以上, 虚血性脳血管障害急性期には図25に示すような3つの悪循環が存在し, その回転と共に病的過程が進行することを明らかにした, もしこの悪循環を何等かの手段で阻止することができれば神経脱落を最小限にとどめることが可能である.自律神経性, あるいは代謝性の悪循環に対しては既にいろいろな試みが行なわれている.従来, 殆ど無視されてきたのが第三の血管・血液レオロジー性悪循環の役割である.本講演に於いてはこの重要性を特に強調した, 抗血小板薬その他の使用で二次的血小板凝集・粘着・血栓形成を阻止することにより, microcirculationの障害を防ぎ, 3つの悪循環の回転にブレーキをかけ得る可能性を実験的に示した.今後実際の臨床の場でこの理論の妥当性が証明されることを願ってやまない.
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