破裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血の発生率, 入院時grade, 手術率, 予後などと調査地域の大きさとの関連を調べる目的で, 人口79.0万人の島根県, 7.9万人の出雲市, および両者の中間の50.4万人の地域で検討した.5年間のクモ膜下出血患者数は, 島根県548例, 中間地域443例, 出雲市83例で, 人口10万人に対する年間の発生率は, それぞれ13.9人, 17.6人, 21.0人, 手術率は8.9人, 11.1人, 12.9人となった.3地域の1年後のADLは, good recoveryが各々231例43%, 179例41%, 32例39%, 逆に死亡は189例35%, 168例38%, 38例46%となった.3地域間では, 脳動脈瘤の破裂部位, 手術成績に差は無かったが, 入院時grade, 非手術例の1年後のADLは出雲市, 中間地域, 島根県の順に不良であった.クモ膜下出血の発生率, 手術率は, 調査地域が県単位より市単位のように小さければ小さいほど高率となり, 入院時grade, ADLは不良となる可能性がある.
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