脳梗塞発症と関連し, 高脂血症は重要なrisk factorのひとつとして, 広く認められているがその詳細はいまだ明らかでない.脳梗塞患者ではHDL中のapoE濃度は対照よりも低下していることが報告され, apoEの動脈硬化における役割が注目されてきている.ApoEはVLDLより分離され, 229個のアミノ酸からなるpolypeptideで遺伝的多形性をもっている.三つの対立遺伝子ε2, ε3, ε4によりcodeされ, apoE2, E3, E4が存在する.これらの組み合わせによりE2/2, E3/2, E3/3, E4/2, E4/3, E4/4の6種類の表現型となる.我々はapo Ephenotypeと脳梗塞との関係を皮質枝梗塞と穿通枝梗塞に分け検討し, また, 血清脂質 (Total cholesterol : T-cho, Triglyceride : T-G, High density lipoprotein cholesterol : HDLcho) 及びapolipoprotein (A-I, A-II, B, C-II, C-III, E) との関連についても検討した.慢性期脳梗塞患者において, 対照と比べ, E3/2が高頻度であった.また, 血清脂質において, 皮質枝梗塞ではT-choの濃度が高い傾向があり, 特にE3/2typeで顕著であった.Apolipoproteinにおいては, 有意な上昇は認めなかった.一方, 穿通枝梗塞においては有意な脂質の上昇は認めなかった.このことはapoEphenotypeの独立の因子としての可能性が示唆される.
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