スナネズミ海馬スライスを用いたマイクロフルオロメトリー法により, 海馬CA1領域の
in vitro虚血誘発性細胞内Ca
2+濃度 ([Ca
2+]
i) 上昇に対するイブジラスト (3-isobutyryl-2-isopropylpyrazolo [1, 5-a] pyridine) の効果について検討した.Ca
2+蛍光指示薬rhod-2で染色したスライスに低酸素・無グルコース条件 (
in vitro虚血) を負荷すると, 虚血に対して脆弱性の高いCA1領域に大規模な [Ca
2+]
i上昇が観察されたが, 灌流液に43μMイブジラストを添加すると, この [Ca
2+]
i上昇の程度は有意に減少した.さらに, 低Ca
2+灌流液での
in vitro虚血負荷やグルタミン酸受容体サブタイプのアゴニスト, 高濃度KCl刺激によるCA1領域の [Ca
2+]
i上昇に対してもイブジラストの抑制効果が観察された.以上の結果より, イブジラストは
in vitro虚血誘発性 [Ca
2+]
i上昇に対し非特異的な抑制作用を示し, 中枢神経系の虚血障害を改善する可能性が示唆された.
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