脳卒中
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14 巻, 1 号
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  • 大橋 経昭, 北野 浩之, 松田 昌之, 半田 譲二
    1992 年 14 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    末梢性前大脳動脈瘤 (DACAAN.) は, 全脳動脈瘤の3~8%を占め, 比較的少ないばかりでなく, 他の動脈瘤を合併することが多いこと, 血管の破格, 異型, 奇形を伴いやすいこと, 破裂により多彩な臨床症状を呈することなどの特徴をもつために, 繰り返し論じられてきたが, 両側性DACAAN.については報告も少なく, 大変まれであると思われた.滋賀医科大学脳神経外科で1979年4月より1990年3月までの11年間に経験した脳動脈瘤428例中, DACAAN.は23例 (5.4%) で両側性に認められたその内の3例を報告した.自験例23例を含め過去に報告されたDACAAN.278例中, 24例 (8.6%) に両側性DACAAN.を認めた.この両側性DACAAN.は, 一方では両側対称性脳動脈瘤と呼ばれている動脈瘤の範疇にはいることが多く, 特殊な位置にあるまれな動脈瘤ということができる.自験例3例の経験から, その診断と治療について若干の考察を加えた.
  • 西丸 雄也, 山口 武典
    1992 年 14 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞患者の再発予防のために使用された抗血小板薬の効果, ならびに副作用としての脳出血の発症状況を知るために, 心源性脳塞栓症を除外した脳梗塞を, retrospectiveに調査した.対象は発症4週後より観察され, 死亡あるいは再発のない限り2年以上追跡された.男557例, 女189例, 平均年齢60.9±9.7歳の計746例である.観察期間は死亡例については平均26.5ヵ月, 生存例については平均41.3ヵ月であった.脳梗塞の再発は, 抗血小板薬非服用期に66回 (5.4%/年), 服用期に41回 (3.1%/年) みられ, 抗血小板薬服用中の脳梗塞の再発率は非服用期の57.5%であった (p<0.01).一過性脳虚血発作, 心筋梗塞, 狭心症, の発症率は服用・非服用期間で差がみられなかった.脳出血は14例に14回みられ, 非服用期に7回 (0.6%/年), 服用期に7回 (0.5%/年) で, 脳出血の部位, 重症度, 背景因子の差異はなかった.
  • 荒木 宏, 福生 吉裕, 小林 陽二, 永島 幹夫, 赫 彰郎
    1992 年 14 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞発症と関連し, 高脂血症は重要なrisk factorのひとつとして, 広く認められているがその詳細はいまだ明らかでない.脳梗塞患者ではHDL中のapoE濃度は対照よりも低下していることが報告され, apoEの動脈硬化における役割が注目されてきている.ApoEはVLDLより分離され, 229個のアミノ酸からなるpolypeptideで遺伝的多形性をもっている.三つの対立遺伝子ε2, ε3, ε4によりcodeされ, apoE2, E3, E4が存在する.これらの組み合わせによりE2/2, E3/2, E3/3, E4/2, E4/3, E4/4の6種類の表現型となる.我々はapo Ephenotypeと脳梗塞との関係を皮質枝梗塞と穿通枝梗塞に分け検討し, また, 血清脂質 (Total cholesterol : T-cho, Triglyceride : T-G, High density lipoprotein cholesterol : HDLcho) 及びapolipoprotein (A-I, A-II, B, C-II, C-III, E) との関連についても検討した.慢性期脳梗塞患者において, 対照と比べ, E3/2が高頻度であった.また, 血清脂質において, 皮質枝梗塞ではT-choの濃度が高い傾向があり, 特にE3/2typeで顕著であった.Apolipoproteinにおいては, 有意な上昇は認めなかった.一方, 穿通枝梗塞においては有意な脂質の上昇は認めなかった.このことはapoEphenotypeの独立の因子としての可能性が示唆される.
  • 比例ハザードモデルによる検討を中心に
    金子 厚, 森 皎祐, 古見 耕一, 角田 透
    1992 年 14 巻 1 号 p. 25-34
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    立川共済病院に入院した脳血管障害915例の成績から, その長期生命予後に関わる因子について検討を加えた.それぞれの病型別の生存曲線を算出し, 5年累積死亡率は脳梗塞51.5% (脳血栓48.3%, 脳塞栓31.6%, その他のカテゴリー54.7%), 脳出血43.0%, クモ膜下出血55.9%で, 脳血管障害自体による死亡が最も多かった.入院時の諸条件と脳梗塞の長期予後の検討では, 発症年齢の高い群 (p<0.005), ヘマトクリット値の低い群 (p<0.005), HDL一コレステロールの低い群 (p<0.005), 重症群 (p<0.005), 心電図上虚血性変化を有する群 (p<0.01) が有意に予後不良であった.比例ハザードモデルでは, 発症年齢 (p<0.01) と重症度 (p<0.01) が生命予後を決定していた.在住地域別比例ハザードモデルの検討では, 都心から遠い地域患者の入院時収縮期血圧が生存に有意に関与していたのに対し, 近い地域では関与は認められなかった.
  • CT検査後のretrospective study
    永山 正雄, 篠原 幸人, 灰田 宗孝, 山本 正博, 高木 繁治
    1992 年 14 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血栓症82例, 脳塞栓症33例, 脳出血179例, 総計294例を対象とし各病型の急性期臨床像の検討を行い, 従来の病型鑑別基準の再検討を行った.その結果脳血栓症では従来比較的少ないとされた覚醒中の発症, 活動時発症の例はそれぞれ71%, 42%, 高血圧症の既往, 来院時高血圧も66%, 63%と高率であった.頭痛, 嘔吐, 意識障害も25%, 22%, 27%と稀でなかった.TIAの既往は16%の例のみに認められた.起立 (体位変換) 時の発症は18%と他病型に比し比較的多かった.脳塞栓症では, 従来ほぼ正常とされる来院時血圧は58%が高血圧を呈した.また頭痛, 嘔吐, 意識障害も27%, 33%, 73%と稀でなく, TIA既往も19%で認められた.脳出血では, 発症年齢は27%が70歳以上と高齢発症も稀でなかった.以上より脳血管障害各病型, 特に脳塞栓症と脳血栓症の従来の急性期臨床像は見直しが必要であり, これには軽症脳卒中例の増加傾向も関与すると考えられた.
  • 浅野 賀雄, 島津 邦男, 杉本 秀芳, 澤田 雅彦, 濱口 勝彦
    1992 年 14 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    孤束核の脳循環動態に及ぼす役割を明らかにする目的で, サル17頭を用い一側孤束核破壊 (100V, 0.8mA, 1min) 群 (12頭) とSham群 (5頭) を作製し, 1週間後に脳循環代謝および脳循環化学調節について検討した.血圧, 脈拍は両群間に差を認めなかった.内頚動脈血流 (ICBF) は両群間, 破壊・非破壊側間に有意差を認めず, 脳酸素消費量も両群間で差を示さなかった.脳循環化学調節では, CO2吸入負荷時のChemical Vasomotor Index (CVI=ΔICBF/ΔPaCO2) は破壊側1.19±0.75 (mean±SD) m1/min/mmHg, 非破壊側1.03±0.64で, 破壊側が有意な高値 (p<0.05) を示した.過換気負荷時における破壊側と非破壊側のCVIは, それぞれ0.54±0.17m1/min/mmHgと0.43±0.15で, 非破壊側は有意な低値 (p<0.05) を示し, Sham群との比較でも低下傾向を認めた.以上の成績より, 孤束核は炭酸ガスを介する脳血管反応性に影響を与え, 中枢性神経調節として脳循環調節に関与することが示唆された.
  • 特に術後のhyperperfusion syndromeについて
    榊 寿右, 西谷 昌也, 星田 徹, 森本 哲也, 角田 茂
    1992 年 14 巻 1 号 p. 49-57
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳の主幹動脈が閉塞される病態は内頚動脈閉塞症や中大脳動脈閉塞症等の閉塞性脳血管障害の他にtrappingを必要とする医原性の病態もある.1984年以来十分な血液供給が必要と思われる症例に対して橈骨動脈をgraftとしたEC-IC bypassを施行してきた.現在までに内頚動脈閉塞症8例, 中大脳動脈閉塞症2例, 内頚動脈の海綿静脈洞部巨大動脈瘤のため頚部・頭蓋内部で結紮を施行後橈骨動脈によるgraft bypassをおこなった6例の合計16症例である.術後5例に症状の悪化があり3例は脳浮腫の増強, 2例は浮腫に出血を伴った.いずれも閉塞症例であり術前のSPECTで患側血流低下があったが, 症状非悪化例との間に有意差なく, また出血した2例ではretrospectiveにみて小さい新鮮な脳梗塞が存在していた.以上から動脈graftを用いたhigh flow bypassにはhyperperfusionの誘因となる術中術後の血圧管理と術前の新鮮な脳梗塞の検索が極めて大切である.
  • 間部 英雄, 梅村 淳, 鈴鹿 知直, 永井 肇
    1992 年 14 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    ラットにおいて, 中大脳動脈閉塞により局所脳虚血を作製し, 虚血作製6時間後の脳内遊離脂肪酸, アラキドン酸代謝物, エネルギー代謝物及び脳水分含量に対する塩酸ビフェメランおよびα-トコフェロールの効果を検討した.
    塩酸ビフェメランあるいはα-トコフェロールの投与により虚血によるleukotrieneC4の増加が抑制される傾向がみられたが, 遊離脂肪酸, アラキドン酸のcyclo-oxygenase系代謝物 (prostaglandin E2, 6-keto-prostaglandin F, thromboxaneB2), およびエネルギー代謝には影響を与えなかった.
    塩酸ビフェメランあるいはα-トコフェロールの単独投与で脳水分含量の増加が抑制される傾向がみられたが, 推計学的に有意には至らなかった.塩酸ビフェメラン+α-トコフィロールでは脳水分含量の増加は有意に抑制された。
    塩酸ビフェメランおよびα-トコフェロールによる1ipoxygenase阻害作用および抗酸化作用が, 脳水分含量増加の抑制に働いた可能性が示唆される.
  • 黒川 泰, 阿美古 征生, 渡辺 浩策
    1992 年 14 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    眼窩上に設置したtransducerで検出した頭蓋内血流音の周波数解析を行うことにより, 非侵襲的脳血管障害診断を試みた.頭蓋内血流音は, FFT analyserを用いて2,000Hz以下の周波数領域のスペクトルに変換して検討された.正常成人30例の検討では, 血流音の周波数スペクトルは150Hz以下の成分が中心で, 低周波成分から高周波成分にかけてなだらかに漸減する曲線を呈した.脳血管撮影で診断の確定した脳血管障害症例21症例の検討では, 未処置の脳動脈瘤7例中6例, 脳血管攣縮2例中2例, 頭蓋内内頚動脈狭窄3例中2例, 脳動静脈奇形3例中1例で異常所見を検出した.このうち, 脳動脈瘤症例では, 300Hz以上の周波数領域に比較的急峻なピークを認めた.脳動静脈奇形症例ではピークは二峰性で, 頭蓋内内頚動脈狭窄症例, 脳血管攣縮症例では700Hz以上に幅の広いピークが検出された.本検査は, 特に脳動脈瘤を中心とする脳血管障害の非侵襲的検出に有用と考えられた.
  • 第2報 視床出血
    後藤 文男, 福内 靖男
    1992 年 14 巻 1 号 p. 72-78
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    昭和59年から昭和63年までの5年間に11施設 (慶應義塾大学神経内科およびその関連病院) に発症24時間以内に入院し, CTスキャンを施行し得た視床出血556例 (男334例, 女222例, 平均年齢63±10歳) を対象とした.これらの患者を内科治療群527例と外科治療群29例 (25例は脳室ドレナージのみ) に分け, 入院時神経学的重症度 (NG), CT分類, 血腫最大径, 血腫量と退院時予後との関係を検討した.NG, CT分類, 予後は, 日本脳卒中外科研究会の分類に準'じた.その結果は (1) 視床出血軽症例 (神経学的重症度で昏迷以下 (NG1, 2, 3), CT分類でIa, Ib, IIa, 血腫の最大径2cm以下, 血腫量で10ml以下) においては, 内科治i療により良好な結果が得られた. (2) 血腫最大径2.1~3.0cmの中等度の症例においては, 内科治療が外科治療より機能予後の点で優っていた. (3) 重症例 (CT分類IIIb, 血腫の最大径3.1~4.0cm, 血腫量31m1以上) おいては, 外科治療により死亡率は減少したが, 外科治療で生存した症例の機能予後は不良で自立生活は不可能であった.従って視床出血の外科治療 (脳室ドレナージ) の目的は重症例における救命のみにあると考えられた.
  • 術前冠動脈造影の重要性
    森 貴久, 有澤 雅彦, 本田 信也, 栗坂 昌宏, 森 惟明
    1992 年 14 巻 1 号 p. 79-86
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    頚部動脈閉塞性病変を有する患者の治療を安全に行うためには, 虚血性心疾患の有無とその程度とを正しく評価することが必要だと思われる.そのため1990年9月1日から1991年3月31日までの間に, 脳梗塞で当科に入院し, 頚部にBruitを聴取した5例の患者に, 頭頚部血管造影と冠動脈造影とを施行した.5例とも50%以上の頚部動脈閉塞性病変を有した.全例喫煙歴があり, 3例が糖尿病合併例であった.全例心室壁運動は正常範囲であったが, 冠動脈3枝疾患が1例, 2枝疾患が1例, 1枝疾患が2例であった.病変を有しなかったのは1例のみであった.頚部動脈病変を有する患者は冠動脈病変を有する可能性が高い.重症の冠動脈病変を有する患者に対して, 外科的治療を施行することは危険を伴う.どういう症例に術前の冠動脈造影が必要なのか, どちらの治療を優先するべきか, 頚部動脈閉塞性病変の治療に携わる医師は, 今後よく検討する必要があるのではないかと考える.
  • 前島 伸一郎, 宮本 和紀, 板倉 徹, 林 靖二, 駒井 則彦
    1992 年 14 巻 1 号 p. 87-92
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    前頭葉底部への出血により健忘症候群を呈した, 脳動静脈奇形の1例を報告した.患者は17歳の右利き女性で, 意識障害のため近医を受診し, 脳室ドレナージ術を施行された.脳血管写で前大脳動脈および前交通動脈より流入する脳動静脈奇形と診断され, 根治手術の目的で当院に転院した.初診時, 意識は清明で, 時間や場所に関する見当識障害を認めた.また, 一般知識, 即時記銘, 遠隔記憶などは保たれていたが, 前向き健忘に由来する近時の記憶障害は高度であり, また軽度の逆行性健忘を合併した.脳神経系に異常を認めず, 麻痺や知覚障害も認めなかった.CTでは, 右前頭葉側面とくにrectal gyrusからcingulate gyrus, subcallosal areaに血腫を認めた.全摘出後5ヵ月で記銘力障害は改善を認めたが, 軽度の前向き健忘は残存した.本症例では, AVMからの出血によるseptal-hippocampal damageによって, 記憶系の回路に障害を生じたものと考えた.
  • 草〓 博昭, 野手 洋治, 星野 茂, 中沢 省三
    1992 年 14 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    温型自己免疫性溶血性貧血を合併した脳梗塞症の1例を経験したので報告した.症例は74歳男性で, 右不全片麻痺と言語障害を主訴に意識レベル10 (JCS) にて来院した.CTスキャンにて左側頭葉から前頂葉にかけて低吸収域を認め, 脳梗塞と診断された.入院時一般検査で溶血性貧血を指摘され精査の結果, Coombs試験 (直接・間接) 陽性であり, また原因となるような薬剤の服用の認められないことから, 特発性自己免疫性溶血性貧血と診断された.出血凝固系では血漿フィブリノーゲン値の高値が, また血小板機能では凝集能の亢進が認められた.数種類の自己抗体が陽性であった.患者はその後軽度の右不全片麻痺を残すのみで約2ヵ月で退院となった.脳梗塞で発症した自己免疫性溶血性貧血は稀であるので, その機序について出血凝固線溶系・血小板機能と血栓症との関係を中心として若干の考察を加え報告した.
  • 橋本 洋一郎, 平田 奈穂美, 平野 照之, 米原 敬郎, 荒木 淑郎
    1992 年 14 巻 1 号 p. 98-102
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    左半身に典型的なhemiballismを来した74歳男性を報告した.不髄意運動は睡眠中は消失していたが, その極期には覚醒すると精神的興奮および運動にて増強し, さらに嚥下障害を伴い, 患者は著明な消耗状態を呈した.hemiballismに対してはhaloperidolは無効でchlorpromazineが有効であった.右後大脳動脈起始部閉塞を認めたが, SPECTでは脳血流の低下はなく, 29病日の10mm sliceと78病日の3mm sliceの頭部CTでは責任病巣は描出できなかった.43病日のMRIにて不髄意運動と対側 (右側) の視床下核の梗塞が確認された.CTの出現とともに視床下核以外の病巣によるhemiballismの報告が散見されるが, 責任病巣を検索する場合にはCTによる検索のみではなく, MRIによる検討も必要であると考えられた.本症例では激しい不髄意運動のため全身の消耗が激しく, さらに嚥下障害による嚥下性肺炎を併発し, 中心静脈栄養を含めた全身管理が必要であった.
  • 三浦 裕之, 中島 伸二, 福島 功二, 中村 治雄, 土屋 一洋
    1992 年 14 巻 1 号 p. 103-110
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Megadolicho-Basilar Artery例の経過中に解離性動脈瘤を生じ, 右前下小脳動脈症候群を呈した症例を報告した.症例は64歳の男性で眩量, 強度の右耳鳴から入院となった.神経学的には, 構音障害, 注視方向性の眼振, 右末梢性顔面神経麻痺, 左伝音性難聴, 右聴力消失と耳鳴, 右軟口蓋麻痺, 舌の左側偏位, 不全四肢麻痺, 顔面を含む左側での全知覚低下を認めた.X線CTでは脳底動脈が拡張, 蛇行し, 橋を圧迫している解離前の所見に加え, 解離後のCTでは脳底動脈壁に器質化した壁在血栓を認めた.MRIでは解離後にT2強調像にて高信号で示される右前下小脳動脈領域の梗塞を認めた.脳血管撮影では左椎骨動脈i撮影の静脈相にて脳底動脈に造影剤の貯留を認めた.Megadolicho-Basilar Arteryと解離性動脈瘤は両者とも動脈硬化が基盤にあると考えられるが, 両者の合併は未だ報告がなく, 貴重な症例と思われた.
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