交通工学論文集
Online ISSN : 2187-2929
ISSN-L : 2187-2929
3 巻 , 4 号
特集号
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特集号A(研究論文)
  • 中西 航, 福冨 義章, 布施 孝志
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_1-A_6
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    歩行空間の性能評価において歩行者流の密度-速度関係を考える場合、この関係がミクロスケールで地点依存しうる課題がある。しかし、現状の測定手法では地点依存を考慮した適切な測定箇所の設定は容易でない。これに対し、密度-速度関係の空間内での分布をも詳細に把握できれば、より精緻な設備配置や流動制御への展開が期待できる。本研究では、歩行者流の密度-速度関係に空間相関構造を組み込み、空間全域の測定データをひとつの回帰式でモデル化する方法を示す。空間フィルタリング手法である Harmonic Spatial Filtering により定式化し、横断歩道での実データに対し密度-速度関係と空間内の相関構造とを推定した。空間相関を考慮しない場合と比べて回帰精度の向上を示すとともに、推定された空間相関構造を解釈した。
  • 坂本 勇太, 南部 繁樹, 財津 陽亮, 赤羽 弘和, 大野 直輝
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_7-A_14
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    道路網における旅行時間の時空間変動の把握には、一般車のプローブデータが活用されている。しかし、特に地方都市の渋滞区間においては、プローブ車自体の迂回のため、観測サンプルの不足が懸念される。著者らは、バスロケーションシステムデータと法定記録されたデジタルタコグラフデータに基づき、バス停停止/通過補正により一般車の走行軌跡を推定し、上記の不足を補完す手法を提案した。一方で、これらの補正により、実走行と推定走行軌跡上とで交通状況に格差が生じることが課題となった。 本研究では、上記の推定結果から各時空間メッシュに平均旅行速度を補間設定したうえでタイムスライス法を適用し、この格差を抑制できることを確認した。また、バスロケーションシステムデータを主体とした実時間処理が可能な推定手法の精度も検証した。
  • 山中 英生, 原澤 拓也, 西本 拓弥
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_15-A_21
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    国・警察による「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では,自転車専用通行帯や車道混在を中心とした自転車ネットワーク形成方針を示している.一方,自転車利用者の多くは車道通行に不安を感じており,車道部の自転車通行空間の普及には “安全感” 確保のための街路交通条件を明らかにすることが肝要と言える.本研究は、自転車の車道走行時の安全感に影響を与える要因を明らかにすることを目的としている.そのため,東京都内の街路交通特性の異なる街路 22 区間についてビデオクリップ・アンケートを用いて、サイクリストの安全感とその要因への意識を調査し、安全感に影響を与える要因及び街路交通特性との関係を分析した.その結果,「追い越され」の要因が高く,レーン設置,通行帯幅確保が安全感向上に寄与することが明らかになった.
  • 井ノ口 弘昭, 秋山 孝正
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_22-A_28
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    近年、コンパクトな車両として超小型モビリティ(Ultra Light-weight Vehicle: ULV)の開発・実用化が進められている。一般的な超小型モビリティは、電気モーターを動力としており、出力は通常車両と比較して低い。このため、最高速度が低く設定されている。本研究では、超小型モビリティと通常車両の走行特性の相違点を明らかにするとともに、超小型モビリティが混在した道路での交通流特性を分析する。走行調査の結果、超小型モビリティの発進時の加速度は、走行速度が 40km/h 程度以下では通常車両と比較して高く、それ以上では通常車両と比較して低くなることがわかった。また、交通シミュレーションによる検討の結果、交通密度が比較的低い場合に、超小型モビリティの比率が高いと平均走行速度が若干低く、交通密度が高い場合に平均走行速度が若干高くなることがわかった。
  • 西元 崇, 植木 宗司郎, 松本 修一, 平岡 敏洋
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_29-A_35
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    ETC の普及に伴って国内の高速道路における料金所渋滞は大幅に減少し,現在の都市間高速道路における渋滞はサグ部で 60 %程度発生すると言われている.すなわち,高速道路の更なる渋滞削減を達成するには,サグ部における渋滞解消法の検討が急務である.渋滞対策には,ハード面とソフト面双方において多種多様なものが提案されているが,本研究では,比較的低コストかつ即応性が期待されるサグ部における渋滞抑制対策として,サグ部上りに設置間隔が広がるようにポールを設置することでドライバに減速感の錯視を生じさせる手法を提案する.ドライビングシミュレータ実験を行い,提案手法によって,サグ部における速度低下を抑制し,円滑な交通流の実現に有効であることを示唆する結果が得られた.
  • 平井 章一, Jian XING, 甲斐 慎一朗, 堀口 良太, 宇野 伸宏
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_36-A_45
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,都市間高速道路における休憩行動の実態が体系的には明らかではない背景の下,休憩行動のモデル化の前段として,ETC2.0 プローブデータの走行履歴情報を利用したトリップ毎の休憩行動データベース構築手法を検討し,休憩行動抽出に際しての走行履歴情報の特性把握,休憩行動の定量的な把握と,基礎分析を通じてモデル化に向けた知見の整理を行った。 休憩行動データベース構築にあたっては,非渋滞時では高い精度で休憩行動を抽出できた。また,「通過」と「休憩」の判定が難しい渋滞時に対しても,簡易な判定方法を示した。また,基礎分析を通して,車種構成の偏りや日跨ぎのトリップの不生成などの,現状での ETC2.0 プローブデータ利用の留意点や,休憩時間分布や休憩回数等の基礎集計結果,1 トリップ中の複数回休憩の関係性などの知見を得た
  • 田原 正博, 中村 文彦, 田中 伸治, 三浦 詩乃, 有吉 亮
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_46-A_53
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では、幹線的公共交通手段としてバンコクで 2010 年に導入されたものの、開業から五年経過した時点でも利用者数等の数値目標に到達していない BRT (Bus Rapid Transit) の分析を試みた。観測調査結果から、定時運行の妨げとなっている要因を見出し、利用者・非利用者を対象とした意識調査により需要の側面から BRT の評価分析を行った。結果、バンコク BRT は特にピーク時は積み残しが発生するほどの需要が既にあること、Bus Rapid Transit の “Rapid” に対応する定時性の評価を高めることが総合的な BRT 満足度の向上、支払意思額の向上や運賃制度変更に対する意識向上にも寄与することが明らかになり、定時性向上がバンコク BRT の安定的経営につながる可能性があることを示した。
  • 帆足 元, 家田 仁
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_54-A_63
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    高速道路 IC は出入制限のある高速道路空間への唯一のアクセスポイントであり,高速道路の機能を決定付ける最重要ファクターの一つである.高速道路建設史のなかでは利便性向上策の一環として,全国的に多くの追加 IC 整備がなされ,今後も既存ストックの更なる有効活用が求められるなか,スマート IC を含めた多くの追加 IC 整備が計画されている.本研究は,今後の効率的な追加 IC 整備への実務的示唆を得ることを目的とし,路線毎に IC 間隔の時代変遷について種々の社会経済条件の差異を考慮し,簡易な理論的基準化手法を用いて分析した.結果,既存の IC が基本的には概ね一貫した考え方により整備されてきたものと考えられることが明らかとな った.その上で IC 間隔の路線的特性を考察し,路線の供用当初かつ今日に至る種々の追加 IC 整備制度の特性を明らかにした.
  • 吉田 佳祐, 小林 貴, 鹿島 茂
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_64-A_73
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では、高齢運転者の交通事故発生特性の把握の必要性及びヒヤリハットデータの交通事故分析への利用可能性を示すため、運転者の人間的要因とヒヤリハット・交通事故の関係を明らかにするために高齢運転者を対象としたアンケート調査を用いて分析を行い、関係を定量的に示した。分析結果より、高齢運転者に対する二つの知見が得られた。一つ目は、自己評価で運転能力に不安がある人程運転中にヒヤリハットを感じる可能性が高いということ。二つ目は、ヒヤリハットを経験したことがある人の方が交通事故を起こす可能性が高いということである。これらの知見から、運転者の主観的なヒヤリハットデータを用いて交通事故の評価をできる可能性を示した。
  • 増本 裕幸, 宇野 伸宏, 山﨑 浩気, 亀岡 弘之, 山本 浩司, 山本 隆
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_74-A_83
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,渋滞に至る前段階における自由流状態からの速度低下に着目し,その速度低下の要因を統計的に解析することを目指す.従来の車両検知器による解析と比較して空間的・時間的解像度を高く取り扱える特長を持つ ETC2.0 プロープ情報を活用し,道路線形・構造・および交通状態が交通流の速度に及ぼす影響を明らかにする.対象は東名高速道路の東名川崎 IC ~厚木 IC とし,渋滞の頻発箇所である大和 TN を含む区間とした.まず,速度コンター図により基礎分析を踏まえ,重回帰分析によって,勾配の継続や分合流による速度変動の影響を検証した.続けて,ETC2.0 プローブ情報の走行履歴を直接用い,ベイジアンネットワークを適用して,速度低下の確率を高める要因について明らかにした.
  • 中山 昂彦, 宮川 愛由, 谷口 綾子, 井料 美帆, 小嶋 文, 藤井 聡
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_84-A_91
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    欧州諸国では,道路整備において,Shared Space という新しい歩車共存空間の概念が取り入れられ,道路空間デザインの工夫により,安全性や魅力向上に一定の成果を上げている.国内においても,出雲市や京都市において Shared Space の考え方に基づく社会実験や道路空間整備がなされ,欧州諸国と同様の成果が報告されている.そこで,本研究では,国内における Shared Space の有効性をさらに多面的に確認する事を目的として,歩行者やドライバーを対象とした意識調査を行った.その結果,Shared Space 的な道路空間は,道路空間上の会釈やアイコンタクトといったコミュニケーションを誘発するとともに,車両の減速や停止といった協調行動を誘発し,道路空間の魅力を向上させる傾向が高い可能性が実証的に示された.
  • 金 進英, 宇野 巧, 岩里 泰幸, 大藤 武彦
    2017 年 3 巻 4 号 p. A_92-A_101
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    阪神高速道路(株)では、「交通安全対策アクションプログラム」などを策定して、交通事故多発地点に着目した様々な安全対策を講じるとともに、ドライバーへの働きかけによって交通事故の削減を図ってきた。しかし、依然として多くの事故が発生しており、これまでの対策の限界も示唆されている。このため、更なる事故削減に向けた新たな対策の視点や、少しでも事故を減らすことができる具体的方策の必要性が指摘されている。本研究は、更なる事故削減に資することを目的として、交通事故データ・交通データ・道路構造データ・気象データ・安全対策データを統合した「事故データベース」を活用して、量的・質的データを融合した交通事故要因分析を通して事故分類を細分化、体系化し、その影響度合いを定量把握して、今後の安全対策の方向性を提案した。
特集号B(実務論文)
  • 吉村 忍, 藤井 秀樹, 内田 英明, 加納 達彬
    2017 年 3 巻 4 号 p. B_1-B_10
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    地方都市部の交通状況の定量評価・問題発見とそれに対する交通施策の影響・効果を定量的に評価可能なツールの開発を目指し、著者らが開発しているマルチエージェント型交通流シミュレータ MATES に、歩行者及び路面電車エージェントをモデル化し実装することで混合交通流シミュレータを開発した。開発したシミュレータを、自動車と路面電車、歩行者が混在する地方都市の典型である岡山市街地における路面電車軌道延伸計画問題に適用し、路面電車の駅前広場への軌道延伸が自動車交通に与える影響を定量的に分析した。その結果、路面電車軌道延伸が交通に与える影響を方向別・レーン別に詳細に把握することができること、同時に本シミュレータが交通状況改善に向けた方策を詳細に検討するツールとしても有用であることがわかった。
  • 萩原 亨, 佐藤 嘉哉, 川村 彰, 富山 和也, 佐々木 伸, 曽根 翔太, 高木 一誠, 国村 昌生
    2017 年 3 巻 4 号 p. B_11-B_18
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    夜間の雨環境と雪環境における帯状ガイドライトの設置条件に関する検討をドライビングシミュレータ(DS)で検討した。NASA-TLX とステアリングエントロピーを用いてドライバのワークロードを評価した。帯状ガイドライトの設置条件として 5 条件を設定した。帯状ガイドライトの線状反射光のピッチ(長さ)として 5m と 15m を設定し、その設置密度 23% から 50% の間で変動させた。高速道路の曲線半径 400m と 800m を DS で再現し、帯状ガイドライトの設置条件の視線誘導性を評価した。雨環境と雪環境の各々で 20 名と 18 名が実験に参加した。帯状ガイドライトの設置密度が 30% 前後であっても、夜間の悪天候下においてドライバのワークロード低減に貢献することが分かった。
  • 佐藤 久長, 飯田 克弘, 和田﨑 泰明, 河西 正樹, 高橋 秀喜, 馬渕 一三
    2017 年 3 巻 4 号 p. B_19-B_26
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    高速道路ネットワークの進展に伴い、ドライバーは目的地までの経路を複数ルートから選択することが可能となってきた。そのため、分岐部であるジャンクションではドライバーにルート選択の判断をさせるための動的情報を提供する情報板をルート別に複数設置している。なかでも NEXCO 中日本東京支社管内では、シンボルと 16 文字 2 段表示可能なジャンクションの情報板(2 事象 JCT 情報板)が対象 JCT の 500m 及び 1km 予告標識の中間付近に 2 基設置されている。本研究では東名高速道路の下り線、御殿場 IC~御殿場 JCT 区間をドライビング・シミュレータで再現し、近接する 2 事象 JCT 情報板がドライバーに与える影響を、情報板の視認性、可読性の観点から検証した。
  • 川本 義海, 中川 航平
    2017 年 3 巻 4 号 p. B_27-B_34
    発行日: 2017/04/01
    公開日: 2017/04/01
    ジャーナル フリー
    交通環境負荷の軽減、道路交通の円滑化、移動のバリアフリー化、公共交通ネットワークの充実により都市の再生をめざした次世代型路面電車(LRT)の導入が注目される中、実際の運行環境面では路面電車と自動車交通との錯綜の削減・緩和がとくに重要である。本研究では、路面電車走行の安全性、定時性と円滑性を阻害する主要因となる路面電車軌道を跨ぐ右折車の停止位置と路面電車の危険回避行動との関係性に着目し、福井市市街部の信号交差点を対象としたビデオ定点観測にもとづく分析をおこなった。その結果、路面電車が危険回避のために減速または停車する時の右折車の停止位置、つまり軌道から右折車までの距離を特定するとともに、路面電車および右折車の車種、時間帯、右折車滞留台数の違いによる危険回避行動の発生頻度の違いを明らかにした。
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