我々は, 脳血管障害患者の顔写真から察知できる多因子を抽出し, それを数量化し, その経時的変化を検討した.対象は脳梗塞患者19名と脳出血患者11名である.入院時より退院時まで, 経時的に顔写真を撮影した.
評価方法は, 表情が乏しい, 意欲の低下, 活気の消失などの10項目を使用した.10項目の合計を顔貌スコアとした.
経過と共に顔貌スコアは減少しているのが明らかとなった.脳梗塞群と脳出血群を比較すると, 平均値については, 脳出血群の顔貌スコアは, 全経過を通じて, 脳梗塞群より高値であった.脳梗塞群についてJCSが0~3の症例は, JCSが2桁 (10~30) の症例に比し, 有意に低値であった (p<0.01).脳梗塞群と脳出血群においては, 車イスにて退院した群は, 独歩可能群と比較し, 顔貌スコアは有意に高値であった (p<0.01).
本研究において脳血管障害では, 経過と共に顔貌が変化することが明らかとなった.
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