効率的な交通政策を行うにあたり、その根拠となる詳細かつ即時性の高い交通状況の把握への需要が高まっている。非集計の位置情報データを集積する手法が注目される中、携帯基地局情報 (Call Detail Records, 以下CDR) は、時空間的な解像度が低いながらも、大規模かつ長期間のデータが取得しやすいことから、活用が期待されている。本研究では、スパースなCDR データセットにも適用可能な、長期間の観測履歴にみられる観測の規則性を反映した人の移動推定手法を提案する。提案した手法について、実際の観測データおよび、擬似的に編成したより時間的にスパースなデータセットを用いて実験・検証を行った。全体としては72%以上の滞在判定精度、GPS 観測点との平均誤差距離1.5km以下といった推定結果を得たうえで、個別の誤差原因を確認した。
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