交通工学論文集
Online ISSN : 2187-2929
ISSN-L : 2187-2929
1 巻, 4 号
特集号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集号A(研究論文)
  • 関本 義秀, 樫山 武浩, 長谷川 瑶子, 金杉 洋
    2015 年 1 巻 4 号 p. A_1-A_8
    発行日: 2015/04/22
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    時々刻々と変化する人々の分布・流動の様子を把握することは、今や広域の交通計画を行う上では必須の要素となってきている。とくに、道路等のインフラ整備そのものが未整備である途上国では新たなセンサを設置するのは現実的なものとは言いにくく、貧困層にとって唯一のライフラインとも言える携帯電話を活用することがリアルタイム性・カバー率を上げるためには有効であると考えられる。本研究ではスパースであるが長期の蓄積があるダッカの基地局レベルの通話履歴(CDR)を使って、メッシュレベルより詳細なリンク交通量を求めるものである。具体的には、CDR から時間帯別の携帯版の仮OD t-OD)を求め、それに基づきトリップ総量を配分し、リンク交通量の推定を行う
  • 長谷川 瑶子, 関本 義秀, 金杉 洋, 樫山 武浩
    2015 年 1 巻 4 号 p. A_9-A_17
    発行日: 2015/04/22
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    効率的な交通政策を行うにあたり、その根拠となる詳細かつ即時性の高い交通状況の把握への需要が高まっている。非集計の位置情報データを集積する手法が注目される中、携帯基地局情報 (Call Detail Records, 以下CDR) は、時空間的な解像度が低いながらも、大規模かつ長期間のデータが取得しやすいことから、活用が期待されている。本研究では、スパースなCDR データセットにも適用可能な、長期間の観測履歴にみられる観測の規則性を反映した人の移動推定手法を提案する。提案した手法について、実際の観測データおよび、擬似的に編成したより時間的にスパースなデータセットを用いて実験・検証を行った。全体としては72%以上の滞在判定精度、GPS 観測点との平均誤差距離1.5km以下といった推定結果を得たうえで、個別の誤差原因を確認した。
  • 中西 航, 布施 孝志
    2015 年 1 巻 4 号 p. A_18-A_23
    発行日: 2015/04/22
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    歩行者動線の分析は、歩行空間の設計や評価にあたって重要である。本研究では、特に角度データに着目し、歩行者動線分析手法の基礎的検討を行う。動線データを各時刻における位置と角度からなるデータの集合であると捉え、取得した角度データを対象領域内の位置に対して分析する。基礎分析より、駅改札付近においては多くの歩行者が同じような動線を描く、すなわち、改札に対する相対的な位置によって進行方向が限定的であることがわかった。そこで、角度データを扱う統計手法である方向統計学に基づいて、位置を変数として角度を説明する回帰モデルを構築する。簡単な例において、角度データが満たすべき循環性などの性質を満足するモデルが推定できた。この回帰モデルについて、異常検出や角度選択モデルへの応用可能性を検討した。
  • 根川 拓, 佐野 可寸志, 西内 裕晶
    2015 年 1 巻 4 号 p. A_24-A_30
    発行日: 2015/04/22
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    本研究は、暫定 2 車線高速道路に設置されている付加車線における追越挙動モデルを開発した。まず、暫定 2 車線開通区間を持つ磐越自動車道において、複数の地点で地点速度をビデオ撮影により計測した後に、スプライン関数を用いて走行車両の Time-Space 図を作成し、付加車線設置区間における車両挙動を明らかにした。次に、追従していない場合は各車固有の希望速度で走行し、追越区間では前車の走行速度と自車の希望速度との速度差や付加車線終了地点までの距離を考慮して追越を実施すると仮定してモデルを構築した。付加車線終了時の車群内での順位が実測データと最も合致するようにモデルのパラメータを推定したところ、追越対象車両を前車1台のみではなく、2 台目以降の車両も追越対象とすることによって、既往モデルよりも高い再現性を有することを確認した。
特集号B(実務論文)
  • 遠藤 元一, 中川 浩, 深瀬 正之, 橋本 弾
    2015 年 1 巻 4 号 p. B_1-B_8
    発行日: 2015/04/22
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    東京湾アクアラインは、平成 21 年度より実施している料金施策により交通量が大幅に増加したことに加え、木更津金田 IC 近隣に開業した大型商業施設の影響で、休日の渋滞が増大した。特に川崎方向(上り)は、休日の午後に川崎浮島 JCT 付近をボトルネックとした渋滞が慢性化してきた。そこで、平成 25 年 GW よりボトルネック部の「速度低下抑制」及び「渋滞中の速度早期回復」を期待し、自発光式の LED ライト(ペースメーカーライト)を進行方向に点灯させ、ドライバーが無意識のうちに速度低下することを抑制し、渋滞中も走行速度を意識させることを期待した渋滞対策を実施した。本文では、本格運用後(5 ヵ月)のデータを昨年と比較し、運用後の「ボトルネックの交通容量の変化」、「渋滞時の走行速度の変化」、および「渋滞状況の変化」について報告する。
  • 高瀬 達夫, 市川 正樹, 内山 拓真
    2015 年 1 巻 4 号 p. B_9-B_15
    発行日: 2015/04/22
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    長野県警察本部交通規制課では、現在交通事故において大きな課題となっている夜間の横断歩道上の歩行者の安全性を向上するため、太陽電池を用いた外周発光装置付き横断歩道標識を開発し、試験設置を経て本格導入を行った。本研究は標識設置による歩行者の安全性やドライバーの視認性に関する効果の検証を行うこととし、標識設置前後と一定期間を経た時点での効果について検証を行った。その結果、外周発光装置付き横断歩道標識の設置効果は十分認められることがわかった。さらにドライバーに対しては設置後得られた効果が一定期間経過しても継続されていることがわかり、また横断歩行者に対しては一定期間が経過し認知度が高まることにより、安全・安心面に関する効果が大きくなっていくことがわかった。
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