脳卒中
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10 巻 , 3 号
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  • 内山 伸治, 森 清男
    1988 年 10 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    臨床的には一過性脳虚血発作の既往と軽度のparkinsosismの徴候を呈する以外は無症候性であり, CT上は散発性の小梗塞のみを認める76歳の男性で, 右前額にfrontal artery sign (FAS) および external carotid artery sign を認めた.右内頚動脈 (ICA) 閉塞を疑診し施行した血管写により右ICA基部の完全閉塞と眼動脈を介する側副血行を確認した.
    FASはbedsideにおける簡単な診断手技であるにもかかわらず, 本邦における記載は未だみられない.臨床症状が極めて軽微なICA閉塞症の1例における本徴候を報告し, 本徴候が診断上大きな意義を有することを指摘した.
  • 大脇 潔, 後藤 信幸
    1988 年 10 巻 3 号 p. 198-202
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    前大脳動脈A1部に窓形成を認め, その基部に発生した脳動脈瘤の治療経験につき考察を加え報告する.
    症例は52歳, 女性.突然の頭痛・嘔吐で発症し, くも膜下出血と診断され2日目に来院した.前大脳動脈瘤と診断しクリッピングを行ったが, 動脈瘤は脳血管写でははっきりしなかったA1部の窓形成基部の外側に位置していた.
    窓形成部に発生した脳動脈瘤は極めて稀で調べ得た限りでは8例にすぎなかった.その特徴として動脈瘤柄部は全て窓基部の内側に位置しており, 本症例とは異なっていた.
    またspasmの発生率が高く (50%), 注意を要し, 更にこのことは窓形成血管とspasmとの関連性があることを示唆している.
  • 権藤 学司, 藤津 和彦, 持松 泰彦, 安部 裕之, 桑原 武夫
    1988 年 10 巻 3 号 p. 203-207
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Winiwarter-Buerger病に脳出血を発症した症例を経験した.症例は52歳の女性で, 指趾先端の壊疽のため13年前にWiniwarter-Buerger病と診断され, 3年前から抗血小板療法 (ticlopidine 300mg/day) を受けていた.某日, 突然の痙攣と意識障害のため当科に入院し, CT scanにて, 左前頭葉弁蓋部皮質下に胡桃大の脳出血を, シルビウス裂に, くも膜下出血を認めた.脳血管撮影では, operculofrontal arteryの狭小化と, posterior internal frontal arteryの先細りを認めた.内頸動脈は軽度伸展していたが, 内壁に不整はなかった.この脳血管撮影とWiniwarter-Buerger病の既往歴からcerebral thromboangiitis obliteransと診断した.cerebral thromboangiitis obliterans は脳虚血性病変を呈することが多く, 脳出血で発症することは極めて希である.この症例では, 血管の脆弱性にticlopidineの抗血小板作用が相剰的に働いたものと考えた.
  • 大島 光子, 佐渡島 省三, 梁井 俊郎, 八木 博司, 藤島 正敏
    1988 年 10 巻 3 号 p. 208-214
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    急性期脳梗塞患者44例で, 臨床経過及び脳虚血を反映するといわれる髄液乳酸濃度を経時的に測定し, 高気圧酸素療法 (OHP) の効果を検討した.OHP施行群32例では, OHP10回後 (平均19病日) にすでに上昇していた髄液乳酸値 (2.01±0.58mmol/L) は正常範囲まで有意に減少 (1.7±0±0.26) した.一方非施行群の12例では経時的変化はみられず平均32病日においても異常高値 (1.94±0.06) を示した.重症度別にみると軽症例及び重症例では.OHP施行群.非施行群との間に臨床経過や髄液乳酸値に有意差はなかった.しかし中等症例では, OHPにより早期から臨床症状は改善し, 髄液乳酸値も1.95±0.23mmol/L (1回目) から1.58±0.21 (2回目) と有意に低下した.中等症の非施行群では2.03±0mmol/L (1回目), 1.96±0.07 (3回目) と3回目測定 (平均32病日) でも高値を示した.以上より, 中等症の急性期患者におけるOHP療法の有効性が示唆された.
  • 寺井 敏, 朴 永大, 山口 武典, 澤田 徹, 矢坂 正弘
    1988 年 10 巻 3 号 p. 215-220
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    発症48時間以内の急性期脳塞栓症連続36例において, 入院時から経時的に心エコー図検査と血液凝固学的検査を施行した.
    36例中3例に左房内血栓の新たな発生あるいは塞栓症の再発が見られ (再発群) いずれも発症後2週間以内に認められた.
    再発群では左室容積と左室駆出率には明らかな異常はなかったが, 左房径の拡大が認められた.さらに経過中に左房径の縮小やヘマトクリット値の上昇が見られ, これらの症例では血液濃縮傾向へ傾いていたものと考えられた.
    血液凝固学的検査値の推移では, 血漿フィブリノーゲン値の低下と部分トロンボプラスチン時間の短縮傾向が認められた.これは再発群における凝固亢進状態と心腔内での血栓形成を反映していたと考えられた.
  • 山口 修平, 小林 祥泰, 岡田 和悟, 有元 佐多雄, 山下 一也
    1988 年 10 巻 3 号 p. 221-226
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳卒中後にうつ状態を呈した患者21例を対象に, うつ状態の経時的変動につき検討した.平均224日の評価期間中に, 10例が改善, 7例が不変, 4例が悪化を示したが, 改善度と性別, 年齢, 発症後期間, 平均血圧, 知的機能等の間に関連は認められなかった.皮質症状やパーキンソン症候群を認める例での改善は不良であり, ADLとうつ状態の改善は必ずしも平行しなかった.一方, 平均脳血流量の変化とZungのself-rating depression scaleの変化の間に有意の負の相関関係 (r=-0.77, p<0.001) を認め, さらに両側側頭葉前半部の血流変化と強い負相関を認めた.以上より, 脳卒中後のうつ状態が局所脳機能障害と直接関連している可能性が考えられた.
  • 山田 和雄, 早川 徹, 中尾 和民, 片岡 和夫, 最上 平太郎
    1988 年 10 巻 3 号 p. 227-231
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    頸動脈内膜剥離術後, 再狭窄をきたした症例の免疫組織化学的所見を報告する.症例は59歳女性で, 初回内膜剥離術後2年6ヵ月して再狭窄をきたし, 病変の前後で静脈バイパスを行い狭窄部を摘出した.摘出標本は白色で光沢のある内皮面を示し, 内皮細胞の欠損や内膜の潰瘍などはみられなかった。顕微鏡的には紡錘状細胞の増殖が中膜から内膜に向かって認められ, 免疫組織化学的染色で多くの平滑筋特異性actinを含むことから, これら紡錘状細胞は中膜平滑筋細胞の遊走と増殖によると判断された.これらの知見は動脈硬化の成因としての平滑筋細胞の関与を支持するものと思われる.
  • 奥 憲一
    1988 年 10 巻 3 号 p. 232-238
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血管障害に合併する高Na血症の臨床的意義と発生機序を明らかにする目的で, 急性期内頸動脈閉塞症38例を対象に血清Na値の変化を中心に2W以内死亡例 (A群) と生存例 (B群) を比較検討した.結果は, 経過中血清Naが150mEq/ml以上となった例はA群16/18 (89%) に対し, B群1/20 (5%) で有意にA群に多かった (P<0.01).一日平均Na投与量, 輸液量, BUN, Ht, クレアチニンはA, B群間に差を認めなかった.A群18例中高Na血症を認めた16例においては, 尿K/Na比は高Na出現2日前より増加し, Na output/intake比は高Na出現2日前より1以下になり, Naの再吸収亢進が認められた.しかし, aldosteroneなどの既知のホルモンの定量では有意な変化を認めなかった.CT変化の検討では第III脳室前域のLDAがA群は全例に, B群は20例中4例に認められた.
    以上より, 急性期内頸動脈閉塞症に合併する中枢性高Na血症は生命予後不良を意味し, その発現機序には第III脳室前域の障害並びにaldosterone様物質の関与によるNa再吸収亢進が示唆された.
  • 川村 潤, 後藤 文男, 篠原 保, 高嶋 修太郎, 寺山 靖夫
    1988 年 10 巻 3 号 p. 239-245
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    脳梗塞亜急性期におけるnifedipine舌下投与にもとづく血圧低下の脳血流量に及ぼす影響を検討した.対象は亜急性期の脳梗塞患者10名で, 局所脳血流量は35%Xe+65%O2の混合ガスを使用しin vivo autoradiograph法によるXe-enhanced CT法を用い, 大脳基底核を通るスライスにて測定した.安静時の脳血流量を測定した後, nifedipine 10mgを舌下投与し, 30分後に再び脳血流量測定を行った.Nifedipine舌下投与後, 平均動脈血圧は98.5±15.4mmHgから91.8±12.6mmHgに低下した (p<0.01) が, 動脈血PaCO2に有意な変化は認められなかった.Nifedipineの血中濃度は23.1±10.1ng/mlであった.大脳基底核を通るスライスでの平均脳血流量はnifedipine投与前58.1±12.5ml/100g brain/min (mean±SD) から, 投与後56.9±10.2へと変化したが, 有意差はなかった.局所脳血流量は脳内各部位で有意な変化は認めなかったが, 血流分布は改善した症例が多かった.
  • 杉山 尚武
    1988 年 10 巻 3 号 p. 246-252
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳動脈瘤の破裂後にしばしばみられる脳血管攣縮は重大な合併症であるが, その病態については未だよくわかっていない.このために多くのクモ膜下出血のモデルが考案されている.その中でも広く用いられている大槽内自家血2回注入法により作成したクモ膜下出血の, 脳に及ぼす影響について局所脳血流量と体性感覚誘発電位を用いて検討した.結果, 大槽内への血液の注入後, 脳血管撮影では著しい脳血管の収縮を認めたものの, 脳血流はコントロール値から20~30%の減少と軽度であった.またクモ膜下出血後の脳虚血の指標として報告されている中枢伝導時間も有意の延長を示さなかった.従って, 大槽内自家血注入によっては, 脳血管の収縮は認められたが局所脳血流量の減少は軽度であり, 体性感覚誘発電位及び中枢伝導時間で示される脳の電気的活動は障害されなかった.
  • 星野 晴彦, 高木 誠, 高木 康行, 海老原 進一郎
    1988 年 10 巻 3 号 p. 253-258
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Duplex超音波検査により診断され, percutaneous transluminal angioplasty (PTA) にて治療されたsubclavian steal syndrome (SSS) の症例を報告した.本症例は, 初回PTA施行後, 左鎖骨下動脈近位部再狭窄によりSSSを再発した.その間の左椎骨動脈の血流が減少し, さらに逆流してSSSとなる様子をDuplex超音波検査により継時的に観察することができた.そして, その所見をもとにPTAを再施行してSSSを治療することができた.
    SSSの診断において, Duplex超音波検査は全く無侵襲な検査法であり, 100%診断が可能で, 繰り返し施行でき, 極めて有用な方法であると考えられた.また, 鎖骨下動脈狭窄病変によるSSSにおいては, PTAによる治療が適応であると考えられた.
  • 中原 一郎, 菊池 晴彦, 後藤 泰伸, 滝 和郎, 米川 泰弘
    1988 年 10 巻 3 号 p. 259-269
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    超電導MRIによるモヤモヤ病の血管病変の描出能について検討した.まずMRI所見と脳血管撮影所見との比較では, 主幹動脈の狭窄所見について, MRIにおける狭窄所見の有無と脳血管撮影における血管径の間に高い相関が認められた.また基底核部のモヤモヤ血管像の描出についても両者の間に相関がみられ, MRIが本疾患の血管病変の程度を十分に評価し得ると思われた.次に高速スキャン法では, 血流速度の速い脳主幹動脈が高信号となり “血管強調画像” が得られるが, 本疾患ではWillis動脈輪の各動脈の狭窄所見が, 通常の撮像法に比し, より明瞭に描出された.またモヤモヤ血管の描出については, 特に脳底槽内において, モヤモヤ血管と思われる所見が明瞭に認められた.以上より超電導MRIによって本疾患の血管病変を無侵襲に評価することができ, 本疾患のscreeningやfollow-upに有用であることが確認された.
  • 岡田 達也, 松田 昌之
    1988 年 10 巻 3 号 p. 270-274
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    一般に後交通動脈瘤といえば, ほとんどが「いわゆる」内頸動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤を指しており, 後交通動脈自体から発生した「真の」動脈瘤は稀である.我々は最近, くも膜下出血によって発症した「真の」後交通動脈瘤の1症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する.
    症例は40歳の女性で, 激しい頭痛と嘔吐を主訴として某病院に搬入され, CTでくも膜下出血と診断された.当科での発作の翌日に行った右内頸動脈撮影で後交通動脈自体から発生している嚢状動脈瘤を認め, 同日, 右前頭側頭開頭によりネッククリッピングを行った.動脈瘤は脳血管撮影で認められた如く, 内頸動脈-後交通動脈分岐部より約3mm遠位で後交通動脈本幹に頸部を持っており, その発生部位に穿通枝は認められなかった.ネッククリッピングは容易であり, 術後も障害を残さずに発症から29日目に退院となった.
  • 野倉 一也, 蒲沢 秀洋, 松原 充隆, 山本 正彦, 永井 肇
    1988 年 10 巻 3 号 p. 275-281
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    多発梗塞痴呆 (MID) 29例, アルツハイマー型老年痴呆 (SDAT) 7例, 正常圧水頭症 (NPH) 8例, 脊髄小脳変性症 (SCD) 3例のCTシステルノグラフィー (CTC) を分析した.CT上4ヵ所を経時的に肉眼的に半定量し各群間で検定を行った.MIDと, 正常パターンを示すSCDの比較ではMIDで脳室に残存する傾向が強く髄液の循環も遅かった.MIDとSDATでは差が見られない.MIDとNPHではNPHで脳室逆流が強いが髄液の脳表からの消失はむしろMIDが遅い.MIDのなかでは70歳以上で有意に髄液の循環障害が強い.ADL (15点満点) では6点未満が6点以上より, 長谷川式では21点未満が21点以上より障害が強い.MID群SDAT群では24時間に於ける軽度脳室逆流, 24, 48時間に於ける脳表部残存というCTCのパターンが典型的と考えられるが, これは従来のCTC分類には無く, 高齢, 痴呆化傾向に密接な関係があると考えた.
  • 吉田 富士雄, 佐渡島 省三, 藤井 健一郎, 飯野 耕三, 藤島 正敏
    1988 年 10 巻 3 号 p. 282-288
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    局所脳血流および, CT上の脳萎縮度, 病変の局在を41人の脳卒中患者について調べ, 痴呆の有無との関連を検討した.脳血流測定は133Xe吸入法を用い, 患側, 健側の局所および半球平均血流量を算出した.CT上で両側脳室前角間の最大幅と, その線上での頭蓋外径との比, frontal horn index (FHI) と, 側脳室体部レベルの両側側脳室の最少幅と, その線上での頭蓋外径との比, cella media index (CMI) を求め, 脳萎縮度の指標とした.脳血流は患側, 健側いずれの大脳半球においても痴呆群で高度の低下を認めた.CMIは痴呆群で高値を示したが, FHIは両群で差がみられなかった.中等度以上の痴呆 (長谷川式スケールで10点以下) では脳萎縮度より脳血流が痴呆の程度と密接な関連を示した.しかし痴呆群に特徴的な血流低下部位, CT上の局在病変は認められなかった.今回の検討では, 脳卒中後の痴呆には, 両側大脳半球の広範な脳血流低下が最も関連を有すると考えられた.
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