多発脳梗塞患者69名のうち, 臨床的に活動過剰型せん妄を呈する32名 (D群) とせん妄のない対照群37名 (C群) の1.5T頭部MR画像について, 橋, 視床, 大脳基底核, 放線冠の梗塞像, 脳室周囲高信号域 (PVH), 脳室拡大度を比較し, その特徴を検討した.その結果, 基底核, 放線冠の梗塞数には両群に差はみられないが, D群は視床に梗塞が広く分布し, 脳室周囲高信号域 (PVH) が広範であり, 側脳室前角部, 第3脳室拡大が高度である事が特徴といえた.多発脳梗塞患者の頭部MRI読影にあたり, 高度のPVH, および視床梗塞がみられる場合, せん妄発現の可能性が示唆されるものと考えられた.
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