脳卒中
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13 巻 , 1 号
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  • 鈴木 美智代, 渡辺 象, 宮川 弘一, 丸山 路之, 上嶋 権兵衛
    1991 年 13 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    一過性脳虚血発作 (以下TIA) の成因, 病態生理学的機序を明らかにする目的でIMP-SPECTおよびキセノン吸入法により脳循環動態を検討した.対象はTIA16例 (男6例, 女10例, 平均年齢62.1歳) で, 内頚動脈系12例, 椎骨動脈系4例である.IMP-SPECTでは, 多発性の低集積を示したものが9例, 単発性が3例, 側脳室周囲の低集積を示したものが3例, 明らかな異常を認めなかったものが1例であった.IMP-SPECT, X線CTの比較では, それぞれの所見が一致するものは4例のみで, IMP-SPECTがX線CTより病態を反映するものが11例, X線CTが優るものは1例に過ぎなかった.10例に施行したキセノン吸入法では, 症候, X線CT所見よりもIMP-SPECTとの相関がよい傾向であった.従来微小塞栓が主体であるとされてきたTIAの病態も, IMP-SPECTにより脳血流不全の関与が大であると考えられた.
  • Sugianto, 廣瀬 源二郎, 片岡 敏, 道下 秀信, 新井 哲彦
    1991 年 13 巻 1 号 p. 8-10
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    51歳男性, 突然の両側口周囲, 左手掌のしびれ感を主訴として入院.神経学的には両側口周囲, 左手掌, 特に手指先端部に触覚と痛覚の低下が認められた.頭部CTでは, 右橋被蓋部に微小な高吸収域を認め, 核磁気共鳴画像でもT1, T2強調画像で右同部に高信号域を認めた.本症では限局性の右橋被蓋出血により右側の内側毛帯, 右側へ交叉後の三叉神経毛帯腹側路と非交叉性背側三叉神経視床路が障害されて両側口周囲におよぶ手掌, 口症候群が発症したと考えられる.両側口周囲及び対側手掌のcheiro-oral syndromeは一側橋被蓋病変により生じることから脳幹の局在診断に重要な徴候と考えられた.
  • 小林 孝志, 上田 伸
    1991 年 13 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    閉塞性脳血管障害の一つに脳動脈壁解離がある.しかし, 臨床報告が散見されるのみで実験モデルによる検討は見当たらない.著者らは家兎総頚動脈に人為的動脈壁解離を作製し, 最長3ヵ月間飼育, 経時的 (1時間, 3週間, 1ヵ月, 3ヵ月後) に剖検し, その病態を検討した.55羽中25羽に組織学的に動脈壁解離を確認した.結果より, 壁解離は大きくre-entry形成 (REF), pocket形成 (PF), 閉塞の3群に分かれた.REF・PFモデルの経時的変化は発生1ヵ月以内は進展期で, 1ヵ月以降は徐々に治癒機転が生じ, 早いものでは3ヵ月後に治癒期 (組織学的安定期) になると思われた.1週間以内は隅角部に血栓形成を認め, 塞栓源となる可能性が示唆された.5羽に閉塞がみられたが, 大半は作成後1時間のもので, 壁解離の急性期に完全閉塞が生じうると考えられた.また別の1例は解離作成後10時間で解離性動脈瘤を生じ, 急性破裂をきたし死亡した.
  • 本庄 弘次, 橋本 洋一郎, 山中 信和, 米原 敏郎, 荒木 淑郎
    1991 年 13 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞後に過睡眠状態, 垂直性眼球運動障害, さらにコルサコフ症候群を呈した傍正中視床中脳梗塞の50歳男性を報告した.心疾患の存在, 臨床経過, 病巣部位からtop ofthe basilar syndromeを呈した脳塞栓症と考えられた.意味記憶の障害はなかったが著明なエピソード記憶の障害があり, 作話と病態に対する無認知を伴う健忘が持続し, 社会生活を制限され視床性痴呆に近い病態であった.また視床性の言語障害, 下転障害優位の垂直性眼球運動障害, およびpseudosixth nerve palsyを一過性に認めた。傍正中視床中脳梗塞では健忘が高頻度に認められるが, コルサコフ症候群を来すことは極めて稀である.本症例では傍正中視床中脳梗塞の責任血管であるparamedian thalamic artery領域のみならず一部tuberothalamic artery領域に両側性の病変の進展を認め, 乳頭体視床路の両側性障害によりコルサコフ症候群を来したと考えられた.
  • 太田 文人, 花北 順哉, 諏訪 英行, 西 正吾, 阪井田 博司
    1991 年 13 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    2回にわたり, 脳梗塞と肺梗塞を繰り返した症例を報告し, その共通する危険因子について検討した.症例は45歳の男性で, 右中大脳動脈と前大脳動脈の分水嶺領域と左前大脳動脈の終末領域に脳梗塞を生じた.肺梗塞は, 1回目の脳梗塞発作後, 暫くして行われた腰椎椎間板ヘルニア切除後の安静仰臥中と, 2回目の脳虚血発作による右下肢不全麻痺後の臥床状態の時に生じた.入院中に著明な起立性低血圧が認められ, 2回目の脳虚血発作は過度の飲酒と入浴後に生じていた.本症例の脳梗塞と肺梗塞の共通の危険因子としてはplatelet factor 4とβ-thromboglobulinの上昇で示される血小板凝集能の充進があり, これが基盤になり, 起立性低血圧によるhemodynamic factorと飲酒あるいは入浴によるhemoconcentrationが重なり, 脳梗塞が生じたと考えられた.肺梗塞は血小板凝集能充進状態に, 臥床状態が重なり生じたと推察された.
  • 金子 尚二, 北井 則夫, 坂井 文彦, 神田 直, 田崎 義昭
    1991 年 13 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    発症後3時間以内の被殻出血例で, かつ, CT画像上, 脳卒中の外科研究会の分類でIVb以内のもの46例 (内, 血腫進展7例) を対象に, 超急性期における血腫拡大因子として, 入院後24時間以内の血圧変化が如何にかかわっているのかを知る目的で検討を行った.その結果, 1) 入院直後の血圧は血腫進展群, 非進展群に差は認められず, 血腫非進展群では, 入院後の血圧は, 血腫量の大小にかかわらず差なく減少する傾向がみられた.2) 血腫進展群の血圧は, 入院後3時間と24時間にpeakを有する二峰性の有意な変動がみられた.以上より, 血腫進展群にみられた初期血圧上昇は, 出血持続に伴う脳圧充進に基づく変化あるいは結果というよりはむしろ, 血腫進展の直接的な原因であろうと考えられた.そして, 後期血圧上昇は血腫拡大に伴つ脳圧充進に基づく変化あるいは結果と考えられた.従って, 入院後, 血圧がさらに上昇する軽症例においては, 適当な降圧療法の対象になりうるものと考えられた.
  • 亀津 優, 高木 繁治, 灰田 宗孝, 竹岡 常行, 篠原 幸人
    1991 年 13 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    左片麻痺, 舌の右偏位, 左上下肢の深部感覚障害から, 臨床的に延髄内側症候群と診断し, MRIのT2強調画像 (TR3,000msec, TE90msec) で, 右延髄内側にhigh signal intensityを確認した73歳の男性例を報告した.延髄内側症候群は, 1908年Spillerの最初の記述以来, 報告が散見されるが, 生前に病巣が確認されたのは, FoxらのMRIによる報告以外は, 我々が本症例を初めに報告するまでは, 少数のCTによる確認例があるのみであった.また, 本症候群と診断された従来の文献上の症例を検討すると, 当初本症候群にみられると成書に記載されている症状全ての組合せはむしろ稀であった.以上本邦で初めてMRIにて延髄内側症候群と確認された症例のMRI所見と臨床症状の詳細につき報告した.
  • 河野 輝昭, 米川 泰弘, 菊池 晴彦
    1991 年 13 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    破裂脳動脈瘤患者690名について, アンケートによる最高約8年間の長期追跡調査を行なった.アンケートの回収率は約80%であり, 追跡時の日常生活, 通院状況に加え, 生命曲線をKaplan-Meier法により求めた.追跡調査可能であった, 544名のうち, 死亡退院は150例に認められ, 退院時ADLは1から6までそれぞれ, 172,105, 59, 26, 13, 17例であった.44例が追跡期間中に死亡しており, 多くは心, 肺合併症であった.生存率については, 年齢と退院時ADLに完全に依存し, 65歳以下でADL1-4については追跡期間中極端な低下は認められなかった。しかしながら, 65歳以上でのADLが3, 4, 5, 6のものと, 年齢を問わず退院時ADLが5, 6の者の生存率は悲観的であり, その約半数が2年以内に死亡していた.生存率向上の為, 退院時ADLを改善させる努力が望まれる.
  • 坂井 昇, 浅野 好孝, 谷川原 徹哉, 安藤 隆, 山田 弘
    1991 年 13 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Cryptic vascular malformationの1つであるcavernous angioma (CA) の20例を対象として臨床的検討を加えた.発症年齢は6~75歳平均34歳, 15歳以下5例, 男女比は7対13であった.初発症状は3型に分けられ, 急性巣症状型が40%, 痙攣発作型が40%, その他20%であった.CAはplain CTで95%がhigh densityな病巣として示され, MRIでは全例異常なintensityとして描出され, うち85%がheterogeneousであった.4例は2~26ヵ月の経過観察中再出血や病巣の増大による症状の増悪を示した.CAの局在は天幕上12例, 天幕下5例, 多発3例で, うち5例は脳幹であった.1例は家族発生例であった.全例開頭術によりCAを摘出し, 症状は術前に比べ悪化したものはなく諸症状の改善がみられた.これらの結果から, CAは自然経過において出血を繰返すこと, MRIが診断および摘出術の方法決定に有用であること, 脳幹部発生例でも摘出によって神経諸症状の改善と良好な予後が得られることが示された.
  • 福井 一裕, 岡村 和彦, 渡辺 正男, 中村 茂俊, 山本 昌幸
    1991 年 13 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    我々は破裂脳動脈瘤重症例に対し頭蓋内圧充進の改善, 早期のクモ膜下血腫除去, 再破裂予防のために急性期手術を原則とし, 術後の集中的治療により可及的改善を来たす努力をしてきた.しかし重症群の予後は不良で術後急性期の回復は軽症例に比べ有意に悪く, また術後6ヵ月以降は改善が見られなかった.そこで重症群の予後良好群, 不良群の比較から予後に影響を与えたと思われる因子を検索した.重症群は軽症群に比べ平均年齢が高く, 急性水頭症, 脳内血腫を伴った例が多かった.脳内血腫, 高齢, 術後全身性合併症は重症群の予後悪化因子であった.症候性血管攣縮は急性期死亡の原因として最も多かったが, 回復を示す可逆的脳血管攣縮例も多く見られた。動脈瘤の部位や大きさ, 術後水頭症などは重症群の予後に有意な差を生じなかった.破裂脳動脈瘤重症例の術後は, 脳血管攣縮, 全身性合併症予防のための集中的治療が重要であった.
  • 北井 則夫, 神田 直, 畑 隆志, 坂井 文彦, 田崎 義昭
    1991 年 13 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧性視床出血例で上肢より下肢に強い麻痺 (下肢に強い片麻痺) を呈した症例について検討した.視床出血120例中117例に片麻痺を認め, そのうち下肢に強い片麻痺を呈した症例は12例であった.下肢に強い片麻痺を呈した12例の全例のCT像で血腫が視床より上方に伸展し, 傍側脳室放線冠の後半部に及ぶという共通した所見が認められた.このうち2例では上記の所見に加えて内包後脚後部へ血腫の伸展が認められたが, 残りの10例では血腫は視床より上方にのみ伸展していた.
    すなわち視床より上方に伸展した血腫による傍側脳室放線冠の後半部の障害が下肢に強い片麻痺を出現させたことは, 下肢を支配する皮質脊髄路の線維群が同部位を走行することを示唆するものと考えられた.
  • 山野 和成, 平田 幸一, 山崎 薫, 多田 清一, 片山 宗一
    1991 年 13 巻 1 号 p. 69-71
    発行日: 1991/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    左傍正中橋被蓋・底移行部出血で右三叉神経領域 (顔面・口腔内・舌) のみの知覚障害を示し他の神経症状を随伴しなかった66歳男性例を報告した.症状が三叉神経領域にのみ限局する橋出血は, 文献上1例知られるにすぎず極めてまれであるが, 突発する顔面の知覚障害を呈した患者に遭遇した場合, 橋出血も念頭におき診療にあたる必要があると思われた.
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