脳卒中
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18 巻 , 2 号
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  • 稲福 徹也
    1996 年 18 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳循環調節機構における血管内皮の役割を検討する目的で, Monocrotaline (MCT) 240mg/kgを一側頸動脈内に持続投与し内皮障害を試みた。成猫10匹を用い, 水素クリアランス法にて局所脳血流量 (r-CBF) を測定した.投与側大脳半球白質の安静時r-CBFはMCT投与前後で30.2ml/100g brain/minから29.2mlと変化しなかったが, acetylcholine (ACh) による脳血流増加反応は12.7%から-4.4%に低下した (p<0.1).これは内皮依存性の脳血管拡張反応がMCTにより障害されたと考えられた.5%CO2吸入による炭酸ガス反応性はMCT投与側で2.18%/mmHgから0.79%に低下したが (p<0.05), 反対側では変化しなかった.以上この実験モデルが脳血管内皮障害法として利用できる可能性を示すものと考えられた.
  • 高木 繁治, 井出 満, 安田 聖栄, 正津 晃
    1996 年 18 巻 2 号 p. 85-92
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2010/01/25
    ジャーナル フリー
    症候性脳血管障害の既往のない例において無症候性ラクナ梗塞の発生にどのような因子がどの程度関与するかを明らかにすることを目的とした.脳ドックの受診者のうち, 脳血管障害の既往を認めない男性882例 (平均51±10歳), 女性376例 (53±10歳) を対象とした.ラクナ梗塞の有無は磁気共鳴断層撮影のT1強調画像, T2強調画像, プロトン密度画像により診断し, 対象の年齢, 家族歴, 既往歴, 服薬状況, 血圧, 体重, 末梢血, 血液化学, 飲酒喫煙習慣との関連を調査した.男性84例 (9.5%), 女性22例 (5.9%) にラクナ梗塞が認められ, 男女間の頻度の差は統計学的に有意 (p<0.05) であった.男性では年齢, 血圧が互いに独立した危険因子であった.女性では年齢が危険因子であった.男性においては高血圧はラクナの発生を約10年早め, また50歳代の男性では高血圧群は正常血圧群に比べてラクナを有する相対危険度が32~4.2倍であった.
  • 上田 雅之, 濱本 真, 長尾 毅彦, 宮崎 徳蔵, 赫 彰郎
    1996 年 18 巻 2 号 p. 93-97
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳血管撮影施行が困難である高齢脳梗塞患者におけるHMPAO SPECTの超急性期病型診断に対する有用性の検証を行った.対象は高齢脳梗塞患者47例 (78.7±7.8歳) で, 入院時HMPAO SPECTより求めた虚血部の健側に対する血流低下の程度であるAsymmetric Index (AI) と退院時の診断病型との関係を検討した.AIは脳塞栓症群51.7±16.3%, 脳血栓症群19.0±10.0%であった (p<0.01).また脳塞栓症と脳血栓症との鑑別AI値を30%に設定すると脳塞栓症診断における敏感度は0.95, 特異度は0.86であり, 鑑別可能と考えられた.非侵襲的なHMPAO SPECTによるAIの評価は高齢者超急性期脳梗塞病型診断に有用と思われた.
  • 小松本 悟, 奈良 昌治
    1996 年 18 巻 2 号 p. 98-103
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    血中thrornbornodulin (TM) は血管内皮細胞障害の過程に, 内皮より逸脱した血中微量蛋白質である.本研究では, コントロール群としての健常者 (55例, 平均年齢55.4±16.4歳) と脳血栓症後遺症患者 (59例, 平均年齢61.7±11.7歳) において血中TM値を測定し, 血中TM値がコントロール群および脳血栓症の2群において, 血管内皮細胞障害の1つの指標になるか否かについて検討した.
    コントロール群における血中TM値 (Y) は年齢 (X) と正の相関を示した (Y=0.190X+8.299, r=0.718, p<0.01).脳血栓症群における血中TM値は26.18±12.00U/mlを示し, コントロール群のTM値 (18.79±4.43U/ml) に比較し, 有意に高値であった (p<0.05).脳血栓症群において, 糖尿病を有する群の血中TM値は34.85±21.03U/mlを示し, 糖尿病を有さない群 (23.73±6.31U/ml) に比し, 高い傾向を示した.
    以上の事実より, 血中TMはコントロール群および脳血栓症における血管内皮細胞障害の1つの指標になり得る可能性が示唆された.
  • 塩川 宰, 平橋 高明, 石束 隆男
    1996 年 18 巻 2 号 p. 104-109
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    クレセンド (以下, クレ) TIAの臨床像の特徴をTIA発症機序との関係に於いて検討した.脳血管写をうけたTIA48例を, 最も推定される発症機序別に穿通枝病変群 (穿通群, 17例, 35%), 微小塞栓群 (微塞群, 15例, 31%), 脳血管不全群 (5例, 10%), 心原性塞栓群 (5例, 10%), および不明群 (6例, 13%) に分類した.クレ例は48例中7例 (14%) であり, 内訳は穿通群6例, 微塞群1例と穿通群に集中していた.穿通群のクレ例と非クレ例の臨床像には差はないが, 脳梗塞発症率 (%/人月) は非クレ例の0.6に対し, クレ例は1.6とクレ例での発症が多かった.また, クレ例からの脳梗塞発症は, すべて初回TIA発作後3日以内のことであった.一方, 微塞群のクレ例での脳梗塞発症はなかった.今回, 本邦でのクレTIAは稀であり, その発症は高血圧を基礎とする穿通枝病変 (lipohyalinosisなど) を機序とする例に多く, 穿通群のクレ例では早期に脳梗塞に移行し易いことが示唆された.
  • 小松本 悟, 来馬 秀聡, 奈良 昌治
    1996 年 18 巻 2 号 p. 110-117
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    Endothelin-1 (ET-1) は血管収縮機構1を介して, 脳血管障害の病態生理に密接に関与している.また, Thrombornodulin (TM) は, 内皮より逸脱した血中微量蛋白質である.慢性期脳血栓症25名を対象として, 選択的cAMP phosphodiesterase阻害剤であるCilostazol 200mgの2週間投与前後における血中ET-1, TM値の変動について検討した.血中ET-1値は, 投与前2.16±0.68ng/mlを示し, 投与後1.75±0.80pg/mlへと有意に減少した (p<0.05).
    糖尿病合併群における血中TM値の基礎値 (3.18±0.70FU/ml) は糖尿病合併のない群 (2.37±0.19U/ml) に比し, 有意に大であった.Cilostazol投与前後における血中TM値には変動は見られなかった.血中TMは, 血管内皮障害の1つの指標になる可能性が示唆された.また, Cilostazolによる血管拡張作用, 血小板凝集抑制効果の結果, 血管内皮におけるET-1産生が減弱した可能性が考えられた.
  • 上田 雅之, 濱本 真, 長尾 毅彦, 宮崎 徳蔵, 赫 彰郎
    1996 年 18 巻 2 号 p. 118-123
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2010/01/25
    ジャーナル フリー
    高齢者脳血栓症急性期におけるトロンボキサンA2合成酵素阻害剤と抗凝固剤の併用効果を検証するため, 発症72時間以内の穿通枝領域脳血栓症84例 (平均年齢76.1歳) において, オザグレル・ヘパリン併用 (OH群), オザグレル単独 (0群) およびグリセロール単独投与群 (G群) による治療開始後の神経学的所見の変化を比較検討した.治療開始3日後までの神経学的改善度はOH群において, G群 (p<0.01), O群 (p<0.05) に対し有意に高値であったが, 3日目以降7日後までの改善度には3群に差異は認められなかった.OH併用療法により高齢者脳血栓症急性期の短期機能予後が有意に改善し, 本療法の有用性が認められた.
  • 非弁膜性心房細動による心原性脳塞栓症の二次予防に
    1996 年 18 巻 2 号 p. 124-129
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    現在, warfarinによる抗凝血薬療法の治療レベルの評価には, International Normalized Ratio (INR) の採用が勧告されている.INR算出には, 使用するトロンボプラスチン試薬のInternational Sensitivity Index (ISI) が正確に表示されていることが条件となるが, 現状では, その信頼性にも問題があるとされている.本研究は, 「非弁膜性心房細動 (Nonvalvular Atrial Fibrillation) による心原性脳塞栓症の二次予防に関する共同研究」の一環として行われ, 本邦でのINRの採用状況とその表示されているISIの信頼性について検討した.INRは, 参加29施設中の10施設, 34%で採用されているに止まった.WHO標準試薬同等品を用いて算出したその試薬の標準化ISIと各施設で用いられている試薬メーカー表示のISIとを, 新たにINR採用に踏み切った施設も含めた計12施設で比較した.メーカー表示ISIが1.02~1.10の場合, 標準化ISIとの誤差は-0.07~+0.06に止まったが, メーカー表示ISIが2.0以上の試薬では+0.15~+0.37と, その差は大きかった.以上より, 本邦でのINSの採用状況は未だに十分でなく, かつメーカー表示ISIは必ずしも正確ではないことが判明した.このことは, 抗凝血薬試薬療法のコントロールの指標としてのINRの正確性にも影響を与えている.安全で有効な抗凝血薬療法を行うためには, ISI値が1.0程度の高感度トロンボプラスチン試薬の使用が勧められる.
  • 宍戸 恒郎, 山口 武兼
    1996 年 18 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    小脳出血にて発症したTentorial dural AVMの1例について過去の報告例と合わせ報告した.症例は48歳の男性で, 半年間に2回にわたり小脳出血を起こし, 入院した.脳血管撮影にて小脳テントに主座を持つ硬膜動静脈奇形を認めた.AVMは, テント上下にわたるCombined approachにて手術的に切除し得た.Tentorial dural AVMの過去の報告例と合わせて検討した結果では, 63例中38例が頭蓋内出血で発症しており, この部位における硬膜動静脈奇形での特徴的な発症様式であると考えられた.
  • 川畑 信也, 田中 友二
    1996 年 18 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    中脳病変に伴う垂直性眼球運動障害の発現機序について内側縦束吻側介在核との関連から検討した.症例1は, 左動眼神経麻痺と対側の上下転麻痺, 右上下肢の協調運動障害がみられ, 症例2では, 垂直性注視麻痺を主徴とする眼症状が唯一の神経徴候であった.MRIから, 症例1では左中脳被蓋傍正中背側部に, 症例2では右後交連に病変が確認された。症例1の上方注視麻痺は, 対側からの核上性線維束を含んだ動眼神経核損傷に, 症例2の上方注視麻痺は, 後交連右側で上方注視を司どる核上性線維束の両側性損傷によって出現した.下方注視麻痺の存在から2症例の損傷は同側の内側縦束吻側介在核に波及している可能性が考えられた.
  • 米原 敏郎, 橋本 洋一郎, 平野 照之, 寺崎 修司, 内野 誠
    1996 年 18 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    一側上肢の麻痺やしびれが長期にわたって緩徐に進行した脳梗塞の2例を報告した.症例1は2カ月半にわたって左上肢の感覚障害と麻痺が進行し, 顔面や下肢の麻痺も出現, 右中心前回と中心後回の皮質梗塞, 右Rolandic arteryの造影遅延を認めた.症例2は右手の麻痺が3週間にわたって進行し, 左中心前回と前後の分水嶺の梗塞, 左中大脳動脈M2閉塞を認め, Rolandic arteryへの副血行は不良であった.2例とも初期に適切な診断がなされず治療が遅れたこと, 中大脳動脈分枝病変の存在, 副血行が不良なことが進行型脳梗塞の要因と考えられた.脳腫瘍のような進行を示す中大脳動脈分枝領域の脳梗塞で極めて稀な症例と考えられた.
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