脳卒中
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11 巻 , 4 号
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  • 桶田 理喜
    1989 年 11 巻 4 号 p. 309-315
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    1894年Binswangerによって進行麻痺と鑑別すべき疾患の一つとして記載され, 今日はsubcortical arteriosclesotic encephalopathy (Binswanger型) と呼ぼれている病態 (ESCPと略記) の病因並びに病理発生機序について, 自験例を混じえて文献的考察を行った.
    現在の所, この病態は高血圧性脳動脈病変 (粥状硬化症に加えて細動脈硬化症とlipohyalinosis, 動脈壊死が出現する) が, 脳の中では心臓から最も離れている大脳や小脳の髄質動脈にクモ膜下腔の動脈よりも高度に生じることによるものであり, その程度は脳梗塞や高血圧性脳出血のそれよりも顕著である点から, 高血圧に基づく脳疾患の特殊なタイプと考えられる.又, 脳動脈粥状硬化症とlacunaeを伴った高令者のESCPも, 初老期に発症するいわゆる “古典的” ESCPと病理学的に同じであると考えられる.大脳白質病変がESCPのそれと類似するが, 病因が異なる疾患についても述べた.
  • 唐 〓洲
    1989 年 11 巻 4 号 p. 316-322
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    脳血管攣縮における脳血管のhistamine受容体の変化を調べるための基礎的研究の一環として, 正常ウシ脳血管のhistamine受容体について薬理学的解析を行った.摘出したウシ脳底動脈を用いてラ旋状標本を作製し, histamine及びH1とH2のagonists並びにantagonistsに対する等尺性張力の変化を記録することによって検討した.実験結果は, 1) ウシ脳血管はhistamineとpyridylethylamine (H1 agonist) に対して用量依存性の収縮反応を示したが, dimaprit (H2agonist) にをま反応しなかった.2) Histamineによる用量収縮曲線はtripelennamine (H1 antagonist) によって右方へ平行移動し, Arunlakshana-Schild'splotで解析すると, pA2値は8.76であり, slopeは0.904と45度に近く, その拮抗作用はcompetitiveであった.3) Histamineの収縮反応はcimetidine (H2 antagonist), α-あるいはβ-antagonistの影響は受けなかった.4) 内膜をrubbingしたウシ脳底動脈のhistamineによる用量収縮曲線はunrubbingのそれと比較して有意差を認めなかった.5) H1受容体を介する血管収縮はphospholipaseCを活性化してinositol 1, 4, 5-trisphosphate (IP3) がsecondary messengerとなり, 細胞質内Ca2+が増加して起こると考えられた.
    以上の結果より, ウシ脳底動脈にはH1受容体が密に存在し, histamineがH1受容体に直接作用して収縮が起こり, その反応は交感神経終末からノルエピネフリンが遊離して発生するのではないと解された.ウシ脳底動脈にはH2受容体は乏しいか, あっても作動しないと考えられた.
  • 浜口 昌明, 高橋 慎一郎, 園部 真, 甲州 啓二, 黒沢 久三
    1989 年 11 巻 4 号 p. 323-327
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    近年, Sturge-Weber症候群における脳静脈還流異常の存在を指摘する報告が散見される.今回, 我々は直静脈洞血栓症を合併し, 痙攣発作, 右片麻痺, 運動性失語症を呈したSturge-Weber 症候群の一例を経験した.症例は13歳, 女子中学生.急性期には, 脳血管撮影上, 直静脈洞が造影されず, 造影CTでは, 患側大脳半球脳溝に沿った特異な増強像を認めた.その後, follow up の血管撮影では直静脈洞は明瞭に造影されるようになり, CT上の増強像も消失した.臨床的には敗血症様の経過をとり, 血栓症の原因は, 耳鼻咽喉科領域の感染症の波及を来し, 脳静脈還流の欝滞を来したためと考えられた.直静脈洞再開通後は, 急速な臨床症状の改善をみ, 現在外来通院中である.
  • 岡田 和悟, 小林 祥泰, 山口 修平, 山下 一也, 恒松 徳五郎
    1989 年 11 巻 4 号 p. 328-331
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    前頭葉皮質下出血によるhomolateralataxiaandcruralparesisの1例を経験した.症例は58歳女性.左下肢脱力にて受診, 神経学的所見として左下肢不全麻痺, Chaddock徴候陽性.左上下肢の明かな協調運動障害を認めた.頭部CTでは右前頭葉運動領野皮質下に血腫を認めた.同時に入院時の検査所見から原発性アルドステロン症と診断し手術にて確認された.Homolateral ataxia and crural paresisはataxic hemiparesisとも呼ぼれるが, 前頭葉皮質下の病変による記載はなく本症の病因を考える上で貴重な一例と考えられた.
  • 八尾 博史, 石束 隆男, 佐渡島 省三, 内村 英幸, 藤島 正敏
    1989 年 11 巻 4 号 p. 332-336
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    線条体ドパミンニューロンに及ぼす脳虚血の影響について検討した.5ヵ月齢の雄, 高血圧自然発症ラットの両側総頚動脈結紮モデルを用い, 20分の脳虚血および60分の血行再開時に, 線条体で brain dialysis を行い透析液中のドパミンとDOPACをHPLC-ECDにより経時的に測定した.また, 凍結切片より切り出した線条体組織中のドパミンとDOPAC含量を偽手術, 脳虚血, 血行再開の3群で比較した.その結果, 透析液中のドパミンは虚血中10分で前値の241倍に増加し, 血行再開後20~30分には前値へ回復した.DOPACは虚血20分で前値の50%まで減少し, 血行再開後40分をピークとして211%まで増加した.一方, 切り出した線条体組織中のドパミンは血行再開群で9%増加したが, DOPACは3群間に有意な差はみられなかった. Brain dialysis を用いた今回の検討により脳虚血のごく早期に大量のドパミン放出が起こることが示された.
  • 金沢 武道, 崔 得華, 小松 修, 小野寺 庚午, 大池 弥三郎
    1989 年 11 巻 4 号 p. 337-346
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    Sephadex G-75生食水浮遊液 (1 : 1) 0.06~0.15mlを生後2ヵ月の雄家兎54頭の内頚動脈内に注入し, 急性ならびに慢性脳梗塞モデルを作成し, 脳組織変化を経時的に観察した.注入後10分まで明らかな変化はなく, 30分では電顕にて神経細胞内のmitochondriaの増加ならびに粗面小胞体の膨化がみられた.3時間ではastrocyte突起の腫脹, 神経細胞の萎縮ならびに核や細胞体に電子密度が高い物質が認められた.6時間では光顕で神経細胞のニッスル小体の消失, 核の濃縮, 軸索の腫脹, 基質の疎性化ならびに炎症性細胞浸潤等がみられた.24時間では神経細胞は壊死に陥り, 48時間では軸索の崩壊がみられた.3~4日目よりは新生されたと考えられる毛細血管の周囲と病巣にgitter cellsがみられた.1週間ではgitter cellsの増加が一層著明であった.また, 梗塞周辺ではastrosyteの肥大と増生が認められた.5週間では梗塞周辺のグリアの増加と繊維化が見られ, 7週間ではfibrillary gliosisによるglial networkが生じた.12時間~7日の間に出血性梗塞は40%に認められた.
  • 金沢 武道, 崔 得華, 西村 崇, 小野寺 庚午, 目時 弘文
    1989 年 11 巻 4 号 p. 347-357
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    目的 : 出血性梗塞の発生機序を解明するために本実験を行った.
    対象ならびに方法 : 3kg前後の雄性家兎の左総頸動脈を結紮したA群20頭と結紮しないB群20頭に1 : 1 (v/v) のsephadexG-75 (SG-75) 生食浮遊液0.06mlを左内頸動脈に注入して脳梗塞モデルを作製した.対象として26頭を用いた.光顕と電顕により組織変化を観察し, さらに, 血流動態を観察するために, carbon灌流を行った.
    結果 : (1) 出血性梗塞は左大脳皮質及び基底核部に好発した. (2) 出血性梗塞の発生頻度はA群<B群であった. (3) 灌流したcarbonは対照群では血管の末梢まで見えたが, SG-75注入群の梗塞巣では見られなかった.しかし, 出血性梗塞巣は認められた. (4) 出血性梗塞巣とその周辺部の血管を光顕ならびに電顕で観察すると, 血管の変性が著明に見られた.
    結語 : SG-75の注入による出血性脳梗塞の発生機序として, 側副血行路から脳梗塞巣への出血が考えられた.
  • 菊地 顕次, 古和田 正悦, 後藤 恒夫, 笹沼 仁一, 渡辺 一夫
    1989 年 11 巻 4 号 p. 358-365
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    妊娠中の頭蓋内出血は文献的に比較的稀であり, とりわけ破裂脳動脈瘤や脳動静脈奇形に起因するクモ膜下出血の本邦での報告例はいまだ少数である.最近, 妊娠前期に脳内・硬膜下出血を伴った脳動静脈奇形と, 妊娠後期にクモ膜下出血で発症した脳動脈瘤の2手術例を経験したので, 本邦での報告例 (脳動脈瘤22例, 脳動静脈奇形12例) を集計して文献的考察を行い報告する.症例1 : 妊娠13週で発症した27歳の初産婦で, anterior temporal arteryを流入動脈とする脳動静脈奇形と診断され, 開頭術を行って脳内・硬膜下血腫を除去し, 併せて脳動静脈奇形を全摘出した.症例2 : 妊娠39週で発症した28歳の経産婦で, 発症24時間以内の早期に全身麻酔下に帝王切開術を行って女児を得たのち, 内頚動脈瘤根治術を行った.
  • 東 邦彦, 畑 隆志, 坂井 文彦, 神田 直, 田崎 義昭
    1989 年 11 巻 4 号 p. 366-372
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    脳出血47例ならびに脳梗塞54例の急性期の患者を対象に血漿3-methoxy-4-hydroxy-phenylethyleneglycol (MHPG) を測定し, その変動を観察した.発症72時間以内の急性期の血漿MHPGの平均値は脳出血7.3±0.5ng/ml, 脳梗塞6.8±0.5ng/mlであり健常対照者 (3.7±0.3ng/ml) に比べて有意に高値を示した (それぞれp<0.001).脳出血では血腫の大きい例や生命予後の不良例で血漿MHPGは有意に高値を示し, 経時的にみると急性期以後減少した.脳梗塞においては脳塞栓症が脳血栓症に比し, 皮質枝領域梗塞が穿通枝領域梗塞に比し有意に高値を示し, さらに大梗塞, 死亡例では中・小梗塞, 生存例より有意に高かった.また脳梗塞・脳出血ともに内頚静脈血が動脈血より高値を示す例が多かったが, その差は有意に達しなかった.以上, 脳出血・脳梗塞急性期において, 血漿MHPGが高値を示し, 中枢神経系noradrenaline系活動の充進を伴う可能性が示唆された.
  • 佐渡島 省三, 石束 隆男, 藤井 健一郎, 岡田 靖, 藤島 正敏
    1989 年 11 巻 4 号 p. 373-380
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット (SHR) の両側総頚動脈結紮による脳虚血モデルを用い, 1~3時間の脳虚血後15分再開通におけるトロンボキサン合成阻害剤OKY-046の脳循環代謝におよぼす影響を検討した.本剤5mg/kgの静脈内投与では虚血時の脳血流低下に差はみられなかったが (前値の10%以下), 30mg/kgでは1~3時間虚血時に血流がより保たれる傾向がみられた (前値の10~16%).虚血脳の乳酸は1, 3時間虚血後に用量依存性に上昇がおさえられ, 1時間虚血後のATPも対照の生食群が52%まで減少したのに対し, 5, 30mg/kgOKY-046の投与でそれぞれ77, 82%に保たれていた.同様に血中TXA2の上昇は有意に抑制され, PGI2は8.7倍の増加を示した.OKY-046は虚血時の循環障害を軽減し, 抗脳虚血作用を有すると考えられる.
    選択的トロンボキサン合成阻害剤OKY-046の投与により, 実験的脳虚血での血中TXA2の増加が抑えられ, PGI2が上昇するのがみられた.また1時間, 3時間虚血15分再開通後の脳代謝の改善がみられたことより, 本剤は脳循環障害を軽減し, 抗脳虚血作用をもつと考えられる.
  • 新川 淳, 上田 一雄, 蓮尾 裕, 清原 裕, 藤島 正敏
    1989 年 11 巻 4 号 p. 381-387
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    久山町住民の1962~85年の24年間の死亡診断書に基づく脳卒中死亡率の推移を訂正死亡率を用いて全国と比較した.死亡診断書による久山町住民の男女の全脳卒中死亡率・男性の脳出血死亡率は全国のそれとほぼ同様のレベルで減少した.男女の脳梗塞死亡率は同様に全国のそれと類似したパターンを呈し, 増加から減少に転じた.久山町の女性の脳出血死亡率は全国に比べ低値を保ちながら減少する傾向にあった.この所見は剖検成績に基づく死亡率推定値によっても確認された.剖検成績を考慮して検討すると, 久山町の死亡診断書に基づく脳梗塞死亡率は調査期間初期の1962~69年において過小評価されていた.剖検に基づく成績を根拠に, 全国統計の女性の脳出血死亡率には一部クモ膜下出血の誤認によるバイアスが, また1962~69年にかけての男女の脳梗塞死亡率の上昇傾向には, 死亡診断書における脳梗塞病名記載の増加に伴うバイアスが存在する可能性を考察した.
  • 矢坂 正弘, 山口 武典, 宮下 孟士, 澤田 徹, 朴 永大
    1989 年 11 巻 4 号 p. 388-395
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    脳塞栓症急性期における心内血栓の動態と, それに及ぼす脱水の影響を明らかにする目的で, 急性期脳塞栓症連続30名を対象とし, 入院後, 経時的に断層心エコー図検査とヘマトクリット (Ht) 測定, さらに利尿薬使用の有無と水分出納のチェックを行なった.そして断層心エコー図上, 心内血栓出現ないし増大の観察された症例と, されなかった症例について, 断層心エコー図上の各指標, Ht値の推移並びに水分出納を比較検討した.
    心内血栓は入院時4例, 入院後新たに4例, 計8例 (27%) に認められ, うち4例では経過中, 血栓の増大がみられた.これらのうち3例に塞栓症再発を認めた.心内血栓出現ないし増大は, 水分出納陰性例に多く観察され, 同時に下大静脈短径減少とHt値上昇が認められた.
    以上から, (1) 脳塞栓症急性期の頻回な断層心エコー図検査により, 心内血栓のダイナミックな変化を観察できる. (2) 心内血栓成長に循環血漿量減少が関与すると考えられた.
  • 矢坂 正弘, 山口 武典, 宮下 孟士, 澤田 徹, 尾前 照雄
    1989 年 11 巻 4 号 p. 396-401
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    脳塞栓症急性期における心内血栓成長の病態を, 凝血学的検査の面から明らかにする目的で, 脳塞栓発症48時間以内に入院の連続30例を対象とし, 経時的に断層心エコー図検査と, 凝血学的検査 [fibrinogen (FBG), fibrinopeptide A (FPA)] を行なった.断層心エコー図上, 心内血栓出現ないし増大の観察された症例とされなかった症例について, 凝血学的検査値の推移を比較検討した.心内血栓は入院時4例, 入院後新たに4例, 計8例 (27%) に認められ, うち4例では経過中, 更に血栓の増大がみられた.これらのうち3例に塞栓症再発を認めた.心内血栓成長時には, FBG減少とFPA上昇が認められた.以上からFBG低下とFPA上昇は心腔内凝固充進を反映し, 心内血栓成長の予知, さらには脳塞栓症再発の警鐘となるものと考えられる.
  • 柊山 幸子, 吉田 富士雄, 佐渡島 省三, 蓮尾 金博, 藤島 正敏
    1989 年 11 巻 4 号 p. 402-406
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    53歳, 男, 右利き.20年前より高血圧があるも放置.7年前よりに右片麻痺や小刻み歩行が出現し, 階段状に記憶, 計算力の低下も認められるようになり入院.血圧は170/110mmHg, 右中枢性顔面・舌下神経麻痺, 下顎反射充進, 遠隔及び短期記憶・抽象思考・構成行為の障害, 失算が認められた.頭部X線CTでは左小脳半球, 両側大脳基底核, 左頭頂葉皮質に低吸収域が見られた.高磁場MRIによるT2強調画像では上記部位および左視床前部に, 低信号域に囲まれた高信号域を認め陳旧性の多発性脳出血と診断された.高血圧性と考えられる多発性脳出血で痴呆を呈した1例を報告し, MRIの有用性について述べた.
  • 高嶋 修太郎
    1989 年 11 巻 4 号 p. 407-415
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    ウィリス動脈輪閉塞症15例 (30側) を脳血管撮影所見による病期によってearly stage群とlate stage群の2群に分類し, Xe enhanced CT法を用いて安静時局所脳血流量および局所CO2反応性を測定し, 健常成人11例と比較検討した.本症では, late stage群においてhyperfrontalityが消失していた.さらに, 局所CO2反応性は本症において低値を示し, 特にlate stage群では大脳前半部において統計学的にも有意な低値を示した.しかし, 安静時局所脳血流量は両群とも, 健常成人と比較して全ての部位において有意差はなかった.すなわち, ウィリス動脈輪閉塞症では, 両側内頸動脈が完全に閉塞しても脳血流量は比較的良好に保たれ, 他の閉塞性脳血管障害の脳循環動態とは明らかな相違を認めた.このことは, 本症におけるモヤモヤ血管などの側副血行路の機能を反映した結果と考えられた.
  • 鈴木 光一, 若山 吉弘, 岡安 裕之, 高橋 裕秀
    1989 年 11 巻 4 号 p. 416-421
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    傍正中視床・中脳梗塞の1例を報告した.症例は68歳の男性で高血圧, WPW症候群にて通院していたが発作性心房粗動を合併した為, 電気的cardioversionを施行した.翌日, 突然意識障害となり入院.神経学的には1) 両側動眼神経麻痺, 2) 右側小脳性失調, 3) 一過性の意識障害および時間的見当識障害, 4) 一過性の右上肢asterixisを認めた.CT, MRIでは中脳被蓋部から左側視床内側におよぶ病巣を認め中脳傍正中枝の閉塞による傍正中視床・中脳梗塞と考えられた.脳血管障害による両側動眼神経神経麻痺および右上肢asterixisについて中脳傍正中枝の閉塞との関連を文献的に考察した.
  • 西山 公恵, 藤井 健一郎, 佐渡島 省三, 大星 博明, 藤島 正敏
    1989 年 11 巻 4 号 p. 422-427
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    症例は糖尿病, 高血圧をもつ63歳の男で, 右上肢の反復性の阻血症状の後, 左不全麻痺を主訴として入院, 半側空間失認をともなっていた.脳血管撮影にて無名動脈閉塞及び右鎖骨下動脈盗血症候群を認めた.X線CTでは第20病日には右視床前方より内包後脚に小梗塞を認めたのみであったが, 第26, 79病日のポジトロンCT (PET) では右視床, 内包だけでなく同側の頭頂・後頭葉皮質を含む大脳半球全体で脳血流量や脳酸素代謝率の大きな低下が見られた.本症例の半側空間失認の発現にはX線CT出現後その責任病巣として強調されている視床病変ではなく, PETで示された右頭頂・後頭葉皮質自体の虚血がより関与していると考えられた.臨床症状の責任病巣の決定にはX線CTによる形態学的検索と同時にPETによる機能的検査が必要であろう.
  • 若松 武志, 門脇 親房, 原 充弘, 竹内 一夫
    1989 年 11 巻 4 号 p. 428-433
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    初回動脈瘤クリッピング後, 約5年経過し, 同部に動脈瘤の再発した症例を経験した.その原因について検討した.症例は, 30歳の男性.23歳時より高血圧の既往がある.1982年7月, 25歳時にくも膜下出血で発症.前交通動脈瘤と診断し, ネッククリッピングを施行した.術後経過良好で, 社会復帰した.1987年4月, 再びくも膜下出血, 脳内出血を来した.血管撮影で, 前交通動脈瘤の再発を認めた.
    この動脈瘤の発生の原因としては, 残存neckに組織学的な弾性板の欠如が認められ, 高血圧 (収縮期血圧 : 170-200mgHg) によるhemodynamic stressが5年間この脆弱部にかかり, 動脈瘤の新生, 増大, 破裂を来したと考えられた.
  • 黒川 義澄, 原田 雅之, 杉野 正一, 竹中 正純, 福田 市蔵
    1989 年 11 巻 4 号 p. 434-441
    発行日: 1989/08/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    脳血管障害急性期における血漿cAMP, cGMPの臨床的意義に加え, その動態と頭部CT所見, 血漿cAMP-, cGMP-PDE活性, β-TG濃度との相互関係を比較検討した.脳血管障害急性期の血漿cAMP, cGMP濃度は健常対照群に比し高値を呈した.Frithzの予後指数は脳梗塞急性期では血漿cGMP濃度と, 脳出血急性期では血漿cAMP, cGMP濃度との間に逆相関を示した.脳梗塞群頭部CT所見の低吸収域の大きさと血漿cGMP濃度との間に正相関が認められた.脳血管障害症例発作日の血漿cAMP, cGMP-PDE活性は血漿cAMP-, cGMP濃度との間に負の相関を, 血漿β-TG濃度との間に正の相関を示した.これらのことより血漿cAMP, cGMP濃度は脳血管障害急性期における予後判定には有効であり, その動態には血小板由来の血漿cAMP, cGMP-PDE活性の関与がみられた.
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