脳卒中
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17 巻 , 1 号
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  • 飯野 耕三, 高野 健太郎, 竹之山 利夫, 田川 皓一, 中野 昌弘
    1995 年 17 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳梗塞の再発予防に関する抗血小板薬の功罪をretrospectiveに検討した.Aspirinまたはticlopidineの服用期間158例および非服用期間246例の脳梗塞を対象とした.ラクナ梗塞における脳梗塞再発は, 観察期間が39.5カ月の服用期間127例で18回 (4.3%/年), 非服用期間198例は41.7カ月の観察で31回 (4.5%/年) と, その頻度に有意差はなかった.ラクナ梗塞の服用期間のうち, 抗血小板療法開始前に血小板凝集能が充進していた35例における脳梗塞再発は2回 (1.5%/年) で, 血小板凝集能が正常であった服用期間73例の再発15回 (6.1%/年) と比較して, 有意ではなかったものの75.4%の再発率の低下を示した.アテローマ血栓性脳梗塞の服用期間31例の脳梗塞再発は4回 (4.3%/年), 非服用期間48例では12回 (7.8%/年) と, 減少率は44.9%であった.ラクナ梗塞における抗血小板療法の再発予防効果は認められなかったが, 血小板凝集能が充進した症例での有効性が示唆された.
  • 岩本 俊彦, 榎本 睦郎, 小川 公啓, 柳川 清尊, 高崎 優
    1995 年 17 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    periventricular hyperintensity (以下PVH) の成り立ちを知るために, 初発脳血栓例のMRT2強調画像でみられたPVHを責任病巣, 血管撮影所見, 危険因子より検討した.対象は脳血栓初回発作例103例 (脳血栓群) で, 対照には高血圧/糖尿病を有する危険因子群37例と, これらのない非危険因子群78例を用いた.責任病巣は大脳皮質 (COR) 型, 半卵円中心 (CSO) 型, 内包-放線冠 (IGCR) 型および脳幹・小脳 (BS) 型の4型に分類すると各々25例, 10例, 46例, 22例あった.PVHは有無, 分布よりnone, rims/caps, patchy, diffuseに分類したが, 広範なPVH (後二者) は脳血栓群や高血圧例で有意に多くみられた.またPVHのうちdiffuseはCSO型や脳主幹動脈狭窄と, patchyはIGCR型と密接な関連を示した成績から, diffuseの成り立ちには主幹動脈病変に基づく血行力学的な機序が, patchyは小動脈病変による虚血の多発, 癒合性変化が考えられた.
  • 松田 信二, 河村 満, 平山 恵造
    1995 年 17 巻 1 号 p. 18-26
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    視床の限局性血管性障害患者38例をX線CT, MRIによる病変部位から5群に分類し, 16例についてPETを施行した.視床前内側部病変群では自発性低下, 記憶障害, 読み書き障害を呈し, 同側の前頭葉, 側頭葉, 頭頂葉におよぶ大脳の広範な血流および酸素代謝の低下を認めた.視床背外側部病変群の内ataxic hemiparesisを呈した症例では同側の前頭頭頂葉または側頭葉の血流および酸素代謝の低下を認めた.視床後腹側核の限局性病変群では手口感覚症候群あるいは片側上下肢末梢の感覚障害がみられ, 同側の頭頂葉または側頭葉の血流および酸素代謝の低下を認めた.視床枕を含まない視床後外側部病変群では古典的視床症候群を呈したが視床痛はみられず, 同側の前頭頭頂葉と側頭葉の血流および酸素代謝の低下を認めた.視床枕を含む視床後外側部病変群では全例で視床痛を呈し, 前群の所見に加えて側頭葉下内側部にも血流および酸素代謝の低下がみられた.以上から視床の限局性障害に伴う大脳の血流および酸素代謝の低下がこれらの神経症候の発現に関連することが示唆された.
  • 八木田 佳樹, 恵谷 秀紀, 藺牟田 直彦, 木下 直和, 額田 忠篤
    1995 年 17 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    経頭蓋超音波ドプラ (Transcranial Doppler sonography : TCD) 法による側頭骨を介する頭蓋内主要血管血流信号の検出率は性, 年齢, 人種などにより差があることが知られている.今回我々は本邦成人多数例において, 側頭骨に対する入射超音波強度と検出率の関係を検討した.本邦成人163例 (平均年齢62.0歳, 男性81例, 女性82例) を対象として, 経頭蓋超音波ドプラ法の超音波強度を76mW/cm2から最高532mW/cm2まで段階的に増強させ, 各段階での検出率を求めた.結果は35.6% (超音波強度 : 76mW/cm2) から74.2% (超音波強度 : 532mW/cm2) へと, 超音波強度を増強させるに従い, 検出率は有意に (p<0.01) 改善された.性別の検討では全ての超音波強度段階で男性に比し, 女性で検出率は不良であり, 最高超音波強度である532mW/cm2においても検出率は男性84.0%, 女性64.6%と女性の検出率は有意に (p<0.01) 不良であった.今回の検討から超音波強度を増強させることにより検出率が改善されることが明らかになった.しかしながら全ての症例で検出可能となるわけではなく (特に高齢女性), 検出率改善のためには, 本法とともに他の方法の併用などを考慮する必要がある.
  • 野田 恒彦, 堀川 楊
    1995 年 17 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    completed strokeの二次予防を抗血小板薬のaspirin (ASA), ticlopidine (TP), 抗凝固薬のwarfarin, bucolomeの使用の有無より検討した.対象者は初発の脳血栓症252名 (男154名, 女98名), 脳塞栓症59名 (男38名, 女21名), 観察開始年齢は男64.4±12.9歳, 女67.5±11.1歳, 観察期間は男1,410.8±1,316.6日, 女1,526.5±1,344.6日であった.脳血栓症では年間再発率はASA群5.28%, TP群2.29%, 非服用群6.54%で, TP群はASA群, 非服用群に比べ再発が有意に少なかった (危険率5%).脳塞栓症では年間再発率はASA群11.16%, TP群19.31%, warfarin群4.13%, bucolome群 (warfarinと併用) 0%, 非服用群24.88%で, 抗凝固薬群 (warfarin, bucolome) が抗血小板薬群 (ASA, TP), 非服用群に比べ再発が有意に少なかった (危険率1%).脳出血の発症数と年間発症率は, ASA群1名, 0.67%, TP群1名, 0.13%, 抗凝固薬群1名, 0.92%, 無治療患者群2名, 0.69%であった.
  • 中村 仁, 松山 知弘, 杉田 實
    1995 年 17 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2010/01/25
    ジャーナル フリー
    砂ネズミ一過性脳虚血モデルを用い, 遅発性神経細胞死の過程におけるα-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepro pionic acid (AMPA) 型グルタミン酸レセプターサブユニットのmRNAと蛋白の双方の変動を観察し, 細胞死のメカニズムとの関連を検討した.海馬CA1領域では5分虚血後1日目にGluR1 mRNA, GluR3 mRNAの顕著な発現の低下がみられたがGluR2m RNAの低下は軽度であった.GluR1-3蛋白の虚血後の変化はCA1領域で1日目の免疫陽性構造の局在の変化として認められた.GluR4は錐体細胞よりも虚血に対して抵抗性のあるインターニューロンに主に認められた.以上の結果より, 虚血後AMPAレセプターはdown-regulationを受けることが示唆され, さらに虚血負荷後一過性にGluR2優位のサブユニット構成変化が生じていることが示された.これはCa2切細胞内流入機構の虚血後変化を意味しており, 遅発性神経細胞死の機序の一つを説明するものと考えられた.
  • 田中 弘道, 斎藤 潤, 礒江 健二, 渡邉 保裕, 深田 倍行
    1995 年 17 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    MRIを用いて橋底部傍正中枝領域の入口部閉塞症 (B群) 15例とラクネ (L群) 15例を抽出し, 臨床症状, 予後, 危険因子を比較検討した.B群では片麻痺と構語障害が必発で, 80%が進行性の経過をとった.古典的lacunar syndromeを呈した例が6例, sensorimotorstrokeが2例あった.その他の7例 (47%) はlacunar syndromeに加え初期に軽い意識障害を合併しlacunar syndromeを逸脱していた.約1/3は片麻痺が高度で予後が不良であった.L群は片麻痺が軽度で, 部分麻痺となる例が多く, 進行性経過をとる例は27%であった.全例古典的lacunar syndromeの範疇に入った.予後は極めて良好であった。危険因子としてはB群においては高血圧の他に糖尿病, 脂質異常の関与が推定された.両者の差異は, B群の多くがbranch atheromatous diseaseよるものであり, ラクネに比べ梗塞巣が広く, 徐々に虚血が生じることによると考えられた.
  • 清水 聡一郎, 松山 知弘, 杉田 實
    1995 年 17 巻 1 号 p. 58-69
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳神経細胞内活性酸素消去酵素であるmanganese superoxide dismutase (MnSOD) に対する脳虚血の影響を評価する目的で, 砂ネズミの一過性前脳虚血後の海馬MnSODの変動をin situ hybridization histochemistryと免疫組織化学を用いて検討した.虚血負荷としては遅発性神経細胞死を起こす5分間虚血負荷あるいは非致死的であり虚血耐性を誘導する2分間虚血負荷を選定し, さらに虚血耐性獲得後の5分間虚血の影響も検討した.非虚血脳ではMnSODmRNAおよび蛋白はCA3領域で豊富に発現していたが, CA1錐体細胞ではほとんど認められなかった.5分虚血負荷後は虚血後1日目までに, CA1領域を含め海馬全領域で一過性のMnSODm RNA発現の増強をみたがCAI錐体細胞には蛋白発現は観察されなかった.虚血負荷後3日目にはMnSODmRNAと蛋白はCA1の白質領域に増殖するグリア様小細胞に発現した.2分虚血負荷後はMnSODmRNAと蛋白発現がCA1錐体細胞で認められ, これは虚血負荷後1週間持続した.2分虚血の前負荷後5分虚血を施行した群では, CA1錐体細胞のMnSOD発現は新たな5分虚血負荷前後での変動は少なかったが, その発現は虚血後1週間は維持されていた.これら神経細胞死を伴わない虚血負荷後はグリア細胞でのMnSOD発現は観察されなかった.以上より致死的負荷ではMnSODをはじめとする内在性活性酸素消去酵素は脆弱神経ではその活性が減弱し, グリアで活性充進することが示唆された.反対に非致死的虚血負荷後にはMnSODは脆弱神経細胞に新たに発現誘導され, その後の致死的虚血負荷後も維持されることから, 虚血耐性現象には神経細胞内在性MnSODの発現誘導が関与していることが示唆された.
  • 巖本 靖道, 成冨 博章, 西村 裕之, 杉田 實, 澤田 徹
    1995 年 17 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    従来, 抗血小板凝集薬の血栓阻止作用をinvivoで検討した報告は少ない.我々は砂ネズミの総頸動脈血栓モデルを用い, プロスタサイクリン (PGI2) 活性増強作用のあるイブジラストおよびアスピリンの血栓阻止効果をinvivoで検討した.血栓は一側総頸動脈2分間圧縮による内皮障害法により誘発し, 血栓形成の有無は顕微鏡下で観察した.対照群では70%の動物に総頸動脈血栓が観察された.血管圧縮10分前に2mg/kgアスピリンを静脈内投与した群では血栓発現率は有意に低下した (10%, p<0.05).同様に静脈内投与した1mg/kgイブジラストはアスピリンと同程度の血栓阻止作用を示した (10%, p<0.05).一般にPGI2活性増強により薬効を示す薬剤の血小板凝集抑制作用をexvivoで正確に評価することは困難であるが, 本動物モデルはこのような薬剤の血小板凝集抑制作用, 血栓阻止作用を評価する上で有用と思われる.
  • 下村 辰雄, 白田 明子, 山根 清美
    1995 年 17 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    道順障害を呈した皮質下出血の2例 (症例1;67歳, 男性, 右利き, 症例2;60歳, 男性, 右利き) を報告した.2例とも自宅, 自宅周辺の建物など (地理的目印) の同定は可能だが, 自宅の見取り図や自宅周辺の描写は不可能であった.当初軽度の構成障害を認めたが, 相貌失認, 左半側空間失認などの他の失認は認めなかった.道順障害は症例1では発症3カ月目, 症例2では発症1カ月目に消失した.症例1では右後頭頭頂領域と脳梁膨大後域, 症例2では右側頭葉後部に皮質下出血を認めた.道順障害の責任病巣として右脳梁膨大後域から頭頂葉内側部が重視されており, 症例1では典型的であった.症例2では非典型的であり, その症状や経過より血腫の2次的影響による可能性を考えた.地理的障害において地理的目印の認知または記憶の障害 (街並失認) と地理的目印の空間的位置関係の認知または記憶の障害 (道順障害) を区別して検討する必要があると考えられる.
  • 沼田 聡, 長尾 哲彦, 井林 雪郎, 佐渡島 省三, 藤島 正敏
    1995 年 17 巻 1 号 p. 80-84
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    症例は77歳女性.深夜起立時のめまいを主訴として来院.頸動脈超音波検査で右内頸動脈狭窄症 (85%) が疑われ入院精査した.頭部CT, MRIに著変を認めなかったが, intravenous digital subtraction angiographyにより右内頸動脈分岐部の高度狭窄が, さらに24時間血圧モニターにより夜間の血圧低下が明らかとなりめまいとの関連が示唆された.Positronemission CT (PET) では脳循環代謝諸量は正常であったため, ticlopidine 100mg/日で外来治療とした.退院13日後に左片麻痺が出現.以後二度にわたり, 血圧下降に伴って麻痺と意識レベルが増悪した.頭部CTやMRIでは, 右大脳半球境界域に広範な脳梗塞が描出され, 血行力学的脳梗塞と診断した.PETでは脳血流量・脳酸素代謝率の低下が, 患側内頸動脈支配領域全体にわたって認められた.内頸動脈狭窄患者ではPETによる予後の判定に一定の限界があることが示唆された.
  • 片岡 敏, 西願 司, 小笠原 智子, 道下 秀信, 広瀬 源二郎
    1995 年 17 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性, 高血圧と糖尿病の既往があり, 歩行時の動揺感と左側の筋力低下を生じ来院した.神経症候学的には意識清明, 構音障害は認めず, 片麻痺様歩行を呈した.瞳孔は左右差なく, 眼球運動正常で, 軟口蓋挙上に左右差なかったが, 軽度左中枢性顔面神経麻痺, 左不全片麻痺を認めた.知覚系は正常, 左側深部腱反射は充進し, 左Babinski徴候陽性, 小脳徴候は陰性であった.発症3日後の頭部CT検査では中脳の右大脳脚に低吸収域を認めた.頭部MRI検査ではT2強調画像で右大脳脚の外側2/3に限局した高信号域を認めた.脳血管撮影では両側椎骨動脈及び脳底動脈には異常なく, 右後大脳動脈にも狭窄, 閉塞性病変は認められなかった.本例はpure motor hemiparesisを呈した大脳脚の1acunarinfactionと考えられた.
  • 高橋 若生, 吉井 文均, 大須賀 幸子, 泉 義雄, 篠原 幸人
    1995 年 17 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    中心静脈カテーテルの切断によりparadoxical cerebral air embolismを呈した2症例を報告した.症例1は85歳男性で舌癌および頸部リンパ節転移で入院中, 中心静脈カテーテルを自己切断した.その直後より呼吸困難, 意識障害, 全身性の強直性痙攣が出現し, 発症から2時間後の頭部CTで右前頭葉に多発性の空気像が認められた.MRIでは右前頭葉, 右頭頂葉, 右大脳基底核に梗塞巣が認められた.症例2は76歳の女性で, 頸部悪性リンパ腫で入院中, 中心静脈を自己切断した.その直後より呼吸困難, 頻呼吸, 意識障害が出現し, 発症から1時間後の頭部CTで右前頭葉に空気像が認められた.MRIでは右前頭葉および頭頂葉に梗塞巣が認められた.本疾患の早期診断にCTは極めて重要であり, またMRIは本症の脳梗塞の広がりを把握する上で有用な手段と考えられた.
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