【目 的】ホテルにおいて空気中の微小粒子状物質(PM2.5)濃度の測定を行い、宿泊者に曝露される受動喫煙を評価すること。
【方 法】喫煙フロアおよび禁煙フロアに分けられているビジネスホテルXにおいて、屋外、禁煙の1階ロビー、禁煙フロアおよび喫煙フロアの廊下におけるPM2.5 の測定を行った。また、喫煙フロアの宿泊室内で喫煙を行い、宿泊室の前の廊下にてPM2.5の変化も評価した。
【結 果】喫煙フロアの廊下のPM2.5濃度は、屋外、ロビーおよび禁煙フロアよりも有意に高値であり、禁煙フロアのPM2.5濃度も、屋外に連続するロビーより有意に高値であった。喫煙フロアの宿泊室で喫煙を行うと、宿泊室の前の廊下のPM2.5が喫煙前の約2~3倍に上昇した。喫煙フロアのPM2.5の平均値は、環境省の定める大気環境基準の1年平均値を上回った。
【考 察】PM2.5の濃度は喫煙フロアのみならず禁煙フロアにおいても高値であり、エレベーターや階段を通してタバコ煙が拡散していると考えられた。また、喫煙者が宿泊室内で喫煙を行うと、宿泊室のドアの隙間から廊下にPM2.5が漏出することが認められた。
【結 論】ホテルで禁煙フロアと喫煙フロアを階で分けていても受動喫煙は防止できない。
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