脳卒中
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16 巻 , 5 号
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  • 八尾 博史, 藤島 正敏
    1994 年 16 巻 5 号 p. 303-317
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2010/01/25
    ジャーナル フリー
    脳虚血により大量のグルタミン酸が放出され, 脳虚血の病態を増悪させると考えられている.多くの局所脳虚血モデルにおいてグルタミン酸受容体拮抗薬 (MK-801やNBQXなど) が効果を示しており, そのことが逆に脳虚血病態において興奮毒性の存在する根拠となっている.グルタミン酸受容体拮抗薬は脳血管障害急性期の治療薬として, 理論的には有望な薬であるが, その作用機序に関して不明な点も残されている.脳血管障害の治療薬剤の効果を実験的に検討する場合, 薬剤の非特異的な影響により結果が左右されないよう配慮が必要である.グルタミン酸受容体拮抗薬による脳梗塞縮小効果が受容体の選択的遮断ではなく, 薬剤により生じた低体温や脳血流への影響による場合には, 臨床例において効果をえるのは難しいであろう.本論文では脳卒中治療薬剤としてのグルタミン酸受容体拮抗薬の実験的検討におけるいくつかの問題点を指摘し, 考察を加えた.
  • Joseph S. Beckman
    1994 年 16 巻 5 号 p. 318-328
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    重要な血管拡張作用を持つNitricoxide (NO) は, はじめ血管内皮細胞由来血管拡張因子として同定されたが, 脳血流への関与以外に細胞間情報伝達にも大きく関与していることが理解されてきた.一方, NO自体はフリーラジカルとしては, それほどtoxicであったり反応性が強いわけではなく, むしろsuperoxideとNOが急速に反応しさらに毒性の強い分子種であるperoxynitriteを形成することが重要で, これがsuperoxide disrnutase (SOD) により触媒されて, 蛋白のチロシン残基のニトロ化を生じ, 細胞変性を促進することが想定された.実際, 脳虚血時に組織NO濃度が上昇し, 細胞蛋白のニトロ化が増加していることが確かめられた.またこの現象により, 近年遺伝子変異が見つかった筋萎縮性側索硬化症におけるSODの機能を説明できるかも知れない.
  • 山田 康代, 西丸 雄也, 安部 博史
    1994 年 16 巻 5 号 p. 329-333
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    米国NINDSの脳血管障害分類IIIに沿って160人の脳梗塞患者 (男114, 女46, 平均年齢63.4歳) を分類した。NINDS分類は詳細な診断基準がないため, 古典的ラクナ症候群で画像上病巣が15mm以下か無いものをラクナ梗塞, 突発完成で心原性塞栓源を持つものを心原性脳塞栓, 原因血管病変が確認できるものをアテローム血栓性梗塞〈24人 (15%) 〉と診断.さらに, ラクナ梗塞は神経所見及び画像上小梗塞巣と判定できるものも追加し55人 (34.3%), 心原性脳塞栓症は心原性塞栓源を持ち発症様式及び画像上から心原性塞栓症と判定できるものも追加し32人 (20%), 最終的に分類不能は49人 (30.6%) であった.ラクナ梗塞の頻度は, 米国の報告と比較して僅かに高い傾向があった。他の病型はほぼ同数で, アテローム血栓性梗塞と分類不能の頻度に逆相関の傾向があり, その原因は血管病変の確認能力の差と考えられた.今後, 臨床検査法の発達により分類不能は減少すると考えられる.
  • 田中 尚, 中村 雄作, 八木 祐吏, 三浦 浩介, 高橋 光雄
    1994 年 16 巻 5 号 p. 334-340
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    99mTc-HM-PAOを用いた局所脳血流量 (rCBF) の簡便な測定方法を検討し, 正常対象26名の脳血流量を測定した.Patlak plotを応用したMatsudaらの方法で全脳血流量 (mCBF) を求め, Lassen補正を行うことによりrCBFを求めた.rCBF算出の際, Lassen補正のための参照部平均RIカウント数の計測を基底核レベルで行い, 補正係数はα=2.0と固定した.正常対象者のmCBFは53.8±6.4ml/100g/min (以下同単位) であった.左右差, 性差はみられず, 年齢と共に低下した.rCBFは小脳77.3±6.6, 前頭葉70.2±6.1, 側頭葉72.3±7.5, 後頭葉71.8±6.2, 頭頂葉73.8±8.6であった.左右差, 性差は見られなかった。後頭葉以外年齢と負の相関が得られたが, 前頭葉が最も年齢の影響を受け血流は低下した.我々の方法は臨床応用可能なrCBF測定法であると考えられた.
  • 加納 道久, 杉田 虔一郎
    1994 年 16 巻 5 号 p. 341-347
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    著者らはラットに中大脳動脈閉塞モデルを用いて, 梗塞周辺部神経細胞にbcl-2蛋白が発現されることを, 免疫組織化学とWestern blotにて確認した.bcl-2蛋白は虚血急性期 (4日目) に梗塞周囲の大脳皮質神経細胞胞体に免疫組織化学的に陽性であり, 慢性期 (21日目) には梗塞周囲の大脳皮質, 内包, 大脳脚, 脳梁, 橋の軸索に部分的に陽性であった.Western blotにより梗塞後に発現するbcl-2蛋白は, ラット胸腺やヒト白血病培養細胞HL60が産生するbcl-2と同じ分子量 (bcl-2α) と確認した.遺伝子bcl-2の脳虚血における役割については未だ不明であるが, 血液細胞ではいわゆるアポトーシス (apoptosis) を抑え, 生存を維持する役割を持っている.梗塞周辺の神経細胞は虚血負荷を与えられているが, 細胞死防御のためbcl-2蛋白を急性期に発現し, 慢性期においても, なおそれらの軸索に存在させ細胞脱落を防御していることが想像された.
  • 飯島 献一, 小林 祥泰, 須山 信夫, 山下 一也, 山口 修平
    1994 年 16 巻 5 号 p. 348-353
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    半側空間無視は劣位半球の頭頂, 後頭, 側頭葉接合部の障害で生ずることが最も多い.しかし, 後大脳動脈領域の障害でも生ずることがある.そこで中大脳動脈領域 (MCA群) 12例と後大脳動脈領域 (PCA群) 4例の半側空間無視の特徴を比較検討した.半側無視を呈する病巣はMCA群が頭頂, 後頭, 側頭葉接合部に集中しており, PCA群は後頭葉内側面あるいは側頭葉内側面であった.MCA群は半盲の自覚がなく, 消去現象を高率に認め, 無視の持続時間が長い傾向を示した.PCA群は半盲を自覚し, 消去現象を認めず, 無視の回復も良好であった.PCA群は全例地誌的失見当を伴っていたことより, 後海馬傍回から舌状回にかけての病巣, あるいは下頭頂小葉との線維連絡の障害により無視を呈した可能性が考えられた.以上よりMCA群とPCA群の半側空間無視の病巣は異なっており, その発症機序も異なる可能性が考えられた.
  • 榊 孝之, 山田 和雄, 大槻 秀夫, 湯口 貴導, 早川 徹
    1994 年 16 巻 5 号 p. 354-359
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    ラット大脳皮質培養細胞での低酸素性細胞傷害に対するIbudilastの保護作用, およびPGE1との併用効果を検討した.18日齢ラット胎仔の大脳皮質細胞初代培養を行った.10%血清培地で24時間, 無血清培地で72時間培養後, 24時間低酸素負荷を加えた (hypoxia群).1) 無添加群, 2) Ibudilast添加群, 3) PGE1添加群, 4) Ibudilast+PGE1添加群に分け, 正常対照normoxia群と比較した.細胞傷害は培地中のLDH活性で判定した。Ibudilast2×10-5M, 2×10-6M添加群で低酸素性神経細胞傷害に対する保護作用を認めた.PGEI添加群でも神経細胞保護作用を認めたが, Ibudilast+PGE、添加群では, PGE1添加, Ibudilast添加と差はなく併用効果を認めなかった.Ibudilastの保護作用発現機序として, 神経細胞に対する直接作用, PGE1を介した作用が考えられた.
  • 秋山 久尚, 北井 則夫, 畑 隆志, 坂井 文彦, 神田 直
    1994 年 16 巻 5 号 p. 360-364
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    白血病患者における頭蓋内出血例は, 一般に予後不良と考えられている.今回, われわれは, 北里大学病院に, 1979年4月から1993年9月までの14年間に入院した白血病患者601例中, 頭蓋内出血を併発した32例 (年齢7歳から84歳, 平均45.8±22.5歳 (SD)) について検討した.白血病患者における頭蓋内出血併発率は5.3%であり, 多発性脳内出血例が多く, 死亡率は87.5%に達し, 予後は極めて不良であった.また, 脳内出血とくも膜下出血, 脳内出血と硬膜下出血などの合併出血例 (12.5%) も少なくなかった.発症時の主要症候は, 頭痛, 意識障害などであり, 脳局所症候を欠くものが多かった.頭蓋内出血を併発した白血病の病型は, 急性骨髄性白血病が多いが, 病型別に頭蓋内出血併発率をみると, 急性と慢性白血病との間に差を認めず, 骨髄性とリンパ性の比較では骨髄性白血病の頻度が高かった.また, 類縁疾患においても頭蓋内出血の併発頻度は決して少なくないと考えられた.確定診断時における検査成績を生存群と死亡群で比較すると, 末梢血中の白血球数では差は認められなかったが, 血小板数は死亡群で, より減少の傾向がみられ, 生命予後との関連がある程度まで示唆された.
  • 市原 新一郎, 津田 能康, 細見 直永, 北代 雅也, 松尾 裕英
    1994 年 16 巻 5 号 p. 365-373
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    一過性両側総頸動脈閉塞による前脳虚血負荷砂ネズミにnimodipineを虚血前, 虚血中, あるいは虚血後に投与し, 虚血中及び再灌流後に脳血流, 脳内エネルギー代謝に及ぼす効果を, レーザードプラ血流計, 31P-NMRスペクトロスコピー (MRS) を用いて各々評価した.虚血前nimodipine投与群ではvehicle群, 生食群に比しPCr/Pi比, β-ATP/Pi比は再灌流後の全測定時で有意の高値を示し (p<0.01~0.05), pHi値は高値傾向を示した.虚血中nimodipine投与群ではPCr/Pi比, β-ATP/Pi比, pHi値は再灌流後のいずれの測定時にも, vehicle群との間で有意差を認めなかった.虚血後nimodipine投与群ではvehicle群に比しPCr/Pi比は再灌流開始後90-, 120-, 180-分で, β-ATP/Pi比は90-, 120-分で有意に高値を示した (p<0.01~0.05).各投与群間で比較すると, 虚血前nimodipine投与群では虚血中投与群に比し再灌流後の全測定時にPCr/Pi比, β-ATP/Pi比の有意の高値を認め (p<0.01~0.05), 虚血後投与群に比しPCr/Pi比, β-ATP/Pi比は再灌流開始後180-, 240-分で有意の高値を示した (p<0.01~0.05).虚血中投与群と虚血後投与群との比較では, PCr/Pi比は再灌流開始後90-, 120-, 180-分で, β-ATP/Pi比は90-, 120-分で虚血後投与群で有意の高値を示した (p<0.01~0.05).nimodipineの虚血前あるいは虚血後投与により, 再灌流後の脳内エネルギー代謝は虚血中投与に比し有意の改善を示し, nimodipineの虚血脳に対する保護効果が示唆された.
  • 黒田 敏, 宝金 清博, 阿部 弘, 伊藤 文生, 斎藤 久寿
    1994 年 16 巻 5 号 p. 374-379
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳主幹動脈の閉塞性病変を合併したくも膜下出血の症例に対して, 脳動脈瘤クリッピングと同時に行う脳血行再建術の意義について検討した.くも膜下出血にて発症した症例のうち, 頸動脈あるいは中大脳動脈に高度狭窄, 閉塞を合併していた5症例 (総頸動脈閉塞症1例, 内頸動脈閉塞症1例, 中大脳動脈狭窄症3例) を対象とした.頸動脈閉塞症の2例ではWillis動脈輪を介する良好な側副血行路が認められたため, 脳血行再建術は行わなかった.症例性脳血管攣縮は生じなかった.中大脳動脈狭窄症1例で脳血行再建術を行わなかったところ, 1週間後, その領域に広範な脳梗塞が出現し重篤な神経症状が残存した.ほかの2例に対しては脳動脈瘤クリッピングと同時に浅側頭一中大脳動脈吻合術を行ったところ, 症候性脳血管攣縮は生じず経過良好であった.このような症例に対する脳血行再建術は, 適応を明確にした上で行えばきわめて有効と考えられた.
  • 大木 教久, 篠原 幸人, 丹羽 潔, 山本 正博
    1994 年 16 巻 5 号 p. 380-384
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    一側性核下性動眼神経麻痺のみを呈した中脳出血の1例を報告した.症例は, 67歳・女性で, 眼瞼下垂, 複視を主訴に来院した.頭部CT上, 中脳被蓋左側に高吸収域を認めたが, 神経学的には左核下性動眼神経麻痺をみるのみであった.一般に核下性動眼神経単独麻痺は多くの場合髄外病変に基づくとされ, 髄内病変による場合は他の神経症候を随伴することが多く, 単独麻痺は稀とされている.本症例は中脳出血による核下性動眼神経単独麻痺を呈した稀な症例であり, 核下性動眼神経単独麻痺のみを呈する症例においても中脳出血が原因となることがあるので, これを念頭においた病因精査が必要であることを本論文では強調した.
  • 根本 義章, 大星 博明, 井林 雪郎, 佐渡島 省三, 藤島 正敏
    1994 年 16 巻 5 号 p. 385-389
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    一過性の対側Dejerine症候群を合併したWallenberg症候群の一例を経験した.症例は57歳男性.右顔面の感覚低下, 嚥下障害で発症し入院.入院時, 右Horner症候群, 右小脳失調, 右軟口蓋咽頭麻痺を認め, MRIで延髄右背外側に梗塞巣が描出されたことより, 右Wallenberg症候群と診断した.また発症時, 舌の左方偏位, 顔面を除く右半身の触覚・振動覚低下, 右錐体路症状が認められ, 左Dejerine症候群の合併が考えられた.両症候群の合併例の報告はなく, 延髄の血管支配の点からも非常に稀な病態と考えられた.
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