脳卒中
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14 巻 , 3 号
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  • 藤重 正人, 端 和夫, 上出 延治, 滝上 真良
    1992 年 14 巻 3 号 p. 223-227
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    家兎の中大脳動脈を遮断して実験脳虚血を作製し, その直後にcarteololを投与して, その後の血圧, 心拍出量, 脳血流量の変化を測定した.全身血圧はcarteolol投与群で, 投与後1時間より遮断前に比べて約10%低下し, 3時間では約15%の低下とcarteololを投与しなかった群に比べて有意に低下した.心拍出量はcarteolol投与群, 非投与群共, 大きな変動はなかった.脳血流量は, carteolol投与群, 非投与群共に遮断後1時間で遮断前に比べて約40%~50%に低下し, 3時間ではcarteolo1投与群で若干の上昇を示したが非投与群に比べ有意な差はなかった.以上の結果から, 脳虚血急性期におけるcarteololの投与は全身血圧の低下をもたらすが, 脳血流には悪影響を及ぼさないと結論された.
  • 五十棲 孝裕, 原 慶文, 松村 憲一, 松田 昌之, 半田 譲二
    1992 年 14 巻 3 号 p. 228-234
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    透析患者が出血性脳血管障害を併発した場合には, 出血傾向を合併していることが多く, また, 透析により脳浮腫の増悪をきたしやすいため, 治療方法に苦慮することが多い.我々の施設では, 過去5年間に透析療法中の慢性腎不全患者10例に脳内出血およびくも膜下出血を経験した.
    脳内出血例では, 血小板機能障害により巨大な血腫を形成する傾向があり, 全例が死亡した.救命率を向上させるには, 血腫の進展や再出血を防止することが重要であり, そのためには, できるだけ早期に透析を開始することが望ましく, また, DDAVPの投与や輸血などが腎不全状態での出血傾向に有効であるとの報告もあり, これらを用いることも必要である.また, 透析に際しては, 浸透圧不均衡勾配による脳浮腫の増悪を最小限に抑えるため, 緩徐かつ短時間の透析を, mannitolを併用しながら, 頻回に行うべきである.
  • 長谷川 修, 鈴木 ゆめ
    1992 年 14 巻 3 号 p. 235-240
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    前大脳動脈領域に病変をもつ9例および大脳の他部位に病巣をもつ18例のうち, 左手書字の大部分が鏡像となったのは, それぞれ4例および1例 (左中後大脳動脈境界域梗塞) であった.両群間で鏡像書字に関して症候的に明瞭な差はなかった.前大脳動脈領域病変の4例では非対称的な両手での協調運動にも困難をきたしたが, 左手の失行・失書は伴なわなかった.1例で軽度の左把握反射がみられた.4例のCTscan上での病巣はすべて右側に存在し, 脳梁を避け, 右補足運動野を含んでいた.左手での鏡像書字は1例を除いて数ヵ月以内に改善された.左手運動に関するプログラムは, 左大脳半球の連合野から始まり, 最終的に右一次運動野に到達する.非利き手対側 (主として右半球) の補足運動野が障害された場合, 左半球の連合野から生じた運動プログラムが非鏡像化されずに右一次運動野に到達するため, 左手動作が鏡像となりやすい, と考えられる.
  • 卜部 貴夫, 小宮 忠利, 工藤 学, 水野 美邦
    1992 年 14 巻 3 号 p. 241-251
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞患者の頸動脈病変の診断や脳血栓症・脳塞栓症の鑑別に, 超音波Bモード法及びドプラ法を試みた.Bモード法にて, 頭蓋外, 頸動脈の動脈硬化性病変検出率は, 脳塞栓17.5%, 脳血栓42% (皮質枝梗塞77%, 穿通枝梗塞58%, Binswanger型脳梗塞11%, 椎骨脳底動脈系梗塞12%) で, 脳血栓で高頻度に認められた.Bモード法では脳血管造影に比し, 動脈壁病変の検出に有用であった.更にドプラ法を併用したDuplex法により総頸動脈の血流速度を検討した結果, 内頸動脈高度狭窄・閉塞例では拡張末期血流速度の消失を認めた.軽~中等度血管狭窄では, 狭窄部位の増加を認めた.急性期脳塞栓症では拡張末期血流速度の低下を認め, 脳血栓症との鑑別に有用であった.頸動脈病変の危険因子として総コレステロールと動脈硬化指数の有意な上昇を認めた (p<0.01).
  • 植田 敏浩, 菅原 敬文, 畠山 隆雄, 藤田 学, 榊 三郎
    1992 年 14 巻 3 号 p. 252-261
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    CTscanにて低吸収域の出現していない脳梗塞急性期15症例に対して, 超選択的カテーテルを用いて計16回のウロキナーゼ (UK) による局所動脈内注入を行い, その効果および副作用について検討した.UKは24万~30万単位ずつ計24~150万単位注入した.発症よりUK注入までの時間は3.5~9時間 (平均5.8時間) で, 閉塞部位は中大脳動脈13例, 脳底動脈2例, 内頸動脈先端部1例であった.再開通は12例 (81.3%) に, 臨床症状の回復は11例に認められ, そのうち7例は完全回復をきたした.出血性梗塞は3例に出現したが, 症状の悪化は認められなかった.発症より6時間以内に治療を開始した11例中では, 出血性梗塞は出現しなかった.以上のことから, 本療法は厳密な適応選択の上に行えば, 安全で有用な治療法であると考えられる.
  • 清水 澄江
    1992 年 14 巻 3 号 p. 262-271
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    クモ膜下出血 (subarachnoid hemorrhage : SAH) 患者70例において第1, 4, 7, 14, 21病日に急性相反応蛋白 (acute phase react ant protein : APRP) すなわち血漿total protein (TP), 血清albumin (Alb), α1-acid glycoprotein (α1-AG), α2-macroglobulin (α2-MG), α1-antitrypsin (α1-AT), immuhosuppressive acidic protein (IAP) を測定し, 臨床的有用性を検討した.
    発症より第21病日までTP, Albおよびα2-MGは低下し, α1-AG, α1-AT, IAPおよびCRPは上昇する有意な変動を示した.発症時のHunt&Kosnik gradeやFisher分類の重症例および死亡例では, それぞれの軽症例に比しα1-AG, α1-AT, IAPおよびCRPは有意に高値を示した.
    生体はSAHにより急性相反応を生じAPRPを変動させた.そして重症例ではその反応が強度に生じるためにα1-AG, α1-AT, IAPおよびCRPは高値を示すと考えられた.APRPの測定は, SAHがもたらす複雑な病態を把握する上で1つの有益な情報を与えてくれるものと考えられた.
  • 馬場園 由美子
    1992 年 14 巻 3 号 p. 272-279
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    基礎疾患として膠原病を有さない脳梗塞患者において抗cardiolipin抗体 (ACA) を測定した.脳梗塞連続72症例 (男性50例, 女性22例, 29~90歳平均66歳) において, ACAは15例 (21%) で陽性であった.脳梗塞の初発年齢はACA陽性群55±15歳, 陰性群66±12歳で, 陽性群で有意に若年であった.脳梗塞の既往はACA陽性群8例 (53%), 陰性群13例 (23%) に認め, 陽性群で再発例が有意に多かった.危険因子のうち高血圧は陽性群では3例 (20%) にしかみられず, 陰性群の37例 (65%) より有意に少なく, 一方心房細動または心弁膜症は陽性群8例 (53%), 陰性群12例 (20%) と陽性群で有意に多く, 心腔内における血栓形成にACAが関与している可能性が考えられた.また, 血小板機能・凝固線溶系分子マーカーのうちPF4が陽性群で陰性群より有意に高値であった.
  • 高野 尚治, 斎藤 元良, 宮坂 佳男, 矢田 賢三, 大和田 隆
    1992 年 14 巻 3 号 p. 280-284
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    モヤモヤ病の脳室内出血 (IVH) 例で原因領域に脳梗塞や脳内出血を伴わず, 巣症状としての片麻痺や失語症を認めた症例を3例経験した.1例は巣症状発現時期が高圧性水頭症の確認時期に一致し, 水頭症の改善により巣症状は消失した.巣症状の出現は, 高圧性水頭症によりモヤモヤ病にすでに存在する慢性脳虚血領域の脳灌流圧減少によると推定された.他の2例は, 経過中, IVHに伴う高圧性水頭症の存在を否定できないが, 何ら水頭症の治療を行わず経過観察できた症例である.これらの症例では, 巣症状を認めた時期の脳波とsingle photonemission computerized tomography (SPECT) で麻痺対側の徐波と脳血流低下を認めている.これらの症例での巣症状出現は, castingに近いIVH自体がモヤモヤ病ですでに脳虚血状態にある領域を圧迫し脳血流低下を生じたためと推定された.
  • 崔 堯元, 富永 悌二, 小川 彰, 吉本 高志
    1992 年 14 巻 3 号 p. 285-293
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    軽度前脳虚血負荷後慢性期の病態を検討するために, ラットの両側頚動脈を結紮し, 慢性期における組織学的変化および学習記憶障害を検討した.本実験で用いたS-Dラットの両側総頚動脈結紮後の生存率は約90%であった.結紮後1週間から3ヵ月のH-E染色, K-B染色による組織学的検討により約70%に虚血巣を認めた.虚血部位は, 線条体が最も高率であり57%に虚血巣を認め, 次いで海馬30%, 大脳皮質17%, 視床13%であった.水迷路試験では, 虚血前の空間記憶はよく保持されるものの, 虚血後の学習において一過性の学習記憶障害が認められた.また暗所回避反応では, 虚血後持続的な学習記憶障害が認められた.本モデルは手術操作が比較的簡便に作成できるという利点があり今後軽度脳虚血慢性期の病態を検討する上で有用と考えられた.
  • 神田 直, 東 邦彦, 稲福 徹也, 畑 隆志, 田崎 義昭
    1992 年 14 巻 3 号 p. 294-300
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳卒中急性期には, 中枢及び末梢のノルアドレナリン系の機能充進がみられるが, この充進が中枢と末梢において随伴して起こるのか, あるいは充進の程度に解離があるのかどうかについて検討した.
    対象は脳卒中発作により発症後72時間以内の急性期に入院した.脳出血42例, 脳血栓症35例, 心原性脳塞栓症 (以下脳塞栓症) 15例であり, 血漿ノルエピネフリン (NE) ならびに血漿と髄液3-methoxy-4-hydroxyphenyl-glycol (MHPG) を測定し, 病型別に検討した.
    発症後14~28日の亜急性期においてはいずれの病型においても血漿MHPGと血漿NEの間に高い相関が認められるにもかかわらず, 発症後72時間以内の急性期においては脳塞栓症を除き相関を認めず, 急性期には病型によりノルアドレナリン系の機能充進の程度に中枢と末梢で解離があるものと推測された.
  • 杉森 宏, 井林 雪郎, 高野 健太郎, 佐渡島 省三, 藤島 正敏
    1992 年 14 巻 3 号 p. 301-306
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    右頭頂部の脳出血が責任病変と考えられた右利き交叉性失語の1例に対し, positron emission tomography (PET) を含む放射線学的検査を施行した.症例は46歳, 男性.1989年5月29日朝, 突然数字と平仮名が読めなくなった.片仮名と漢字はとくに不自由を感じなかったが, 復唱, 数字の順唱, 逆唱は著明に障害されていた.頭部CTでは右頭頂葉に血腫を認めた.8月16日精査のため当科入院.MRIでは右頭頂葉の血腫のほか, 両側白質に陳旧性の小梗塞巣が散在していた.PETでは血腫を含んだ部位に脳血流, 脳酸素消費量の明らかな左右差を認め, 失語発症の責任病巣は血腫の部位と考えられた.その他の部位に明らかな左右差はみられなかった.
    交叉性失語の機序を解明する上で, 従来の器質的変化の検索に加え, 機能的変化を検出しうるPETを用いた脳循環代謝の検討が有用であると考えられた.
  • 山下 陽一, 松本 正博, 中沢 省三
    1992 年 14 巻 3 号 p. 307-311
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    同時期に発生した多発性高血圧性脳内血腫の2症例を報告する.1例目は89歳の男性で昏眠状態にて搬送される.発症4時間以内のCTでは右被殻部, 左被殼部に脳室穿刺を伴った巨大脳内血腫が認められた.手術適応は無かったが, 家族の是非ともとの要望により血腫吸引術を行い, ウロキナーゼにて血腫溶解流出を試みたが, 4日後に永眠した.2例目は, 66歳男性, 半昏眠, 四肢麻痺にて搬送される.発症2時間以内に施行したCTでは左視床, 橋, 右小脳半球に脳内血腫が, 第三脳室への脳室穿破を伴い認められた.両側脳室ドレナージを施行するも意識レベルは回復せぬまま11日後に永眠した.同時期多発性高血圧性脳内血腫は非常に稀であり, また, 予後も悪く, 我々の症例を含めて本邦では27例にすぎない.好発年齢, 発生部位, 発生機序, さらに治療に関して若干の考察を行う.
  • 横山 絵里子, 平田 温, 長田 乾, 宍戸 文男, 佐山 一郎
    1992 年 14 巻 3 号 p. 312-319
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    右中大脳動脈領域の出血性脳梗塞により, 発症時は左半身の身体運動発作を重積し, 経過中に発作型が口部自動症を伴う精神運動発作の重積に変化した74歳の女性を報告した.X線CTでは, 右前頭頭頂部・後頭葉にかけての不均一な低吸収域を認めた.脳血管造影では, 右中大脳動脈分枝閉塞後の再開通所見がみられた.身体運動発作時の脳波上の発作焦点は右中心溝周辺部の前頭頭頂葉にみられ, SPECT上は高潅流領域として認められた.精神運動発作時の発作焦点は脳波及びSPECTで右中心溝周辺領域から側頭葉へと移動していた.本症例では病変部の出血性変化が発作誘発の一因となり, 発作の焦点に一致する局所脳血流の亢進は発作重積による二次的な変化と推察された.
  • 戸村 則昭, 須田 良孝, 坂本 哲也, 古和田 正悦
    1992 年 14 巻 3 号 p. 320-325
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は6歳の男児で, 某院で肺動静脈奇形 (肺AVM) と脳AVMとの診断をうけ, 肺AVMの手術をうけた.今回, 脳AVMの治療のために紹介され入院となった.母親にも脳AVMの既往がみられた.皮膚・粘膜に血管異常はみられず, 神経学的異常も認めなかった.脳血管撮影では, 左前大脳動脈のmiddle internal frontal arteryから直接にaneurysmal dilatationとして大きな造影剤のpoolingが認められ, それより後方へ脳梁に沿い走行する静脈に還流していた.この還流静脈は胎生期のprimitive callosal veinに一致しており, AVMが存在するために生後も残存したものと考えられた.このaneurysmal dilatationの近傍と, それとは離れた2ヵ所にも小さなAVMがみられた.手術は, このaneurysmal dilatationの結紮とその近傍のnidusの凝固を行った.本例ではRendu-OslerWeber病が強く疑われた.本例での胎生期静脈の遺残は, AVMが胎生期にすでに存在していたことを示していた.
  • 山本 清, 森松 光紀
    1992 年 14 巻 3 号 p. 326-328
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    急性発症の嚥下困難・嗄声を主症状とするAvellis症候群を呈した症例においてMRIにより左延髄外側部の小梗塞病変を確認することができた.Avellis症候群で生前画像上で延髄病変を確認し得たとの報告は認められず極めて稀であると考えられた.延髄外側部の微小梗塞により嚥下困難・嗄声を主徴とするAvellis症候群を呈する場合があり, MRIによる検索が極めて有用である.
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