脳卒中
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10 巻 , 1 号
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  • 片岡 敏
    1988 年 10 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    頸部内頸動脈狭窄症における頸動脈血流のDoPPIer spectrum analysisの診断的, 定量的有用性について血管写と比較検討した.対象は53例-77血管で血管写上正常群, 狭窄群に分け総頸動脈~内頸動脈の4ヵ所で血流のpeak systolic frequency (PSF), peak diastolicfrequency (PDF) をDoppler spectrum analyzerで測定し, PSRratio (ICA/CCA) : (内頸動脈のPSFと総頸動脈のPSFの比) を求めた.正常群の総頸動脈~内頸動脈のPSF, PDFは一定で, PSFの局在性の4.0KHz以上の増加やPSF-ratioが1.50以上の時は狭窄症を強く示唆する.狭窄症では狭窄度とPSF又はPSF-ratioとの間には正の相関があり, PSF又はPSF-ratioの値から80%狭窄までは狭窄度の推定は可能でこれらは頸動脈血流の定量的parameterとして有用と考えられた.診断の精度はPSF≧4.0KHzとした時の方が, PSFratio≧1.50の時よりも感受性, 特異性は高く, 両方の条件を満たすことで感受性, 特異性は向上した.
  • 紀田 康雄, 澤田 徹, 成冨 博章, 栗山 良紘, 山口 武典
    1988 年 10 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    血栓性内頸動脈閉塞症の100例の梗塞サイズ, 退院時の機能予後に与える急性期血糖の影響と, 基礎に存在する耐糖能異常による影響を各々検討した。
    発症後48時間以内の急性期入院例は47例あり入院時血糖と梗塞サイズとの関係を調べた.両者の間の相関係数はr=0.07で入院時血糖と梗塞サイズの間には有意な相関を認めなかった。一方, 対象のうち発症前又は慢性期の糖負荷試験で耐糖能正常例 (A群) は38例, 耐糖能異常例 (B群) は45例, 判定不能例は17例であった.A, B群の重症渡を比較すると梗塞サイズ, 退院時の機能予後ともB群はA群に比べ有意に悪かった (p<0.02).慢性期に測定したrCBFもB群ではA群に比べ有意に低く (p<0.02), 梗塞サイズとの間に有意な相関を認めた (p<0.001).
    血栓性内頸動脈閉塞症のうち耐糖能異常を有する例は耐糖能正常例に比べ有意に重症例が多く, その原因として急性期の高血糖よりも基礎に存在する耐糖能異常に基づく動脈硬化性病変の程度が関与している可能性が示唆された。
  • 川村 潤
    1988 年 10 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    D-Ala2-Met5-enkephlinamide (enkephalin) 静注による上頸交感神経節 (SCG) 電気刺激に対するネコ脳軟膜血管反応性の変化を検討した.ネコ脳軟膜血管口径は頭窓よりvideocamera-photoelectric systemを用いて連続的に観察記録した.SCG刺激による最大収縮率は大口径軟膜動脈 (平均口径113±11μm) でenkephalin投与前-9.1±1.3%から, enke-phalin投与後-3.4±0.9%, 小口径軟膜動脈 (56±5μm) では-19.7±4.7%から-7.8±2.1%となり, それぞれ収縮は有意に減弱した.以上より, enkephalinはSCG節後に作用しており, 末梢性に交感神経系を抑制していることが示唆された.
  • 高里 良男, 松島 善治, 成相 直, 稲葉 穰
    1988 年 10 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    間接的外頚-内頚動脈吻合術であるencephalo-duro-arterio-synangiosis (EDAS) を計49側施行したモヤモヤ病25症例において術後早期 (3週間以内) の臨床症状経過を分析した.25症例中12例と高率に術後早期症状改善を認めた.改善した症状は運動障害9例, 言語障害2例, 知能精神障害2例, 頭痛2例, 不随意運動1例, 嚥下障害1例であった.年齢, 性別, 脳波所見, ステロイド剤使用の有無の各要因はこの早期症状改善と相関を示さなかったがCT所見との対比では正常所見群に比して脳萎縮所見群で早期症状改善を高率に認めた.この術後早期症状改善の機序としては家兎を用いた実験結果において術後早期の創下脳表血管拡張がみられ, 硬膜と脳表間に出現する肉芽組織中の微細血管網が架橋をなす事実からcritial levelの脳血流で機能低下を来たしている脳に間接吻合術を行なうとdonor arteryからこの橋を経由して創傷治癒期である術後早期に脳血流量が増大される為と推察された.
  • 新野 直明, 吉田 亮一, 杉野 正一, 大友 英一
    1988 年 10 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    優位側前内側部視床梗塞により急性発症の痴呆を呈した症例を報告した.
    症例は82歳女性.右利き.左前内側部視床の梗塞により記銘力障害, 自発性低下, 失見当識, 失計算が突発した.失見当識, 失計算は, その後やや改善したが, 記銘力障害, 自発性低下, 性格変化などは, 半年以上経過しても依然として認められた.82歳という高齢も関与し, 優位側前内側部視床の限局性病変により痴呆を呈した1例と考えられた.
  • 岡田 知久, 渋谷 正人, 鈴木 善男, 高安 正和, 景山 直樹
    1988 年 10 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳虚血の動物実験モデルとして中大脳動脈 (MCA) 閉塞ラットは広く使用されているが, 最近閉塞の方法により梗塞にばらつきが生じる事実が報告されている.今回我々はMCA近位部を10-0ナイロン糸にて結紮してMCA閉塞モデルを作製し, 大脳皮質, 線条体外側部及び内側部の局所脳血流 (LCBF) の経時的変化を電気分解式組織血流計を用いて測定した.従来の報告によるとMCAの同部位を凝固閉塞あるいは小クリップによる閉塞後30分及び60分後の閉塞側大脳皮質及び線条体外側部のLCBFは対照群の約15~35%に低下していたが, 今回の測定では同部位でLCBFの値は約1時間後にはほぼ閉塞前値に回復していた.この相違は主にMCA閉塞の方法が異なる事に起因していると思われ, 今回の方法は閉塞部付近の穿通枝に与える影響が少なかったためと思われた.このモデルは一過性脳虚血の研究に有用であると思われた.
  • 河野 拓司, 小西 善史, 原 充弘, 小柏 元英, 竹内 一夫, Masatoshi Kaneko
    1988 年 10 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    我々は最近, 2家系5症例の家族性脳動脈瘤を経験した.第1の家系は, 67歳女性, 64歳女性の姉妹例であり, 第2の家系は, 63歳男性, 50歳女性, 35歳男性の兄, 妹, 妹の息子の3症例である.いずれもくも膜下出血にて発症し, 前記4症例は動脈瘤のneck-clippingを施行し, 現在社会復帰しているが, 35歳男性の1症例は重篤な脳血管攣縮のために死亡している.脳動脈瘤の家族内発生については, 現在までに70家系161例が報告されており, 発生部位は一般の脳動脈瘤と異なり, 中大脳動脈瘤が多く, 前交通動脈瘤が少ない.これについては統計学的にも有意差が認められる.また, 発症年齢に関しても一般脳動脈瘤に比べ低いといわれている.このような家族性脳動脈瘤に遭遇した場合, 同家系の無症状の同胞, 親, 子に対する動脈瘤の検索は, 現在までのところ慎重にならざるを得ないが, 特に遺伝的素因が強く示唆される家系においては, 積極的に推めるべきであろう.
  • 塚里 孝和
    1988 年 10 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血栓症患者の血管内皮細胞 (EC) の抗血栓活性を評価する一方法として, ヘパリン (60U/kg) を静注し, その前と5分後のβ-thromboglobulin (βTG) とplatelet factor4 (PF4) を測定した.PF4は血小板の凝集に伴い放出され, EC上のヘパリン様分子に結合する.同時にこのヘパリン様分子にはantithrombin IIIも結合しており, ECの抗血栓活性の一翼を担っている.ヘパリン静注5分後にPF4の一過性の上昇 (ΔPF4) がみられたが, このPF4はEC上のヘパリン様分子から流血中に遊離してくるものと考えられ, 従ってΔPF4が高いことはECの抗血栓活性が低いことを示唆するものと考えられた.各症例を, βTGの前値を縦軸に, ΔPF4を横軸に取りプロットすると4typeに分類しえたが, 正常者は86%がtype4 (正常型) にプロットされたのに対し, 慢性期の脳血栓症患者は41%がtype1, 2でECの抗血栓活性低下型を示した.また, 急性期より経過を追うと臨床症状の回復に伴いECの抗血栓活性の回復することが示唆された.
  • 山中 竜也, 佐藤 進
    1988 年 10 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    定位的血腫除去術を施行した68症例中3例に術中・術後の再出血を経験した.術中血圧の管理の不適切, CTscan上血腫辺縁不規則な症例, 超急性期の手術, ドレナージチューブからの吸引の際の無理な陰圧などが再出血の原因として考えられた.術前のCTscan, 血液生化学的検査, 必要あれば脳血管撮影を十分検討して手術に臨むべきである.
  • 入江 恵子, 吉岡 純二, 大本 堯史
    1988 年 10 巻 1 号 p. 60-68
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    クモ膜下出血後に発現する脳血管攣縮において, thromboxaneA2 (TxA2), prostacyclin (PGI2) を中心とするeicosanoidsの関与について検討するために, 成猫を用いて大槽内自家血注入法によりクモ膜下出血を作成し, 72時間後transclival法にて脳底動脈を露出し, さらに微量の血液髄液混合液を局所投与することにより脳血管攣縮モデルを作成した.混合液局所投与後, 血管径は著明に狭小化し, rCBFは時間とともに漸次減少した.混合液局所投与30分前よりTxA2拮抗剤, PGI2安定誘導体の各々を静脈内投与し, 血管径, rCBF, 血小板凝集能に与える影響を検討した.いずれの薬物投与群とも攣縮寛解作用は認められなかったが, TxA2拮抗剤, PGI2安定誘導体はrCBFの減少を阻止した.また, TxA2拮抗剤, PGI2安定誘導体を投与することにより血小板凝集能の抑制がみられ, 走査型電顕で攣縮血管内腔面への血小板の付着, 凝集がcontrol群に比べ軽い傾向がみられた.
  • 今岡 かおる, 小林 祥泰, 山口 修平, 山下 一也, 恒松 徳五郎
    1988 年 10 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    一過性脳虚血発作を頻発し, 興味ある家族歴を有する頭蓋内内頚動脈の線維筋性形成異常症 (FMD) の1例を報告した.
    症例は39歳女性.若年性高血圧の既往があり, 左半身の一過性のしびれ, 脱力発作が頻発したため入院.一般身体所見は血圧140/100以外正常, 神経学的所見正常, 頭部CT異常なし.脳血管造影において両側内頚動脈C5部に “string of beads” 様所見を呈し, FMDと診断した.
    本例の母親も若年性高血圧, 脳梗塞を呈し当科入院.右脳血管写において, 中大脳動脈三分岐部にOsbornらの分類でII型にあたる “tubular stenosis” 様の所見が認められたが, 病理組織の検索が行なわれていなかったため, FMDと診断するには至らなかった.
    頭頚動脈系のFMDの成因は未だ明らかでないが, 遺伝的因子の関与を示唆するものとして, 本例は貴重な症例と思われる.
  • 小田嶋 奈津, 石合 純夫, 沖山 亮一, 古川 哲雄, 塚越 廣
    1988 年 10 巻 1 号 p. 74-78
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血管障害による片麻痺患者35例について, リハビリ訓練前後で大腿と下腿のCTを比較した.健側および患側とも大腿では大腿四頭筋, 下腿では下腿屈筋群の面積差 (ΔS) (=後値-前値) が横断面の筋全体のΔSと最も強い相関を示し, 健側薄筋のみは筋全体の変化と相関を認めなかった。臨床的な改善群 (12例) は非改善群 (23例) に比較して, 両側とも筋面積の増大が大きく, さらに健側は患側に比較して大きな変化が認められた.以上より下肢筋萎縮の回復は両下肢で認められ, むしろ健側の変化が著明で, 特に改善群で明らかであり, 健側の変化は重要な所見であると考えられた.また片麻痺に伴う筋萎縮は大腿四頭筋と下腿屈筋群において回復しやすく, 薄筋は最も変化を受けにくかった.
  • 東保 肇, 唐澤 淳, 田澤 俊明, 山田 圭介, 小林 敬典
    1988 年 10 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    DSAを用いて大動脈での非選択的脳血管造影を, 対照群9例 (眩量, 痙攣, 脳動脈瘤手術後および大後頭孔髄膜腫手術後で脳血管写上異常を認めない), および閉塞群5例 (内頚あるいは中大脳動脈閉塞または狭窄) に施行し, DSAの特性を利用し, 左右中大脳動脈領域に対称にROIを設け, それらのtime-DSA number curveを作製後, ガンマ関数をcurve fittingさせmean transit time (MTT∫0t・C (t) dt/∫0C (t) dt) を算出した.
    対照群では左右差を認めず, 閉塞群では手術前患側のMTTは対側に比し有意に延長していたが, 浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術後, 患側MTTは有意に短縮し左右差を認めなくなった.以上より, 虚血性脳血管障害において手術前後の脳循環動態解析のうえで本法は有用と思われた.
  • 鎮目 研吾
    1988 年 10 巻 1 号 p. 85-93
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    発症後5時間以内の脳主幹動脈閉塞または狭窄症8例に対しウロキナーゼ (以下UK) を動脈内に投与し, 血管撮影, CT, 臨床症状, 血液所見につき検討を行なった.血管撮影上4例 (50%) に改善がみられ, 症状も4例が投与後早期に著明に改善した.徐々に発症することの多い血栓症は症状も中等症以下が多く容易に改善し, 塞栓症は重症例が多く効果が得られない傾向があった.塞栓症の1例は再開通に伴い出血性梗塞に移行したが, 血腫の形成には至らず, 症状も悪化することなく経過した.UK48万単位を50分間で投与すると, fibrinogenは前値の34%, α2anti-plasminは21%にまで低下した.UKは数十万 (24~96万) 単位を数十分 (1時間以内) で投与し, 追加投与や抗凝固剤の併用等は原則として行なうべきでないと考えられる.本療法は症例を厳密に選択すれば比較的安全で有効な治療法と考えられる.
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