日本禁煙学会雑誌
Online ISSN : 1882-6806
ISSN-L : 1882-6806
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巻頭言
調査報告
  • 大橋 純江, 平野 正広, 澤 広太, 長谷川 龍成
    2026 年21 巻2 号 p. 29-35
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/15
    ジャーナル フリー
    【目 的】 A医療系大学生の喫煙実態と関連要因を明らかにする。
    【方 法】 A医療系大学生を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した(有効回答393名)。喫煙の有無と学年、生活環境要因等との関連をχ2検定で検討し、喫煙者では起床後喫煙時間(TTFC)と喫煙本数をKruskal-Wallis 検定で比較した。さらに喫煙の有無を従属変数とするロジスティック回帰分析を行った。
    【結 果】 現在喫煙者は36名(9.2%)であった。学年と喫煙の有無に有意な関連が認められ( p<0.01)、アルバイト先の喫煙環境とも関連を認めた( p=0.031)。多重ロジスティック回帰分析の結果、学年(OR=2.305、95%CI:1.515–3.507、p<0.001)、アルバイト先の喫煙環境(OR=2.338、95%CI:1.069–5.113、p=0.033)および性別(OR=0.393、95%CI:0.169–0.915、p=0.030)が喫煙の有無と独立して関連しており、女性は男性と比較して喫煙オッズが低かった。一方、睡眠およびストレス指標との関連は認められなかった。
    【結 論】 A医療系大学生の喫煙には学年進行および生活環境が関与しており、とくにアルバイト先における喫煙環境との関連が示唆された。大学在学中における継続的な予防教育に加え、学生を取り巻く生活環境への配慮が求められる。
資料
特集 タバコ規制枠組み条約(FCTC)発効20周年特集(下)
  • 加濃 正人, 大野 佳子, 青江 基, 安陪 隆明, 飯田 真美, 川合 厚子, 三瓶 舞紀子, 土井 たかし, 長谷川 純一, 藤原 久義 ...
    2026 年21 巻2 号 p. 38-46
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/15
    ジャーナル フリー
    ニコチン依存症はWHOのICD-11 に収載された疾患であり、DSM-5-TRにもタバコ使用症(tobacco use disorder)が定義されている。WHOの「たばこ規制枠組条約(FCTC)」第14条は、タバコ使用の中止と依存症治療を推進する包括的施策を求めている。日本では「健康日本21」などで喫煙率低減目標が掲げられ、保険禁煙治療も一定程度整備されているが、安定財源の確保、公的保険適用の範囲、禁煙支援サービスの拡充はいずれも不十分である。とくに、認知行動療法や動機づけ面接などの心理的支援、禁煙電話相談やオンライン支援、禁煙外来受診を促す公衆衛生キャンペーンは、欧米諸国等に比べて十分に普及していない。今後は、もっとも立ち遅れている心理的支援の抜本的拡充を核に据えつつ、薬物療法の利用環境もなお改善余地が大きいことを認識したうえで、精神・心理関連団体と連携した専門家育成を進め、包括的な禁煙支援体制を構築する必要がある。
  • 石田 雅彦
    2026 年21 巻2 号 p. 47-51
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/15
    ジャーナル フリー
    加熱式タバコ(HTP)は「燃焼を伴わず有害物質を低減した」新型タバコとして急速に普及したが「有害性を低減したタバコ製品」という発想自体は新しいものではない。本稿は、HTPを単に新たなタバコ製品としてではなく、フィルター付きおよび低タール製品に連なる「有害性低減」製品系譜の派生製品として位置づけ、その開発意図・販売戦略・規制対応を批判的にレビューする。
    低タール製品では、機械測定上の曝露指標の低減が疾病リスクの低減を意味せず、むしろ吸入行動の変化を引き起こすことで別種の害を生じ、その有害性低減表示は後に司法的に虚偽と認定された。これらから、加熱式タバコの「有害物質低減」主張も同じ失敗プロセスをたどる蓋然性が高い。さらに、集団規模の曝露・長い疾病潜伏期・曝露コホートの不可逆性から考えれば、害が証明されてから対応する姿勢自体が誤りであり、安全性の立証責任は製造者側に置かれるべきである。
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