母指球筋の随意収縮中に, 正中神経に電気刺激を加えると, 母指球筋表面筋電図上に直接反応 (M波), 脊髄反射 (H-reflex) に続いて長潜時のlong-loop reflexが出現する.この反応はtranscortical reflexと考えられており, V2反応, C-response等と呼ばれているが, 反射経路はまだ不明である.そこで, 病巣の限局した脳血管障害患者よりV2反応と体性感覚誘発電位 (SEPs) を同時に記録し, 両者の出現様式と病巣部位の関係よりV2反応の経路につき検討した.
視床障害および橋内側毛帯障害では, いずれも患側刺激においてV2反応は出現せず, SEPも明らかに異常であった.また, 内包後脚障害では, V2反応は障害されたが, SEPでは, N9, P/N13, N19の各頂点成分が正常潜時で誘発された.
以上より, V2反応の求心路には後索-内側毛帯-視床路, 遠心路には錐体路が関与している可能性が示唆された.
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