脳卒中
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10 巻 , 2 号
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  • 東海 林幹夫, 針谷 康夫, 亙林 毅, 平井 俊策, 玉田 潤平
    1988 年 10 巻 2 号 p. 97-105
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞発症後早期から伝導失語を呈した2症例を検討した.失語症状として良好な聴覚的および視覚的理解に反して復唱障害を主に表出面総てに障害がみられた.X線CTでは症例1で左縁上回皮質下に, 症例2で左縁上回皮質・皮質下病変を認めた.PETによる検討では, rCBFは左縁上回皮質で平均36%, 白質で平均50%の低下がみられた。rCMRO2は左縁上回皮質で平均37%, 白質で平均45%低下していた.以上の結果から2症例における障害は左縁上回の白質ばかりでなく皮質にも及んでいるものと考えられた.伝導失語の責任病巣には白質病変ばかりでなく, 皮質病変にも注目する必要がある.
  • 小林 祥泰, 山口 修平, 小出 博巳, 木谷 光博, 岡田 和悟
    1988 年 10 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    我々が以前より脳循環を追跡調査している健常老人66名 (男31名, 女35名, 平均75.6歳) を対象として133Xe吸入法による脳血流量, 知能, 心理的因子と毛髪中のマグネシウム, カルシウムおよび関連ミネラルの関係について検討した.毛髪中のミネラルの分析はICP法でおこなった.結果 : 1) 年齢, 血圧と毛髪中マグネシウム, および関連ミネラルとの間には, 相関は認めなかった.2) 全脳平均血流量と毛髪中マグネシウム, カルシウムは各々r=0.428, r=0.35と有意の相関を示した.また燐は負相関を示した.3) 言語性, 動作性知能およびSDSによるうつ状態度はこれら毛髪中ミネラルと相関を示さなかった.4) 毛髪中マグネシウム, カルシウムは男性で女性に比し有意に低値であった.またナトリウム, カリウムについても同様であった.5) 脳血流量は男性で有意に低値であったが, 知能については性差を認めなかった.
  • 金子 尚二, 澤田 徹, 栗山 良紘, 新美 次男, 成冨 博章
    1988 年 10 巻 2 号 p. 111-117
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳循環動態の面より降圧限界を知る目的で, 高血圧脳出血急性期例 (13例) を対象として頭部挙上およびtrimetaphan camsilate微量注入により段階的に降圧し, 以下の検討を行った.血圧は観血的かつ連続的に測定し, 血圧降下に伴う脳血流変化率は脳動静脈血酸素含量較差より求めた.結果 : 1) 脳出血急性期における自動調節能血圧下限値 (以下 : 下限値) は, 発症前に比しより上方へ偏位している可能性が示唆された.2) trimetaphan camsilateによる降圧では, 血圧下限値が急性期平均動脈圧の約80%に位置していた.3) 脳出血急性期の血圧下限値は, 発症前平均動脈血圧値にほぼ一致していた.4) 再検可能であった2症例中1例は急性期に比し下限値の左方偏位が, また, 急性期にdysautoregluation patternを示した他1例では, 慢性期にautoregulatory rangeが認められた.以上より, 脳出血急性期の降圧は発症後平均動脈血圧値の20%以内が安全であり, 発症前平均動脈血圧値以下の降圧は危険であると考えられた.
  • 大野 喜久郎, 鈴木 龍太, 門間 誠仁, 松島 善治, 稲葉 穰
    1988 年 10 巻 2 号 p. 118-123
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧性脳出血症例の血腫完成までの時間や血腫の増大あるいは止血の過程に関してはあまり知られておらず, 発症後数時間以内の急性期症例における小血腫がどのような運命を辿るかなどをその時点で判定することは難しい.われわれは, 自験220症例に基づき血腫完成時期を検討し, また統計学的に考察した.年間発症率は人口10万対42であり, 月別発症率では春と晩秋に多かった.脳梗塞や脳出血の既往をもつ人はそうでない人に比べ脳出血発生のリスクが高いと考えられた.血腫増大の有無を経時的に検索した74例では, 不変63例, 軽度増大7例, 著明な増大は4例のみであり, 後者の11増大例中9例は発症後1時間以内に検索し得た症例で, 他の2例も2時間以内の症例であった.また26劇症型重症例中19例では1時間以内に検索され, 巨大な血腫が見られた.この結果から, 血腫完成は2時間以内, 大多数では1時間以内に起こると推定された.
  • 江口 清, 江藤 文夫, 大川 弥生, 上田 敏
    1988 年 10 巻 2 号 p. 124-126
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    40歳未満の脳血管障害患者80例について, 頭蓋内出血と脳梗塞に分けて社会復帰の可否を検討したところ, 前者が有意に不良であったが, 両群の背景に差を認めたことから, 発症年齢, 性別, 麻痺の重症度, 病前の社会的状態等12要因との関連を多変量解析により検討した.その結果, 麻痺側, 上肢麻痺の程度, 下肢麻痺の程度, 病前状態の順に偏相関係数が有意に大であり, 出血・梗塞の別, 発症年齢, 性別, 高次脳機能障害の合併等の関与は小であった.
    これらの要因に基づく重相関係数は, 0.669であった.これらの要因のみでは社会復帰の可否を必ずしも十分に説明し得ず, 非医学的因子を含む他の要因の関与についても検討が必要と考えられた.
  • 山中 龍也, 佐藤 進
    1988 年 10 巻 2 号 p. 127-134
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳動静脈奇形3例に, 術中feeding arteryよりalkyl-α-cyanoacrylateを注入して, 剔出をした.この方法によると, nidusの大部分は固化され, これらは剪刀で切離するだけで, 大した出血もなく, 容易に全剔することができた.本法は注入されたcyanoacrylateが周囲の動脈に逆流したり, 静脈側へ抜けたりする危険性もあると報告されており, 注入量, 注入速度などはシャント率の測定を行なうなどして, 今後症例を重ねながら検討する必要がある.本法は脳動静脈奇形の治療, 特に全剔出に際し, 症例によっては有用な補助的手段と考えられる.
  • 高梨 芳彰, 竹上 徹, 本永 貴郎, 井上 康則, 原島 裕
    1988 年 10 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    母指球筋の随意収縮中に, 正中神経に電気刺激を加えると, 母指球筋表面筋電図上に直接反応 (M波), 脊髄反射 (H-reflex) に続いて長潜時のlong-loop reflexが出現する.この反応はtranscortical reflexと考えられており, V2反応, C-response等と呼ばれているが, 反射経路はまだ不明である.そこで, 病巣の限局した脳血管障害患者よりV2反応と体性感覚誘発電位 (SEPs) を同時に記録し, 両者の出現様式と病巣部位の関係よりV2反応の経路につき検討した.
    視床障害および橋内側毛帯障害では, いずれも患側刺激においてV2反応は出現せず, SEPも明らかに異常であった.また, 内包後脚障害では, V2反応は障害されたが, SEPでは, N9, P/N13, N19の各頂点成分が正常潜時で誘発された.
    以上より, V2反応の求心路には後索-内側毛帯-視床路, 遠心路には錐体路が関与している可能性が示唆された.
  • 西ケ谷 和之, 吉田 洋二, 貴家 基, 大根田 玄寿
    1988 年 10 巻 2 号 p. 144-154
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    血流再開による虚血性脳浮腫の増悪機序を解明するために, 血流再開可能なラット脳梗塞モデルを用い, 基底核部梗塞巣の一定部位より標本を採取し, これに含まれる血管病変を病理形態学的に観察した.脳内小動脈における内皮細胞の壊死, 剥離は, 永久閉塞群では閉塞6時間で出現し, 血流再開群では閉塞2時間後の血流再開通で早くも出現した.これに対し, 小静脈壁には内皮細胞の剥離はほとんどみられなかった.内皮細胞の剥離が生じていない小動脈壁にも中膜筋細胞の虚血性変化が認められ, 中膜筋細胞は内皮細胞より虚血に対して脆弱であった.血流の再開による虚血巣内の小動脈壁の障害の程度は, 閉塞時間が長い程顕著となり, 少なくとも2時間以上の閉塞後の血流再開通で小動脈病変は著しく増悪し, 血管透過性が非常に亢進していた.従って, 血流再開による虚血性脳浮腫の増悪の原因として梗塞巣内小動脈病変が重要な役割を演じていると考えられた.
  • 入江 恵子
    1988 年 10 巻 2 号 p. 155-163
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    クモ膜下出血後に発現する脳血管攣縮において, 5-lipoxygenase産物であるleukotriene (LT) の関与について検討した.成猫を用いて大槽内自家血注入法によりクモ膜下出血を作成し, 72時間後transclival approachにより脳底動脈を露出し, thromboxane A2 (TxA2) 安定誘導体であるSTA2 (10-8, 10-7, 10-6M), LTC4, LTD4 (10-6, 10-5, 10-4M) の各々を局所投与したところ, 濃度依存性に脳底動脈の狭小化が認められた.さらに, 自家血注入より72時間後に露出した脳底動脈表面に微量の3日間孵置した血液髄液混合液を局所投与することにより脳血管攣縮モデルを作成した.混合液局所投与10分後に血管径は著明に狭小化し以後2時間にわたって持続したが, rCBFは時間とともに漸次減少した.混合液局所投与30分前より5-lipoxygenase阻害剤, LT拮抗剤の各々を静脈内投与し, 血管径, rCBF, 血小板凝集能に与える影響を検討した.いずれの薬剤投与群とも攣縮寛解作用は認められなかったが, 5-lipoxygenase阻害剤, LT拮抗剤はrCBFの減少を阻止し, むしろ時間と共にrCBFを軽度増加させる傾向が認められた.また, 各薬剤投与前後において血小板凝集能の変化は認められなかった.以上より, 脳主幹動脈の脳血管攣縮が発生すると, 時間と共に細動脈の攣縮状態が進行するが, これには細動脈壁におけるLTの増加が関与するものと考察した.
  • 渡辺 一良, 中澤 拓也, 斉藤 晃, 松田 昌之, 半田 譲二
    1988 年 10 巻 2 号 p. 164-168
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    破裂脳動脈瘤に伴う硝子体出血の自験例5例を報告し, 加えて文献上の75例につき, 発生頻度, 動脈瘤部位別頻度, SAHの重症度, CT所見, 経過を分析し, 治療成績及び視力予後等の観点から検討した.自験例5例は, いずれも重篤なSAHに合併して認められ, 発症には急激かつ高度な頭蓋内圧亢進の関与が示唆された.計80例を分析すると, 総発生頻度は2.5%, 動脈瘤の部位別頻度では, 自然発生率を考慮してもなお, 前交通動脈瘤に合併する率が有意に高く, 逆に遠位前大脳動脈瘤や中大脳動脈瘤では低い傾向のあることが明らかとなった.重篤なSAHに合併することが多いため, 神経学的な機能予後は依然として不良な例が多いが, 硝子体摘出術を含め, 適切な治療を行なえば, 視力の回復は概ね良好であった.動脈瘤の部位別発生頻度との関連から, 硝子体出血の発生機序についても考察した.
  • 星野 晴彦, 高木 誠, 駒ケ嶺 正純, 高木 康行, 海老原 進一郎
    1988 年 10 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    内頚動脈閉塞症における頚部Duplex検査 (高分解能B-mode法+pulsed Doppler法) の有用性につき検討した.内頚動脈起始部閉塞は, 12例中7例にB-mode法で血栓による閉塞が描出され, 12例全例で内頚動脈のDoppler血流波形が認められなかった.siphon部閉塞は, 5例全例でB-mode法では異常なく, 内頚動脈のDoppler血流波形が拡張期には認められず, 収縮期の血流速度が低下するという特徴的な所見を示した.中大脳動脈M1部閉塞4例中3例でも同様の所見であり, 内頚動脈系の上位閉塞に特徴的所見と考えられた.以上より, 頚部Duplex検査は, 頭蓋内を含めた内頚動脈閉塞症の診断を無侵襲に行うことのできる極めて有効な手段であると考えられた.
  • 青木 信平, 五十嵐 久佳, 坂井 文彦, 神田 直, 田崎 義昭
    1988 年 10 巻 2 号 p. 175-179
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳卒中急性期の患者を対象に血清K値の変動を観察した.対象は発症後24時間以内に来院した脳卒中患者161例 (脳出血96例, 脳梗塞65例) である.脳出血患者の平均血清K値3.63±0.05mEq/l (SE) は脳梗塞の平均値4.02±0.05mEq/lよりも有意に低値を示した (p<0.01).脳出血患者を意識レベルによりunresponsive群とresponsive群とに分け検討すると, 血清K値はそれぞれ3.43±0.76mEq/lと3.79mEq/lであり, unresponsive群が有意に低かった (p<0.01).また, 死亡群の平均血清K値3.51±0.06mEq/lは生存群の平均値3.72±0.06mEq/lよりも低く (p<0.05), 重症例では血清K値が低下することが示された.血漿エピネフリン濃度および血糖値と血清K値の間には有意な負の相関がみられ, 低K血症の発現は, ストレスに起因したKの細胞内への流入の可能性が考えられた.
  • 国塩 勝三, 山本 良裕, 角南 典生, 山本 祐司
    1988 年 10 巻 2 号 p. 180-185
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    最近我々は左側のpersistent primitive hypoglossal artery (PHA) に多発性脳動脈瘤を合併した48歳男性例を経験した.PHAに脳動脈瘤を合併した症例は本例を含め文献上21例の報告があり, このうち血管撮影所見の記載が明らかな20例, 25個の脳動脈瘤について分析・検討した。その結果, PHAに合併した脳動脈瘤はPHA自身およびその分岐部に8個 (32.0%) で最も多く, 椎骨脳底動脈系には4個 (16.0%) とやや高い傾向がみられた.以上より, PHAに合併した脳動脈瘤の発生機序として, 胎生期における脳血管の発生異常に起因する血管の先天的脆弱性の関与およびPHA, 椎骨脳底動脈系におけるhemodynamicstressの増大が主に考えられた.
  • 網谷 浩代子, 新名主 宏一, 伊地知 信二, 太良 光利, 新名 清成
    1988 年 10 巻 2 号 p. 186-189
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は31歳男性.後頭部鈍痛が数日間持続した後, 次第に頭痛が増強し, 軽度意識障害も出現したため当院受診した.初診時, 神経学的に特記すべき所見なく, 意識も正常化していた.腰椎穿刺にて初圧400mmH2O, 終圧170mmH2Oと頭蓋内圧亢進を呈し, 頭部CTでは軽度脳浮腫の所見を認めた.grycerol使用にて次第に頭痛は消失し, 脳脊髄圧も次第に正常化した.入院直後の経静脈digital subtraction angiography (以下DSA) にて左横静脈洞の陰影欠損を認めたが, 3ヵ月後には陰影欠損は消失し, 再開通の所見を認めた.他に頭蓋内圧亢進を示すような基礎疾患はなく, 本症例の頭蓋内圧亢進は左横静脈洞血栓がその原因となったことが強く推定された.横静脈洞血栓によるbenign intracranial hypertensionの報告は意外に少なく, また経静脈DSAは従来指摘されている利点に加え, 静脈洞病変の画像診断において非常に有用であると思われた.
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