙は5病院(42%)、建物内禁煙3病院(25%)、建物内隔離喫煙所4病院(33%)であった。改正法施行後、15病院中敷地内禁煙は10病院(67%)、建物内禁煙で屋外喫煙所設置は5病院(33%)であった。改正法施行後、約半数の病院は特に問題は起こらなかったと回答したが、隠れ喫煙と病院周辺での喫煙が残された問題である。アンケート結果を各精神科病院に報告し、敷地内禁煙への対処に関する情報の共有化を行うことで、円滑な敷地内禁煙実施に寄与できた。

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