脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
17 巻, 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 定梶 裕司, 南 真司, 石崎 良夫, 松田 保
    1995 年 17 巻 4 号 p. 319-324
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    TIAまたは脳血栓発症後の二次予防を目的としてチクロピジン : 200mg/日または300mg/日投与した68例 (平均年齢70.2±9.3歳) を対象に, 血小板凝集能が薬効の指標となりうるかを検討した.平均観察期間は30.2カ月で, この間15例にTIAまたは脳血栓が発症した.投与後の血小板最大凝集率 (凝集惹起物質 : ADP終濃度8μmol/l) により15%以上の群と15%未満の群に分類しその累積再発率を比較すると, 後者が有意に (p<0.05) 低値であった.投与後の血小板最大凝集率及び凝集パターンは, 複数回の測定にて安定していた.期間中重篤な出血はなかった.以上より, 抗血小板効果の個体差を考慮して, チクロピジンの至適投与量決定することで, その有効性を高める可能性があると考えられる.この際に, 凝集惹起物質としてADPを用いた血小板凝集能は再現性に優れ, 臨床的に有用と思われる.
  • -Alzheimer病との比較-
    武田 正中, 立花 久大, 奥田 文悟, 川端 啓太, 杉田 實
    1995 年 17 巻 4 号 p. 325-331
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    多発梗塞性痴呆 (MID) の病態を電気生理学的立場より解明する目的で事象関連電位 (ERP), 体性感覚誘発電位 (SEP), 視覚誘発電位 (VEP), 脳幹聴性誘発電位 (BAEP) を測定し, Alzheimer病 (AD) および健常者のそれらと比較検討した.対象は大脳皮質下に梗塞巣を有するMID16例, AD15例と健常者15例である.結果, (1) ERP : MID, AD群とも健常者に比しN200, P300潜時の有意な延長が認められ, AD群ではP200潜時も延長していた.ADとMID群問ではP200潜時の差は有意には至らなかった. (2) SEP : MID群ではN13とN20の頂点間潜時 (N13-N20), N20-P40が健常者に比し延長していたが, AD群ではN20-P40のみが延長していた. (3) VEP : 両痴呆群ともP100潜時の延長は認めなかった. (4) BAEP : MID群では, V波潜時とI-V時間, AD群もI-V時間が健常者に比し延長していた.本研究において皮質下病巣を有するMIDの電気生理学的特徴を明らかにすると共にADとの問の差異を示した.
  • 小松本 悟, 奈良 昌治, 小島 勝, 鈴木 慶二
    1995 年 17 巻 4 号 p. 332-340
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    ヒト閉塞性脳血管障害の梗塞巣におけるET-1の局在について検討した報告は未だない.我々はヒト脳におけるET-1染色の至適条件を検討し, この免疫組織学的手法を用いて梗塞巣におけるET-1の局在を, 特に血管内皮とastrocyteについて検討した.
    その結果, 梗塞中心・辺縁・非梗塞部での血管内皮のET-1染色性は, 急性期及び慢性期において, 異なった態度を示した.特に慢性期梗塞巣の辺縁部において, ET-1染色性の良好な血管内皮を中心にreactive astrocyteの増殖がみられ, それらのastrocyteではET-1の発現が観察された.以上の成績より, 血管内皮とastrocyteはET-1の発現を介して相互に関係があり, 梗塞巣の修復過程に関与している可能性が示唆された.
  • 頸部超音波断層法 (Bmode法) による検討
    永井 洋士, 山上 宏, 岡崎 裕, 辻中 克昌, 杉谷 義憲
    1995 年 17 巻 4 号 p. 341-347
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/01/25
    ジャーナル フリー
    頸部超音波断層法で長期観察しえた1つ以上のplaqueを有する連続90例 (平均年齢65±9歳) を対象として頸動脈硬化の進展速度と脳血栓発作の発症との関係を検討した.平均14.2±6.0カ月の観察の結果, 脳血栓再発作群 (A群) は12例, 非再発作群 (N群) は78例であった.観察開始時の頸動脈硬化の程度 (Plaque Score : PS) と年齢, 経過中の各種脳卒中危険因子のコントロール状態, 抗血小板薬服用の割合は2群間で有意な差がなかった.しかし, A群でのPS進展率1.83±1.30mm/年はN群での0.95±1.03/年に比し有意に (p<0.05) 大きく, 部位別検討では特に内頸動脈分岐部直上 (p<0.05) 及び直下 (p<0.01) でA群の進展率が大きかった.危険因子との関係では経過中の血圧のコントロール状態がPS進展率に有意に関与し, 抗血小板薬によるPS進展の抑制効果が頸動脈の一部に認められた.
  • 松本 正人, 佐藤 直樹, 仲野 雅幸, 渡部 洋一, 児玉 南海雄
    1995 年 17 巻 4 号 p. 348-355
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    救急患者に対しhelical CTを用い3Dimensional-CT Angiography (3D-CTA) を行ったので, その経験について報告した.くも膜下出血18例, 脳梗塞15例, 脳内出血7例, くも膜下血腫を疑った4例の計44例を対象とした.三次元画像処理は約10分で可能であり, 脳血管撮影で所見が得られる前に3D-CTAで病変部を捉えることができた.くも膜下出血においては, 全例で動脈瘤を確認することができ, 脳血管撮影所見, 剖検所見と一致した.3D-CTAは動脈瘤, parent arteryと周囲血管との相互関係を明瞭に描出し, 特に手術シミュレーション画像は有用で, 緊急手術に対応が可能であった.現在のところ1mm径以下の血管の描出, 狭窄病変における正確な狭窄程度の評価については困難であり, 脳血管撮影を参考にする必要があった.Helical CTによる3D-CTAは画像精度に優れ, 救急患者に十分対応が可能であった.
  • 血小板凝集能と血清プロスタノイドの測定より
    工藤 学, 小宮 忠利, ト部 貴夫, 森川 奈美, 水野 美邦
    1995 年 17 巻 4 号 p. 356-361
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    抗血小板療法で用いられるアスピリン (ASA) は, 血小板内トロンボキサンA2 (TXA2) のみならず, 内皮細胞のプロスタサイクリン (PGI2) をも阻害する (アスピリンジレンマ) ため, 最近では少量ASA投与が注目されている.しかし, 少量でも完全にアスピリンジレンマが解消できるとはいい難い.そこで, 少量ASA投与中にPGI2製剤 (Beraprost) を追加投与し, その前後の血小板凝集能と血清プロスタノイドを測定し, 凝血学的有用性について検討した.対象は慢性期脳血栓患者21例である.Beraprostの追加投与により, ASA単独投与時に比し, 血小板凝集能ではCollagen凝集での有意な凝集抑制効果を認めた.プロスタノイドでは, TXB2の減少が有意に増強されたが, 6-ketoPGFの変化は認めなかった。6-ketoPGF/TXB2比は上昇傾向を認めた.これらより, Beraprostの併用が, アスピリンジレンマの解消に有用であることが示された.
  • 正常健常者内頸動脈系100血管による検討
    木村 和美, 平野 照之, 米原 敏郎, 橋本 洋一郎, 内野 誠
    1995 年 17 巻 4 号 p. 362-366
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    健常者50例 (男24例, 女26例, 平均35±9歳) の計100血管においてduplex超音波装置を用い総頸動脈と内頸動脈, 経頭蓋カラードプラを用い中大脳動脈の血流速度を測定し, (1) 総頸動脈と内頸動脈, 総頸動脈と中大脳動脈, および内頸動脈と中大脳動脈との関係, (2) 総頸動脈, 内頸動脈, 中大脳動脈の左右比および左右の相関を検討した.総頸動脈, 内頸動脈, 中大脳動脈の平均血流速度は, 45.2±7.6, 37.9±9.8, 83.1±21.0cm/secであった.総頸動脈の血流速度は内頸動脈と相関がみられたが, 総頸動脈と中大脳動脈および内頸動脈と中大脳動脈とには相関がみられなかった.左右の総頸動脈, 内頸動脈, 中大脳動脈の血流速度には相関がみられ, 左右比も全て2以下であった.これまで, 総頸動脈, 内頸動脈, 中大脳動脈の血流速度の知見はなく, 血流速度を測定するうえで重要であるので報告する.
  • 塩川 宰, 石束 隆男
    1995 年 17 巻 4 号 p. 367-372
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    治療に抵抗して短時日のうちに脳梗塞に移行した, 2例のcrescendo TIAを報告した.症例1は高血圧を有する56歳, 男性, 症例2は高血圧, 糖尿病を有する42歳, 女性である.前者は顔, 上, 下肢のpure motor hemiparesis, 後者はsensorimotor strokeを呈するTIAを3日間に各6回, 8回繰り返した後, ヘパリン治療を含む各種治療に抵抗して, 大脳基底核部の梗塞に至った.不整脈, 心疾患, 血液凝固異常などや脳血管病変はなく, TIAの機序は穿通枝のin-situ病変が推定された.crescendo TIA例のうち, ラクナ症候群を呈し穿通枝病変を病因とする例は, 治療抵抗性で予後不良である可能性がある.この点について文献的考察を加え報告した.
  • 下村 辰雄
    1995 年 17 巻 4 号 p. 373-378
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    左後大脳動脈閉塞症にて視覚失語, 純粋失読, 色名呼称障害を呈した1例 (84歳, 右利き, 男性) を報告した.神経学的には右同名性半盲と一過性の右片麻痺, 右半身感覚低下を認めた.神経心理学的には日常物品の視覚的呼称は15%, 触覚的呼称は70%, 絵カードの呼称は20%可能であった.呼称不能な物品, 絵カードの用途や内容を動作や言葉で説明することは80%可能であった.呼称できない物品や絵カードを言語的命令により指示したり, カテゴリー化することは可能であった.読みの障害は著明で自分が書いた字さえ読むことができなかった.色名想起, 照合, 指示は100%可能であったが, 色名呼称は40%しかできなかった.CT, MRI, SPECTでは左後頭葉楔部, 舌状回, 紡錘状回, 海馬傍回, 脳梁膨大に梗塞巣を認めた.文献報告例の症候学的検討から, 本例の視覚失語の発症機序として右視覚領域と左言語領域との半球間離断が考えられた.
  • -自験例の報告と文献的考察-
    木村 知一郎, 上田 孝
    1995 年 17 巻 4 号 p. 379-386
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 内頸動脈のprecavernous portionに起始し脳底動脈を介在せずに上小脳動脈の走行に一致するpersistent primitive trigeminal arteryの異型の1例 (PTAV) を経験した.我々の調べえた75例のPTAVの報告例に自験例を含め検討した.発生上の特異性を述べるとともに脳血管障害の合併の多さや周囲との解剖学的位置関係による脳神経の症状発現などの臨床的意義につき言及した.
  • 1995 年 17 巻 4 号 p. 387
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
feedback
Top