本研究では、認知機能検査が受検者にもたらす心理的影響の効果・副作用を検証するため、インタビ ュー調査と認知機能検査によるメッセージ効果検証実験を実施した。インタビュー調査の結果、認知機能検査結果に関わらず多くの対象者が、検査を難しいと感じていることや過去の検査結果と比較して結果を解釈していることが明らかになった。認知機能検査によるメッセージ効果検証実験の結果、認知機能の低下のおそれがない第3分類の人は、クルマ利用抑制意図・運転免許返納行動意図など4項目の値が、検査実施後に有意に低くなり、検査による副作用の存在が示唆された。認知機能の低下のおそれがある第2分類の人は、運転免許返納行動意図が事後に有意に高くなった。以上より認知機能検査による心理的効果・副作用の両面が存在する可能性が明らかになった。
2019 年 3 月より規制速度 120km を試行した東北自動車道(花巻南 IC~盛岡南 IC 間)における試行前後での走行実態の変化を、トラカンデータ、車両挙動データ、交通事故データ等を用いて分析した。試行前と、120km/h 試行後における平均速度と速度分布の比較からは、試行区間下り線では僅かな上昇傾向が、試行区間上り線と隣接区間においては有意な低下が確認された。試行区間上り線における上昇傾向は、20km/h の引き上げ幅に対して大きなものではなく、車両変更回数や交通事故発生件数にも著しい増加傾向は確認できなかった。一方で、規制速度の遵守率は改善していると考えられ,規制速度の適切な引き上げと各種対策等を同時に行うことで、より安全で円滑な高速道路の走行環境に近づけることも可能であると考えられた。
近年欧州では、増加し続ける貨物輸送需要と深刻なドライバー不足を背景に、大型貨物車の全長や総重量が大幅に緩和された大容量車両(HCV: High Capacity Vehicle) を利用した貨物輸送の省人化・効率化に向けた取り組みが行われている。欧州における HCV の先行事例について、文献調査とともに関係者へのヒアリング調査を通じて、大型貨物車の全長と総重量の規制緩和に着目し、スウェーデン(積極的)、オランダ(本格的)、ドイツ(制限的)、イギリス(消極的)という異なる HCV の導入形態について分析を行った。そして、今回得られた知見から、我が国において導入が進められているダブル連結トラックについて、普及にむけた課題と対策に対する示唆をとりまとめた。
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