脳卒中
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13 巻 , 2 号
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  • 藤井 康伸, 小川 彰, 嘉山 孝正, 桜井 芳明
    1991 年 13 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    両下肢麻痺にて発症した破裂椎骨動脈・後下小脳動脈瘤を2例報告した.症例1は, 58歳, 女性.頭痛, 嘔気, 嘔吐, 意識消失で発症.入院時, 両下肢麻痺と外転神経麻痺が認められた.症例2は, 61歳, 女性、意識消失にて発症.入院時, 四肢麻痺が認められ, 麻痺は下肢により強かった.両者とも, CTにて脳底槽にくも膜下出血が認められ, 脳血管撮影にて, 右後下小脳動脈起始部に脳動脈瘤が認められた.脳動脈瘤根治術 (neck ligation & clipping) 施行後には, 両下肢麻痺は徐々に改善した.両下肢麻痺は, 後下小脳動脈瘤の特徴的な症状としては認識されていない.本2症例では, 動脈瘤が正中部にあり, 橋下部から延髄上部に位置し, 内側・後方・上向きである点で共通していた.よって, 両下肢麻痺は, このような位置と向きの後下小脳動脈瘤の破裂における特徴的な神経脱落症状の1つとなりうると考えられた.
  • 橋本 洋一郎, 大谷 智子, 平野 照之, 平田 奈穂美, 荒木 淑郎
    1991 年 13 巻 2 号 p. 80-86
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Tuberothalamic artery領域の右視床梗塞を来した結核性髄膜炎の32歳男性例を報告した.発熱と頭痛で発症し, 経過中に失見当識, 了解不良や傾眠状態が出現した.CTではtuberothalamic artery領域の右視床に造影効果のない梗塞巣と考えられる低吸収域を認め, これが失見当識などの原因と考えられた.脳底槽は等吸収域を呈し著明な造影効果を呈した.MRIでは脳底部の血管はflow void phenomenonのため低信号域を呈したが, 脳底槽はT1強調画像で等信号域, T2強調画像では髄液より低い高信号域を呈し, 著明な造影効果を呈し, これがgranulomatous basal arachnoiditisの部位を示していると考えられた.結核性髄膜炎で急に意識障害や精神症状を来した場合には脳梗塞の合併を考慮する必要がある.
  • 辰巳 裕之, 村井 淳志, 宮原 忠夫, 藤本 直規, 松田 実
    1991 年 13 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    リポプロテイン (a), 以下Lp (a) はLDL類似のリポ蛋白であり, 冠動脈疾患, 脳梗塞の危険因子である.Lp (a) の蛋白部分apo (a) は, SDS電気泳動にてF, B, S1-4, 検出不能の0の7つの表現型を示すので, apo (a) phenotypeの脳梗塞における意義について検討した.健常者198名のLp (a) 濃度の中央値は13.0mg/dl, 穿通枝型脳梗塞47名では12.6mg/dlであったが, 皮質枝型脳梗塞51名では16.8mg/dlであり有意に高値であった.phenotype別に平均値を比べたが, 3群の間で差がなかった.Lp (a) 濃度が低値を示すS3, S4, 0 typeは, 健常群では全体の59.0%を占めるが, 皮質枝群では47.0%と少ない.一方, 高値を示すS1, S2typeは, 健常群で20.8%であったが, 皮質枝群では31.4%と有意に多かった.穿通枝群と健常群の間にはこの差異がなかった.apo (a) phenotypeの同定は脳梗塞の危険因子のスクリーニングに有用と考えられた.
  • 高木 繁治, 小畠 敬太郎, 篠原 幸人
    1991 年 13 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    133Xe吸入による非侵襲的脳血流測定法では上気道内に分布する133Xeによるartifact (APA) の影響が大きく, Fourier法はこのAPAの影響を除去できる計算法とされている.正常人および各種神経疾患患者11例から得られた頭部133Xe減衰曲線から従来のObrist法 (VM法) とFourier法で脳血流を計算し比較した.脳半球平均灰白質血流量F1はVM法では69.2±13.2ml/100gbrain/min (mean±S.D.), Fourier法では64.4±13.5であり, この差はFourier法によってAPAが除去されるためと考えられた.しかし前頭部, 側頭部などでは, 副鼻腔等に停滞した133Xeによる, 呼吸気中の133Xe濃度曲線とは異なる形のartifactの影響を受け, その影響はFourier法を単に使用するのみでは除去できないと考えられた.以上よりFourier法においても減衰曲線の形, APAの大きさに注意し, とくにAPAの大きさが30以上の部位からの成績は検討から除外することがのぞましいと考えた.
  • 山元 敏正, 棚橋 紀夫, 奈良 昌治, 竹中 信夫
    1991 年 13 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    視床出血126例のうち, 内科的治療120例の予後と入院時意識レベル, CT所見の関連を検討した.I.意識が清明・錯乱の39例中29例 (74%) は自立生活以上で, 死亡例はなし.半昏睡以上の29例中25例 (86%) が死亡.II.1) CT分類では, Ia群の36例中26例 (73%) が自立生活以上であったが, III群はI群, II群に比し予後不良で, IIIa群では4例中3例 (75%) が介助生活, IIIb群では34例中25例 (74%) が死亡.2) 血腫量10ml以下の75例中4例 (5%), 25mlを越える群14例の全例が死亡.3) 血腫最大径15mm以下の13例は全て生存したが, 35mmを越える例では28例中23例 (82%) が死亡.4) 脳室穿破を伴った73例中34例 (47%) が死亡, 伴わない群の死亡は1例 (2%) のみであった.5) 水頭症を伴った18例中15例 (83%) が死亡したが, 伴わない群の死亡は102例中20例 (20%) であった.以上より, 入院時意識レベル, CT所見 (CT分類, 血腫量, 血腫の最大径, 脳室穿破や水頭症の有無) が視床出血の機能予後に密接に関与していた.
  • 扇一 恒章, 遠藤 俊郎, 西嶌 美知春, 岡 伸夫, 高久 晃
    1991 年 13 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    発症5日目及び8日目の亜急性期に血栓内膜切除術を施行し, 良好の予後を得た頚部内頚動脈完全閉塞2症例につき報告した.
    症例1は67歳男性, 右片麻痺と運動性失語を示す, progressivestrokeで発症した.血管撮影にて左内頚動脈の完全閉塞と, 対側より前交通動脈を介しての側副血行を認めた.発症8日目に血栓内膜切除術を施行し, 血行再開に成功し術後症状の改善を認めた.
    症例2は68歳男性, 左片麻痺と構音障害を示すprogressivestrokeで発症した.来院時の血管撮影では右内頚動脈の完全閉塞と, 同側の後交通動脈を介した側副血行を認めた.保存的加療にて症状改善せず, 血栓内膜切除術を施行し再開通に成功, 術後症状の改善を認めた.
    頚部内頚動脈完全閉塞例に対する急性期または亜急性期の血栓内膜切除術の意義および適応について考察を加えた.
  • 佐藤 清人, 津田 能康, 渡辺 一史, 前田 肇, 松尾 裕英
    1991 年 13 巻 2 号 p. 114-119
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は69歳, 女性.心房細動を伴う僧帽弁狭窄症により通院中, 突然左半身片麻痺と意識障害で発症し入院.頭部CTでは右中大脳動脈領域に広汎な低吸収域を認め心由来の脳塞栓症と診断した.発症当日の断層エコー図上左房内に血栓を検知しなかった.発症1ヵ月後よりワーファリン投与による抗凝固療法を開始したが, 投与16日目に断層心エコー図上左房内に有茎の壁在血栓を検知し更に22日目には左房内を心拍動に伴って浮遊する径20mmの球状血栓を認めた.同日, 緊急血栓摘出術を施行し径24mm, 5.6gの球状血栓と左心耳の壁在血栓を摘出した.以上の結果より脳塞栓を来たした心房細動を伴うリウマチ性僧帽弁狭窄症例では発症直後に左房内血栓が認められない場合にも断層心エコー法による経時的な追跡が必要と考えられた.
  • 谷中 清之, 小林 栄喜, 亀崎 高夫, 野村 展生, 能勢 忠男
    1991 年 13 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症候性皮質下出血の原因には, 脳腫瘍をはじめとして, 動静脈奇形, Cerebral amyloid angiopathyや出血性素因等が挙げられる.今回我々は, 希な血液凝固因子欠乏症による反復性皮質下出血の1例を経験した.症例は62歳の男性で, 計4度の皮質下出血をくり返した.CT・MRI・血管造影をはじめとする画像診断, 一般血液凝固系検査及び脳組織生検にて異常を認めず, 詳細な凝固因子の検索にて凝固第XI因子及びXIII因子の低下を認めた.本症例では明らかな遺伝歴を認めず, 複数の因子が低下していた事から, 後天性欠乏症と考えられた.これらの因子の欠乏症は非常に希であり, 一般的な凝固系検査では異常を示さず見逃され易い.画像診断・組織生検等にて出血の原因が明らかでない場合, 詳細な凝固系因子の検索が必須であろう.
  • 豊田 一則, 長谷川 泰弘, 橋本 洋一郎, 峰松 一夫, 山口 武典
    1991 年 13 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    多発性の, 脳血管撮影で描出されない脳血管奇形 (angiographically occult intracranial vascular malformation, 以下AOIVM) により被殼出血を来した2症例を経験した.症例1 (77歳, 女), 症例2 (66歳, 女) とも運動麻痺で発症し, 急性期CTで右被殼に高吸収域を認めた.脳血管撮影上は異常所見はなかったが, 高磁場MRIで脳内各所に等・高信号域の混在する多発性低信号病変が描出され, その特徴的な所見から, 多発性の微小脳血管奇形 (AOIVM) と診断した.このような多発性のAOIVMを原因とする被殼出血は, 他に報告を見ない.基底核部脳出血でも, 脳血管奇形は従来考えられていたほど稀ではない可能性があり, その臨床的意義は, MRIを用いて再検討する必要がある.
  • 甄 維寧, 久山 秀幸, 西野 繁樹, 白川 武志, 西本 詮
    1991 年 13 巻 2 号 p. 132-138
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    内頚動脈に発生した巨大脳動脈瘤に対し総頚動脈の結紮術を行ったにもかかわらず, 6年4ヵ月後のCTと脳血管写で動脈瘤が著明に増大した症例を経験した.症例は64歳女性で, 右眼の視力障害を主訴とし昭和54年当科に入院した.神経学的には右視神経乳頭の萎縮を認め, 脳血管写で, 右内頚動脈のC1部にneckを有する石灰化を伴った巨大脳動脈瘤を認めた.直達手術は困難と考え, 右総頚動脈結紮術を施行した.術後視力はやや改善したが, 昭和59年より記銘力障害をきたすようになり昭和60年当科に再入院した.CTでは動脈瘤の著明な増大を認め, 脳血管写では, 右椎骨動脈から筋肉枝を介して右後頭動脈, 外頚動脈, 内頚動脈の順に造影され, 動脈瘤の内腔がserpentine channelとして造影された.総頚動脈結紮後は長期にわたるCT follow-upが必要で, 動脈瘤内の血栓化が不十分である例には内頚動脈の結紮またはtrappingを考慮すべきであると考えられた.
  • 平野 照之, 寺本 仁郎, 内野 誠, 橋本 洋一郎, 荒木 淑郎
    1991 年 13 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    橋梗塞の急性期にみられた, 一側のMLF症候群に伴った対側眼の外斜位を呈するnon-paralytic pontine exotropiaの1例を報告した.症例は45歳男性で, 複視, 構音障害と左片麻痺に加え, 右MLF症候群と左眼の外斜位を認め, 約2週間の間, いわゆるnon-paralytic pontine exotropiaを呈した.MRIで右側橋中部の傍正中橋枝領域に一致して橋底部から被蓋にわたる梗塞巣が確認され, 脳血管造影から脳底動脈の強い動脈硬化に基づく脳血栓症と考えられた.non-paralytic pontine exotropiaの報告は極めて稀であり, 橋被蓋部に内側縦束と傍正中橋網様体の一部を含む病巣が存在し発症に関与しており, MLF症候群とone-and-a-half症候群との中間の広がりをもつと考えられた.また, non-paralytic pontine exotropiaに片麻痺を伴う場合, 橋底部に病変が及んでおり, 片麻痺が高度であるほど橋のより尾側に病巣が存在するものと考えられた.
  • 大口 義人, 北村 公博, 太田 舜二, 江島 光彦, 山根 清美
    1991 年 13 巻 2 号 p. 145-147
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    偽痛風は高齢者に多発し, その発作は外傷, 手術, ストレスなどで誘発されることは知られている.ところが, 脳卒中発作で偽痛風の発作が高率に誘発されることや, この発作がしばしば発熱を伴うことは意外に知られていない.したがって, 脳卒中で偽痛風発作が誘発されても, 意識障害で関節痛などの愁訴が明瞭でない時は, 発熱のみに目を奪われて診断が遅れることがある.私達もかかる症例を経験し, 脳卒中急性期に原因不明の発熱をみたときは是非, 本症を念頭におくべきと考え報告した.
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