脳卒中
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13 巻, 4 号
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  • 山下 一也, 小林 祥泰, 岡田 和悟, 小出 博己, 恒松 徳五郎
    1991 年 13 巻 4 号 p. 235-239
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    慢性期穿通枝領域脳梗塞患者19名について脳萎縮とP300潜時との関連について, 検討を行った.脳萎縮度の評価は, CTスキャンによる断面積比計測法である脳室/脳断面積比 (Ventricular Area Index以下VAI), 脳実質/頭蓋内腔断面積比 (Brain Atrophy Index以下BAI) を用いた.側脳室体部, 基底核レベルともVAI, BAIは年齢と有意の相関を認めた.P300潜時はFz, Cz, Pzそれぞれ376.8±31.3msec, 376.8±29.2msec, 378.0±28.9msecであり, P300潜時は年齢と有意の正相関を示した.年齢の因子を除外するため, 重回帰分析を行ったところ, 脳萎縮度とP300潜時との間に有意な相関を得たのは, 側脳室体部レベルでは, VAIとFz, Pz部位のP300潜時, BAIとFz, Cz, Pz部位のP300潜時, また, 基底核レベルでは, BAIとFz, Pz部位のP300潜時であった.これらのことより, 穿通枝領域脳梗塞患者において, 脳萎縮とP300潜時の延長とが関連していることが示唆された.
  • 山崎 薫, 片山 宗一, 山野 和成, 角南 真一, 成松 衛
    1991 年 13 巻 4 号 p. 240-243
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    後下小脳動脈 (PICA) perimedullary segment閉塞により小脳の大梗塞をきたしたにもかかわらず, めまい, 悪心・嘔吐, 眼振のみを呈し他の神経症状を随伴せず全経過4日で軽快した59歳男性例を報告した.小脳梗塞にはめまい, 悪心, 歩行障害を主徴とし, neocerebellar syndromeを呈さず, 迷路疾患に酷似する症例が存在することが知られている.さらに歩行障害も認めない軽症例は自験例の他には文献上2例知られているにすぎない.責任病巣はいずれも小脳PICA領域である.小脳症状を示さないめまい患者でも, 小脳PICA領域梗塞も念頭におき診療にあたる必要があると考えられた.
  • 佐渡島 省三, 岡田 靖, 八尾 博史, 井林 雪郎, 藤島 正敏
    1991 年 13 巻 4 号 p. 244-248
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    新規麦角誘導体であるCBM36-733 (2-methyl-α-ergocryptine) の実験的脳虚血時における, 脳循環, 代謝に対する効果について検討した.高血圧自然発症ラットの両側総頚動脈を結紮して脳虚血を作製した.大脳皮質の血流は水素クリアランス法で, 虚血の1時間の脳組織中の乳酸, ATP, ピルビン酸濃度は酵素法で測定した.CBMは0.01, 0.1, 1.0mg/kgとして脳虚血作製直前に投与した.両側総頚動脈結紮により, 脳血流は前値の5~11%に低下したが, CBM投与による影響はみられなかった.一方乳酸値は, 対照群で27.5±2.6mmol/kgと正常値の12倍に上昇したのに対し, CBM0.1~1.0mg/kg投与により, 3~5倍の上昇におさえられ, ATPも対照群では1.30±0.05mmol/kgと正常の1/2に低下したのに対し, CBM投与によりほぼ正常に保たれた.乳酸/ピルビン酸値も同様の傾向を示していた.
    CBM36-733は脳虚血時の代謝障害を, 脳血流を介さずに改善することが示された.
  • 福田 準, 小林 祥泰, 岡田 和悟, 恒松 徳五郎
    1991 年 13 巻 4 号 p. 249-256
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    皮質に梗塞を認めない慢性期の穿通枝領域多発性梗塞34例における, 大脳白質病変の程度, 大脳萎縮, 知的機能, 加齢, 及び高血圧の程度の関連につき重回帰分析を用いて検討した.白質病変の程度並びに大脳萎縮度の定量化は0.15テスラーの常伝導型MRIにて撮影した核磁気共鳴像を用いて行った.大脳萎縮あるいは白質病変が著明な例では長谷川スコアで評価した知的機能の低下が著明であった.加齢による大脳萎縮の進行を認めたが, 年齢と白質病変の程度との間には有意な相関を認めなかった.白質病変が広範な例では大脳萎縮が著明であり, 拡張期血圧も高かった.慢性期の穿通枝領域多発性梗塞においては, 管理不良の高血圧にもとづいて進展した, 脳室周囲高信号領域をも含めた白質病変は, 大脳萎縮や知的機能の低下を招く一因である可能性が示唆された.
  • 山名 知子, 伊藤 栄一, 池田 隆, 奥田 聡, 吉田 眞理
    1991 年 13 巻 4 号 p. 257-264
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    国立療養所東名古屋病院及び国立名古屋病院において, 12年間にCT検査を施行した脳梗塞1,422例のうちCT上後大脳動脈領域に低吸収域のあったものは167例 (11.7%) であった.167例中男性は120例の71.8%, また脳塞栓症と診断できたものは39例の23.3%であった.後大脳動脈領域梗塞 (以下PCAIと略す) 患者のCT上での病変部位別, 左右別及び内側側頭葉病変 (以下MTLと略す) の有無別に分け, 神経心理学的に十分な評価がなし得ないと考えた44例を除いて, 総計123例について神経心理学的症候を検討した.両側, 左側, 右側病変ともMTLを伴うものに健忘症候群の頻度が高く, 特に左側病変で顕著であった.同名半盲は46例の37%にみられた.左及び両側視床前内側部病変でも健忘がみられた.両側及び左側のMTLを伴うものに純粋失読, 色彩失認が多くみられた.分水嶺領域の梗塞で健忘を生じたものではMTLを伴うものが多かった.
  • 初回脳血管撮影で発見が困難な破裂脳動脈瘤の手術症例を中心に
    井上 明, 佐藤 進, 関口 賢太郎, 谷口 禎規, 渡辺 徹
    1991 年 13 巻 4 号 p. 265-273
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    CT導入以後の10年間に経験した出血源不明のクモ膜下出血例20例をretrospectiveに検討した.脳血管写の再検と試験開頭術などで20例中14例に破裂脳動脈瘤を確認した.血管写で動脈瘤が描出され難い主な理由は小動脈瘤と非分岐部の動脈瘤であった.CT上, 両側均等なクモ膜下出血とシルビウス裂に限局するクモ膜下出血では動脈瘤が発見される例が多かったが, 迂回槽に限局するクモ膜下出血では動脈瘤が発見された例はなかった.脳血管写の再検を行った13例中7例で脳動脈瘤を発見した.脳血管写再検施行病日を動脈瘤描出「あり」, 「なし」で比較すると, 前者は平均22病日, 後者は平均12病日であった.脳血管写の再検を待たずに早期試験開頭術を行った7例中5例に術中に動脈瘤を確認した.治療方針として, 脳血管写の再検は必ず行うべきで, 時期は3週以降に行うと動脈瘤発見の確率が高い.症例によっては, 急性期に試験開頭術をも考慮すべきと考えられた.
  • Fisherらの鑑別基準の再評価
    永山 正雄, 篠原 幸人, 灰田 宗孝
    1991 年 13 巻 4 号 p. 274-283
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧性脳出血の部位診断に関するFisherらの鑑別基準の再評価を行うため, 脳出血合計179例の急性期臨床像 (初診時所見で発症後3日以内のもの) とそのCT, MRI所見とを比較検討した.その結果主に以下の点で従来の知見の見直しが必要と考えられたので, 新しい臨床鑑別基準を呈示した.見直しが必要な点として, 1) 縮瞳, 対光反射消失は視床出血に特徴的でなく被殻出血でもみられ, 両者の鑑別に有用とはいえない.2) 眼球下方偏視は視床出血でも出現頻度は21%と少ないが, もしあれば視床出血の有力な証左となる.3) 発症時意識障害なしの反復性嘔吐は, 小脳出血では100%に認められたが皮質下, 混合型などでも高率にみられた.4) 脳幹部出血でも発症時意識障害, 四肢麻痺, 縮瞳などの出現は半数以下にみられるにすぎない.
    以上の原因としてCTなど診断技術の進歩の他, 血圧など日常管理の向上に伴う軽症脳出血例の増加も関与しているものと考えられた.
  • 卜蔵 浩和, 小林 祥泰, 木谷 光博, 山下 一也, 恒松 徳五郎
    1991 年 13 巻 4 号 p. 284-290
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    椎骨脳底動脈循環不全 (VBI) 17例と対照群30例における脳底動脈の蛇行, 延長, 壁在血栓の状態をMRIを用いて検討し, 脳血管撮影と比較した.VBI群では対照群に比して有意に蛇行を認め, 血管撮影での蛇行所見との比較でも高い相関を認めた.脳底動脈の延長も有意に強かった.また壁在血栓の存在も対照群に比べ有意に高率であった.危険因子との関連では, 高血圧群は非高血圧群に比べて脳底動脈の蛇行, 延長が強く, Htの上昇も蛇行と相関していた.MRIによる脳底動脈の蛇行, 延長所見は血管撮影とよく相関し, とくに壁在血栓の描出は血管撮影よりMRIが優れていると考えられ, VBIの診断の参考所見として有用と考えられた.
  • 森永 一生, 大川原 修二
    1991 年 13 巻 4 号 p. 291-295
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧性脳出血, 脳梗塞患者に対し血漿ANP, ADHを測定し, 低Na血症におよぼす影響について検討した.対象は過去1年間に当院に入院した高血圧性脳出血19例, 脳梗塞11例である.低Na血症発生例は, 脳出血例の4例だけで, 脳梗塞例は1例もなかった.脳出血例の血漿ADHは, 低Na血症の発生の有無にかかわらず急性期において高値であり, 以後漸減した.脳梗塞例の血漿ADHは, 各時期間で有意な変動を示さなかった.血漿ANPは, 脳出血の低Na血症発生例では, 急性期の値が低Na血症期まで持続する傾向にあったが必ずしも高値ではなかった.脳梗塞例では, 各時期とも有意に高かったが, 低Na血症の発症例はなく, 心疾患などの合併症によるANPの上昇と考えられた.以上の結果から高血圧性脳出血, 脳梗塞患者において, 急性期の血漿ADH, ANP値より低Na血症の発生を予測することは困難であるが, ANPの不適切分泌が低Na血症発生に関与する可能性は残された.
  • 山下 一也, 小林 祥泰, 木谷 光博, 小出 博己, 岡田 和悟
    1991 年 13 巻 4 号 p. 296-300
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    慢性期穿通枝領域脳梗塞患者での白質障害, P300潜時, 脳血流 (rCBF) および脳萎縮の関連について検討を行った.対象は, 明らかな痴呆のない慢性期穿通枝領域脳梗塞患者32名 (平均年齢62.8歳) で, MRIにて撮影した基底核及び側脳室体部を通る水平断T2画像上, 脳室周囲の大脳白質変化 (PVH) の程度により, I群 : PVHが認められないか前角に薄く限局したもの9名, II群 : PVHが側脳室体部にも薄く広がるもの11名, III群 : PVHが脳室全周に明らかに認められるか局所的に厚く認められるもの12名の3群に分類した.3群間のP300潜時の比較では, III群ではI, II群よりも有意にP300潜時は延長していた.rCBFには3群間に有意差を認めなかった.脳萎縮の比較では, III群では, I, II群に比し有意に脳萎縮の程度が強かった.明らかな痴呆の認められない穿通枝領域脳梗塞患者において, 白質障害の程度と認知機能障害, 脳萎縮とは関連があることが示唆された.
  • 大橋 経昭, 松田 昌之, 半田 譲二
    1991 年 13 巻 4 号 p. 301-308
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    1979年4月より1990年3月までの11年間に経験した脳動脈瘤428例中, 両側対称性脳動脈瘤は28例に認められた.多発性脳動脈瘤の中に占めるこの特殊な脳動脈瘤の特徴を, これまでの報告と比較検討した.発生部位は従来の報告どおり, 内頸動脈, 中大脳動脈に多く, 両者を合わせると90%を占めた.また内頸動脈に認められた16例 (57%) は, 1例を除きすべて女性であった.発生頻度は全脳動脈瘤の6.5%, 多発性脳動脈瘤の29.1%を占め, 従来の報告に比べ少し高かった.各脳動脈瘤部位別の発生頻度には大きな差はなく5~10%に認められた.神経放射線学的な破裂側の診断率は92.3%で, 多発性脳動脈瘤における従来の破裂側診断率と差はなかった.治療は, 1回の手術で両側の脳動脈瘤を処置すべきという報告があるが, 当科では2回に分けて手術することが多く, そのために予後に悪影響を与えた症例はなかった.
  • 星野 晴彦, 高木 誠, 高木 康行, 竹内 郁男, 板垣 仁
    1991 年 13 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    特発性頭蓋内内頚動脈解離を呈した31歳女性を報告した.本症例は明らかな外傷がなく, 特発性と診断した.臨床症状は, 頭痛にともなう左同名半盲のTIAにて発症し, 約1日のlucid intervalの後, 進行性の左不全片麻痺を呈した.血管撮影により右内頚動脈supraclinoid部に特徴的なtaperingを認めた.経時的な血管撮影所見から, 解離にともなう血栓性塞栓によるTIAと, 血栓性閉塞に伴う血流不全による脳梗塞の病態が示唆された.本症例では, 抗凝固療法が効果的であり, 予後良好であった.
  • 中洲 庸子, 竹市 康裕, 五十棲 孝裕, 半田 譲二
    1991 年 13 巻 4 号 p. 315-320
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は64歳女性.右動眼神経麻痺の精査のため入院後, 意識を消失し倒れているところを発見された.意識障害と右上肢の不全麻痺は数時間以内に消失した.CTでは後頭蓋窩と左側頭頭頂部に硬膜下血腫を認めたが, くも膜下出血はなかった.脳血管撮影で, 両側の内頚動脈一後交通動脈分岐部 (IG-PC) に嚢状動脈瘤を, 左側頭葉に脳動静脈異常 (AVM) を認めた.出血源の同定が困難であったため, 最も出血の危険性が高いと考えられた右IC-PC動脈瘤から根治術を行い, 二期的に左IG-PC動脈瘤, 左AVMの順に手術を行ったところ, 何れも明らかな出血の痕跡を証明できなかった.
    破裂脳動脈瘤は, 時に急性硬膜下血腫を形成することが知られている.実際には, 本症例のように脳動脈瘤が直接硬膜下腔に出血したものか, 外傷が原因の硬膜下血腫であったのかを診断することは, 必ずしも容易でないことがある.出血源となりうる病変を複数かかえた症例では, 出血源の同定が困難であれば血管撮影の詳細な検討を行い, 再出血の起こる可能性の最も高いものから順に根治術を施行するべきであろう.
  • 石川 和彦, 岩隈 裕明, 伊東 祐信, 桑原 寛, 庄司 紘史
    1991 年 13 巻 4 号 p. 321-323
    発行日: 1991/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    我々は湯布院厚生年金病院外来において, Ht値男性50%, 女性45%以上と血圧160/90以上を示したGeisböck症候群患者の臨床像を検討した.Geisböck症候群が82例あり, うち43例に脳血管障害の合併が見られた.CT所見では41.9%で多発小梗塞を示していた.生活歴, QTc延長その他からストレス多血症の頻度が高く交感神経系の緊張が強く疑われた.
  • 1991 年 13 巻 4 号 p. 324
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
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