脳卒中
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14 巻, 6 号
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  • 長谷川 修, 山口 滋紀
    1992 年 14 巻 6 号 p. 577-582
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    進行性の脳底動脈系血栓症患者5名で, 神経症状の軽い時期に, CT scanで出血性病変を否定し, 血圧を適正化した後, heparinを5,000単位静注, さらに1日15,000単位を3日間持続点滴した.同時にwarfarin 2mgを開始し, heparin中止後はトロンボテストで30~40%を目標に調節した.Heparin開始後5例とも速やかに症状の進行が停止し, 出血性の合併症はみられなかった.6ヵ月ないし2年の経過追跡でいずれもADLは自立し, 良好な経過を辿っている.本療法では症状進行期早期に速効性のheparinで治療を開始し, 切替時の事故を避けるためにwarfarinを最初から併用した.Heparin使用を少量・短期間としたため出血性合併症がなく, 早期に治療を開始した全例で経過良好であった.本療法により脳底動脈領域における進行性血栓症の進行停止が期待でき, 価値のある治療法といえる.
  • Part3, 投与方法に関する検討
    柏木 史彦, 片山 泰朗, 神谷 達司, 赫 彰郎
    1992 年 14 巻 6 号 p. 583-590
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Glycerolの投与方法の差異が, 生存率, 脳浮腫, 脳エネルギー代謝 (ATP, lactate, pyruvate) に及ぼす効果を高血圧自然発症ラット (SHR) を用いた脳虚血モデルにて検討した.10%91ycerol溶液は5群に分けて投与した.すなわちA : 20ml/kgの虚血直後1回投与群, B : 20ml/kgの虚血3時間後の一回投与, C : 6.6ml/kgの間歇的3回投与, D : 6.6ml/kgの虚血直後1回投与, E : 総投与量20ml/kgの持続的投与の5群にて検討した.また対照群として2群 (F : 20ml/kgの虚血直後, G : 20ml/kgの持続投与) に生理食塩水を投与した.両側総頸動脈結紮12時間後の生存率は間歇投与群次いで持続投与群が高値を示した.脳含水量は間歇投与群のみが対照群に比し有意に低値を示した。脳代謝諸量の検討ではATPは間歇投与群が対照群に比し有意に高値を示した.Lactateおよびpyruvateは各群間に有意な差異はなかった.虚血性脳傷害に対するglycerolの投与は, 間歇的な投与, 次いで持続的な投与がより有効であることが示唆された。
  • 北代 雅也, 津田 能康, 市原 新一郎, 藤沢 良秀, 松尾 裕英
    1992 年 14 巻 6 号 p. 591-598
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    両側総頸動脈閉塞により作成した虚血砂ネズミ脳の再灌流時の急性期脳内エネルギー代謝の回復過程を31P-MRSを用いて評価した.代謝の指標として脳内pH (=pHi), フォスフォ・クレアチニン/無機リン比 (=PCr/Pi比), β-ATPcontentの%変化, β-ATP/Pi比を測定し, 30分, 60分, 90分の3種の虚血群 (各々n=6) 間での経時的回復の差異を検討した.pHi回復は各虚血群間で差を認めず, 再灌流後90分では全群で虚血前値近く迄回復した.PCr/Pi比, β-ATPcontent (%), β-ATP/Pi比は各群で再灌流後90分迄に虚血前値迄は回復しなかったが, 虚血時間が短い程回復は良好であった.PCr/Pi比は30分-, 60分-虚血群と90分-虚血群間で差 (P<0.01とP<0.05) を認めた.β-ATPcontent (%) の変化は30分-, 90分-虚血群間で差を認めた (p<0.01).β-ATP/Pi比の回復の差は各群間で有意 (p<0.01~0.05) であった.虚血後再灌流時の急性期脳内エネルギー代謝回復過程の指標としてβ-ATP/Pi比が最も虚血時間による回復の違いを反映した.
  • 頸部超音波断層法を用いての検討
    寳學 英隆, 松本 昌泰, 半田 伸夫, 前田 宏明, 鎌田 武信
    1992 年 14 巻 6 号 p. 599-605
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    無症候性脳梗塞患者における頸部頸動脈病変の臨床的意義を明らかにする為, 脳卒中危険因子 (高血圧, 耐糖能異常, 高脂血症, 虚血性心疾患) を有するも神経学的に異常の無い外来患者117例に頸部超音波断層法とMRIを施行し, 頸動脈硬化度, 狭窄度, 潰瘍形成の有無と無症候性脳梗塞合併率, 個数, 大きさ, 局在との関係を検討した.頸動脈硬化度が重症な例ほど, また, 高度狭窄や潰瘍合併例では非合併例に比し, 無症候性脳梗塞合併率は高値を呈し, この傾向は各年台別の検討でも認められた.梗塞の特徴は, 皮質下や基底核の多発小梗塞であったが, 特に, 高度狭窄例や潰瘍形成例では比較的大きい梗塞を頸動脈病変側の脳半球に高率に認めた.他の危険因子では, 高血圧のみが梗塞発現に有意に関与した.以上, 頸動脈病変の存在が無症候性脳梗塞発現に密接に関与することが示され, 脳卒中危険因子を有する例における頸部超音波断層法の有用性が明らかとなった.
  • 高橋 貴美子, 内山 真一郎, 柴垣 泰郎, 丸山 勝一
    1992 年 14 巻 6 号 p. 606-612
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    心疾患に対し水分摂取制限や利尿薬を使用している症例の脳塞栓発症時の脱水の関与について検討した.急性期心原性脳塞栓症患者連続44症例を対象とし, 入院時と4週間後の血中ヘマトクリット (Ht), 総蛋白 (TP), ナトリウム (Na), 尿素窒素 (BUN), クレアチニン (Cr) 値から水分欠乏量を算出し, 血液粘度を測定した.その結果, 心原性脳塞栓発症時には細胞外液欠乏と血液粘度上昇が認められた.また, 利尿薬使用群では非使用群に比して有意な細胞外液欠乏と血液粘度の上昇を認めた.さらに, 脳塞栓症再発群では非再発群よりも血液粘度が有意に高値であった.以上より心原性脳塞栓症において脱水は発症に寄与する重要な因子と考えられた.
  • 中島 伸, 吉峰 俊樹, 加藤 天美, 久村 英嗣, 早川 徹
    1992 年 14 巻 6 号 p. 613-618
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    実験的脳虚血急性期にみられる微小循環障害に対する組織プラスミノゲン活性化因子 (t-PA) の効果を蛍光標識血漿法を用いて検討した.Sprague-Dowleyラットの左中大脳動脈を閉塞し, 30分後よりtPA (SM-9527 : 住友製薬) を1.6×105IU/kg/hrで150分間持続注入した.閉塞3時間後に蛍光標識血漿を静注後, 断頭屠殺した。虚血領域の血漿灌流微小血管長を対側半球の同部位に対する百分率で算出したところ対照群の38.4±6.9%に対し治療群では68.8±0.6%であり, 有意の増加が示された (P<0.01).また組織学的虚血変化領域の同側大脳半球に対する面積比を算出すると, 対照群の38.7±3.6%に対し, 治療群では24.8±2.6%と有意の減少を認めた (P<0.05).以上の結果はt-PAが脳梗塞急性期の微小循環障害を改善し, また虚血性脳障害を軽減しうることが示唆された.
  • 星野 晴彦, 山形 真吾, 竹内 郁男, 高木 誠, 高木 康行
    1992 年 14 巻 6 号 p. 619-626
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    3次元Time of Flight (3D-TOF) MRアンギオグラフィ (MRA) にて頭蓋内主幹動脈を描出し, 通常の血管撮影と対比検討した.
    (1) 主幹動脈に閉塞の認められない12例によるWillis輪の描出能の検討では, normal variantとして後交通動脈の所見は12例中10例で, 前大脳動脈A1部の所見は全例で両者の検査結果が一致した.
    (2) 内頸動脈閉塞7例ではMRAによりWillis輪を介する側副血行の有無が全例で診断可能であり, 後大脳動脈からの皮質枝間吻合による側副血行が血管撮影で確認された4例ではMRAでもその診断が可能であった.
    (3) 中大脳動脈閉塞・後大脳動脈閉塞症例では全例で閉塞部位の診断が可能であった。また, 中大脳動脈閉塞においても後大脳動脈からの皮質枝間吻合を介する側副血行の診断がMRAでも可能であった。
  • 上田 孝, 有川 章治, 中薗 紀幸, 脇坂 信一郎, 和田 徹也
    1992 年 14 巻 6 号 p. 627-632
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞発症後24時間以内に高気圧酸素 (HBO) 療法を施行し得た39症例と, 非治療例の治療成績を比較検討した.HBO施行群では, 治療開始10日で運動麻痺や言語障害の程度が有意に改善し, 30日後も継続して改善していた.X線CT上低吸収域が無いか, 小さい症例ではHBO治療の効果は高かった.初診時意識レベルがJapan Coma ScaleでII-20以上の重症例や, X線CT上広範な脳梗塞が出現している症例, 多源性心室性期外収縮, 心房細動, うっ血性心不全, 腎不全, 閉塞性動脈硬化症などを合併する症例では, 症状が進行性に悪化したが, HBO非施行群とに差はなかった.以上より急性期脳梗塞のHBO治療は安全かつ有用であることが示唆された.
  • 西田 泉, 片山 宗一, 平田 幸一, 石川 経子, 田崎 和之
    1992 年 14 巻 6 号 p. 633-637
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例1は45歳, 女性, 左外側型脳出血, 症例2は41歳, 女性, 右中大脳動脈領域脳血栓症を生じた後, 短期間のうちに心筋梗塞さらには左中大脳動脈領域脳血栓症をきたした.脳血管障害を伴ったTurner症候群の文献的考察を行い, 本症例が比較的若年であるにもかかわらず脳血管障害を生じた原因として, Turner症候群の動脈におけるコラーゲンの生成異常による動脈壁の脆弱性が推測された.以上の事実はTurner症候群を診察する上で脳血管障害の発生を常に念頭に置かねばならないことを示唆する.
  • 高松 和弘, 滝沢 貴昭, 宮本 勉, 佐藤 昇樹, 佐能 昭
    1992 年 14 巻 6 号 p. 638-643
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    前向健忘, 逆行健忘ともに病態に対する無認知, 失見当識, 作話からなるコルサコフ症候群を呈した非優位側の右前内側視床梗塞の70歳, 男性例を報告した.本例はCT, MRIで非優位側の右視床背内側核を中心に梗塞巣を認め, 99mTc-HMPAOによる脳血流シンチグラムで梗塞巣を認めた右視床と右後頭葉の血流低下に加え右前頭側頭葉皮質にも血流低下傾向を認めた.非優位側の右視床背内側核の障害でもYakovlevの回路が遮断されコルサコフ症候群が生じることがあると考えられた.
  • 田中 裕, 宮下 孟士, 脇 理一郎, 杉本 佳英子, 山下 晴央
    1992 年 14 巻 6 号 p. 644-648
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は47歳, 男性.高血圧の既往がある.1991年7月14日突然後頭部痛出現.7月17日会話中突然意識消失をきたし入院.来院時, 意識レベルは半昏睡, 右眼球は内転, 人形の目現象消失, 両側縮瞳し, 対光反射および角膜反射は消失していた.両上肢弛緩し, 両下肢除脳硬直肢位をとり, 深部腱反射は両上肢正常, 両下肢亢進し, Babinski徴候が両側陽性であった.入院直後のCTは正常.発症2時間後の脳血管撮影で, 両側椎骨動脈 (VA) のV3portionから脳底動脈移行部までの遠心性の全周性の壁不整な狭窄 (string sign) を, また脳底動脈先端に栓子陰影と思われる陰影欠損を認めた.第2病日のCT, MRIで, 小脳, 橋, 中脳, 両側視床, 左後頭葉に梗塞像を認めた.
    これまで, VA解離を認め, 栓子陰影を証明しえたtopofthebasilarsyndromeの報告はない
  • 満生 浩司, 井林 雪郎, 中根 博, 佐渡島 省三, 藤島 正敏
    1992 年 14 巻 6 号 p. 649-654
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は75歳女性.歩行障害, 中等度の知能障害を認め, 当科入院.CT, MRI, 脳槽シンチにより正常圧水頭症と診断された.当院脳外科にて, 右脳室腹腔シャント術を施行.術後CT, MRIに著変なく, 若干の知的機能の改善がみられたものの, 歩行障害は変化なかった.本症例に対し, 術前後にポジトロンCT (PET) を施行.術前のPET所見では, 両側の前頭葉から基底核にかけて脳血流量 (CBF), 脳酸素消費量 (CMRO2) が低下, 脳酸素摂取率 (OEF) が上昇しており, いわゆるmisery perfusion の状態であった.一方, 術後1ヵ月のPET所見では, CBFが若干上昇, OEFはほぼ正常レベルまで低下していたが, CMRO2は不変であった.すなわち, シャント術によって脳循環障害は改善されたものの, 一部不可逆的な代謝障害の存在が示唆された.正常圧水頭症においては, 今後PETを用いた循環ならびに代謝両面の検索が重要であると考えられた.
  • 金井 秀樹, 永井 肇
    1992 年 14 巻 6 号 p. 655-660
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    我々は, 破裂してクモ膜下腔および橋から延髄にわたる実質内に出血を生じた巨大な椎骨脳底動脈紡錘状動脈瘤の1剖検例を経験した.動脈瘤は橋下部を背側へ圧排しており, 最も拡張した動脈瘤壁の脳幹側に破綻を認めた.破綻部断端の線維性に肥厚した内膜や萎縮して膠原線維に置換された中膜には, 出血, 血漿浸潤およびフィブリノイド物質の滲出が見られた.動脈瘤壁への血流による圧負荷に加えて, 壁内出血や浸潤した血漿による壁の組織融解が動脈瘤破裂の成因と考えられた.橋上部から延髄の出血巣内の細血管には著名なうっ血や血液漏出を認め, フィブリノイド変性, 壁の融解や破綻も生じていた.動脈瘤から脳幹への直接出血あるいは大量のクモ膜下出血によって, 脳幹に虚血や灌流障害が生じた結果, 血管透過性が亢進し, 細血管から漏出性および破綻性出血が生じ, これらの融合による二次的出血も加わって本症例の脳幹出血が形成されたと考吏られた.
  • 矢野 祐二, 高野 健太郎, 井林 雪郎, 佐渡島 省三, 藤島 正敏
    1992 年 14 巻 6 号 p. 661-665
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の女性.昭和63年2月, 意識障害をきたし近医に入院.頭部CT所見は水頭症を伴う脳室内出血であった.平成2年1月29日当科に精査入院し, MRIで右視床と側脳室の境界部に血腫の主座が確認された.高血圧の既往および明らかな動脈瘤, 動静脈奇形などの血管異常がないことから原発性脳室内出血と診断した.神経学的には, 発症時より上方注視麻痺, 下方注視時の垂直性眼振が持続して観察された.原発性脳室内出血では眼球運動障害を合併することが多いが, その頻度および発症機序は十分には明らかにされていない.本症における眼球運動障害の発現にはrostral interstitial nucleus of the medial longitudinal fasciculus (riMLF) の関与が示唆された.
  • 福原 正代, 田川 皓一, 中野 昌弘, 飯野 耕三
    1992 年 14 巻 6 号 p. 666-670
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    失固有名詞を呈した脳血管障害の2例を報告した.症例1は, 69歳, 右利きの男性で, 左側頭後頭葉皮質下出血により失固有名詞と失読失書を認めた.症例2は, 53歳, 右利きの女性で, 島回から前障にかけての左中大脳動脈島枝領域の梗塞により失固有名詞を認めた.2例とも一般名詞の呼称に障害はなかったが, 人名や地名などの固有名詞の呼称が障害されていた.なお, 自発語は流暢で聴覚的理解や復唱に異常は認めなかった.失固有名詞は急速に消失した.名詞の呼称に際して, 固有名詞のみ選択的に障害される状態があると考えられ, 一般名詞と固有名詞の登録や把持, 再生の経路に違いがある可能性がある.一方, 今回の症例とは逆の現象すなわち固有名詞のみ保存されている症例の報告がある.失固有名詞は特殊な条件下で左半球の限局性病巣により出現する可能性があり側頭葉や島回に関連すると考えられた.なお, 記憶障害の一特殊型として検討する必要もあろう.
  • 齊藤 晃, 半田 譲二
    1992 年 14 巻 6 号 p. 671-673
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    破裂前交通動脈瘤に, 硬膜外で椎骨動脈と後下小脳動脈の分岐部に嚢状動脈瘤を合併していた1例を経験したので報告した.患者は34歳の男性で, くも膜下出血で入院した.脳血管撮影にて前交通動脈瘤と, 頭蓋外で椎骨動脈・後下小脳動脈分岐部動脈瘤がみられた.CT所見より前者の破裂と診断し, クリッピングを行った, 後者は頭蓋外ではあるものの硬膜内に存在する可能性があり, 二回目の手術を行った.硬膜内で右後下小脳動脈と右椎骨動脈を確認し, 両者を近位側へたどった.後下小脳動脈は硬膜を貫通しており, 椎骨動脈からの分岐部および動脈瘤は硬膜外に存在することがわかった.同部の嚢状動脈瘤で硬膜外に存在することを確認した例は現在までに報告されておらず極めてまれなものと考えられた.また, 頭蓋外椎骨動脈瘤という観点からも外傷に起因しない動脈瘤としては極めてまれなものと思われた.
  • 真砂 敦夫, 吉田 毅, 福岡 秀和, 永井 肇
    1992 年 14 巻 6 号 p. 674-678
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の男性.突然の激しい頭痛と嘔吐で発症し, 頭部CTでくも膜下出血と診断された.初回の脳血管撮影では, 出血源となる病変を確定できなかった.保存的治療中に再出血をきたし, 2回目の脳血管撮影で右前大脳動脈にlarge aneurysmが確認された.
    脳血管撮影上, 動脈瘤を診断しにくくした原因として本症例では, narrow neckによる瘤内の血栓形成や脳浮腫・血腫による動脈瘤の圧排が考えられた.
    初回脳血管撮影で出血源を確定できないくも膜下出血例は, 全例厳重な安静, 血圧管理のもと時期を逸せずに脳血管撮影を再検すべきと思われた.
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