2025年のノーベル生理学・医学賞を、坂口志文博士(大阪大学特任教授)ら3氏が受賞することが決まった。授賞理由は「末梢性免疫寛容に関する仕組みの発見」。過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見し、その役割を明らかにした。JSTは新技術事業団当時の1991年に発足した独創的個人研究者育成事業「さきがけ研究21」以降、現在に至るまで、生命科学の新分野を切り開く坂口博士の研究を応援し続けてきた。制御性T細胞には、自己免疫疾患やがん、難病などの治療に強い期待が寄せられている。世界が認めた独創的な成果が本格的な社会実装につながることを願いたい。
2025年のノーベル化学賞を、北川進博士(京都大学理事・副学長/特別教授)ら3氏が受賞することが決まった。授賞理由は「金属有機構造体(Metal-Organic Frameworks、MOF)の創出」。二酸化炭素(CO₂)や水素(H₂)などさまざまな気体を効率良く分離・貯蔵するMOFを開発した。JSTは戦略的創造研究推進事業ERATO「北川統合細孔プロジェクト」などを通じ、現在に至るまで、材料化学の新分野を切り開く北川博士の研究を応援し続けてきた。MOFには、環境浄化や化学工業などへの応用に強い期待が寄せられている。世界が認めた独創的な成果が本格的な社会実装につながることを願いたい。
2020年にノーベル化学賞を受賞したゲノム編集は、生物の遺伝情報を書き換える画期的な技術として産業応用に向けた動きが活発化している。広島大学ゲノム編集イノベーションセンターのセンター長を務める山本卓教授と、ゲノム解析を専門にする同大大学院統合生命科学研究科の坊農秀雅教授が主導する「Bio-Digital Transformation(バイオDX)産学共創拠点」では、生物のデジタル化とプログラミングの研究開発を推進。得られた成果を社会実装し、バイオエコノミー社会の実現に貢献することを目指している。
植物の細胞の中では、生命維持のために多くの出来事が同時に起こり、そこにはさまざまな遺伝子や物質が関わっている。そのため、1つの出来事にどの遺伝子や物質がどのように関わっているのかを特定するのは難しい。東北大学大学院生命科学研究科の植田美那子教授は、秋田県立大学システム科学技術学部の津川暁助教らと異分野融合のチームを作り、植物細胞の「かたち」の変化に注目した低次元化と、力学モデルやシミュレーションの手法を組み合わせることで、複雑な生命システムの解明に取り組んでいる。
社会実装につながる研究開発現場を紹介する「イノベ見て歩き」。第25回は、がんの新しい治療法につながる研究に取り組む京都大学大学院人間・環境学研究科の小松直樹教授に話を聞いた。ホウ素を含むナノ粒子を使ってがん細胞だけを殺傷する技術を開発し、スタートアップを設立。すでにマウスでは効果を確かめており、ヒトでの臨床試験を目指している。
【開催報告】アフリカとのTICAD9関連イベントを開催 頭脳循環ネットワークの形成を目指して
【研究成果】ヒザラガイが生体内で形成する磁鉄鉱の歯 たんぱく質を同定して形成の仕組み解明
【研究成果】温度変化で細胞の機能を操る分子ツール アポトーシスに関与する酵素で効果を確認
【研究成果】原子わずか3つ分の「金量子ニードル」 イオンをゆっくりと還元して合成、光学特性も明らかに
戦略的創造研究推進事業ACT-X「ナノ薄膜による生体脳の超広範囲光計測法の確立と疾患モデルへの応用」
頭蓋骨をナノ薄膜に置換し、脳の活動を可視化 世界一広く、深く、細かい光計測技術の開発へ
東東京理科大学 先進工学部 機能デザイン工学科 助教
高橋 泰伽