脳卒中
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19 巻, 2 号
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  • Philip A. Wolf
    1997 年 19 巻 2 号 p. 87-97
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    Allthough progress is being made in treatment of acute ischemic stroke to reduce the size of the cerebral infarct and thereby lessen the severity of the neurologic deficit, it seems likely that prevention holds the key to reducing death and disability from stroke. Prevention requires the major stroke precursors to be identified, these include risk factors; increasing blood pressure level, diabetes, cigarette smoking, low levels of physical activity, increased fibrinogen level; positive family history of stroke, extremes of alcohol consumption; left ventricular enlargement either left ventricular hypertrophy by ECG (or preferably left ventricular mass by echocardiography), as well as predisposing diseases; coronary heart disease, cardiac failure, and atrial fibrillation. Other cardiac abnormalities, increased left atrial size and mitral annular calcification have also been implicated. High total cholesterol or low HDL-cholesterol has not been consistently related to ischemic stroke, while low levels of total cholesterol have been related to intracerebral hemorrhage.
    Clinical trials have provided evidence that reducing blood pressure, systolic as well as diastolic, reduces stroke incidence and that warfarin anti-coagulation prevents stroke in atrial fibrillation. Recent trials of rigid control of blood sugar in insulin dependent diabetics suggest that vascular complications may also be prevented by improved management. Observational data strongly support cessation of cigarette smoking and promotion of moderate physical activity as a means of significant stroke reduction. Recent trials of HMG CoA reductase inhibitors for cholesterol reduction have disclosed a striking reduction in cardiovascular events including stroke perhaps via an effect of these drugs on plaque rupture, lesion activation and endothelial dysfunction. Elevated plasma homocysteine levels, amenable to reduction with vitamins particularly folic acid, have also recently been implicated.
    Identification of persons at increased risk, accounting for the cumulative effect of multiple risk factor abnormalities, is key to stroke prevention. A Framingham stroke risk profile identifies those at high risk and provides each individual's conditional probability of stroke. These high risk individuals can thus be alerted so effective preventive measures may be instituted.
  • 橋本 義弘, 津金 隆一, 山口 壮, 竹井 太, 佐藤 修
    1997 年 19 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    急性期の脳出血のCTで, 高吸収域の血腫周囲に境界明瞭な強い低吸収域を認めることがある.従来, 高吸収域のみが血腫とされてきたが, 定位的血腫吸引術を行う際に流動性血腫が吸引された後, この強い低吸収域が消失, 又は減少する事, 更にその流動性血腫のフィブリン分解産物 (fibrin degradation products-以下FDP) が高値を示すことから, この部分は血腫形成に伴う血餅退縮によって生じた血清であり, 血腫の一部と考えるのが妥当と思われた.
    高吸収域と低吸収域を同時に認める血腫をdouble density hematomaと命名した.出現頻度は83%と高く, 出血量, 脳室内穿破に影響された.
  • 小松本 悟, 五十棲 一男, 小島 勝, 鈴木 慶二, 奈良 昌治
    1997 年 19 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    ヒトInterleukin-6 (IL6) は生体防御にとって重要な役割を果たしているサイトカインのひとつである.今回, 我々は脳梗塞巣の血管内皮細胞およびastrocyteにおいてIL6の発現を免疫組織学的に検討した.急性期脳梗塞巣では血管内皮, astrocyteにIL-6の発現は認められなかった.一方, 慢性期脳梗塞巣では梗塞周辺部の血管内皮および腫大したastrocyteにIL-6が証明された.さらにEndothelin-1 (ET-1) は慢性期脳梗塞巣の梗塞周辺部の血管内皮細胞とastrocyteに発現していることを免疫組織学的にも証明した.慢性期脳梗塞巣におけるIL-6とET-1陽性の血管内皮細胞とastrocyteの分布はほぼ一致していた.
  • 伊藤 秀樹, 七海 敏之, 豊田 章宏, 真瀬 智彦, 相馬 正男
    1997 年 19 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳血管障害急性期の睡眠周期上の昼夜の逆転状態 (以下, 昼夜逆転) について検討した.方法 : 対象は発症当日入院の脳梗塞97例, 脳出血50例の計147例である.結果 : 昼夜逆転は43例で, (1) 70歳以上および入院時意識障害例に高率にみられた. (2) 入院時意識障害なし例では第2, 3病日以内に発症し, 意識障害あり例では92%が覚醒後3日以内に発症した. (3) 梗塞, 出血例の重症例に多い. (4) 可能な体位がpassive坐位以下の例で41例みられた. (5) 初発症状は, 日中の嗜眠傾向が15例, 夜間開眼が28例で, 精神症状は16例 (37.2%) でみられた. (6) 睡眠-覚醒リズムの異常が明らかになった時点では日中の睡眠が23例, 日中の睡眠, 夜間開眼が17例, 全日覚醒が3例である.精神症状は26例 (60.5%) でみられた. (7) 治療は日中の椅子での坐位管理とリハビリテーションを基礎とするtiapride hydrochloride投与が有用である.結論 : 昼夜逆転の早期発見と治療が重要である.
  • 泉 義雄, 灰田 宗孝, 栗田 太作, 杉浦 武雄, 篠原 幸人
    1997 年 19 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    各種抗浮腫薬の虚血性脳浮腫に対する影響をMRIを用いた画像解析により検討した.SDラット26匹に頸動脈カテーテル法により右中大脳動脈閉塞を作製し, 24時間後0.5テスラのMRIを用いて軸状断T2画像を厚さ3mmの間隔で撮影した.撮影後直ちにglycerol 1.7g/kg (n=9), manllitol 3.3/kg (n=9), furosemide 17mg/kg (n=8) のうちいずれかを腹腔内に投与し, 2時間後にMRIを再撮影した.全脳高信号領域容積はglycerol, mannitol, furosemide投与前後でそれぞれ207→191mm3, 189→177mm3, 189→180mm3と減少し, 変化率は92% (p<0.Ol), 94 (p=0.07) %, 95% (p=0.03) であった.皮質高信号領域容積の変化率はそれぞれ87% (p<0.01), 89% (p=0.03), 98% (p=0.47) で線条体高信号領域容積の変化率は102%,106%, 87% (p<0.05) であった.信号強度は薬物投与前後で健常側皮質ではそれぞれ54→49 (p<0.01), 54→50 (p<0.01), 55→54と変化した.病巣側皮質高信号領域では102→97 (p<0.01), 100→98, 98→97で病巣側線条体高信号領域では100→93 (p<0.01), 94→88 (p=0.03), 94→94となった.抗浮腫薬による脳浮腫の改善はMRI上高信号領域の縮小, 信号強度の低下として観察され, glycerol, malmitol, furosemide投与のいずれにおいても有意な変化として捉えられた.
  • 寺井 敏, 藤野 泰祐, 吉田 富士雄, 見明 俊治, 木村 雅人
    1997 年 19 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    3D-CTAにより中大脳動脈 (MCA) 径に左右差のみられた一側内頸動脈血栓性閉塞例4例を経験した.これら4例では, 脳血管造影上, 閉塞側MCAは主に, 2例は前交通動脈, 2例は外頸動脈より眼動脈介した側副血行により動脈相後期から造影され, いずれも, CTでは脳主幹動脈境界領域を含む梗塞巣を有していた.3D-CTAでは, 閉塞側MCA水平部最大径の平均値は2.5mmと, 非閉塞側の3.9mm, および, コントロール9血管の平均3.4mmとの間には差を認めた (P<0.05vs非閉塞側).閉塞側MCA領域の脳血流量, MCA水平部平均血流速度は, それぞれ, 約16ml/100g/min, 約13cm/secと同領域内での強い脳循環動態の不良が示唆された.今回, 3D-CTAによるMCA径左右差の臨床的意義について考察した.
  • 福田 倫也, 神田 直, 北井 則夫, 坂井 文彦
    1997 年 19 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳血管障害の発症時刻について病型別に検討することは, 脳卒中の発症機序を解明する上からも意義があると考える.対照は最近5年間に入院した脳卒中連続1,248例であり, 病型別内訳は脳出血434例, 脳梗塞814例 (アテローム血栓性325例, ラクナ225例, 心原性塞栓214例, その他50例) である.脳出血の発症は, 夜間は少なく, 8~9時台と18~19時台にピークのある2峰性を示した (χ2適合度検定, P<0.001).また脳出血では出血部位, 高血圧治療の有無によっても, 発症時刻に差がみられた.アテローム血栓性梗塞とラクナ梗塞は夜間睡眠中及び起床後間もなくの発症が多く, 更に16~17時台にもピークが認められた (いずれもp<0.001).心原性脳塞栓症も同様に起床後間もなくの8~9時台と16~17時台に発症のピークが認められ, 夜間と10~15時台の発症が少なかった.
    脳卒中は病型により発症機序が異なるにも関わらず, 発症時刻の点からみると午前と午後のかなり近似した時間帯に発症のピークがあり, 何らかの共通因子が発症の引き金になっている可能性は否定できない.
  • 高松 和弘, 大田 泰正, 佐藤 昇樹, 佐能 昭, 村上 裕二
    1997 年 19 巻 2 号 p. 138-144
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    梗塞巣が中小脳脚に限局した7例 (両側性1例, 片側性6例;男3例, 女4例, 年齢;52~76歳・平均66.3歳) を検討した.危険因子は高脂血症6例, 高血圧症5例, 糖尿病3例, 喫煙2例, 心疾患1例で, 発症機序は全例血栓性であった.臨床症状は小脳性運動失調7例, 回転性めまい4例, 難聴1例で, 7例中3例は小脳性運動失調のみを呈した (小脳半側症候群).血管病変を検索した6例中4例で椎骨脳底動脈の主幹部に病変を認め, 聴性脳幹反応は施行した2例共に異常所見を認めた.予後では独歩可能5例, 介助歩行2例で死亡例はなかった.中小脳脚には前下小脳動脈で灌流されることが一般的であり, 中小脳脚梗塞は前下小脳動脈症候群の中で論じられることが多い.しかし, 本検討で中小脳脚限局梗塞はlarge-artery occlusivediseaseによる一種の分水嶺梗塞である可能性が示唆された.
  • 福岡 正晃, 美馬 達夫, 森 惟明
    1997 年 19 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    遅発性神経細胞死にアポトーシス (programmed cell death) が関与しているという最近の報告は, 「海馬CA1の神経細胞が短時間の前脳虚血に極めて脆弱で選択的な細胞死を引き起こすことは, あたかも電気回路のフユーズの様な機序で, 将来の長時間の虚血侵襲の際に脳全体と生命を守っている」という仮説の可能性も示唆する.我々は, この仮説を検証する一つの実験方法として, 砂ネズミを用い, 5分間の前脳虚血を前もって負荷し海馬CA1の選択的な細胞死を生じさせておき, 10日後に15分間の前脳虚血を負荷した場合, 広範な脳の神経細胞死が予防でき, 生体の死も防ぐことが出来るか検討した.予め5分間虚血を負荷せずに15分間虚血を加えた群 (A群) の2週間の生存率は41%であったが, 予め5分間虚血を負荷し10日後に15分間虚血を加えた群 (B群) は65%と統計学的な有意差をもって生存率が向上し, また体重減少もより軽度であった.しかし, 組織学的検討では, 海馬CA3, 海馬支脚での細胞死は両群で差がなく, また, 特に大脳皮質の表層での神経細胞死はB群がA群に比しより重篤であった.予め負荷しておいた5分間前脳虚血は, 生体にとって好ましい効果を示したが, その機序に関しては今後の検討が必要である.
  • 橋本 洋一郎, 木村 和美, 平野 照之, 米原 敏郎, 内野 誠
    1997 年 19 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    左大脳半球の広範な脳梗塞により失語症を呈さず, 右半球の神経心理症候を呈した右利きの83歳女性を報告した.右完全片麻痺と右半身の感覚障害が出現し, 右半側空間無視, 右片麻痺に対する病態失認, 運動維持困難, left neck rotationを認めた.言語機能に関しては, 自発語, 言語理解, 復唱もすべて良好で失語はなかった.頭部X線CTやMRIで左中大脳動脈領域の全域と左前大脳動脈領域の一部に梗塞巣を認めた.本症例は右利きであったが重度で長期持続する右半球の神経心理症候を認め, かつ失語を認めなかったことよりreversed lateralizationの1例と考えられた.
  • 田中 弘道, 森 望美, 鍵本 比呂志, 斎藤 潤
    1997 年 19 巻 2 号 p. 159-164
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    症例は37歳の男性で, 高血圧の既往はない.入浴中に右上肢から胸部の温度感覚が鈍いことに気づき, 嚥下困難感, 嘔気, ふらつきを生じ, 5日後に受診した.構音障害はなく, 咽頭, 舌の運動は正常であった.左上下肢に軽度の運動失調, 右への偏筒傾向, 右C2~Th12領域の温痛覚低下を認めた.発症14日のMRIで, 左延髄外側にT1, T2強調画像で高信号を呈する病巣とT2強調画像でmixed signal intensityを呈する病巣があり, T2強調画像でlow intensity rimを認めた.脳血管撮影では異常を認めず, 末梢血, 凝固線溶系検査に異常はなかった.延髄の外側脊髄視床路には体性局在配列があり, その外側部分, 三叉神経脊髄路と核が障害を免れたため分節性解離性感覚障害を生じたと考えられた.脳出血の危険因子を認めず, cryptic vascular malformationが原因と推定された.
  • 1997 年 19 巻 2 号 p. 165
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
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