交通工学論文集
Online ISSN : 2187-2929
ISSN-L : 2187-2929
7 巻 , 2 号
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特集号A(研究論文)
  • 外井 哲志, 三原 凱士, 大塚 康司, 大枝 良直
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_1-A_10
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
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    筆者らは、目的地までの予定経路を、案内標識情報にもとづいて推論しながら進むドライバーモデルの開発を進めてきた。その一環として、実在経路の走行画像を用いた実験に基づき、出発前の記憶情報と経路上の案内情報、分岐点同定に用いた情報との関係、予定経路を走行するための適切な分岐点の同定状況について分析した。その結果、市街地で交差点が近接し、交差点名標識が充実している場合には、交差点名を用いる被験者の成功率は極めて高く、交差点名を用いない被験者の成功率は低いことなどを示した。さらにモデルによる分岐点同定の推定結果と実験結果とを「手前で分岐」と「分岐点同定・通過」の 2 区分で比較し、推定モデルが十分に分岐点同定状況を推定できることを示した。

  • 原尾 彰, 邢 健, 佐藤 文子, 岡部 俊幸, 髙橋 優太, 富山 和也
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_11-A_18
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    高速道路における逆走事故は第三者を巻き込んだ重大な事故に繋がる恐れがあるため、逆走防止を行う必要性が高まっている。振動による逆走車両への注意喚起対策の一つとして、逆走と順走に車両振動加速度の差を有する指向性ランブルストリップスを考案した。既往研究で実施した車両振動シミュレーション及びドライビングシミュレータでの検討を踏まえ、深さの異なる3つの溝形状について試験ヤードにて試験施工を行った。そして走行速度を変えて、ダッシュボードでの車両振動加速度の計測と、同乗者の体感による振動度合に関するアンケート調査を実施した。その結果、一定の車種条件及び走行速度条件のもとで指向性を確認でき、車両振動加速度の車種間での違いによる適応範囲に関する課題を明らかにした。

  • 宮内 弘太, 高田 和幸, 篠原 もえ子, 藤生 慎
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_19-A_28
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    近年,高度道路交通システムの発展に伴い,車両の性能向上に関心が高まっている.一方で,我が国では,自動車運転者による故意な危険運転や煽り運転,高齢運転者による事故が深刻な社会問題となっている.これらの問題を解決する方法として,事故の発生に結びつく要因を検知し,車両が適切な対応をする技術が必要である.

    本研究では,事故の発生場所が多いとされている交差点部の走行挙動に着目し,事故の発生に結びつく要因が表れた時に検知する手法の提案を行う.LSTM Auto encoder を用いて普段の運転とは乖離した走行挙動が観測された時に異常運転が発生したと仮定し,手法の有効性を検証した.提案した手法を既往研究と比較したところ,検知精度は最も高く,検知タイミングは比較的早く検知できることが確認された.

  • 飯田 克弘, 淺田 真敬, 多田 昌裕, 澤田 英郎
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_29-A_37
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    わが国では,自動運転技術を搭載した車両の普及が進み,衝突回避ブレーキや ACC,LKA などのシステムを搭載する車両が急速に増加している.先行研究では,ACC に着目し,ACC 車両の混在により交通の円滑性が向上し,運転者のストレスが軽減されるという知見を得た.本研究では,過度なストレス軽減が漫然状態を誘発する可能性があるという考えのもと,ACC 車両が混在することによる運転者の漫然状態を評価した.その結果,視点移動と反応時間の分析により,ACC 車両が混在する状況では,一般車両運転時であっても漫然状態に陥っていることが確認された.反応時間の計測が容易でない ACC 車両運転時に関しては,瞬目の分析により覚醒水準低下を示すことができた.

  • 飯田 克弘, 藤本 怜央
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_38-A_43
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    現在普及が進むレベル3の自動運転車両では,システムが解除される前に,運転引継ぎの警報を発し,ドライバーはそれに応じる義務がある.よって,解除条件の把握は保安上重要な課題と言える.本研究では,走行実験データを分析することで,車線区画線の状態が,車線逸脱警報システムの検知性能に及ぼす影響を把握し,上述した解除条件の単純化,明確化を試みた.劣化状態を擬似的に再現した車線区画線を設置した試験走路で走行実験を行い,車線区画線の検知可否および,車線区画線と路面の輝度を測定した.輝度と検知結果の分析結果から,車線区画線と路面の輝度差が検知性能に影響を及ぼす要因の一つであり,劣化がある程度進んだ車線区画線では輝度差がある一定値以下になる場合に検知性能が低下する可能性が示唆された.

  • 伊藤 潤, 酒井 教行, 佐野 可寸志, 鳩山 紀一郎
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_44-A_53
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
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    本研究は,冬期間の交通円滑化に向けた各種施策を推進するための研究の一つとして,交通時間価値に対する冬期気象条件,とりわけ降積雪による影響を分析し,走行時間短縮便益の算定を行うものである.本研究では,降積雪時の交通混雑発生に起因する移動中のイライラ,苦痛や肉体疲労等が交通時間価値へ影響を与えるものと仮定し,県土の大部分が特別豪雪地帯となる新潟県をケーススタディーとして選好接近法から車種別に冬期交通時間価値を推定した.その結果,交通時間価値は非冬期と比較して冬期のほうが有意に高くなることが確認された.その推定結果を基に,費用便益分析マニュアルを基本とした走行時間短縮便益を算定した結果,冬期間の交通量減少分を差し引いても,冬期交通時間価値を用いることで走行時間短縮便益が大きく算定された.

  • 元田 良孝, 宇佐美 誠史
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_54-A_59
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
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    ここでは鉄道駅におけるエスカレーターの歩行率について、ビデオ観測をもとに基礎的な分析を行った。東京都内の高低差の異なる地下鉄 3 駅の S1000 形(2 人乗り)エスカレーター計 8 基で混雑時、閑散時の調査の結果、次のことが明らかとなった。上り下りでは下りの方が歩行率が高い。交通量との関係は上り下りで異なり、上りは交通量に比例して歩行率が上がるが、下りは相関がない。高低差による影響は今回観測した 20m 程度まででは大きな影響を与えていないと考えられる。ビデオ映像から利用者の停止・歩行をデータにして数量化Ⅱ類で分析した結果、歩行選択と最も相関が高いのはエスカレーター利用中のスマホ等の操作で、次いで手すりの利用、年代等となった。上りでは性別が関係し、女性の歩行選択が低いことが明らかとなった。

  • 服部 直樹, 大森 宣暁, 長田 哲平
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_60-A_67
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究は、高校生と大学生を対象に、自転車利用のルール/マナー遵守を促すことを目的とした交通安全教育に関する情報提供を含めた Web アンケート調査を行い、意識変容の効果を検証することを目的とする。具体的には、「傘さし運転」、「ながらスマホ運転」、「押しチャリ」の 3 つの運転方法を対象に、2 種類の文章と 2 種類の写真を組み合わせた計 4 種類の異なる情報を 4 グループに対して提供し、意識変容効果の違いを分析した。その結果、高校生は 4 種類全ての情報で行動意図が向上したが、大学生は心理的リアクタンスに配慮した放任的メッセージとルール/マナー違反の写真を組み合わせた情報提供を行ったグループのみ行動意図が向上し、一ヶ月後もその効果は継続していた。また、自転車利用頻度や事故経験等が意識変容に影響を与えることを明らかにした。

  • 三村 泰広, 樋口 恵一, 中村 陸, 戸村 良, 吉田 慎治, 楊 甲, 安藤 良輔
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_68-A_77
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,高齢運転者が出合い頭事故の第一当事者となりやすい空間特性を有する無信号交差点における高齢運転者の空間認知特性についてヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた実験を通じて明らかにした.高齢 29 名,非高齢 14 名を対象に,2 つの無信号交差点の 5 つの異なる流入部からの 360 度映像について,実際の運転に近い条件で視聴してもらった.結果,高齢運転者は非高齢者に比べ,主に従方向道路における一時停止での停車前,および停車後の交差点通過時の水平方向への視線移動距離が少なく,それらの区間においては,空間認知は全般的に中心よりとなること,従方向道路が鋭角に接続する交差点においては,主方向道路に向かって右方向が鋭角側となる場合の右方向の空間認知が少なくなることを示した.

  • 石田 翔平, 小早川 悟, 菊池 浩紀, 田部井 優也
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_78-A_85
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
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    交通事故が多発する交差点では、事故データ等の分析に基づいて様々な交通事故対策が実施されている。しかし、対策の検討に用いられる交通事故データやヒヤリハットデータでは危険事象発生時の全ての状況を把握できるわけではない。例えば、交通事故やヒヤリ事象の発生時における信号現示の状況等は主観的なデータしか記録されない。また、交通事故は偶発的事象であるため、特定の交差点部の事故件数だけで定量的な分析を行うことは困難である。

    そこで本研究では、右折自動車と横断者の交通事故が多発する交差点を対象に、危険事象を定量的に抽出する交通コンフリクト指標の PET を用いて危険事象の発生状況を分析した。その結果、車群の中の右折車や単独横断の歩行者・自転車は危険性が高く、青開始から時間が経過するほど危険であることがわかった。

  • 島田 大輔, 森本 章倫
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_86-A_93
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    近年、我が国では運転支援技術の実用化が進み、今後も自動運転システムの社会実装に向けた取り組みが活発化することが予想される。自動運転車両の普及によって渋滞解消や事故減少などの効果が期待されている。その一方で、自動運転車両と従来の一般車両が混在する過渡期においては、車両の運転挙動の違いにより、交通流に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では、混在交通流を交通シミュレータ上で再現した後、自動運転車両の混在率や運転挙動パラメータの設定値を変化させ、交通流の円滑性・安全性を定量的に評価した。その結果、自動運転車両の混在率や運転挙動パラメータの違いにより、交通流への影響は大きく異なることが確認できた。

  • 松村 暢彦, 毛利 彩希, 吉田 長裕
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_94-A_101
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    自転車交通事故のうち、交差点における安全不確認による原因の事故が多く占め、実践的な交通安全教育が必要とされている。本研究では、確認や判断を声に出して行う思考発話法を用いた自転車運転による親の一時停止と幼児二人同乗用自転車で見られる親子のコミュニケーションから子どもへの交通安全効果を検討した。その結果、思考発話法よって親の安全確認に対する意識が向上し、交通安全行動として交差点などにおける一時停止実施の増加が見られた。また、親の様々な話しかけに子どもが多くの反応を見せ、確認の発話のみでなく、危険予測や様々な対象物についての発話を親が行うことで子どもの能動的な発話が促され、交通安全教育に寄与することが示唆された。

  • 足立 国大, 鈴木 弘司, 岡田 悠希, 伊藤 大貴
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_102-A_109
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,2 か所の観測調査データにもとづき,二段階横断施設とその付近を利用した歩行者及び自転車について,乱横断をしやすい横断者の特徴や乱横断挙動と周辺状況に関する分析を行った.まず,乱横断を行う横断者の移動軌跡を調べることで,駅に向かう動線や近接する交差点を使って短絡できる動線で乱横断が生じやすいことを示した.次に,乱横断を行う横断者の属性を調べることで,会社員が乱横断しやすいことを示した.また,高齢者や主婦が乱横断しやすい状況,歩行者と自転車の乱横断発生状況の違いを明らかにした.さらに,統計分析により,乱横断することで移動距離が大幅に短縮できる場合に乱横断が発生しやすく,また,乱横断は周囲の横断者の存在にも影響されることを示した.

  • 馬場 静羽, 井上 亮
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_110-A_118
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    交通状態予測手法の一つとして、深層学習が注目を浴びている。データに内在する関係を自動的に抽出できる深層学習は、多種の予測問題に対して高い性能を示しており、交通状態予測への有用性も確認されている。しかし、深層学習を用いた既往予測手法の大半は、複数の交通変数間の関係を考慮しておらず、また、地点単位の予測を検討している。しかし、予測結果の利用例として渋滞緩和に向けた交通制御を考えると、地点単位ではなく、制御実施の単位となる地域に関する交通状態予測結果の有用性が高い。そこで本研究は、深層学習モデルの一つであるLSTMを用い、地域単位に集計した複数の巨視的な交通状態指標の関係の表現を目指した短期的予測を検討し、都市内一般道の観測データへの適用を通してその性能を確認した。

  • 白柳 洋俊, 林 信吾, 倉内 慎也, 吉井 稔雄
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_119-A_125
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    視線を向けた方向と頭部を向けた方向(以下,両方向がなす角を“眼球角”)に差が生じる場合,あるいは眼球角が時間的に変化する場合には,視覚的な注意資源を分割及び調整することにより,空間認知に要する時間が長くなるとされている.そこで本研究では,眼球角度及び眼球角度の時間変化が道路空間認知に要する時間に影響を与えるとの仮説を措定し,室内実験により同仮説を検証する.具体的には,道路横断時の安全確認における歩行者の眼球角度に着目し,眼球角度の時間平均及び眼球角度の時間変化が道路空間の認知に要する時間に与える影響について,視覚探索課題を実施し,分析を行う.分析の結果,眼球角度の時間平均が大きい程,眼球角度の時間変化が大きい程,道路空間の認知に要する時間が長くなることが示された.すなわち上記仮説を支持する結果が得られた.

  • 宮村 隆人, 田中 伸治, 中村 文彦, 有吉 亮, 三浦 詩乃
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_126-A_132
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    わが国の交差点では依然として多く交通渋滞が発生し、円滑な交通流が阻害されている。一方近年、高速道路での長期的な交通容量の低減が注目されており、そうした現象は一般道においてもあてはまることが考えられる。そこで本研究は交差点停止時に滞留する車列内の車間距離について着目し、その大きさの経年変化の有無とそうした変化による交通流への影響について調べた。

    結果は、特に 2000 年代ごろから停止時車間距離は徐々に拡大しており、その拡大幅はおよそ 30 年前に比べ 1m ほどであった。またこうした経年変化の要因について調べたところ、車種が要因であるとは言えず、運転者の運転行動の変化による可能性が考えられた。さらに停止時車間距離が 1m 拡大すると、交差点での滞留車列長がおよそ 15%拡大することも判明した。

  • 服部 充宏, 稲村 肇, 大口 敬, 日比野 直彦, 森地 茂
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_133-A_141
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    降雨時は制動距離の伸長や視界不良等の晴天時と比べて運転条件が厳しくなる.本研究では,高い時空間分解能を有するXバンドMPレーダを主とした雨量観測ネットワークであるXRAINのデータを利用する.アメダス雨量計とXRAINのデータを比較すると,時間的,空間的なずれ,降雨強度のずれが顕著な場合があるため,高速道路上の雨量を捉えるためにはXRAINのデータの有用性を示した.首都高速道路上の速度分布を分析すると,車両速度は降雨強度から非線形な影響を受け,低い降雨強度ではその増加による速度低下は比較的大きいが,強い降雨強度ではこれが増加しても速度低下は顕著ではないことを示した.またこの傾向は,曲線部でも同様に見られるが,曲率が大きいほど低い降雨強度での速度低下が少ない傾向が見られることを示した.

  • 佐藤 拓郎, 小早川 悟, 小柳 純也, 菊池 浩紀, 田部井 優也
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_142-A_150
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    自転車の車道通行促進のため車道上に自転車通行空間整備が進められている。しかし、自転車専用の空間は幅員が確保できない等の理由でネットワーク化が進んでいない。その中で、ニュータウンは計画的に道路が整備されたため、自転車専用空間のネットワーク化を図るための幅員確保が可能と考える。

    本研究は千葉ニュータウンを対象に道路幅員構成の調査を行った結果、現状において車道上の自転車専用通行帯として必要な幅員である1.5m以上の確保が可能な道路延長は3割程度であることを確認した。また、通行実態として、自転車利用者の多くが歩道通行し、属性によらず歩道を徐行しない傾向があることがわかった。さらに、構造改変を伴わず車線や側帯の修正のみの道路再配分を提案し、その結果7割の道路において自転車専用通行帯が確保できることを示した。

  • 櫻井 和輝, 小早川 悟, 菊池 浩紀, 田部井 優也
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_151-A_159
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    わが国では、高度経済成長を機にバブル経済期に至るまで駐車場不足が顕在化し、路上における違法駐車問題が発生した。この問題を解決するため、路外の駐車場整備のための制度が整えられ、次第に都市における普通乗用車のための駐車スペースは整備が進み、都心部では路外駐車施設の利用率が低下するようになった。そのため、駐車場の配置適正化や集約化の議論がされ始めたが、駐車場の集約化が駐車場利用者に与える影響については解明されていない。そこで本研究では、駐車場の利用者の駐車場選択行動を明らかにすることで、駐車場集約後の駐車場利用者の歩行距離に与える影響について分析を行った。その結果、各駐車場の利用者の利用実態を考慮して駐車場を組み合わせて集約することで利用者の徒歩距離に与える影響を小さくできることが明らかになった。

  • 関 陽一, 小早川 悟, 菊池 浩紀
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_160-A_166
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    わが国の都市では荷さばきを行う貨物車が利用可能な建物内の駐車施設が不足しており,その駐車需要を補うために荷さばき貨物車向けの路上駐車施設を運用する必要がある.これまでも時間制限駐車区間やローディングベイといった形で荷さばき貨物車が利用可能な路上駐車施設が運用されてきており,また現在では荷さばき貨物車が無料で 20 分まで駐車可能な路上駐車施設の運用も始まっている.しかし,このように路上駐車施設において様々な運用がなされている中で,どのような運用が荷さばき貨物車の実態に最も適しているかは明らかでない.

    本研究では,時間制限駐車区間とローディングベイに加え,荷さばき貨物車が無料で 20 分間利用可能な路上駐車施設に着目しその実態を把握することで,荷さばき貨物車の実態に最も合う路上駐車施設の運用を明らかにした.

  • 宮崎 耕輔, 松尾 幸二郎
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_167-A_174
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    年齢別にみた歩行中の交通事故件数によると,7歳児が際だって多いことがわかっている.しかしながら,この要因については明らかにされているとは言いがたい.そこで,本研究では,交通事故データとパーソントリップ調査データとを組み合わせて,香川県と愛知県をケーススタディとして,子供の歩行中の交通事故と交通行動の関係性を明らかにした.その結果,年齢別でみると,香川県も愛知県も全国と同様の傾向を示していることがわかった.その上で,5歳から7歳にかけて,徒歩トリップ数が増加しているとともに,交通事故も増加しているが,事故率は年齢とともに減少していることがわかった.また,性別では,男女間に徒歩トリップ数の差異はみられなかったが,男児は女児に比べて交通事故件数が多く,男児の事故率が高いことがわかった.

  • 兵頭 知, 西内 裕晶, 倉内 慎也, 吉井 稔雄, 大藤 武彦
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_175-A_184
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    事故リスクに関わる情報伝達を有効に行うために,多様な情報媒体により道路利用者の安全意識を醸成させることが重要となる.本研究では,文字情報板による事故リスク情報提供に着目し,新潟都市圏ならびに松山都市圏にて道路情報板による情報提供を試行し,期間中に実施された681票のアンケート調査データを用いて,ドライバーの情報利用状況が事故リスク情報への態度や安全意識に与える影響を共分散構造モデルにより分析した.その結果,ドライバーの情報獲得状況に関わる規定因が安全運転意識および事故リスク情報態度に対し影響を与えること,道路上における文字情報板にて事故リスク情報を提供することにより,情報を受けたドライバーの交通事故リスクの情報内容に対する納得度や理解度の向上を介して安全運転意識の改善に寄与する可能性が示された.

  • 荒木 正弘, 鳩山 紀一郎, 佐野 可寸志, 高橋 貴生
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_185-A_192
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    高齢化や過疎化が進む地域では、ライドシェアが新たな地域公共交通として着目されている。本研究では、ライドシェアが地域交流を促進する効果に着目し、交流促進を考慮したライドシェアの導入可能性について検討することを目的とする。具体的には、ライドシェアサービスの利用意向や提供意向などについて、新潟県の高齢・過疎地域で自動車依存度の異なる 2 つの地域を対象にアンケート調査を実施した。結果として、自動車依存度の低い地域では、利用意向は高く、利用者を増やせれば交流に繋がる可能性があると示された。他方、自動車依存度の高い地域では、利用意向は高くないものの、イベント等と組み合わせることで交流促進に活かせる可能性が示唆された。運転手の確保は両地域における課題であり、柔軟な対策が必要である。

  • 長谷川 裕修, 千葉 優唯, 葛西 誠, 田村 亨
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_193-A_200
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    交通安全教育の一環として,日本では危険予知訓練(KYT)の取り組みが進められている.従来のKYT教材の多くは三人称視点であり,主にイラスト画像が用いられていた.一方,近年のVR関連技術の発展により,一人称視点かつ360度全方位確認可能な実写映像VR教材を作成することが可能になりつつある.しかし,その効果についての検討はまだ不十分である.そこで本研究では,VR教材と写真教材を作成し,各教材と対照群に10名ずつをランダムに割り当てて教材の教育効果を実験により評価した.実験前後のアンケート調査の結果から交通安全意識の変化を検証した結果から,1)学習項目によって適した教材が異なること,2)総合的には写真教材が最も効果的なことが明らかとなった.

  • 吉井 稔雄, 奥原 瑠依, 坪田 隆宏
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_201-A_206
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    交通事故による通行障害が発生し,その影響が事故発生地点の近傍にとどまらず周辺道路にまで及ぶ場合,ネットワーク規模での道路機能低下が考えられる.そこで本研究では,交通事故がネットワーク規模の道路機能低下に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,愛媛県松山市の道路ネットワークを対象に,事故の発生による Macroscopic Fundamental Diagram(以下,”MFD”)の形状変化を分析する.時間の経過とともに ETC2.0 搭載車両の割合が増加していることを考慮し,ETC2.0 データの単位時間あたり走行台キロと走行台時を1ヶ月平均値で除した値をそれぞれ正規化交通流率,正規化交通密度とし,両状態量を用いてネットワーク交通流状態を規定する.事故の有無に着目して,同交通流状態に折れ線回帰モデルを適用して MFD を推定した結果,事故の有無によって MFD 形状に有意な差が生じていることが明らかとなった.

  • 河上 翔太, 杉田 浩, 森尾 淳, 森田 哲夫
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_207-A_215
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究では、1968年から10年毎に5回の大規模な調査が継続的に実施されてきた東京都市圏PT調査データに基づき、「ライフステージ(年齢)」を軸にし、「時代」「世代」といった要素を加え、社会経済状況の変化に対応した交通行動変化、及びその要因を考察した。その結果、①外出率が増加している要因は「時代」よりも「世代」の影響が強いこと、②ネット生成原単位・通勤目的のネット原単位の変化の要因は「年齢」と「世代」の影響によるものであること、③私事目的のネット原単位の変化の要因は「年齢」の影響によるものであり、「時代」、「世代」による時間的な変化の影響が小さいこと、④自動車分担率の変化の要因は「時代」、「年齢」、「世代」の全ての影響を受けていること等が示された。

  • 寺田 弘明, 柳原 正実, 小根山 裕之
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_216-A_225
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    上り坂・サグ部で発生する渋滞対策として,路肩付近に連続的に設置した LED 発光体により光を流す走光型視線誘導システムが導入されている.また,最近は自動運転車の開発により,手動運転車と自動運転車の混在状態が数年続くと考えられている中,混在状態における走光型視線誘導システムの効果に関しての検討は行われていない.そこで本研究は,自動運転車混在時における走光型視線誘導システムによる交通流への影響についての知見を得るため,ドライビングシミュレータを用いて発光体点灯有無,点灯速度,混在率を変更し比較運転を行った.その結果,走光型視線誘導システムは自動運転車混在下においても手動運転車に対し,効果を発揮する可能性が示唆される結果が示され,これらに対する個人特性が与える影響についても分析を行い,特性を把握した.

  • 高崎 仁義, 伊藤 潤, 佐野 可寸志, 鳩山 紀一郎
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_226-A_235
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,冬期旅行速度低下に大きく影響を及ぼすと考えられる路面積雪状態の推定に着眼し,気象条件,通過交通量と路面状態の関係性を明らかにする.そのため,冬期間の様々な路面条件下で,気温や降雪量といった気象条件と交通量を観測し,気象条件と通過交通量が路面状態に与える影響を分析し,路面状態推定モデルを構築した.分析の結果,路面状態が変化するに伴い,15時間累積降雪量と10分間交通量,7時間累積交通量は有意差があることが明らかになった.また,乾燥・湿潤とシャーベット,圧雪の3分類の路面状態を推定するモデルを,的中率88.9%の高い精度で構築できた.交通量を変数から除いたモデルは,交通量を含めたモデルに比べ的中率が低下していることから,冬期路面状態推定には交通量を加味することが重要だと言える.

  • 松本 太朗, 辰巳 浩, 吉城 秀治, 堤 香代子, 半田 隆太, 水尻 翼
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_236-A_245
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が制定され、自転車走行環境は車道を基本として整備が行われている。そこで本研究では、路肩幅員や車線幅員の広狭といった幅員構成の違いが、自転車を追い越す自動車走行挙動に及ぼす影響、ひいては自転車の追い越しに関わる安全性と円滑性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。幅員構成別に走行挙動を比較した結果、自転車を追い越す自動車の走行挙動は路線によって異なっており、自動車走行速度や加減速度、離隔距離への影響の違いなど、路線によって追い越し挙動は大きく異なることを明らかにしている。また、得られた結果をもとに各路線における安全性と円滑性について検討しており、各路線の安全性および円滑性についての一体的な評価を行っている。

  • Dang CHI ANH , 橋本 成仁
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_246-A_253
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    ベトナムの首都ハノイでよく利用されている交通手段はバイクであるが、所得水準の向上に伴って自動車保有台数も増加する傾向にある。近年、世界各国で導入され、注目を集めているライドシェアはハノイでも導入され、新たな交通手段として注目されているが、その利用がもたらす自家用車保有意識への影響を明らかにする研究は見られない。そこで本研究では、ハノイを対象として、ライドシェア利用に対する利用者の評価を明らかにするとともに、ライドシェア利用が自家用車保有意識に与える影響を考察した。その結果、ライドシェアを利用することで道路環境が向上し、自家用車の代わりに、バイクを中心に、状況によってライドシェアも活用しているということが示唆された。

  • 飯田 克弘, 遠藤 貴樹, 多田 昌裕, 蓮花 一己, 山本 隆
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_254-A_262
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
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    現在整備の進む大深度地下の JCT では,比較的短い区間での分合流や急カーブの連続に加え,空間的制約の影響で,行き先案内情報が十分に提供されない可能性がある.この課題に対し,先行研究で,標識のみに依存しないカラー連携標示に着目し,この方法が運転者の進路認知を早める効果を確認した.しかし,この効果の要因,つまり運転者の情報視認,判断といった挙動の検討が課題であった.本稿で,この課題に取り組んだ結果,施設の連携,早期の進路認知への着色の寄与が明らかとなった.一方,慣れない状況では過度な注視を生じる可能性が示唆された.同時に,標識判読性向上を意図した標識矢印レイアウトの変更とカラー連携標示を組み合わせた場合の効果も分析した結果,目的地の表記された標識板の注視を促す効果が示唆された.

  • 坂本 淳, 岩井 蓮, 永田 臨
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_263-A_269
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
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    木造密集地域で大規模地震が発生した場合,家屋の倒壊による道路の閉塞が避難行動を阻害する可能性がある.自治体では倒壊の恐れがある家屋に対して耐震化等の対策を行っているが,近年の厳しい財政状況から十分に対応できていない.

    本研究では,国勢調査,デジタル道路地図,および各区間の道路閉塞率から,地域内の住民が発災後に避難場所まで到達できる可能性を算出する手法を構築した.その後,自治体の財政的な制約の下で道路閉塞対策の優先順位を示し,効率的に避難できる者を増加させることができる道路閉塞対策案を比較検討した.その結果,避難可能者数が最も多い,道路閉塞率が高い,あるいは各地点から避難場所までの経路として利用される頻度が高い区間から優先的に対策を行う方法が,効率的に避難可能者数を高めることができることがわかった.

  • 中村 佳太郎, 森本 章倫
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_270-A_279
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    近年、公共交通サービスの向上のため様々な公共交通を自由に乗り継ぐシステムの構築が検討されている。その際には乗り換えの負担を正確に把握し、軽減することが求められる。そこで本研究では、公共交通の乗り換えに生じる負担を乗り換え抵抗と定義し、所要時間の不確実性、サービス頻度、交通行動の習慣によって乗り換え抵抗がどのように変化するか定量的な分析を行う。

    情報の統合や予約・支払いの統合を想定して公共交通の利用意向における変化を考察し、ソフト面のサービスが乗り換え抵抗の軽減にもたらす効果を検証した。その結果、公共交通のサービスを把握していない人は、普段公共交通をあまり利用していないが故に乗り換え抵抗を低く見積もり、ソフト面のサービスが導入された際に公共交通への行動変容が起こりにくいことが分かった。

  • 大枝 良直, 森 祐輔, 外井 哲志, 高田 正幸, 金 基弘, 山内 勝也
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_280-A_288
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
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    本研究は、クラクション発生要因と交通環境の関係を見るために韓国ソウル市内の3つの交差点について、ビデオ撮影、発生状況を記録し交通状況(進行方向、進行方向制御、交通量、車線運用)とクラクション発生のケースを調べ、さらにその中の一つ、「割り込み」についてモデルの作成を試みた。調査から、発生するクラクションのタイプを「割り込み」、「警告」、「進路妨害」等と定義し、交通の形態を「直進」、「右折」などに分けながら、発生とその原因を大まかであるが推測した。その結果、①右折車線の運用方法、②交差点における流入側と流出側の車線運用がクラクション発生の要因の一つであることが推測された。モデルの作成では交通現象に関係のある要因、「速度」、「距離」など取り上げモデル化を行い、統計的に有意なモデルを得ることができた。

  • 和田 脩平, 高橋 翔, 白石 直之, 宗広 一徳, 岡田 稔, 内藤 利幸, 萩原 亨
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_289-A_297
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    ACCで冬期道路を走行しているドライバの先行車に対する主観的リスク認知レベルを実車で計測し、冬期道路におけるACCの適応条件の検証を試みた。ドライバがACCを用いて先行車を追従中、先行車が減速し接近する場面を想定した。その結果、ACC走行時のドライバの主観的リスク認知レベルは通常運転に比べて大きくなった。また、先行車との接近時におけるTHW(Time Headway)とTTC(Time To Collision)を説明変数、主観的なリスク認知レベルを目的変数とする統計的モデルを推定した。モデルはTHWのみが有意となった。モデルと主観的なリスク認知レベルの結果から、ドライバが圧雪路面をACCで走行するときにTHW設定を長くすることで、通常運転と同等のリスク認知レベルとなる可能性が示唆された。

  • 大木 裕貴, 柳原 正実, 小根山 裕之
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_298-A_306
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
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    本研究は、far と near の信号灯器の設置位置の違いによる交差点内における右折挙動について、ドライビングシミュレータを用いた実験により分析を行った。実験の結果、far と near で信号切り替わり時のクリアランス時間や青信号時のギャップ選択行動から算出された臨界ギャップは大きな違いはなく、アクセルペダル踏込回数についても有意な差はなかったことから、右折時の運転挙動について信号灯器の設置位置は大きな影響とはならないことが示唆された。一方、進入後右折待機時における注視箇所の分析では、far において一部の被験者が対面信号灯器を最も注視していたが、対面信号灯器の無い near では対向車への注視に推移し、適切な安全確認行動を促していることが示唆された。またこれらの注視特性の違いには運転者の消極的な運転特性などが影響していることが示された。

  • 小松﨑 諒子, 武田 陸, 谷口 守
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_307-A_315
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    近年わが国では自動運転の実用化が進んでおり,そのメリットの一つとして移動中の自由な活動が可能になるということが挙げられる.しかし,移動中の活動意向やその主観的な価値は未知数であり,個人の意向に基づいた研究の蓄積が必要とされている.そこで本研究では,活動の価値の観点から自動運転化の効果を考察することを目的とした. まず, 独自のアンケート調査により, 個人属性と自動運転化後の車内で行う活動意向の関係性を把握した.その上で,個人の主観的な活動時間価値を用いて,移動時間に行われる活動が生み出した価値(VTTA)を自動運転化前後で算出した. 結果として, 全国でのVTTAの増加額は現在の渋滞損失時間価値を上回る規模となること,特に移動中の非業務活動時間の増加が価値を生み出すことが明らかになった.

  • 河合 レナ, 萩原 亨, 高橋 翔, 寺倉 嘉宏, 大石 侑亮
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_316-A_325
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,高速道路本線で ACC を用いた運転を行っているドライバの合流車との錯綜を軽減するために,事前の速度調整装置として走行車線中央に埋め込んだ速度誘導灯を提案した.ドライビングシミュレータを用いて 46 名の実験参加者で走行実験を行い,走行記録・主観評価などから速度誘導灯の意図に関する説明の違いがドライバの運転行動に影響を与えることが示された.その中で,速度誘導灯の意図を説明した実験参加者は,合流部のノーズ端の上流で速度誘導灯の指示に合わせた適切な速度調整を選択していた.これによりスムーズな合流となり,ドライバが感じる合流車による主観的な危険度も低くなった.加えて,速度誘導灯を点灯させていない時における本線車のドライバの加減速行動から,速度誘導灯の設置が効果的となる位置を明らかにした.

  • 上条 陽, パラディ ジアンカルロス, 髙見 淳史
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_326-A_335
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究では、完全自動運転車(AV)が広く普及しシェア型 AV(SAV)サービスが存在する仮想的状況下における自家用 AV の購入行動と交通手段選択について SP 調査を行い、それらをモデル化した。具体的には、回答者の保有する自家用車の利用状況と最頻トリップについての RP データを取得した上で、その RP データの状況に基づく SP 調査を設計・実施した。自家用 AV の購入選択モデルから、SAV のサービス水準よりも自家用 AV のコストといった金銭面と個人の心理的要素が選択に影響を及ぼしていることが示唆された。交通手段選択モデルからは、SAV について、より多くの他人と乗り合うことが想定されるサービスであるほど時間価値は高く不効用が大きいこと、それでも非動力系手段よりは移動時間による不効用が小さいことが明らかとなった。

  • 轟 直希, 柳沢 吉保, 岩崎 真哉, 西川 嘉雄, 高山 純一
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_336-A_345
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    長野市中心市街地では、域内の活性化策のひとつとして、歩行者の回遊性向上を目的とした歩行者優先道路化事業が行われている。今後本事業をより広範囲に展開していくためにはより効率的かつ効果的な整備を目指す必要がある。そこで本研究では、人の知覚情報のうち視覚からの情報が 83 パーセントであることに着目し、歩行空間構成要素に対する着目度や、奥行きを表す着目距離などの視覚情報と街路評価の関係を明らかにすることで、街路の評価に影響を与える要素を明らかにした。結果として、着目度が街路の評価に影響を与えることが明らかとなった。また、着目度に対しては歩行空間構成要素の占有率や着目距離が影響を与えている可能性が示されたため、街路整備を行う際には街路の奥行きや歩行空間構成要素ごとの占有面積も考慮する必要性が示された。

  • 若原 歩花, 有吉 亮, 中村 文彦, 早内 玄, 田中 伸治, 三浦 詩乃
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_346-A_353
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    一般的に移動は派生需要であり所要時間は短いことが望ましいとされるが、実際には目的地への到達以外の意味が見いだされて受容される場合や意図的に確保される場合があり、そうした認識の形成要因は明らかとなっていない。本研究では、移動時間の短縮意向に関する調査を通して、移動に対する認識の形成要因を明らかにすることを目的とした。集計分析により、当該日の就業の有無、移動手段、同行者属性、移動前活動に対する満足度などが移動に対する認識に差異を生むことが分かった。さらに、当該トリップが短縮意向の対象となるか否かを記述する二項ロジットモデルにより各要因を相対的に評価した結果、成人同行者の存在が移動に対する認識の形成に最も大きく寄与することなどが明らかとなり、今後の交通施策において顧慮されるべき新たな観点を得た。

  • 李 文浩, 倉内 慎也, 吉井 稔雄, 坪田 隆宏
    2021 年 7 巻 2 号 p. A_354-A_361
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    都市部では,狭幅員で無信号交差点が多い道路に通過車両が流入し,周辺住民の安全性が脅かされている.こうした「抜け道」問題を緩和するには,ドライバーの意識変容が不可欠である.本研究では,その一方策として,ドライバーに抜け道利用によるメリットとデメリットに関する事実情報の提供を考え,愛媛県松山市を対象に,抜け道利用による所要時間短縮効果を検証すると共に,抜け道利用車の走行特性を分析した.その結果,混雑時に抜け道利用による所要時間短縮効果は,抜け道通行後に幹線道路への合流に伴う待ち時間や,幹線道路上の信号の系統制御によって小さくなることを確認した.また,抜け道利用車は頻繁に抜け道を利用すると共に,抜け道走行速度は幹線道路が渋滞時ほど有意に向上し,重大事故につながる可能性が高いことが明らかとなった.

特集号B(実務論文)
  • 山本 隆, 山本 浩司
    2021 年 7 巻 2 号 p. B_1-B_5
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    これまでの高速道路における交通事故対策は、視線誘導対策や注意喚起看板の設置、薄層舗装や導流レーンマークの設置による速度抑制対策などを基本に行っている。しかしこれらは、視覚を中心とした対策であり、前方を注視していない運転や漫然運転には効果が限定的であり、なお事故が発生している場合がある。筆者らは、聴覚による対策として、範囲を限定しつつ言語の音声が届き、かつ屋外に設置可能な指向性スピーカーを開発した。本研究では、開発した指向性スピーカーの設置による、速度抑制効果を検証し、事故多発箇所における速度の低下を確認した。更に運用開始以降、当該地点での事故は発生していないことから、聴覚による交通事故対策が有益であることを示す。

  • 牧野 修久, 小林 圭, 池水 丈明, 中村 英樹, 鈴木 弘司, 井料 美帆, 柿元 祐史
    2021 年 7 巻 2 号 p. B_6-B_13
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    愛知県は交通事故死者数が令和元年に 17 年ぶりに全国ワーストを脱却したが、今後更なる安全な道路交通環境の実現に向け、関係機関の一層の努力が求められている。本研究では、信号のサイクル長が長いことに起因して渋滞が発生し、これに伴う生活エリアへの通過交通により危険性が高まっている箇所を対象にサイクル長の短縮について検討し、実証実験により安全性や円滑性の観点から効果検証を行った。結果、右折レーンのない交差点など直進阻害が生じ信号の青時間が有効活用されていない箇所においてはサイクル長の短縮により、渋滞緩和や事故の危険性低下が確認された。一方、生活エリアへの抜け道利用の抑制効果については十分な効果がみられず、利用者への効果周知や生活道路への物理的デバイスの同時整備の必要性など今後の課題として確認した。

  • 阿部 和規, 藤井 秀樹, 吉村 忍, 田淵 健太, 妹尾 俊彦
    2021 年 7 巻 2 号 p. B_14-B_24
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    都市部の通勤時間帯の交通混雑に対する軽減策として,信号現示の変更による混雑緩和は現実的であるものの,予想通りの改善効果が得られない場合もある.近年,プローブデータの充実によりミクロな視点からの交通分析が可能になってきているが,本研究では,警察の実務者と大学の研究者が協働して,プローブデータとトラフィックカウンターデータを連携活用してミクロ交通流シミュレータの現況再現性能を高め,混雑軽減施策の効果を事前にシミュレータ上で定量評価する手法を提案する.本手法を岡山県道川入巌井線における信号交差点群に適用し,信号現示の改良効果の事前定量評価を行った上で改良施工した.さらに施工後の実走試験による実測結果とシミュレーションによる事前予測結果の定量的比較を行い,本手法の有効性を確認した.

  • 馬渡 真吾, 井坪 慎二, 金子 雄一郎, 佐野 拓真, 轟 朝幸
    2021 年 7 巻 2 号 p. B_25-B_33
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    地方部における高齢者等の生活の足として、自動運転による輸送サービスへの期待が高まっており、全国で実証実験が行われているが、走路上の支障物回避など自動運転が対応できない状況が連続すれば、その効果が十分発揮されない。そこで本研究では、全国 13 地域で実施した自動運転の公道実験において、自動運転が継続できない場合に生じる運転手による運転操作(手動介入)の発生要因データを用いて、車線数や路肩状況といった道路インフラ側の構造や沿道環境等との関係を定量的に分析した。この結果、それらの要因が手動介入発生に大きく関係していることが明らかになったことから、円滑な自動運転のための道路インフラ側の対策(他車の混在を避けた空間構築、路面標示による注意喚起等)を提示し、路面標示については現地実証により効果を確認した。

  • 森 健二, 矢野 伸裕, 横関 俊也, 萩田 賢司
    2021 年 7 巻 2 号 p. B_34-B_40
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    高速道路の規制速度引き上げが試行されたことで、車両挙動が変化したかを検証する一環として、追い越し時における追突事故の危険性を比較した。規制速度の引き上げ試行区間となった新東名高速道路において、観測車を走らせそれを追い越していく一般車の様子を観測するという調査を実施し、追い越しにより車線変更するタイミングでの相対速度と車間距離から求めた追突事故のリスク指標の特徴を分析した。調査は 120km/h 規制の試行中に実施し、各リスク指標は規制速度に関わらず速度差の影響を受けることを確認した。また、これまでに実施した引き上げ試行前、110km/h 規制中の結果と比較したところ、規制速度 120km/h において追突リスクの有意な上昇が確認されたが、効果量は小さく規制速度引き上げによる影響は少ないと考えられた。

  • 石井 真, 西堀 泰英
    2021 年 7 巻 2 号 p. B_41-B_45
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    電車・バス・タクシー等の移動サービスの検索・予約・決済機能を統合し、スマートフォンのアプリ等で提供する定額制 MaaS に関して、愛知県豊田市を事例として、自動車が主な交通手段となっている地方都市における意識調査を実施した。意識調査の結果、月額 8,000 円の場合、15.7%と多くの豊田市民が利用意向を示した。求められるサービス内容については、豊田市内の電車・バス乗り放題に加えて、超小型モビリティのシェアリングサービスやタクシーを組み合わせたプランが支持された。公共交通を全く利用していない層や高齢層に一定の利用意向があり、公共交通の利用が増加する可能性があることや、高齢者の移動支援として有効である可能性が示唆された。

  • 萩田 賢司, 横関 俊也
    2021 年 7 巻 2 号 p. B_46-B_54
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    交通事故統計では、縦断勾配が概ね 3%以上を坂路と定義している。本研究では、自転車走行道路が坂路とみなすことができる自転車事故を抽出し、縦断勾配が上りと下りの発生割合を比較した。その結果、ほとんどの事故類型において、自転車は上りと比較して、下りで交通事故に遭遇しやすいことが示された。この傾向は自転車対歩行者事故と自転車単独事故では顕著であった。坂路における子供の事故の特徴として、出会い頭事故や逆走時と推察される事故の割合が高く、交通規則を遵守していない傾向にあることが推察された。一方、高齢者は単独事故や追突、追越追抜時の割合が高く、運転能力が落ちていることが要因にあると推察された。自転車事故の多数を占める出会い頭事故は、自転車が第二当事者の場合、自転車走行道路の縦断勾配をほとんど推定できず、今後の検討が必要である。

  • 立松 秀樹, 森本 清誠, 田中 淳, 泉 典宏, 中村 英樹, 鈴木 弘司, 井料 美帆, 柿元 祐史
    2021 年 7 巻 2 号 p. B_55-B_61
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル 認証あり

    愛知県の主要渋滞箇所の一つである春日井インター東交差点は、右折交通量に対して右折車線長が不足しており、右折待ち行列が直進車線まで延伸する状況が発生していた。その結果、後続直進車の通行が阻害され渋滞の要因の一つになっているとともに、右折待ち行列の末尾等への追突事故の危険性が懸念されていた。そこで本研究では、当該交差点において、右折待ち行列の延伸による渋滞解消のため、サイクル長を短縮する実証実験を実施した。本稿は、この実験に伴う円滑性・安全性の改善効果を検証した結果について報告するものである。

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