脳卒中
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11 巻 , 5 号
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  • 稲村 憲治, 赫 彰郎
    1989 年 11 巻 5 号 p. 455-468
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    脳神経細胞は虚血により障害を受けるが, その障害は一様ではない.海馬CA1領域は易障害性を示すと同時に障害が遅発性である.虚血障害はまた尾状核, 黒質にも現われる.黒質障害では虚血前血糖値に影響され, 高血糖虚血後に現われる痙攣に関与する可能性がある.虚血による神経細胞障害のメカニズムを考える場合, その原因としてカルシウムの流入が重要と思われ, カルシウムホメオスターシスの崩壊が細胞死の直接的な引き金と考えられる.そこで, カルシウムの流入経路の検討が重要である.また種々の薬剤を用いカルシウムの流入を遮断する試みがなされている.選択的障害の原因として, 神経回路の走行, 特に興奮性グルタメート神経繊維の走行とその受容体の一種であるNMDA受容体の分布は重要である.このNMDA受容体はカルシウムチャンネルを持ちカルシウムの過剰流入を起こす可能性があるからである.また, 最後にカルシウムの過剰流入による細胞内カルシウム蓄積の影響につき考察した.
  • 大須賀 幸子, 大須賀 等, 灰田 宗孝, 篠原 幸人
    1989 年 11 巻 5 号 p. 469-475
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    vasogenic edemaの進展及び消退様式を知るため, cold inluryモデルを用い, MR画像により水の動向を, 酵素抗体法により漏出蛋白の動向を, 時間経過を追い検討した.また, 乾燥重量法にて脳水分含量の測定も併せて行なった.既に報告した様に漏出蛋白は, 障害部より時間経過と共に白質線維に沿い対側半球まで拡がり (routed protein migration), その後障害に遠い部位より徐々に消失していった.電顕的には, 漏出した蛋白に含まれるhorseradishperoxidase reactive substanceが血管の基底膜, 脳室上衣細胞の細胞間隙に認められ, 漏出蛋白は血管内への逆輸送, 脳室への直接流入などにより消退する可能性が示唆された.MR画像に於ける水の動向は, 蛋白の動きとほぼ一致し, 蛋白と浮腫は平行して移動する事が判明した.脳水分含量の検討では, 障害側半球に於いて, 障害作製直後より水分含量の増加を認め, MR画像で得られた浮腫の存在が裏づけられた.
  • 重森 稔, 宮城 潤, 杉田 保雄, 徳永 孝行, 倉本 進賢
    1989 年 11 巻 5 号 p. 476-483
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    当科で手術療法を行った頭蓋内巨大脳動脈瘤の16症例の治療成績を分析し, 特に転帰不良の原因について検討を行った.直達手術は10例に, 他の6例では頚動脈結紮やelectrothrombosisなど非直達手術を行った.このうち転帰不良例は4例で, いずれも手術に伴う親動脈の狭窄ないし閉塞が最大原因であった.また, 眼症状の悪化例が2例あり, これらはいずれも術中の手術操作に起因していた.つまり, 手術方法の選択や手術手技上の問題による虚血性合併症と動脈瘤近傍の組織損傷によるものと考えられた.従って, 頭蓋内巨大脳動脈瘤の手術療法に関し, 手術方法の選択や手術手技の面での柔軟な対応の重要性を指摘すると共に, 若干の文献的考察を行った.
  • 野中 信仁, 平田 好文, 園田 寛, 生塩 之敬, 松角 康彦
    1989 年 11 巻 5 号 p. 484-490
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血急性期患者33例における血小板凝集能の変化をoptical density methodで測定し, くも膜下出血後に発生するdelayed ischemic neurological deficit (DIND) への血小板凝集能の役割ならびにこれに対する ticlopidine の効果について検討した.血小板凝集能のparameterとしては, 二次凝集を惹起する ADP の最低濃度, ならびに3μ M ADPおよび3 μg /mlコラーゲンによる最大凝集率を用いた.その結果, くも膜下出血急性期においては, 二次凝集をひきおこすADP最低濃度は有意に低く, 血小板凝集能は充進状態にあることが示唆された.更に, 破裂脳動脈瘤早期根治手術後, ticlopidine の経日的投与により血小板凝集能はすべて抑制された.くも膜下出血後のvasospasmの発生頻度を低下させることはできなかったが, 転帰の面からは良好な結果を得た.早期手術後のticlopidineの投与は, 血小板凝集能を低下させ, vasospasm後発生するDINDを防ぐ効果があるものと考えた.
  • 田中 真, 平井 俊策, 近藤 進, 石黒 幸司, 山崎 恒夫
    1989 年 11 巻 5 号 p. 491-499
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    脳血管障害患者のX線CTとpositron emission tomography (PET) の所見を対比し, 前者で検出できない大脳皮質および小脳半球の脳循環・酸素代謝の異常について発現機序と異常の程度の面から検討を加えた.17例22所見は発現機序により, 1) 虚血性病変とそれに対応した神経症状を示すがX線CTでは検出されない場合, 2) 大脳皮質や小脳半球の入出力線維の損傷による遠隔効果 (diaschisis), 3) fogging effectの一時期, の3群に大別されると考えられた.また各群の病巣部位の脳血流量と酸素代謝率について正常値と対称部位 (健側) に対する減少率を算出し, 定性的評価の裏付けとした.PET上の異常を生じる原因は多様であることが明らかとなり, その所見は神経学的所見やX線CT, 脳血管撮影などの補助的診断法の所見を踏まえて評価する必要があると考えられた.
  • 土谷 隆, 藤掛 邦彦, 奥 憲一
    1989 年 11 巻 5 号 p. 500-510
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    閉塞脳血管に対するUrokinase・heparin併用療法の線溶作用を評価するため, 発症3日以内の中大脳動脈閉塞症111例を対象に出血性梗塞, 再開通現象, 再発の出現率を無作為に分けたUK・heparin投与例62例 (UK-H群) と非投与例49例 (C群) で比較検討した.
    (1) 出血性梗塞の出現率はC群25%に対し, UK-H群23% (UK-H大量群30%, UK-H少量群16%) と差はなく, 発現日の差も認めなかった. (2) 追跡脳血管写を施行した55例の再開率はC群6/16 (38%) に対し, UK-H群15/39 (38%) (UK-H大量群33%, UK・H少量群44%) と差を認めなかった.逆に脳塞栓21例の閉塞進展例がcontrol群1/8 (13%) に対し, UK-H群5/13 (38%) とくにUKH少量群4/5 (80%) に多い傾向を認めた (p=0.03). (3) 発症2W以内の再発率はC群2%に対し, UK-H群10%とUK-Hに高い傾向を認めた (p=0.103).脳塞栓38例の発症2W以内の再発率はC群1/18 (6%) に対し, UK-H群5/20 (25%) とUK-H群に高く (p=0.115), とくにUKH少量群は4/12 (33%) と高い再発率を示した (p=0.068).以上より, UK・heparin併用投与は自然経過を越えた出血性梗塞, 再開通現象の発現とは無関係であり, 逆に脳塞栓早期再発を誘発する危険性が示唆された.
  • 萩原 章嘉, 岩本 俊彦, 勝沼 英宇, 植野 洋, 蜂谷 哲也
    1989 年 11 巻 5 号 p. 511-517
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    塞栓によると思われるlocked-in症候群の1例を報告する.症例は心房細動を有する62歳男性で, 突然に10cked-in症候群を呈して入院した.入院時のCTおよびMRIにて橋底部, 右小脳半球に梗塞巣を認めたが, 第9病日の脳血管撮影では椎骨脳底動脈の壁不整像を除いて閉塞・狭窄像はみられなかった.肺炎・呼吸不全にて第179病日に死亡, 剖検所見は次の如くであった.すなわち, 1)脳底動脈の中等度のアテローム硬化は右上小脳動脈, 左前下小脳動脈に広がっていた.2) CT, MRI同様, 橋底部, 右被蓋, 右小脳半球に一部出血を伴う軟化巣がみられた.3) 左心耳には血栓を認めなかったが, 脾に小梗塞がみられた.これらの所見は, 脳底動脈吻側部に存在したアテローム硬化性病変に栓子がlodgeし, 再開通にもかかわらず, 脳幹梗塞をきたしたものと考えられた.
  • 寺尾 心一, 石川作 和夫, 青木 はつ江, 武田 明夫
    1989 年 11 巻 5 号 p. 518-522
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    臨床症状としてamaurosis fugaxのみを呈した2症例について, transcranial DoPpler装置を用いて眼動脈の血流方向を分析し, 脳血管撮影所見と対比して検討した.症例は, 77歳女性と51歳男性で, 患側の眼動脈血流は, 2例とも健側と異なり前眼部より脳内に向かう逆流型を呈した.脳血管撮影にて, 後者では患側の内頸動脈完全閉塞がみられ, 前者では内頸動脈起始部のプラークによる高度狭窄がみられ, 両者とも外頸動脈系から眼動脈および一部内頸動脈系への側副血行路の形成が認められた.一般的に, amaurosis fugaxの発現は, 同側内頸動脈系からの微小血栓の眼動脈への流入に起因するといわれているが, この2例では, 閉塞部位からの微小血栓が外頸動脈系に流入し, 症状を発現させる病態が示唆された.
    transcranial Doppler法は, 非侵襲的であり容易に反復して検査することが可能で, これらの病態を検討する上で非常に有力な手段と考えられた.
  • 安藤 隆, 坂井 昇, 山田 弘, 今尾 幸則, 大熊 晟夫
    1989 年 11 巻 5 号 p. 523-532
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    脳室内出血例で, その成因, 出血源の判定が困難であった8症例について報告する.経時的CT, 脳血管撮影を行い, この8例の成因, 出血源は高血圧性脳出血が5例 (視床背内側核より3例, 尾状核より2例) 中大脳動脈閉塞が2例, 出血性素因が1例と考えられた.脳室近傍の諸核からの出血が多く出血源の同定には経時的CTにより, この部の詳細な検索が大切である.又, 側副血行を伴った中大脳動脈閉塞などの頭蓋内血管の閉塞よりの出血も鑑別の一つとして念頭におかねばならない.
  • 宝意 幸治, 持尾 聰一郎, 佐藤 健一, 磯貝 行秀, 宮本 幸夫
    1989 年 11 巻 5 号 p. 533-538
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    超音波断層法 (US) と超音波定量的血流測定法 (QFM) を用いて虚血性脳血管障害例における頚動脈病変の形態と血行動態について検討した.虚血性脳血管障害患者34名 (平均年齢65.9歳) と健常対照20名 (平均年齢64.9歳) を対象とした.1) USにより頚動脈分岐部から総頚動脈に動脈硬化性プラーク (pl) を34例中21例に認めた (障害側のみ11例, 健常側5例, 両側5例).2) 障害側のみにPlを認める群では対照群及びPlを認めない群に対して有意に障害側総頚動脈で, QFMより得られた平均血流量の低下 (P<0.05), 平均血流速度, 最大血流速度 (Vmax) の低下, 平均血管径 (MD) の拡大 (共にP<0.01), 頚・脳動脈系循環抵抗の増大 (各々p<0.01, p<0.05) を認め, VmaxとMDより概算した総頚動脈血管壁のずり速度SR (SR=4Vmax/R, R=MD/2) は有意に低下 (P<0.01) していた.以上の結果より虚血性脳血管障害による脳循環抵抗の増大による頚動脈のずり速度の低下が頚動脈の動脈硬化進展に関与していることが示唆された.
  • 長谷川 洋, 尾藤 昭二, 小橋 二郎, 平賀 章寿, 樋口 真秀
    1989 年 11 巻 5 号 p. 539-543
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    脳動静脈奇形 (AVM) に脳の主幹動脈閉塞が合併することは稀であるが, この合併例の手術は危険であると思われるので報告する.
    症例 : 48歳の男性で右麻痺と失語症で発症し, CTにて左脳内血腫を認めた.血管撮影では, 左中大脳動脈の閉塞を認めモヤモヤ血管と左前大脳動脈を介して左frontalにAVMを認めた.開頭を行いnidusを問題なく摘出したが, その後に, 脳の著明な腫脹と突然動脈性出血が一斉に起こり, 止血は全く不可能でそのまま閉頭した.術直後よりbarbital coma therapyを開始し, 5日後再開頭により大きな血腫を摘出した.その後患者の症状は改善し独歩退院した.AVMと同側の主幹脳動脈の合併例ではAVM周辺にモヤモヤ血管のような異常血管が発達し, また周辺脳は虚血状態にあり, AVM摘出の際に生じる急激なhemodynamicsの変化により術中, 術後の出血が起こり易いと考えられるので, 手術の際には特別な配慮が必要である.
  • 李 毅平, 和賀 志郎, 金丸 憲司
    1989 年 11 巻 5 号 p. 544-549
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    犬摘出脳底動脈を用い, 洗源血小板及び血小板由来物質の等尺性張力に及ぼす影響を検討した.Adenosine diphosphate (ADP) 及びadenosine triphosphate (ATP) は内皮依存性弛緩反応を惹起した.セロトニンは摘出犬脳血管を用量依存性に収縮させたが, 内皮擦過標本では収縮反応の有意な増大が認められた.一方, トロンボキサンA2による収縮反応は内皮の有無に拘らず, 一定であった.洗源血小板浮遊液を栄養槽中へ添加すると用量依存性に収縮反応が出現した.この収縮反応は内皮擦過標本では有意に増大した.セロトニン受容体阻害剤であるketanserin と methysergide の前処置にて血小板による収縮反応は有意に抑制された.一方, indomethacin前処置にても収縮反応は不変であった.3×10-6 M prostaglandin F2αによる収縮反応が一定となった後に, 血小板浮遊液を添加すると, 軽度の収縮反応増大が認められた.その収縮反応増大はapyraseの添加により影響を受けなかった.以上の実験結果により, 脳血管と血小板との間に明らかな相互作用が存在することが判明し, その作用は内皮細胞により調節されているものと考えられ, そして血小板による犬脳底動脈の収縮こはセロトニンの占める役割が大きく, 内皮細胞障害後にはEDRFの放出の障害が収縮反応の最も大きな機序であると考えられる.
  • 山下 一也, 山口 修平, 小林 祥泰, 恒松 徳五郎
    1989 年 11 巻 5 号 p. 550-556
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    猫中大脳動脈閉塞モデルを用いて, Hemodilution療法の虚血脳に対する有用性を検討した.成猫 (2.5~3.5kg) 13匹 (hemodilution群 (HD群) 5匹, control群8匹) を用いた.HD群は虚血後低分子デキストランでisovolemicに行い, Htを36%より24%へ低下させた.虚血中心部で水素クリアランス法による脳血流 (CBF) 測定と脳波記録を行ない, micropressuresystemを用いて, 同部の軟膜動脈圧を非閉塞的に連続記録し, 虚血後180分まで観察した.CBFは, HD群において, 虚血後60分以後control群に比し, 有意の脳血流増加を示した.pial anastomosesの血管抵抗は, HD群では, 90分以後低値となったが, 脳細小動脈抵抗は, 180分の時点で低下が認められた.脳波は, 180分後にはHD群の方がやや良好な改善を示したが有意差には至らなかった.以上のことより, Hemodilution療法では血流改善は認められるものの, 脳代謝改善には至らなかったと思われる.
  • 八木下 敏志行, 岩淵 定, 小島 重幸, 平山 惠造
    1989 年 11 巻 5 号 p. 557-563
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    一側の大脳脳血管障害患者にX線CTを施行して交差性小脳萎縮 (crossed cerebellar atrophy) の頻度, 発現機序, 大脳病変との関連について検討した.対象は130例 (男性83例, 女性47例) で平均年齢は57.6歳である.疾患は脳梗塞65例, 脳出血65例である.CCAは130例中8例の6.2%に認められた.8例は疾患別では前頭葉と側頭葉を含んだ広範囲の脳梗塞が6例, 脳出血が2例 (被殻1例, 視床1例) であった.CCAがみられた8例中5例では, 大脳病変側の大脳脚と橋底部の萎縮が認められた.しかし, 小脳萎縮が認められた側の小脳歯状核の萎縮を示唆する第四脳室の拡大や変形はいずれの例でも認められなかった.CCAの発現機序として, 病理学的に皮質橋小脳路または歯状核赤核視床路のtranssynapticな変性が考えられているが, 上記の結果から, CCAの発現機序として特に前者の変性が推察された.
  • 土谷 隆, 矢坂 正弘, 山口 武典, 長谷川 泰弘, 尾前 豪
    1989 年 11 巻 5 号 p. 564-571
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    経頭蓋リアルタイムカラーフロードプラ法によって, 頭蓋内脳血管をrealtimeに描出し, 正確なドプラ入射角の同定および血流速度の測定をおこなった.
    対象は健常者15名 (平均28歳, 男5名, 女10名) で, 上耳介前部より主として中大脳動脈 (MCA) 水平部の描出をおこない, ドプラ入射角によって血流速度を補正した.超音波カラードプラ装置は東芝社製SSH160A (探触子2.5MHz) を使用した.
    MCA水平部は線条画像として明瞭にカラー表示され, ドプラ入射角の測定も容易であった.MCA水平部の入射角補正前の平均血流速度は右55cm/sec (41~69), 左53cm/sec (26~86) で, 測定深度は平均右54mm (46~60), 左53mm (47~60), 入射角は平均右52度 (34~60), 左52度 (20~73) であった.MCA水平部の入射角補正後の平均血流速度は右91cm/sec (72~127), 左92cm/sec (62~139) であった.上耳介前部よりのMCA水平部に対するドプラ入射角は推測されていた角度より大きく, 正確な血流速度の測定には入射角による補正は不可欠と考えた.
    Transcranial real-time color flow Doppler (TRCD) は非侵襲的に頭蓋内血管の描出および定量的血流速度の測定が可能であり, 今後の臨床応用が期待できる.
  • 寺山 靖夫
    1989 年 11 巻 5 号 p. 572-580
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    脳卒中の発症における環境因子の関与を解明する目的で, 人工気候の影響の少ない沖縄県石垣市における昭和57年1月より昭和59年12月までの間に発症した脳卒中患者235例を対象として発症時の気象条件との関連を多変量解析を利用して検討した.脳梗塞153例の回帰分析の結果, 脳梗塞は発症に関し平均気温の変動に伴った周期変動を認めた.さらにこの傾向は高血圧を有するものに一層強く認められた.高血圧性脳出血82例を用いた分析により高血圧性脳出血は高気圧の状況下で湿度の関与は少なく気温はほぼ平年並みであるが, 前日に比し平均気温, 最低気温が低下した日に発症を認め, 発症を予測する有意な判別式 (YH) は, YH=0.008× (平均気圧平年値との差) +0.014× (平均気温平年値との差)-0.002× (相対湿度平年値との差)-0.004× (最高気温前日との差)-0.009× (前日最高気温一当日最低気温)-0.235と与えられた.
  • 内藤 滋人, 今鷹 耕二, 世古 義規, 藤井 潤
    1989 年 11 巻 5 号 p. 581-585
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    心房細動発症後いかなる時期に脳梗塞の合併が多いかを調査するため, 洞調律から固定性心房細動への移行を観察し得た非リウマチ性心房細動患者79例 (固定性心房細動群, 平均年齢68.4±10.7歳) につき, 脳梗塞合併頻度及び累積発症率を求め, 年齢, 性別, 基礎疾患, 観察期間を一致させた洞調律例79例 (対照群, 平均年齢66.7±9.0歳) と比較検討した.脳梗塞の合併は固定性心房細動群79例中20例 (25.3%) で, 対照群79例中8例 (10.1%) より有意に多く (p<0.01), 固定性心房細動群では脳梗塞合併の20例中8例 (40%) が心房細動固定後1年以内の合併であった.脳梗塞累積発症率は固定性心房細動群では1年後11.3%, 5年後24.0%, 対照群では1年後1.5%, 5年後3.5%であり, 心房細動発症後5年半後まで固定性心房細動群の方が対照群に比し有意に高かった (p<0.01).以上, 心房細動発症早期の脳梗塞合併が多い事が示唆され, 早期の注意深い観察が必要であると思われた.
  • 門 祐輔, 山口 武典, 橋本 洋一郎, 里見 真美子
    1989 年 11 巻 5 号 p. 586-591
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    わが国で報告の少ないocular lateropulsionの症候学的位置付けを検討し, 責任病巣について考察した.延髄外側症候群11例中, 確実なocular lateropulsionは2例, 疑診例は7例であった.共同偏視の回復過程でこの徴候を認めた症例を提示し, 共同偏視が重要な役割を果たしていることを示した.Ocular lateropulsionは共同偏視を中心とする群と, それに小脳徴候を伴う群の, 2群に分けるのが適切であると考えられた.MRIの検討により, その責任病巣は延髄背外側にあると推定されたが, なお詳細な臨床病理学的検討が必要である.
  • 長谷川 泰弘, 山口 武典, 土谷 隆, 森安 秀樹, 西村 恒彦
    1989 年 11 巻 5 号 p. 592-599
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    虚血性脳血管障害慢性期患者23例を対象に, acetazolamide負荷前後の脳波・体性感覚誘発電位の変化, 及びIMP-SPECTによる脳血流分布の変化を, 主幹動脈閉塞の有無別に検討した.主幹脳動脈閉塞症例16例中3例に於いて, acetazolamide負荷後明らかな血流分布変化が示され, 脳灌流圧減少に伴う局所脳血管反応性の低下が推定された.一方, 脳波・体性感覚誘発電位は, 主幹動脈閉塞の有無別, また投与量別に見ても, 何等変化は見られず, acetazolamideに薬物脳波学的特徴は見いだし得なかった.Acetazolamide負荷には, ボーア効果の消失による脳ヒポキシアの可能性, 頭蓋内盗血現象による脳血流減少の可能性が報告されているが, 脳機能上何等の増悪も示すことなく血流分布変化を示し得たことは, 本法の安全性を示すものと思われた.acetazolamide負荷による脳波・体性感覚誘発電位の変化に関する詳細な検討は未だ見られず, 本報告が最初のものである.
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