脳卒中
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18 巻 , 5 号
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  • 岡田 和悟, 小林 祥泰, 卜蔵 浩和, 山形 真吾, 山口 修平
    1996 年 18 巻 5 号 p. 351-357
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    血管性パーキンソニズム (VP) のMRI画像上の特徴を明らかにする目的で, VP12例, パーキンソニズムを伴わない脳梗塞 (NP) 12例, パーキンソン病 (PD) 15例について黒質緻密層幅, 小梗塞巣の分布と数, 脳室周囲信号域 (PVH) を定量的に検討した.結果 : 1) 黒質緻密層幅はVP・NPに対して, PDで有意な萎縮が認められたが, VPとNPの間には差はみられなかった.2) 小梗塞の分布はVP・NPとも被殻および放線冠に多発する例が殆どで両部位での差はみられなかったが, 基底核総数および全総数でVPに有意に多く認められた.PDでは潜在性梗塞が平均1.2個みられた.3) PVH長径に関してはVP・NPはPDに対して, 基底核レベル前方, 基底核レベル前方+側脳室レベル前方, およびPVH総計において有意に大であった.VPはNPに対し基底核レベル前方および基底核レベル前方+側脳室レベル前方でPVH長径が大であった.4) 黒質緻密層幅, 基底核梗塞総数, PVH径に関して, 3群間の判別分析を行った結果, 黒質緻密層幅>基底核梗塞総数>基底核レベル前方PVHの順に寄与率が高く, VP群とNP群の判別には基底核梗塞総数>基底核レベル前方PVH>黒質緻密層幅の順であった。以上のことから血管性パーキンソニズムの画像上の特徴として, 小梗塞総数の増加, 前方部PVHの増大があげられ, 病態の成立に関与している可能性が考えられた.
  • 山田 悦雄, 奥田 聡, 村上 信之, 伊藤 栄一
    1996 年 18 巻 5 号 p. 358-362
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳卒中患者においてはその移動能力がADL全体を反映する可能性があり, また移動能力は家庭復帰の重要な条件でもある.こうしたことから我々は脳卒中患者の移動能力を評価するスケールを開発するため, 脳卒中リハビリテーション患者の移動能力獲得過程を10段階にレベル化し, 東名式移動能力レベル (TML) とした.TMLは「できるレベル」で評価し, 車椅子移乗介助レベルを4段階, 車椅子移乗自立・杖歩行介助レベルを4段階, 杖歩行自立レベルを2段階の計10段階に分類した.脳卒中患者20例のTMLを2名の医師が同時に評価したところ完全一致率は85%であった.さらに脳卒中患者104例にTMLとBarthel Indexを評価し, その相関を検討したところ, 両者は良く相関し, Spearmanの順位相関係数は0.936であった.このことからTMLは高い信頼性を有し, 脳卒中患者のADLを反映するスケールであると考えられた.
  • 小松本 悟, 徳山 博文, 松井 龍吉, 豊田 元哉, 奈良 昌治
    1996 年 18 巻 5 号 p. 363-369
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    我々は, 脳血管障害患者の顔写真から察知できる多因子を抽出し, それを数量化し, その経時的変化を検討した.対象は脳梗塞患者19名と脳出血患者11名である.入院時より退院時まで, 経時的に顔写真を撮影した.
    評価方法は, 表情が乏しい, 意欲の低下, 活気の消失などの10項目を使用した.10項目の合計を顔貌スコアとした.
    経過と共に顔貌スコアは減少しているのが明らかとなった.脳梗塞群と脳出血群を比較すると, 平均値については, 脳出血群の顔貌スコアは, 全経過を通じて, 脳梗塞群より高値であった.脳梗塞群についてJCSが0~3の症例は, JCSが2桁 (10~30) の症例に比し, 有意に低値であった (p<0.01).脳梗塞群と脳出血群においては, 車イスにて退院した群は, 独歩可能群と比較し, 顔貌スコアは有意に高値であった (p<0.01).
    本研究において脳血管障害では, 経過と共に顔貌が変化することが明らかとなった.
  • 柴田 聖子, 鈴木 重晴, 大熊 洋揮, 木村 正英, 藤田 聖一郎
    1996 年 18 巻 5 号 p. 370-374
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    クモ膜下出血 (SAH) 後の脳血管攣縮発症に脂質過酸化反応が関連し, これをステロイドホルモン髄腔内投与によって予防し得る可能性を検討した.雑種成犬35頭を用いてtwo-hemorrhage法によるSAHモデルを作成し, methylprednisoloneの脳槽内投与による髄液及び動脈壁中過酸化脂質の変動を検索した.SAH群では, Day 4に髄液中過酸化脂質の上昇が認められ, またDay 7においては脳底動脈壁中過酸化脂質の染色性の増加が観察され, 脳血管攣縮の一因として脂質過酸化反応の重要性が示唆された.一方, methylprednisolone髄腔内投与により髄液, 動脈壁のいずれにおいてもその上昇は有意に抑制され, この観点からも脳血管攣縮予防に有効と考えられた.
  • 吉田 憲司, 中村 三郎
    1996 年 18 巻 5 号 p. 375-381
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    症候性脳血管攣縮 (SCV) の合併を認めた破裂脳動脈瘤11症例において, 内頸静脈中の凝固線溶系の変化を検討した.凝固・線溶・血小板分子マーカーとしてそれぞれthrombinantithrobin complex (TAT), D-dimer, thromboxane B2 (TXB2) とした.またトロンビンの活性化に関与する組織因子, TXB2に関連するPGI2について, 各分子マーカーと共に各症例の経過中にSCVを認めた時点で測定した.全症例において各分子マーカーの増加と組織因子の増加が認められた.TXA2の合成阻害剤であるオザグレルナトリウム投与例ではTXB2値はほぼ正常範囲内に留まり, 非投与例では顕著な増加を呈して, 有意の差を認めた.以上により, SVC症例の脳循環において, トロンビンの活性化と局所的な凝固線溶系の異常が生じており, 病態悪化の一因の可能性が示唆された.
  • 山下 拓史, 川上 秀史, 中村 重信
    1996 年 18 巻 5 号 p. 382-387
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    中枢神経系には, 少なくとも4種類のグルタミン酸トランスポーターが存在する.グルタミン酸トランスポーターは正常時には順行性にグルタミン酸を細胞内に取り込む働きをする.しかし, 虚血時のように細胞外イオン濃度が異常になると, グルタミン酸トランスポーターは細胞内のグルタミン酸を細胞外に放出するよう, 逆行性輸送に働く.グルタミン酸トランスポーターのひとつであるhGluT-1遺伝子を導入HeLaS3細胞では細胞外ナトリウム・イオン濃度を100mM以下にした場合, 細胞内のグルタミン酸は細胞外に放出された.このhGluT-1を介したグルタミン酸の放出 (逆行性輸送) はL-グルタミン酸のextended formよりもfolded formの構造をとるアナログ, L-2- (carboxycyclopropyl) glycineの (2S, 3S, 4R) isomer (L-CCG III) および (2S, 3R, 4S) isomer (L-CCG IV) により効果的に抑制することが明らかとなった.脳虚血時のグルタミン酸の逆行性輸送 (放出) を抑制する物質として, folded formの構造をとるグルタミン酸のアナログが候補のひとつと考えられた.
  • 横田 千晶, 峰松 一夫, 長谷川 泰弘, 山口 武典
    1996 年 18 巻 5 号 p. 388-393
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    高度の閉塞性主幹動脈病変を伴う頸動脈系のアテローム血栓性脳梗塞連続107例 (年齢63±10歳, 男90例, 女17例) を対象に, 脳循環予備力障害の有無をacetazolamide (ACZ) 負荷SPECTを用いて評価し, 以後の血圧管理と長期予後との関連を前向きに平均2.7年にわたって追跡調査した.再発は15例 (ACZ陽性9例, 陰性6例) で, うち4例が, 血行力学的メカニズムによると推定される脳梗塞であった.この4例中3例は, ACZ負荷により脳循環予備力が障害されていると判定された例 (ACZ陽性) であった.危険因子, 脳循環予備力障害, 降圧薬服用の有無と, 脳梗塞再発との関連について分析したところ, 再発と有意に関連していたのは「降圧薬を服薬していないこと」のみであった.
    以上より, ACZ負荷SPECTにて脳循環予備力障害なしと判定された例に対する降圧薬治療は, 再発率を下げるために積極的に行うべきである.ただし, 脳循環予備力障害のある例に対する降圧薬治療は, 血行力学的機序によると思われる再発例が存在したことから, 過度な降圧にならないよう注意する必要がある.
  • 浦上 克哉, 礒江 健二, 足立 芳樹, 堀内 賢治, 中島 健二
    1996 年 18 巻 5 号 p. 394-397
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    高Lp (a) 血症を有する脳梗塞患者を対象として, niceritorolの有効性とLp (a) フェノタイプとの関連を検討した.慢性期脳梗塞患者27例に, Niceritorol750~1,500mg/日 (分3), 8~12週間連続投与した.血清は早朝空腹時採血とし, 血清Lp (a) はELISA法にて, Lp (a) フェノタイプはLp (a) フェノタイプ分析キットにて測定した.Niceritorolの投与後の血清Lp (a) は投与前値と比較して有意に低下していた (p<0.05).27例中10例 (37%) が20mg/dl以下にコントロールできた.しかし, 6例はniceritorolに反応しなかった.NiceritorolとLp (a) フェノタイプの有効性の関連を検討すると, 有効群ではS2, S3, S4の高分子量のものが多く, 無効群ではF, B, S1などの低分子量のものが多いことが分った.
    Niceritorolは高Lp (a) 血症の治療に有効であった.Lp (a) フェノタイプは, niceritorolの有効性と関連する可能性が示唆された.
  • 大崎 康史, 松林 公蔵, 吉村 耕一, 山崎 正博, 土居 義典
    1996 年 18 巻 5 号 p. 398-402
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳梗塞急性期における昇圧ならびに降圧の減少が一種の代償性機構であるとの仮説のもとに, 脳梗塞急性期の血圧の推移と神経学的重症度との関連を検討した.対象は急性期脳梗塞患者65例 (男 : 女=33 : 32, 平均年齢68。5±12.2歳) で, 各々につき神経学的重症度の評価, 随時血圧及び24時間血圧の測定と, 血小板凝集能及び交感神経機能の指標としてβ-TGの測定を行った.脳梗塞急性期において, 夜間降圧度の減少と神経学的重症度との間には有意の相関があり, また日単位の降圧度と神経学的重症度の間にも有意の相関が認められた.以上の事実より, 脳梗塞急性期の昇圧ならびに降圧の減少は交感神経系の興奮を介した代償性機序である可能性が示唆された.
  • 島田 啓司, 村田 顕也, 高柳 哲也, 辻村 総太, 岩崎 聖
    1996 年 18 巻 5 号 p. 403-408
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2010/01/25
    ジャーナル フリー
    前脊髄動脈症候群を呈した脊髄動静脈奇形の2例を報告した.症例1は, 40歳, 女性.労作時突然発症した両側下肢しびれ感, 腰背部激痛を主訴に来院した.症例2は, 19歳, 男性.安静時突然発症した前胸部絞扼感, 両側下肢運動麻痺を主訴に入院となった.いずれの症例も臨床的には, 脊髄麻痺, 解離性感覚障害, 膀胱直腸障害を呈し, 脊髄MRI検査では, 脊髄前方に虚血, 梗塞を示唆する所見を認めた.前脊髄動脈症候群と診断し, 治療を施行したが, 臨床症状は軽快せず, 感覚障害を中心に増悪を示した.この為, 再度胸髄MRIを施行したところ, 脊髄背側にflow-voidを呈した蛇行血管陰影を認めた.脊髄血管撮影では, 症例1は, 硬膜型, 症例2は, 硬膜内型の脊髄動静脈奇形と診断できた.本症例は, 脊髄動静脈奇形や前脊髄動脈症候群の発症機序, 確定及び鑑別診断そしてMRIや脊髄血管撮影を始めとする各種神経放射線検査の重要性を認識する上で興味深い症例と考えられた.
  • 市川 博雄, 加藤 崇之, 福井 俊哉, 河村 満, 杉田 幸二郎
    1996 年 18 巻 5 号 p. 409-414
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    症例は59歳, 男性, 矯正右利き.高血圧, 糖尿病の既往はない.数日間, 一過性の左前頭部痛が持続した後, 突然右上下肢脱力が出現し入院した.意識混濁, 左方への共同偏倚, 左舌下神経麻痺, 顔面を含む右片麻痺を認めた。頭部X線CT, MRIで, 中大脳動脈領域に脳梗塞を示唆する所見を認め, 脳血管撮影では左内頸動脈頭蓋底移行部に壁不整の狭窄が認められた.同部位のMRI水平断像では, 狭窄した血管腔の周囲にT1強調, T2強調いずれの画像でも高信号を示す半月状の異常信号域を認めた.3カ月後には, これらの異常所見は消失した.本例は内頸動脈解離性動脈瘤に起因する脳梗塞であり, 内頸動脈解離性動脈瘤の直接圧迫により左舌下神経麻痺を呈したと推察した.さらに, 腹部大動脈撮影にて, 上腸間膜動脈にも解離所見がみられたことより, 全身性に血管の脆弱性が存在していることが示唆され, 基礎疾患として線維筋性形成異常などの可能性も考えられた.
  • 川端 啓太, 立花 久大, 武田 正中, 奥田 文悟, 杉田 實
    1996 年 18 巻 5 号 p. 415-420
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    下前頭回皮質下を病巣とした脳梗塞で超皮質性感覚性失語 (TCS失語) を呈した68歳, 男性を経験し, TCS失語と病巣との関係を検討した.CT, MRIでは脳梗塞巣は下前頭回の弁蓋部と三角部の皮質下にほぼ限局していた.脳血流SPECTでは下前頭回を中心にそれよりやや前方および上方に広がる皮質血流の低下が見られるが, 中心前回の血流は保たれていた.以上のごとく病巣はBroca領野の皮質下白質に限局しており, 白質のみの病変で2次的に皮質機能の障害をもたらしTCS失語を呈した稀な例と考えられた.
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