脳卒中
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15 巻 , 3 号
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  • 泉 雅之, 石川 作和夫, 武田 明夫, 田中 久, 満間 照典
    1993 年 15 巻 3 号 p. 161-167
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    心原性脳塞栓症のCT所見を分析し, さらにCT病変の大きさと, 臨床像, 背景因子との対比を行い, 大梗塞群の特徴を検討した.対象は, 過去9年間の内頸動脈系急性期心原性脳塞栓症の連続88例である.頭部CT病変の大きさの比較は梗塞指数によった.CT所見は, 辺縁が明瞭で, 圧迫所見を伴い, 血管支配域に一致した皮質を含む病変が多かった.CT病変サイズ別症例数分布は, 無病変, または小病変のものが過半数を占め, 病変が大きくなるにつれて症例数が減少した.大梗塞を有する症例に認められた背景因子としては, 収縮期, 拡張期いずれの血圧も高く, 心胸比の拡大, hematocrit, fibrinogenの増加とAPTTの短縮などであった.大梗塞例が少ない理由としては, 塞栓の早期再開通の関与が考えられた.大梗塞と関係する因子として, 脱水による血液の濃縮傾向, その結果としての凝固機能の亢進や, 高血圧による脳循環自動調節能下限値の右方偏位の可能性が考えられた.
  • 飯田 恵, 片山 泰朗, 赫 彰郎
    1993 年 15 巻 3 号 p. 168-175
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット (SHR) を使用して虚血性神経細胞傷害に対するイオンチャンネルブロッカーの効果を検討した.脳虚血は両側総頸動脈閉塞と低血圧により作成した.虚血後経時的に海馬CA1領域の1mmあたりの正常な神経細胞数 (neuronal density : ND) を算定して, 神経細胞傷害を評価した.虚血後7日目にNDの有意な低下が認められたため, 薬剤効果の判定は虚血後7日目に行った.カルシウム拮抗薬 (NC-1100;3mg/kg), N-methyl-D-aspartate (NMDA) 拮抗薬 (MK-801;2mg/kg) を各々虚血前に静脈内に投与した.対照群には生理食塩水を投与した.NDはNC1100投与群では118.6±12.6/mm, MK-801投与群では120.7±12.8/mm, 対照群では73.3±16.5/mmであり, 両薬剤の神経細胞保護効果が認められた.SHRの海馬CA1領域の遅発性神経細胞壊死においてカルシウムチャンネルやNMDA受容体に関連したイオンチャンネルからのカルシウム流入が重要な要素であることが示唆された.
  • 酒寄 修, 小宮山 佐, 北村 伸, 赫 彰郎
    1993 年 15 巻 3 号 p. 176-188
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    多発性脳梗塞例 (著明なPVHを有するPVH (+) 群17例, PVHのないPVH (-) 群16例) を対象とし, 15O, 11CO吸入法を用いたPETにより, PVHの存在と, 虚血および痴呆との関係について脳循環代謝面から検討した.
    PVH (+) 群におけるCBFの低下とOEFの上昇は非痴呆例におけるPVH領域, 前頭葉帯状回領域ですでに認められ, 痴呆例ではPVH領域, 皮質各領域におけるCBFの低下と, PVH領域および前頭葉を中心としたCMRO2の低下, OEFの上昇を認めた.その変化はPVH領域に最も著しかった.またPVH (+) 群, 特にPVH領域のCBVおよびCBF/CBVは低値を示した.
    以上は多発性脳梗塞例におけるPVHの存在が, 同部位および皮質領域を含めた広範な脳動脈硬化性変化に由来する, 脳組織低灌流状態の存在を反映することを意味している.さらに持続する低灌流状態は脳組織に虚血性変化をもたらし, 結果として脳神経機能を低下, 痴呆発現を助長するという機序を示唆する結果であると考えられる.
  • 小林 祥泰, 小出 博己, 山下 一也, 卜蔵 浩和, 山口 修平
    1993 年 15 巻 3 号 p. 189-195
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳ドックを受診した脳卒中の既往がなく神経学的に異常のない健常成人124名 (40~79歳) を対象に自覚症状を物忘れ, 意欲低下などの精神的症状と頭痛, めまいなどの身体的症状に分けてMRI上の潜在性脳梗塞様病変および脳血流, 認知機能, 心理状態との関連を検討した.物忘れの自覚は54%に見られ, 加齢と共に増加した.物忘れ単独群 (A-II群 : 46名) では潜在性脳梗塞様病変の頻度は自覚症状のない群 (A-1群 : 57名) と差を認めなかったが, 意欲低下などを伴う群 (A-III群 : 21名) では潜在性脳梗塞様病変が47.6%とA-I群の10.5%, A-II群の10.9%に比して有意に高率に認められ, 脳血流, 言語性認知機能も低下を示した.またSelfrating Depression Scaleでも有意に高値であった.身体的症状についてはこれらの関係は認められなかった.軽度のうつ状態と潜在性脳梗塞様病変が関連していることが示唆された.
  • 濱本 真, 長尾 毅彦, 神田 明美, 宮崎 徳蔵, 赫 彰郎
    1993 年 15 巻 3 号 p. 196-200
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高齢者中大脳動脈塞栓症の超急性期における組織プラスミノーゲンアクチベーター (t-PA) 静注, ヘパリン併用療法を検討した.対象は突発発症で明らかな半球症状を呈し, SPECTにて中大脳動脈領域全体の血流障害を認めた25例で, このうち発症2時間以内に来院し, 頭部CT上所見を認めない8例 (平均年齢81.4歳) に対しt-PA2,000万単位を投与, その後持続的にヘパリンを7日間投与し, 治療群とした.発症2時間以降6時間以内に来院した17例 (平均年齢78.2歳) を対照群として検討した.治療群では対照群に比し有意の神経症状の改善を認め, 視覚的なSPECT像上の血流改善と相関していた.出血性梗塞の合併は治療群で有意に少なかった.死亡率を含め予後も有意の改善を認めた.高齢者中大脳動脈急性閉塞症の予後は不良であり, この療法により予後が改善される可能性を認め, 今後の検討が必要と考えた.
  • 浅野 賀雄, 島津 邦男, 小野田 敦浩, 中里 良彦, 濱口 勝彦
    1993 年 15 巻 3 号 p. 201-209
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Angiotensin converting enzyme阻害 (cilazapril, 3mg/kg/1min iv) による脳・末梢循環, 脳代謝および脳血管反応性に対する影響をサルを用いて検討した.血流は電磁流量計を用いて測定し, 脳循環自動調節能はautoregulation indexを, 脳循環化学調節能はchemicalvasomotor indexを, 脳代謝は脳酸素消費量を指標とした.I) 血圧は有意に低下したが, 脈拍には差を認めなかった.II) 内頸・椎骨動脈血流は阻害後から有意に低下した.末梢血流は一過性の増加後, 外頸動脈血流が有意に低下し, 大腿動脈血流には差を認めなかった.III) 脳酸素消費量は変化を示さなかった.IV) 脳循環自動調節能は脱血負荷に対し阻害後で有意な亢進 (p<0.05) を示し, 血液注入負荷時には有意差を認めなかった.V) 脳循環化学調節能はCO2吸入負荷時に有意な変化を示さなかったが, 過換気負荷時には阻害後で有意な低下 (p<0.05) を示した.以上の成績から, vascular renin-angiotensin systemは脳循環調節と密接な関与が示唆される.
  • 松島 一士, 加藤 洋隆, 丹羽 潔, 高木 繁治, 篠原 幸人
    1993 年 15 巻 3 号 p. 210-215
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    患者は50歳, 男性.突然の複視で発症し, 左眼の下転障害と右眼の上転障害を主徴とし, MRIにて視床中脳境界部左側に限局した血腫が認められた.右Horner症候群, 輻輳障害を認めたが, 他の神経症候はみられなかった.垂直眼球運動の中枢として吻側内側縦束間質核 (riMLF) が人間に於いても注目され, その障害で発症したとする “vertical one-and-a-half” 症候群の例が報告されているが, 本例では視床中脳出血により一側のriMLFが障害され, 病巣側の下転障害と反対側の上転障害という特異な垂直眼球運動障害を呈したと考えられた.我々の知る限りでは今までにこの特異な眼球所見に関する報告はなく, riMLFの概念を支持するものと考え報告した.
  • 新阜 宏文, 中澤 拓也, 松田 昌之, 半田 譲二
    1993 年 15 巻 3 号 p. 216-224
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    遺残原始三叉動脈persistent primitive trigeminal artery (PTA) に同側の多発性脳動脈瘤を合併した3例を経験した.3例ともすべて女性で, 左側にPTAを有し, 同側の内頸動脈後交通動脈分岐部動脈瘤の破裂によるくも膜下出血で発症した。各々, 内頸動脈海綿静脈洞部動脈瘤, 内頸動脈前脈絡叢動脈分岐部動脈瘤および内頸動脈遺残原始三叉動脈分岐部動脈瘤を有していた.PTAと脳動脈瘤の合併した症例について文献的考察を加え, 治療上の問題点を検討した.
  • 高松 和弘, 滝沢 貴昭, 佐藤 昇樹, 村上 裕二, 宮本 勉
    1993 年 15 巻 3 号 p. 225-231
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    我々は両側大脳脚梗塞によると考えられたlocked-in syndromeの67歳, 男性例を報告した.本症例は四肢麻痺を呈していたが意志伝達は瞬目で可能, 眼球運動で右側注視麻痺を認めた.垂直方向に制限はなかった.MRIで両側大脳脚と橋傍正中部に腹側から背側に延びる梗塞巣を認めた.短潜時体性感覚誘発電位 (S-SEP) では左正中神経刺激でP13-P14, N18の振幅低下傾向, 瞬目反射 (BR) では右側刺激でearly reflexを認めるのみだった.聴性脳幹反応 (ABR) では両側共にI波から不明瞭であった.S-SEPとBRの異常は橋傍正中部の背側病変, ABRの異常は末梢性病変によると考えられた.本症例の責任病巣として両側大脳脚病変の重要性と過去の両側大脳脚病変によるlocked-in syndromeの特徴につき考察を加え報告した.
  • 出田 淳, 奥田 文悟, 川端 啓太, 立花 久大, 杉田 實
    1993 年 15 巻 3 号 p. 232-237
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は62歳右利き男性.左側頭葉後下部の梗塞により, 漢字に強い失読失書と喚語困難を生じた。失読の回復は良好であったが, 特に漢字につよい失書を残した.123I-IMP脳表面画像により, 左側の中側頭回下半部より下側頭回にかけての皮質血流の低下が顕著であった.上側頭回や角回での血流低下は認められなかった.本邦で報告されている左側頭葉後下部損傷による失読失書の報告例と比較して, 本例は責任病巣の解剖学的分布をより明確に描出し得た.即ち, 優位半球の中側頭回下半部より下側頭回にかけての領域が漢字の読み書き, 特に書きに関与していること, 及び同部位の損傷により健忘失語が合併しうることを考察した.
  • 岸川 和裕, 長尾 哲彦, 井林 雪郎, 佐渡島 省三, 藤島 正敏
    1993 年 15 巻 3 号 p. 238-242
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は腎血管性高血圧, 糖尿病, 多量の喫煙歴を有する65歳の男性。当科入院前の1992年1月から退院までの6月間に計4回, 右および左の半身のしびれ感, 脱力などを主訴とする脳梗塞発作を繰り返した.入院後のMRIで左右大脳半球に多発性の脳梗塞巣が認められ, 血清学的に抗カルジオリピンIgG抗体が証明された.加齢, 高血圧, 糖尿病, 喫煙, 低HDL血症, 抗カルジオリピン抗体など多数の危険因子が, 頻回の脳梗塞の再発に関与したと考えられた.入院後もticlopidine投与中にかかわらず脳梗塞が再発したため, warfarinとaspirinの併用療法に変更し, その後1993年2月中まで再発を生じていない.短期間に脳梗塞の再発を頻発した例について, その危険因子ならびに治療を中心に文献的考察を加え報告した.
  • 川井 元晴, 根来 清, 福迫 俊弘, 津田 尚美, 森松 光紀
    1993 年 15 巻 3 号 p. 243-246
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性.1990年11月1日, 朝食時めまい感と左上下肢麻痺に気づき, 翌日当科受診.一般内科学的には肥満を認め, 神経学的には意識レベルはJCS1, 頭痛, 構音障害, 左片麻痺, 歩行障害, 左側小脳失調・位置覚低下を認めた.また, 左上肢にasterixisを認めた.受診時の頭部CTにて右視床・右側脳室内に高吸収域を認め, 右視床出血とそれに伴う脳室内穿破と診断された.さらに短潜時体性感覚誘発電位 (SSEP, 正中神経刺激) における中枢神経伝導時間 (CCT) では左刺激での遅延がみられた.Asterixisは代謝性疾患においてしばしばみられるが, 脳血管障害等の器質的疾患にも時に認められる.その発現には錐体路・小脳・後索系の障害と脳幹網様体賦活系の障害が関与している可能性が考えられた.
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