わが国が世界に先駆けて研究・開発している技術は多いが、世界の市場で優位を占めている技術はあまりない。欧米に比べて国際標準化に対する大学や企業の研究者、それに国の対策が遅れているからである。最近、政府もやっと本腰を入れてきたが、研究者はすでに国際標準化に挑み始めている。
生物には、不要になった細胞を取り除くしくみが備わっている。細胞が自ら断片化して死ぬ「アポトーシス」だ。その断片の処理はすぐに行われるが、中でも重要なのはDNAを分解する段階だ。赤血球生成の際にも必要なこのDNA分解がうまくいかないと、関節リウマチを引き起こすことがわかった。
当たり前の存在になってきた情報コミュニケーション技術(ICT)。1990年代の後半からは、教育現場でも活用されるようになった。ICT教育を実りあるものにしたいと、JSTはデジタル教材「理科ねっとわーく」を提供している。どのように使われているのか。つくば市の場合を紹介する。
科学技術の発展を支える情報の流通。これを円滑にするのが情報の標準化だ。JSTではそのための基準「SIST」を制定し、普及に努めてきたが、現在、改訂作業を行っている。そもそも、SISTとはどんな基準なのだろうか。なぜ改訂が行われるのだろうか。
科学のおもしろさを社会に伝え、科学技術をめぐる課題について、社会とともに考えるサイエンスコミュニケーションの活動が全国で展開されている。2006年11月25~27日、東京・お台場の国際研究交流大学村で、サイエンスコミュニケーションに関する大型イベント『サイエンスアゴラ2006─科学と社会をつなぐ広場をつくる─』が日本で初めて開催された。
江戸時代の医学は中国から伝わった漢方が主流で、主に内服薬による治療だった。一八世紀 後半、西洋の医学書『ターヘル・アナトミア』の解剖図を見て、人体の構造に目覚めた医師たちは、東洋医学に西洋の実証主義を取り入れ、融合させて医療技術を向上させていった。