科学技術振興機構の研究開発戦略センター(CRDS)が開設され、ちょうど3年になる。時を同じくして、世界は21世紀のイノベーションを求め新しい競争に突入した。イノベーションに国の浮き沈みがかかっているからだ。センターには、日本の戦略拠点としての役割が注目されている。
5月、高校生の科学オリンピック「Intel ISEF(国際学生科学フェア)*」がアメリカ、インディアナポリスで開催された。世界47カ国から1482名の高校生が参加。日本からは、国内の科学コンテストで上位に入選した5プロジェクト6名が参加し、うち2名が受賞するという快挙を成し遂げた。その高校生たちの素顔に迫る。
がまんできない「かゆみ」をともなうアトピー性皮膚炎。赤くはれ、血がにじむ肌は、なんとも痛々しい。最近、この「かゆみ」を鎮めてくれる画期的な下着が開発され、注目を集めている。そこには、製品化への道のりを支える数々の出会いと、開発者たちの粘り強い努力があった。
6月30日、東京国際フォーラムの ホ ー ル B5は満席だった。その上、5 00名収容のホールに入りきれない大勢の人が、ロビーでモニターに見入っている。「シーズから新しい潮流へ、そしてイノベーションへ」と題されたERATO-25周年特別シンポジウムは、たいへんな盛況であった。
大発明や大発見は、偶然という幸運に巡り会ったときに成し遂げられることが多いようである。今回紹介する1927年のノーベル物理学賞受賞者ウィルソンも、この幸運に巡り会える才能を持った人だった。