脳卒中
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18 巻 , 3 号
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  • 堀 智彦, 西丸 雄也, 延原 幸嗣
    1996 年 18 巻 3 号 p. 155-160
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳虚血の血行力学的発症に関する知見はまだ充分ではない.このため私どもは, 起立性に発症した虚血性脳血管障害患者について起立性血圧低下と脳動脈高度狭窄の影響を検討した.対象は脳血管撮影と血圧の起立負荷試験を施行した161例である.この中の起立性発症の患者は23例で, TIAを伴う脳梗塞症例に多かった.さらにこの23例中起立性血圧低下は18例にみられ, 2例には起立負荷試験中に脳の虚血症状が出現した.責任血管系の高度狭窄は17例にみられた.起立性血圧低下のタイプでは, 持続的に血圧低下をきたすものが起立性発症を起こしやすく, 起立直後の一時的低下の関連は少ないと思われた.起立性発症における起立性血圧低下と脳動脈高度狭窄の影響は, 特に両者を合わせ持つものの場合に大きく, どちらか一方しか有さないものでは少なかった.
  • 南 真司, 定梶 裕司, 石崎 良夫
    1996 年 18 巻 3 号 p. 161-169
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳血栓症急性患者14名を2群 (各7例) に分け, トロンボキサン (TX) A2合成酵素阻害薬CV-4151を100mg/日 (C群) あるいはオザグレルナトリウム160mg/日 (O群) を14日間投与し, プロスタノイド代謝に及ぼす影響, 臨床効果及び安全性を比較検討し, かつC群では薬物動態も調査し, 以下の結果を得た.
    (1) 血清TXB2生成抑制は, C群, 0群とも認められたものの, C群の効果は著明かつ持続的であった.投薬24時間後の時点で, C群はなお有意に抑制していたが, O群ではTXB2値は投与前値の約3倍の値を示した.また, 血清6-keto-PGF生成促進作用が両群ともにみられた. (2) 早朝尿および24時間蓄尿において, C群, O群共に11-dehydro-TXB2の排泄を抑制, 2, 3-dinor-PGFについては増加傾向を示した. (3) CV-4151および代謝物の血中濃度推移からみた薬物動態について投与1日目と連日投与した14日目とを比較した結果, 特に蓄積性は認められなかった. (4) 臨床効果や安全性についてはCV-4151とオザグレルナトリウムはほぼ同程度であった.
    以上の臨床薬理学的検討からCV-4151は脳血栓症急性期患者に対して有用な薬剤になる可能性が示唆された.
  • 渡辺 正樹, 橋詰 良夫, 吉田 洋二
    1996 年 18 巻 3 号 p. 170-175
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    大脳白質の虚血病変は基底核, 視床に比して無症候性のものが高頻度で, 脳卒中発症前に発見されることが多く, その臨床的意義が重要視されつつある.そこで大脳白質と基底核, 視床の細動脈硬化の比較, 相関を111剖検例について病理学的に検討した.各部位で共通にみられる細動脈硬化は外膜の線維性肥厚であり, 大脳白質が最も著明で加齢とともに進行した.大脳基底核や視床の穿通枝脳梗塞例では, 正常例に比してこれらの部位ばかりでなく, それ以上に大脳白質の細動脈外膜肥厚も進行していた.また正常例や穿通枝脳梗塞例では大脳白質での細動脈外膜肥厚は大脳基底核のそれと相関していた.脳内細動脈外膜肥厚は虚血状態を意味し, 大脳白質のそれは他の部位に先行して出現することより, ある程度他の部位の症候性病変の予知につながると考えられた.
  • 水野 正彦
    1996 年 18 巻 3 号 p. 176-183
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血の患者が連続して搬入されることは多くの脳外科医たちが経験している.この臨床的印象を確かめるため, 昭和伊南総合病院在任中 (1972~1991) に扱った患者のうち脳動脈瘤の破裂と出血源不明な症例で, さらに発症日が明らかな632人について一人の患者が発生してから次の患者が発生するまでの間隔を調べたところ, 同日発症 (Day0) 31例, 翌日発症 (Day1) 163例などDay6までに検討例の55.1%が発症していた.これは平均発症11日に1例とは明らかな差が認められ, 経験が数字的に裏付けられた.個々の発症状況をみると, 前後に長期間の空白がある孤発型と同日ないしは数日のうちに複数の患者がばたばたと続いて発症する群発型とが明らかであったので, それぞれについて気圧変動との関係について検討した.今回は気圧の日内変動のデータを全期間にわたって得ることが出来なかったので, 一日の平均気圧を取り上げた.
    得られた結果は以下の通りであった.
    1.くも膜下出血は群発する傾向にあった.
    2.発症当日の気圧の絶対値は関連性がなかった.
    3.発症前の気圧変動の絶対値も関連しなかった.
    4.発症前の気圧変動のパターンにも特徴的な変化を証明できなかった.
    すなわち, 今回の検討では, くも膜下出血と気圧変動の間には一定の関係が得られなかった.
  • 市野 武司, 杉原 浩, 鴨川 旭, 成田 信義, 清水 亨
    1996 年 18 巻 3 号 p. 184-192
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳血栓症における血管内皮細胞由来因子が病態にどのように関与するかを知る目的で, ラクナ梗塞 (LAC) およびアテローム血栓性脳梗塞 (ATH) の急性期および慢性期を対象に, 血栓促進因子の可能性が示唆されている血中エンドセリン-1 (ET-1), 線溶因子の組織プラスミノーゲンアクチベーター (t-PA) およびそのインヒビター (PAI-1) を測定し, 併せて静脈うっ滞試験を慢性期に施行した.脳血栓症の第1病日のET4は健常範囲下限から第7病日にかけさらに低下し, 健常群と比べ, 慢性期においても低値であった.一方, 両脳血栓症のt-PAは第1病日から第7病日にかけ増加傾向を示し, 特にATHで健常およびLACに比し高値であった.またtotalPAI-1は両脳血栓症で高値となったが経時的変動は認めなかった.両脳血栓症のET-1およびt-PA両因子の変動は静脈うっ滞試験における血管内皮細胞のET-1放出抑制傾向, t-PA放出充進傾向から説明される.すなわち, 基礎にPAI-1の高値があり, その適応反応としてt-PA高値と, それに続くET-1放出抑制状態がある.脳血栓症の病態における血管内皮細胞機能の関与を知る上でこれら因子の変動を把握することが重要である.
  • 小松本 悟
    1996 年 18 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    我々は脳血管障害における髄液endothelin-3 (ET-3) 動態について検討した.対象は脳血管障害患者15例で, 脳出血は7例, 脳梗塞は8例である.抗ET-3抗体を用い, RIA2抗体法にて髄液ET-3値を測定した.脳出血における第1病日の髄液ET-3値は68.9±21.4pgP9/mlを示し, 第14病日には57.6±7.1pg/mlとなり, 有意に減少した (p<0.05).脳梗塞における第1病日の髄液ET-3値は54.8±9.8pg/mlであり, 第14病日は47.0±6.8pg/mlを示した.その減少は, 有意であった (p<0.05).第1病日, 14病日および28病日における髄液ET-3の経時的変化では, 脳出血群の方が, 脳梗塞群よりその平均値において高い傾向を示した.脳血管障害急性期における血中ET-1の上昇による血管収縮機構の存在に対して, 代償的機序によりET-3の産生亢進が惹起された可能性がある.
  • 泉 佳成, 津田 能康, 細見 直永, 高橋 務, 松尾 裕英
    1996 年 18 巻 3 号 p. 200-208
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    健常成人25例 (C群) および慢性期脳梗塞12例 (S群) において脱フィブリノゲン (Fg) 剤であるbatroxobin (Bx) 投与が中大脳動脈血流速度 (MCA・V) と脳血管CO2反応性に及ぼす効果を比較検討した.経頭蓋Doppler血流計により平均MCA・Vを測定し, PCO2=40mrnHg時のMCA・V40と過呼吸時脳血管CO2反応性を算出した.Bx投与後, C群, S群とも血漿Fgの有意の低下に伴い安静時MCA・V, MCA・V40と脳血管CO2、反応性は有意の増加 (各々p<0.01) を示し脳内微小循環の改善が示唆された.S群においては血漿Fg値と脳血管CO2反応性との間に有意な負の相関 (r=-0.583, p=0.0001) を認め, 血漿Fg値の低下に比例した脳血管CO2反応性の改善が慢性期脳梗塞患者で示唆された。
  • 岩本 俊彦, 中村 喜江, 杉山 壮, 木暮 大嗣, 高崎 優
    1996 年 18 巻 3 号 p. 209-216
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2010/01/25
    ジャーナル フリー
    頸動脈病変, 虚血性脳血管障害とリポ蛋白 (a) [Lp (a)], レムナント様リポ蛋白 (RLPch) との関連を知る目的で, 頸動脈超音波断層撮影および頭部CT検査の施行された高齢者216例を対象として血中Lp (a), RLP-ch濃度を測定した.頸動脈病変は126例にみられ, 閉塞5例以外はplaque (P) であった.Pを性状より分類 (エコー輝度より低輝度P, 高輝度Pおよび両者混在のP) し, 病変の広がりは頸動脈病変スコア (CLS) として半定量的に評価した.血中Lp (a) 濃度は頸動脈病変を有する例 (特に両側病変例) で無病変例より有意に高く, 病変では低輝度Pおよび混在P例で上昇していた.またLp (a) 高値例ではPの増高がみられ, CLSも高得点であった.CT所見では深部小梗塞55例, 皮質梗塞49例共にLp (a) 値は高かった.一方RLPchでの差はいずれも明らかでなかった.以上よりLp (a) は頭頸部動脈の硬化性, 血栓性変化に促進的に作用し, 特に低輝度のplaqueと深く関連していた.
  • 小松本 悟, 奈良 昌治
    1996 年 18 巻 3 号 p. 217-224
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳血栓症において血中ANPとET-1をそれぞれ同時測定し, ET-1動態がANP分泌に関与するか否かについて検討した.さらにAVP動態との関連についても検討した.対象は脳血栓症20例で, 平均年齢は68.3±12.6歳である.急性期のANP, AVPおよびET-1値は高値を示し, 亜急性期には有意に減少した (それぞれp<0.0l).急性期においては, ANP値 (X) とAVP値 (Y) との間には有意な相関性が得られた.またANP値 (X) とET-1値 (Y) との間には, 有意な回帰直線が得られた.その回帰直線はY=0.019X+3.864を示し, r=0.798, p<0.01で有意であった.亜急性期においても相関性を示し, その回帰直線は, Y=0.015X+1.979 (r=0.667, p<0.01) を示した.
    以上の事実より, 脳血管障害急性期から亜急性期にかけて, ANP動態は, AVP動態, ET-1動態と脳血管障害の病態生理に関連して, 相互に密接な関係にあることが示唆される.
  • 宮本 智之, 市丸 雄平, 片山 宗一, 宮本 雅之, 平田 幸一
    1996 年 18 巻 3 号 p. 225-235
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳幹・小脳梗塞における睡眠時呼吸障害を検討するため, 慢性期脳幹・小脳梗塞45例を対象にPSGを施行, 障害部位別に呼吸パターンの分類およびkurtosisを用いた呼吸リズムを定量解析した.睡眠時無呼吸症候群 (SAS) の出現頻度を検討したところ大脳皮質梗塞の78.3%であるのに比し, 中脳梗塞では20.0%, 橋梗塞25.0%, 延髄梗塞37.5%に認め, 大脳皮質梗塞および延髄外側梗塞 (LMI) では中枢型無呼吸が閉塞型より多くみられた.SASのうちCheyne-Stokes type respirationを呈したものは大脳皮質梗塞18例, 中脳梗塞1例, 橋梗塞4例に認め, LMI6例ではcluster type breathingを呈した.非周期性呼吸の異常呼吸例はLMIの10例で緩徐呼吸7例, 頻呼吸3例, 不規則呼吸9例であり, それぞれの組み合わせによる呼吸パターンの混在例がほとんどであった.呼吸リズム定量解析を行なうと, LMIでは全睡眠段階において呼吸リズムの不規則化がみられ, とくにHorner症候群を伴なう例では顕著であった.高度の嚥下障害を伴ない急性期に呼吸停止に至り救命しえた例の慢性期では, 不規則な頻呼吸が特徴的であった.以上の結果より, 臨床徴候を捉えた上での睡眠時の呼吸数異常および呼吸リズムの解析は, 脳幹・小脳梗塞における呼吸障害を評価する上で重要と考えられた.
  • 中嶋 千也, 林田 修, 長光 勉, 山下 哲男
    1996 年 18 巻 3 号 p. 236-240
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    チクロピジン服用後, 急激に進行した血栓性血小板減少性紫斑病の1例を報告する.患者は55歳女性, 一過性脳虚血発作のためチクロピジンの投与を開始した.投与後3週間で右片麻痺と構語障害の再発のため入院した.入院後3日目, 血小板1.4万であり, トロンビン時間, 部分トロンボプラスチン時間, フィブリノーゲン, FDP等の凝固線溶系は正常であった.翌日嘔吐を伴う腹痛が出現した.入院後6日目, 全身性痙墓が起こり, ヘモグロビンは7.4g/dl, 血小板1万以下そして血清クレアチニンは1.6mg/dlとなった.末梢血スメアでは多数の破砕赤血球を認めた.血小板減少, 発熱, 腎症状, 神経症状, 細血管性溶血性貧血により血栓性血小板減少性紫斑病と診断した.ただちに血漿輸注ならびに血漿交換を開始したが, まもなく死亡した.
    本症例は, 血栓性血小板減少性紫斑病の発症にチクロピジンが関連したと考えられる日本における最初の報告である.
  • 森永 一生, 上田 幹也, 大川原 修二
    1996 年 18 巻 3 号 p. 241-247
    発行日: 1996/06/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳動脈瘤の自然血栓化の過程で, 親動脈まで血栓が進展した左中大脳動脈瘤の1例を経験したので, 発生機序を考察し報告した.症例は57歳男性で, 脳梗塞にて発症し, 脳血管撮影にて明らかな閉塞血管は認めないものの, 左中大脳動脈に約15mm×の脳動脈瘤が存在し, 根治術を予定していた.しかし, その待期中に失語が出現し, 再度脳血管撮影を施行したところ, 脳動脈瘤の血栓化と左中大脳動脈分枝閉塞を呈しており, 手術は延期され, 昇圧・輸液負荷療法と抗血小板剤の投与を開始した.左中大脳動脈の閉塞は, M1起始部まで進行し, 強い運動性失語と右半身脱力を後遺したが, 言語・運動療法にて, 社会復帰可能な状態まで回復した.本症例は, 動脈瘤内からのretrograde thrombosisや血栓化脳動脈瘤による親血管の伸展・屈曲, さらに周辺血管に存在する強い動脈硬化所見が, 親動脈まで血栓を進展させた要因と推定している.
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