免疫の研究で世界のトップを行く岸本博士が、日本の科学技術政策の舵取り役に取り組んでいる。すぐれた研究者を育てるためには競争的資金を導入し、大学のシステムを変えて行くことが何より重要と、声を大にして各方面に働きかけており、科学技術創造立国への秘策を熱く語る。
愛知万博(愛・地球博)が開幕した。科学技術や産業・文化が「繁栄の知」から「共生の知」へと向かいつつある21世紀にふさわしく、テーマは「自然の叡智」。3つのアプローチ(循環型社会、先端技術、地球市民の交流)で持続可能な未来のビジョンを描き出そうとしている。5月の新緑の下、万博でまじめに楽しく未来体験ができるいくつかのポイントを紹介しよう。
果物や野菜の鮮度を保つ天然素材のシートがヒット商品となった。腐敗を防ぎ、抗菌・消臭効果もそなえたこのシート1枚で、冷蔵庫の野菜室は安心だ。便利なシートを開発したのは、薄膜技術の研究者がはじめた大学発の小さなベンチャー企業だった。
科学技術や最先端の研究に興味があれば「スーパーコンピューター」という言葉に特別の魅力を感じる人も多いのではないだろうか。国内の研究機関が保有する種々のスーパーコンピューターを高速大容量のネットワークで接続し、ネット上に仮想的な研究環境を構築する。そんな夢の国家プロジェクトが大きな成果を上げはじめている。
生物の体には、約24時間周期のリズムを生みだす機構が備わっている。その仕組みを解き明かす研究が、シアノバクテリアを使って大きく前進した。今回の成果は、高等動物での生物時計解明や、医学などへの応用研究にも重要なヒントを与えそうだ。
高校生の年代の若者が科学の知識やセンスを競い合う国際大会がある。日本は、数学、化学の大会に参加して好成績をあげてきたほか、今後は生物と物理の大会にも生徒を送る予定だ。こうした「科学オリンピック」への参加はどんな意義をもち、どのように支えられているのだろうか。
博士論文の執筆を終えた時に、茶道の稽古を始めた。以来、点前を楽しみ、マンションにつくった茶室で茶会を催すこともある。懐石は私の手作り…。ご紹介する本や映像から、茶の湯の豊かさを見出していただければ、嬉しいかぎり。