脳卒中
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12 巻 , 4 号
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  • 中島 健二, 小林 恒三郎, 鈴木 一夫
    1990 年 12 巻 4 号 p. 309-315
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞連続症例から, 主として放射線学的所見を診断基準にして脳血栓症群 (以下T群) と脳塞栓症 (以下E群) に分けた.T群は79例, E群は21例で, 発症時平均年齢には有意差はない.アルコール摂取率 (清酒にして2合/日以上) はE群で明らかに高かった (p<0.01).心電図上, 心房細動はE群に高率に認められたが (p<0.001), V5におけるRの増高はT群に多かった (p<0.01).ST-Tの変化は両群間で差はなかった.有意差のみられた入院時検査項目は血清総蛋白, 血清アルブミン, 血清総コレステロール値で, いずれもE群で低値を示した.CT導入以前の疫学的調査には, 脳出血に低コレステロール血症が多いとする報告があるが, これには脳塞栓症が含まれている可能性がある.E群に大酒家が多いことと考え合わせると, それに関連すると思われる慢性的な低栄養状態と心房細動が, 脳塞栓症を引き起こす大きな誘引となっていることが考えられた.
  • 蒲沢 秀洋, 伊藤 栄一, 池田 隆, 奥田 聡, 石川 作和夫
    1990 年 12 巻 4 号 p. 316-325
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    脳底動脈塞栓症の臨床像を明らかにする目的で自験3例を中心に文献的考察を加えて報告した.発症率は全脳梗塞患者631例の0.48%, 全脳塞栓症患者113例の2.7%に相当し, 比較的少なかった.自験3例はいずれも前駆症状を伴わない突然の昏睡で発症し, 対光反射と角膜反射の異常, 眼球運動障害, 四肢麻痺, 除脳硬直および自律神経症候などと神経症候は多彩であった.各症例は発症後53日, 80日および25日と比較的短期間に合併症で死亡し, 予後は極めて不良であった.脳底動脈塞栓症はこの様に, 脳梗塞の中で最も重篤で多彩な神経症候を呈するため, 確定診断が困難な場合が多く, 臨床的特徴を明らかにすることは極めて重要と思われる.
  • 柏木 史彦, 片山 泰朗, 目々澤 肇, 赫 彰郎
    1990 年 12 巻 4 号 p. 326-333
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    EPA (eicosapentaenoic acid) をSHRSPに長期経口投与を行ない, 生存率, 脂質代謝, および脳血管に及ぼす影響について走査型電子顕微鏡を用いて中大脳動脈内腔につき検討を行なった.さらに実験的脳虚血モデルを作成し脳浮腫および脳代謝に及ぼす影響につき検討した.生存率はEPA投与群にて高値を示し, 血清脂質の検討ではHDLの高値を示した.病理学的検討ではEPA投与群ではSHRSPに加齢に伴い生じる血管内皮細胞の障害が軽度であった.実験的脳虚血モデルでは, EPA投与群で脳含水量は低値を示し脳代謝諸量ではpyruvateの増加およびlactate/pyruvate比の減少を認めた.EPAの長期投与はSHRSPの死亡率を低下させ, 脳虚血後に生じる脳浮腫および脳代謝障害を軽減させることが示唆された.
  • 矢坂 正弘, 宮下 孟士, 山口 武典
    1990 年 12 巻 4 号 p. 334-339
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の肥満・高血圧・脳幹梗塞歴を有する男性, 一過性のめまい・複視・口囲のしびれを主訴に入院.脳血管写で左椎骨動脈閉塞と右椎骨動脈の高度狭窄があり, さらに出血性胃ポリープによる鉄欠乏性貧血の存在が認められた.脳血管不全に貧血が加わったためのTIAと考え, 入院まで行われていた降圧療法を中止し, 出血性胃ポリープに対する薬物治療を行った.この間ヘモグロビン値の変動を認めたが, TIAはヘモグロビン値9.09/dl以下で頻発した.polypectomy施行後, 貧血の改善とともに, TIAはほとんど見られなくなった.本症例は貧血による酸素運搬能の低下によりhemodynamic TIAが頻発したものと考えられた.
  • 山中 龍也, 寺林 征, 新井田 広仁, 妻沼 到, 杉山 義昭
    1990 年 12 巻 4 号 p. 340-345
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    右上小脳動脈と右後下小脳動脈を流入血管とする右小脳半球の脳動静脈奇形と右後下小脳動脈末梢および右前下小脳動脈分岐部に2つの動脈瘤を有する症例を報告し, 後頭蓋窩における脳動静脈奇形と動脈瘤の合併について若干の文献的考察を行った.
  • 高橋 若生, 吉井 文均, 山本 正博, 矢崎 考二, 篠原 幸人
    1990 年 12 巻 4 号 p. 346-350
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞発症後に出現する1ate seizure (痙攣発作) の臨床的特徴について検討した.対象は1977年から1988年の間に東海大学神経内科を受診した脳梗塞患者1,050例中, 脳梗塞発症2週間以降に痙攣発作を呈した43例 (男性26例, 女性17例) で, 年齢は45歳~83歳 (平均年齢±S.D. : 67±10歳) である.
    脳梗塞からseizure発症までの期間は1ヵ月から19年に及ぶが, 1年以内に発症した症例が12例で最も多く認められた.脳梗塞の部位では中大脳動脈皮質枝領域のみに病変が限局する症例が24例 (58%) と最も多く, これに中大脳動脈穿通枝, あるいは前, 後大脳動脈皮質枝領域にも病変を有する例を含めると79%になった.基礎疾患としては, 高血圧が25例で最も多かった.Iateseizureの発症時期は11~1月の期間に16例あるのに対し, 6~8月は4例と少数であった.脳波所見の検討では, 棘波, 鋭波のいずれかの発作波を認めた例が22例あり, 局所性徐波のみを認めた例は17例であった.重積発作は高齢者に多く起こる傾向があり, 再発は脳梗塞から初発痙攣発作までの期間の短い例ほど起こりやすい傾向が認められた.
  • 山下 耕助, 米川 泰弘, 河野 輝昭, 新島 京
    1990 年 12 巻 4 号 p. 351-356
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血及び脳内出血で発症し, 多発性脳動脈瘤を合併したthromboangiitis obliterans (TAO) の一女性例を報告した.一般に, TAO例で中枢神経症状を合併したいわゆるcerebral TAOは, 脳虚血症状を呈することが多く, 頭蓋内出血で発症することは極めて稀である.さらに, 脳動脈瘤を合併した報告は認められず, 本症例が最初の症例と考えられた.
    本症例における両者の合併は, 単なる偶然の一致とも考えられるが, TAOの血管病変の病理学的検討から, 血管壁の重要な構築であるcollagenの構造異常, あるいはcollagen type 1及びtype 3に対する抗体価の異常高値が指摘されており, Ehlers-Danlos症候群 (IV) などのcollagen欠損症に合併する脳動脈瘤と同様の機序による合併とも考えられる.
  • 大岩 海陽, 山本 康正, 津田 治巳, 武美 寛治, 久保 哲
    1990 年 12 巻 4 号 p. 357-362
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    原発性橋出血について, CT像より算出した血腫量・血腫進展方向と生命予後の関係を検討した.対象は原発性橋出血22例で, 平均年齢は60.9歳である.11例は発症後平均2.3日で死亡した.GroupI (5l未満) は8例で死亡例はなかった.GroupII (5~20ml) は10例で7例が死亡した.小脳進展1例, 小脳および中脳進展2例はすべて死亡した.中脳あるいは視床進展は6例で, 血腫量は小脳進展例より多い傾向にあったが, 3例は生存した.GroupIII (20ml以上) の4例は全例死亡し, 血腫はすべて小脳および中脳に進展し脳室穿破を伴っていた.
    以上より, 血腫量が5ml未満は生命予後は良好で, 20ml以上は絶対不良である.5~20m1の症例は予後不良であるが, 血腫が中脳方向のみに進展するものは生存の可能性を有し, 小脳方向に進展すると予後不良が示唆された.
  • 木村 和美, 矢坂 正弘, 宮下 孟士, 山口 武典
    1990 年 12 巻 4 号 p. 363-368
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は68歳の心房細動を有する女性.上部脳底動脈の塞栓性閉塞に基づく特異な眼症候と無動性無言を呈した.両側性に垂直眼球運動障害があり, これに加えて, 左眼は外転位で内転障害が認められたが, 瞳孔異常はなかった.右眼はcorectopiaを呈し, 瞳孔は散大, 対光反射消失, 責任病巣として右Edinger-Westpha1核, 左動眼神経核, およびrostral interstitial nucleus of MLFが推測された.
    MRIで両側視床から中脳被蓋に連続した病巣を認め, 眼症候と無動性無言は, 傍正中視床動脈の閉塞に基づくものと考えられた.
  • 岡村 和彦, 渡辺 正男, 中村 茂俊, 山本 昌幸, 福井 一裕
    1990 年 12 巻 4 号 p. 369-380
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    椎骨脳底動脈系の解離性動脈瘤の自験例6例を報告し, 文献例89例につき主としてその診断面より考察を加えた.
    発生部位は, 椎骨動脈4例, 椎骨動脈から脳底動脈に進展したもの1例, 後大脳動脈1例であった.症状としては脳虚血症状を示したもの4例, SAHを認めたものは2例であった.全例において初発時に突発性の頭痛や項部痛を認めた.VAの4例では嘔吐, めまい, 嚥下障害等の下位脳幹症状で始まり, Wallenberg症候群を示した.
    脳血管写所見としては, pearl and string sign 3, string sign2, pseudoaneurysm2, 等のpossible signが主であったが, true diagnostic signであるintramural pooling signを2例に認めた.
    文献上でも, 脳血管写でpossible signしか認められなくても, 頭痛, 項部痛を伴う脳虚血症状等の臨床症状を参考にすれば診断はさほど困難ではないと考えられる.
  • 森安 秀樹, 橋本 洋一郎, 宮下 孟士, 山口 武典, 笹岡 厚子
    1990 年 12 巻 4 号 p. 381-386
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    虚血性眼病変 (venous stasis retinopathy, ischemic oculopathy) を有する6症例におけるCT, 脳血管撮影所見について検討した.症例は全員男性で, 平均年齢は56歳であった.眼症候としては, 1例はamaurosis fugaxのみで, 他の5例には視力低下を認めた.このうち3例はamaurosis fugaxも合併していた.CTでは, 2例に梗塞巣が認められず, 梗塞巣を有する4例も, 内頸動脈閉塞があるにもかかわらず, 病巣は小さかった.脳血管撮影所見としては, 全例に虚血性眼病変と同側の頭蓋外内頸動脈に閉塞が存在し, 5例に眼動脈を主体とした側副血行路が認められた.この豊富な側副血行路により, 網膜血流の盗血現象を起こし, これが虚血性眼病変の誘因となったものと考えられた.4例が血管新生緑内障へと進展し, 視力に関する転帰は不良であった.従って, 閉塞性内頸動脈病変があり, 眼動脈を逆行する豊富な側副血行が認められる症例では, 定期的な眼科的検査が必要である.
  • 北村 明彦, 嶋本 喬, 土井 光徳, 飯田 稔, 小町 喜男
    1990 年 12 巻 4 号 p. 387-395
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    秋田農村における1963年から1984年までの疫学調査成績より, 脳卒中の発生状況の推移及び脳梗塞の発生要因の変遷を検討した.1.40~69歳では脳出血, 脳梗塞ともに発生率は著明に減少した.70歳以上では脳出血は減少したが, 脳梗塞の発生率は明らかな減少を認めなかった.この間の高齢者人口の増加により, 70歳以上の脳梗塞発生数は増加した.2.相対危険度及び多変量解析より, 前期コホート (1963~66年) では性別 (男子), 加齢, 高血圧, 眼底異常 (眼底高血圧性変化及び動脈硬化性変化) が, 後期コホート (1972~75年) では性別 (男子), 加齢, 高血圧, 心房細動が脳梗塞の有意のリスクファクターとなった.3.母集団寄与危険率より, 前・後期ともに高血圧が脳梗塞発生に最も寄与していたが, その寄与危険率は前期から後期にかけ著明に減少した.後期の心房細動について脳梗塞の相対危険度は約3.6倍の高値を示したが, 脳梗塞に対する寄与危険率は約3%と低率であった.
  • 棚橋 紀夫, 後藤 文男, 冨田 稔, 奈良 昌治
    1990 年 12 巻 4 号 p. 396-400
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    我々の開発した全血赤血球aggregometer (Am J physiol 1986 : 251 : H1205-H1210) を用いて一過性脳虚血発作 (TIA) の既往を有する患者26例 (男性21例, 女性5例, 平均年齢56±8歳) の赤血球aggregability (RBC-A) を測定した.TIA群は更にCT上梗塞巣を認めなかった群 (A群 : 19例) と, CT上梗塞巣を認めた群 (B群 : 7例) に分けた.RBC-AはTIA群 (A+B群) で0.142±0.025/s, A群で0.133±0.022/s, B群で0.163±0.021/sであった.各群とも明らかな疾患を有さない健常者群 (56±8歳) のRBC-A (0.122±0.027/s) に比較し有意に (p<0.01, p<0.05, p<0.01) 亢進していた.さらにB群のRBC-Aは, A群のRBC-Aに比し有意に (p<0.01) 亢進していた.RBC-Aと同時に測定した血液諸因子 (血算, 血清蛋白, fibrinogen) では, TIA群で白血球数が健常者群よりも有意に増加していたのみであった.上記の結果は, TIA患者がヘモレオロジー的にも脳梗塞を起こす準備状態にあることを示している.
  • 中洲 庸子, 金子 雅春, 寺本 祥子, 中洲 敏, 半田 譲二
    1990 年 12 巻 4 号 p. 401-403
    発行日: 1990/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    末梢性橈骨神経麻痺による下垂手に酷似した左側手根関節末梢の運動麻痺を認め, CTとMRIを用いて大脳運動領野皮質の小梗塞を明瞭に診断しえた1例を報告する.症例は52歳男性.48歳時に脳動脈瘤によるくも膜下出血の後, 社会復帰していたところ, 突然, 左手根関節を含む手指の運動麻痺を発症した.神経学的所見, 電気生理学的検査から中枢性病変を疑い, MRIが確定診断に有用であった.
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