脳卒中
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11 巻 , 3 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 永井 肇, 間部 英雄
    1989 年 11 巻 3 号 p. 189-215
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    Many institutes and clinics have been involved these 20-30 years in trying to clarify cerebral vasospasm after SAH. However neither cause nor therapy have yet been clearly identified. We reviewed the updated progress of research for origin of vasospasm updated. It consists of mechanical stimulation, vasoactive substances in the CSF, denervation supersensitivity of the cerebral vessels, structural changes of the vessel wall and inflammation. We also reviewed progress of the therapy for vasospasm. Therapeutic method was divided into two groups, those that use drugs to resolve vasospasm and those that don't. The former group is made up of numerous number ofvasodilating drugs, free radical scavengers, thromboxane A2 synthesis blockers and cerebral protection agents. The latter group uses clot removal during operation, hypertensive and hypervolemic therapy and so on. Every time Iencounter cases involved by symptomatic vasospasm after SAH, I feel the limitation of our therapeutic ability. It isto be hoped that we neurosurgeons can overcome cerebral vasospasm in the not too distant future.
  • 板倉 徹, 横手 英義, 中北 和夫, 奥野 孝, 駒井 則彦
    1989 年 11 巻 3 号 p. 216-222
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    脳血管に分布するペプタイド含有神経の形態と機能を免疫組織化学法と水素クリアランスによる局所脳血流 (r-CBF) の測定によって検討した.脳動脈にはvasoactive intestinalpolypeptide (VIP),. substance P, neuropeptide Y (NPY), calcitonin gene-related peptide (CGRP) 含有線維が豊富に存在する. VIP含有線維はこれらの線維の中でも最も高密度に存在し, その走行様式は動脈壁筋細胞と同じ輪状を示す.次に豊富なのはNPY線維とCGRP線維で主に輪状走行を示す.最も密度が低いのはsubstance P線維で, 網状の走行様式を示す.さらに従来全く報告されていないvasopressin含有線維も密度は低いが縦走ないし輪状の走行を示す.脳静脈ではsubstance P線維が最も豊富で, ここでも網状走行を呈する.他のペプタイド含有線維は静脈では疎な分布を示す.脳実質内小血管にもこれらペプタイド含有線維は存在し, 特にVIP, NPY線維は小血管周囲に終末していた.さらにVIP, NPYの脳実質内注入によってr-CBFはコントロールに比し, 血流の増加を示し, その作用は長く持続した.
  • 黒木 副武
    1989 年 11 巻 3 号 p. 223-229
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    中大脳動脈系慢性期脳梗塞患者を対象として平均脳循環時間 (t, ta, tv) を1測定し, 血液粘度の指標であるHtと脳血流量 (rCBF), 平均血圧との関係を検討した.tは頭蓋平均循環時間でありrCBFと負相関を示し, 脳血流量減少によりtは延長し, 脳循環動態をあらわす1指標と考えられた.taは心血管系の影響が大きいパラメーターと考えられ, 平均血圧と相関を認めたが, 血液粘度の影響は少ないと考えられた.脳梗塞後の血液性状の変化は細血管系にて大きいと考えられており, tvは細動静脈, 静脈系の平均循環時間をあらわすことより, 血液粘度の変化を最もよく反映する因子と考えられ, 微小循環系の血流障害の程度を判定する指標となる可能性を示唆した.穿通枝系脳梗塞では, t, tvともHtと負相関を示し, 特にHtは血液粘度への影響は大きいと思われ, 梗塞領域による血液レオロジー変化の違いを考慮する必要がある.動注DSAによる循環時間測定は, 頭蓋内の脳循環動態及び血液レオロジー変化を反映することが示唆された.
  • 村井 淳志, 宮原 忠夫, 辰巳 裕之, 藤本 直規, 松田 実, 木村 繁男
    1989 年 11 巻 3 号 p. 230-236
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    家族性高コレステロール血症 (FH) は生下時より血清総コレステロール (TC) 値が異常に高く, 動脈硬化が早期より進展して高率に虚血性心疾患をおこすが, 脳卒中になることは非常に少ない.FHに脳卒中を合併する場合の特徴を明らかにするために, 自験5症例の脳卒中のタイプ, 各種の危険因子を検討した.2例は皮質枝梗塞であり, そのTC値は400mg/dl以上と高く, HDLコレステロール (HDL-C) 値は30mg/dl以下と低く, 動脈硬化指数は高かった。他の2例は穿通枝梗塞で残り1例は脳内出血であった.これら3例ではTC値が300mg/dl以下, HDL-C値は34~42mg/dlで, 動脈硬化指数は軽度上昇にとどまった.しかし5例に共通した危険因子は高血圧で, これが脳卒中をおこす最も重要な要因と考えられた。高血圧があってもTCとHDL-C値によって動脈病変が異なり, 皮質枝梗塞あるいは穿通枝梗塞になるのであろうと考えられた.
  • 日野 英忠, 丸山 博志, 古橋 紀久
    1989 年 11 巻 3 号 p. 237-241
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    一側上肢の浮腫が前駆した脳梗塞2例を経験した.症例は59歳, 73歳の男性.いずれも既往に高血圧症を有し, 一側上肢の浮腫が出没するため受診.一般理学的に上肢とくに手の puffy swelling 様の著しい浮腫および皮膚温低下が認められた.神経学的所見は正常.さらに経過中, 同側上肢の脱力が出現.上肢単麻痺を認め, 頭部X線CT上, 対側の前頭葉皮質中心前回上肢運動野に限局した梗塞巣がみられた.うち1例に脳血管写を行い, 中大脳動脈主幹部閉塞が認められた.脳梗塞に前駆してみられた上肢浮腫の発現機序として, 対側の前頭葉中心前回上肢支配領域に虚血が生じたための一過性の機能障害を推測した.本浮腫は極めて稀な症候と考えられるが, 脳梗塞の前駆症状の可能性があり, 臨床上注意しておく必要がある.
  • 谷中 清之, 能勢 忠男, 牧 豊, 能勢 晴美, 小林 栄喜
    1989 年 11 巻 3 号 p. 242-246
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    Amaurosis fugax は, 臨床的に, 内頚動脈病変の存在の可能性を示唆する徴候としてとらえられている.我々は, 内頚動脈病変が著明でなく, むしろ, 眼動脈病変が, その発症の要因と考えられたamaurosis fugax の3例を経験した.うち2例は血管造影上, 眼動脈が有意に狭窄し, 他の1例は, 眼動脈が起始部で閉塞していた.眼動脈狭窄が発症の要因と考えられた症例の報告は, 過去に2例のみであり, 極めてまれな症例と思われる.amaurosis fugaxの発症機構に関して, 文献的検討例も加えて報告する.
  • 太田 敬, 富田 泰彦, 横山 治久, 原 充弘, 内ケ崎 新也
    1989 年 11 巻 3 号 p. 247-254
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    脳底動脈の異常な延長, 拡張, 蛇行を, megadolichobasilar artery (以下MDBA) と呼ぶ, MDBAがクモ膜下出血で発症し, 脳血管撮影で一部嚢状動脈瘤様陰影を示した稀な症例を呈示し, MDBAの成因と発症について考察した.症例は69歳の女性, 突然の頭痛・嘔吐で発症した.入院時WFNS grade1.単純CTで脚間槽に石灰化を含むtubularな高吸収域, 脳血管撮影でMDBA及び推骨動脈合流部の嚢状動脈瘤様陰影を認めた.発症6日後再出血で死亡.剖検で両推骨動脈が橋延髄移行部より20mm吻側で合流し, 同部に破裂部を認めた.組織学的には脳底動脈の粥状硬化と, 内弾性板の広範な断裂と消失, 破裂部のすぐ心側に血栓形成を認めた.以上より, 先天的要因に加え, atherosclerosisと高血圧により, MDBAは全周に亙って拡張破裂の素因を有していたが, 椎骨動脈高位合流と, 血栓形成による血流変化が, 局所の嚢状拡張をもたらし, 破裂・再破裂をきたしたと考える.
  • 倉田 浩充, 冨士原 正保, 玉木 紀彦, 松本 悟
    1989 年 11 巻 3 号 p. 255-258
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    両側内頚動脈閉塞に合併した脳底動脈及び右後大動脈末梢部動脈瘤の症例を報告した.
    動脈瘤の成因には諸説が唱えられているが, その一因にhemodynamic stressが関与している報告が多い.本症例は, 両側内頚動脈閉塞によって増加した椎骨脳底動脈系の血流が, 動脈瘤の発生に大きくかかわっていることが示唆された.
  • 大田 純夫, 山口 武典, 宮下 孟士, 澤田 徹, 峰松 一夫
    1989 年 11 巻 3 号 p. 259-267
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    脳底動脈閉塞症32例 (血栓群24例, 塞栓群8例) についてその臨床像, 血管撮影上の特徴, および転帰, 長期予後を検討した.血管撮影所見は脳底動脈をrostral, middle, caudalの3部分に分けて検討した.血栓群を退院時, 独歩・杖歩行可能な転帰良好群8例と不良群16例とに分けて検討すると, 転帰良好群では後交通動脈を介する側副血行が良好で, 脳底動脈のrostral~middle portionが十分に造影されていた.これに対し, 転帰不良群では後交通動脈からの側副血行がみられないものが過半数を占め, 側副血行があってもrostral portionまでしか造影されず, 上小脳動脈の造影も遅延していた.血管撮影上, 後交通動脈を介する側副血行路の有無と脳底動脈のrostral-middle portion, 上小脳動脈の潅流状態が転帰を左右する指標と思われた。転帰は急性期死亡は1例のみで, 10例が独歩・杖歩行可能, 2例が車椅子, 19例が寝たきりであった.長期follow upでは最長8年5ヵ月間の生存が確認された.生存率は6ヵ月87.5%, 1年73.3%, 2年53.8%であり, 再発による死亡は殆どなく, 合併症によるものが大部分であった.
  • 不破 功, 和田 秀隆, 賀来 素之, 藤岡 正導, 濱田 潤一郎
    1989 年 11 巻 3 号 p. 268-272
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    父およびその息子に動静脈奇形のみられた一家系を経験した.いずれも頭蓋内出血で発症し, 脳血管撮影では, 父に mixed pial dural AVM, 子に pial AVM を認めた.家族性にみられる脳動静脈奇形は稀であり, 特に本邦での報告は少ない.報告例を検討してみると, 発症年齢や性差および発生部位などついては, sporadic caseとの間に差はみられなかった.血縁関係では, 同胞間に多くみられた.遺伝的背景については, 報告症例が少なく十分には検討されておらず, 今後の課題である.
  • 川畑 信也, 田中 友二
    1989 年 11 巻 3 号 p. 273-278
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    大動脈弓部の発生異常である右側大動脈弓に合併した先天性subclavian, steal現象を呈した1例を報告した.症例は46歳, 男性.脳出血を契機とした入院中に, 胸部レ線にて右側大動脈弓を指摘され, さらに胸部大動脈造影にて大動脈弓部から左総頚動脈, 右総頚動脈, 右鎖骨下動脈の順に分枝する右側大動脈弓と大動脈憩室の存在を認めた.また脳血管造影によって豊富な側副血行を有する左subclavian, steal現象を確認した.本報告例では椎骨・脳底動脈系の虚血症状を認めなかった.この理由として右椎骨動脈からの血行のみならず左外頚動脈から後頭動脈を介した豊富な側副血行が存在するためと考えられた.先天性subclavian, stealsyndromeにおいては, 椎骨・脳底動脈系のみでなく外頚動脈を含めた総頚動脈系の血行動態の評価が重要であると考えられた.
  • 姉川 孝, 塩 栄夫, 亀山 正邦
    1989 年 11 巻 3 号 p. 279-284
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    十分な精度と優れた再現性を有し, 反復して使用することが可能なニッケルメッシュを開発し赤血球変形能測定法に応用した.本方法を用いて, lacunar strokeにおける赤血球変形能を評価した.対象は, 年齢, 喫煙歴, 白血球数をマッチさせたlacunar stroke患者20名と対照群20名である.変形能指数 (Deformability Index) は, 対照群と患者群でそれぞれ0.878±0.0238, 0.847±0.0366 (p<0.01) であり, 患者群で変形能が低下していることを明らかにした.赤血球変形能の決定因子との関連性を検討する目的で, 平均赤血球容積 (MCV) と平均赤血球血色素濃度 (MCHC) とを同時に測定したが, いずれも両群で統計学的有意差は認められなかった.lacunar stroke患者では, 穿通枝系動脈の狭窄部位において局所的な潅流異常が存在することが示唆された.lacunar strokeにおける赤血球変形能低下が発症要因であるのか, あるいは発症後二次的に生じた結果であるのか, 今後さらは健常者における変形能正常群と低下群とを長期的に追跡調査することが重要であると考えられた.
  • 川久保 啓司, 岡田 靖, 佐渡島 省三, 石束 隆男, 藤島 正敏
    1989 年 11 巻 3 号 p. 285-291
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    症例は61歳の男性.糖尿病, 狭心症があり, 半年前より左眼視力障害が出現.4ヵ月前には軽度の右上下肢脱力を生じ, 脳梗塞と診断された.左眼の視力障害が進行し, 狭心症と思われる胸痛も出現したため抗狭心症薬を投与したところ, その5~6時間後に脳梗塞が再発した.入院時血圧は110/70mmHg, 左眼の虚血性網膜症, 右不全片麻痺を呈し, 頭部CT, MRIで左前・中大脳動脈潅流域境界部の脳梗塞巣を, 脳血管撮影で左内頚動脈起始部の完全閉塞を認めた.1ヵ月後のPETでは左大脳半球で前頭葉を中心に広範な脳血流量・酸素代謝率の低下とほぼ同部に酸素摂取率の軽度上昇を認めた.左内頚動脈領域は広範な潅流不全状態を呈しており, 脳梗塞の再発に抗狭心症薬投与による循環動態の変化が関与したことが示唆された.内頚動脈閉塞を伴う例では先行する虚血性網膜症に脳梗塞が合併する可能性があり, 詳細な脳循環動態の検討と注意深い血圧の管理が重要と考えられた.
  • 金井 秀樹, 吉田 洋二, 小泉 仁一, 正和 信英, 金子 満雄
    1989 年 11 巻 3 号 p. 292-299
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    急性期脳塞栓症の剖検例15例の梗塞巣内血管病変を組織学的に検索し, その成立機序ならびに出血の機序について考察した.14例に, 点状ないし斑状出血, およびこれらの融合した塊状の出血が梗塞巣内に生じていた.血管病変の基本像は, 血管透過性の充進とそれに基づく組織融解であり, その組織像は, 毛細血管, 細動静脈のフィブリノイド変性と内腔を閉塞する血栓, 小動脈の内膜, ときに中膜に及ぶ好中球浸潤と限局性の中膜壊死, 内中膜のフィブリノイド変性, 壁の解離小静脈壁の血漿浸潤による壁膠原線維の融解と断裂であった.出血は, 細血管からの漏出と小動静脈の破綻により生じていた.小動脈の破綻は, 血管攣縮に起因したと考えられるフィブリノイド変性や解離により, また小静脈の破綻は, 好中球や単球の浸潤による壁の組織融解によると考えられた.こうした血管病変が存在する梗塞巣内への血流再開は, 出血や浮腫を助長, 増悪する因子と考えられる.
  • 宮川 弘一, 渡辺 象, 鈴木 美智代, 上嶋 権兵衛
    1989 年 11 巻 3 号 p. 300-306
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    脳血管性痴呆11例, 痴呆を伴わない脳梗塞8例にIMP-SPECTを用い局所脳血流量を定量し比較検討した.全例基底核梗塞で, 痴呆は長谷川式簡易痴呆診査スケールで21.5点以下のものとした. (1) 平均脳血流量は脳血管性痴呆が痴呆を伴わない脳梗塞にくらべ低値を示す傾向が認められた. (2) 脳血管性痴呆では後頭部に比べ両側前頭部, 障害半球の基底核部で有意に血流の低下が認められた. (3) 脳血管性痴呆の痴呆スコアと局所脳血流量には前頭部で有意な正の相関が認められた. (4) SPECTによる局所脳血流の定量は, 比較的安全で簡単にでき臨床的に有用な方法と考えられた.
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