脳卒中
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19 巻 , 5 号
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  • 酒寄 修, 北村 伸, 永積 惇, 赫 彰郎
    1997 年 19 巻 5 号 p. 333-339
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    無症候性脳梗塞患者の非特異的自覚症状に注目, 脳循環所見を軸とした検討を行った.対象はMRIにて穿通枝領域に病巣を認めた, 無症候性脳梗塞例73例および症候性脳梗塞例80例, 非回転性めまい/四肢しびれ感/頭痛・頭重感等の非特異的自覚症状を主訴とする不定愁訴患者22例とした.脳血流量の測定は123IMP SPECT-ARG法を用いた.無症候性脳梗塞例の52%が, 非特異的自覚症状を有していた.無症候性脳梗塞自覚症状群の脳血流量は, 不定愁訴例と比較して有意な低値を示したが, 症候性脳梗塞例とは有意差を示さなかった.高血圧を有する無症候性脳梗塞自覚症状群の前頭葉, 側頭葉領域の脳血流量は, 高血圧を有さない無症候性脳梗塞非自覚症状群と比較して有意な低値を示した.以上は, 無症候性脳梗塞患者に対して, 自覚症状の有無と高血圧の存在を考慮に入れた臨床的対応をする必要性を示す結果である.
  • 紺野 衆, 高橋 弘明, 渡辺 活見, 小泉 大造, 東儀 英夫
    1997 年 19 巻 5 号 p. 340-348
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    アスピリン (ASA) およびチクロピジン (TIC) の効果発現時期を明らかにするため, 経口投与後の血小板凝集能の経時的変動を検討した.慢性期脳血栓症患者18名 (ASA330mg/日連日投与10名, TIC200mg/日連日投与8名) を対象として, 投与前, 投与後1, 2, 4, 7, 14日目に採血し, 比濁法と血小板凝集塊を小, 中, 大に分類し測定可能なレーザー法 (AG-10, Kowa) で測定した.凝集惹起物質の終濃度は, collagen1, 2μg/ml, ADP0.5, 5μMを使用し, 以下の結果を得た. (1), ASAは, collagen1μg/ml凝集で投与1日目から血小板凝集能 (比濁法とレーザー法の中凝集塊, 大凝集塊) を抑制し, 投与12時間以内の検討ではcollagen2μg/ml凝集で投与1時間後から血小板凝集能 (比濁法とレーザー法の大凝集塊) を抑制した. (2), TICは, ADP0.5, 5μM凝集の比濁法で投与2日目以降に抗血小板作用を示し始め, 4日目で最も強い作用を示した.
  • 栗山 長門, 水野 敏樹, 中島 健二, 北川 良裕
    1997 年 19 巻 5 号 p. 349-354
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    無症候性脳梗塞を有する糖尿病患者群に対して, 神経心理機能障害の有無と各神経心理検査 (Mini-Mental State Examination (MMS-E), Word Fluency test, Digit Span, Modified Stroop test, 仮名拾いテスト) の有用性を検討した.また, 糖尿病性細小血管症 (網膜症, 腎症, 末梢神経障害), 高血圧症の合併および加齢が認知機能にどのような影響を及ぼしているかを検討した.対象は, 48名の糖尿病患者で, 頭部MRI所見により3群 (G0 : ラクナ0個, G1 : 同1~4個, G2 : 同5個以上) に分類した.G0群は16例, G1群は12例, G2群は20例で, 高血圧の合併頻度以外, 年齢, 糖尿病の背景因子, 脳血管障害の危険因子については, 3群間で有意な差は認めなかった.MMS-Eは, 3群間で有意差はなく, Word Fluency test, Digit Spanは, G0群に対してG2群で有意な悪化を認めた.また, 細小血管症合併, 高血圧症の有無や加齢の要素に比べて, 梗塞数の増加の程度が, より強く神経心理検査の成績に影響を及ぼしていた.無症候性脳梗塞を多数有する患者では, 潜在性の認知機能低下を認めることがあった.その早期の検出にはMMS-EよりWord Fluency test, Digit Spanが有用であり, 潜在性の認知機能低下を早期に発見しうる簡便な検査法である可能性が示唆された.
  • 中島 一夫, 林 由紀子
    1997 年 19 巻 5 号 p. 355-360
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    抗血小板及び抗凝固療法が慢性非弁膜症性心房細動例 (cNVAf) における脳梗塞・脳出血発症率に及ぼす影響をretrospectiveに検討した.抗血小板療法 : aspirin服用群 (53例, 平均1日服用量117mg) 及びticlopidine服用群 (87例, 187mg) の全脳梗塞発症率は各5.71, 5.40%/年, 脳塞栓発症率は4.44, 3.04%/年, 脳出血発症率は0, 0%/年であり, 抗血小板剤非服用群378例の発症率 (全脳梗塞が5.94, 脳塞栓が3.98, 脳出血が0.12%/年) との間に有意差はなかった.抗凝固療法 : 脳塞栓一次予防;warfarin服用群 (67例, 全体の97%が平均INR2.0未満) の全脳梗塞発症率は2.23 (脳塞栓は0.74) /%年で, warfarin非服用群371例の全脳梗塞発症率の6.12 (脳塞栓は4.12) %/年より有意に低値であった (p<0.05).脳塞栓二次予防;warfarin服用群 (29例, 全体の93%が平均INR2.0未満) の全脳梗塞発症率は1.62 (脳塞栓は1.62) %/年で, warfarin非服用群42例の全脳梗塞発症率の14.56 (脳塞栓は12.13) %/年より有意に低値であった (p<0.01).脳出血発症率は, warfarin服用群と非服用群との間で有意差はなかった.cNVAfの脳梗塞 (脳塞栓) 予防にはwarfarinが推奨され, 低用量でも充分な効果が期待できる
  • 羽生 春夫, 井門 ゆかり, 高崎 優, 新藤 博明, 阿部 公彦
    1997 年 19 巻 5 号 p. 361-365
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    自由水と高分子結合水の磁化飽和移動の差を画像化するmagnetization transfer (MT) 法を用いて, 脳梗塞巣の病態を検討した.対象は, 急性期から慢性期までの脳梗塞17例 (合計30検査) で, MTR (Moff-Mon/Moff;Moff, MonはMTパルス付加前後の画像) による計算画像からMT効果の程度を評価し, 病巣/健常 (L/C) 比を計測した.急性期病巣はMTR画像から描出されることは少なく, L/C比も1に近似した値を示し, この時期での有用性は高くなかった.一方, 亜急性期から慢性期にかけては, 明らかな低信号域として描出され, L/C比は有意な低値を示した.特にCTやMRI T2強調画像などから病巣が不明瞭となる亜急性期では本法が有用であった.発症後時間とMTRのL/C比との間には有意な負の相関係数 (r=0.865) が得られ, 発症時期の推定や経時的な病態の評価が可能と考えられた.
  • 米波 浩二, 杉原 浩, 鴨川 旭, 柳沢 俊之, 村山 正博
    1997 年 19 巻 5 号 p. 366-372
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳血栓症急性期において, エンドセリン-1 (ET-1) は経時的に低下し, 組織プラスミノーゲンアクチベーター (t-PA) は鏡像的に増加する.今回はそのメカニズムの解析を目的に基礎的, 臨床的検討を行った.
    培養血管内皮細胞へのオザグレルナトリウム添加で培養液中の両因子濃度は非添加対照と差が認められない.トロンビン添加で両因子とも対照より有意の高値を示した.このことから両因子の脳血栓症急性期の変化に治療薬剤や凝固の直接的関与は否定される.急性期1~7病日のET-1とt-PAの各変化量が逆相関を示した “逆相関群” では相関しない “非相関群” に比してt-PAのインヒビターPAI-1の遊離型 (free) PAI-1の相対的高値が認められた.
    t-PAはET-1放出を抑制する既報の成績からt-PA増加がET-1放出を主導的に抑制し, 急性期の血栓抵抗性をfree PAI-1高値例においては誘導しているものと考えられた.すなわち, 脳血栓症治療に際しては抗血小板・抗凝固だけではなく, このt-PA・PAI-1の線溶系を考慮すべきである.
  • 三木 寛子, 津田 能康, 市原 新一郎, 細見 直永, 松尾 裕英
    1997 年 19 巻 5 号 p. 373-381
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    一過性両側総頸動脈閉塞による前脳虚血負荷砂ネズミ59匹を用いて, Histamine H2受容体拮抗薬であるranitidineを虚血前投与し, 脳虚血後の脳内エネルギー代謝, 脳血流, 脳比重に及ぼす効果を生食投与群と比較検討した.脳内エネルギー代謝は31P-NMRスペクトロスコピー (MRS), 脳血流はレーザードプラ血流計, 脳比重は比重柱法により測定した.その結果, 脳内エネルギー代謝の変化に関して, PCr/Pi比は, ranitidine投与群で生食投与群に比し再灌流後40分時に有意の高値を (p<0.05), pHi値も再灌流10, 20, 30分時に有意の高値を示した (p<0.01~0.05).脳血流の変化に関しては, 両群間に有意差を認めなかった.脳比重はranitidine投与群で生食投与群に比し有意の高値を示した (p<0.05).以上の結果より, Histamine H2受容体拮抗薬であるranitidineの虚血前投与は, 虚血後再灌流時の脳内エネルギー代謝を生食群に比し有意に改善し, 脳浮腫の進展を有意に抑制した.
  • 大山 英郎, 津田 能康, 細見 直永, 泉 佳成, 松尾 裕英
    1997 年 19 巻 5 号 p. 382-388
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    トロンビンはフィブリン生成, 血小板凝集, 血管収縮などの作用により, 脳虚血-再灌流後の脳内微小循環障害を招くことが知られている.argatroban (AG) 投与による抗トロンビン作用が虚血-再灌流障害に及ぼす結果を, 虚血再灌流砂ネズミ脳モデルにおける脳血流量, 脳内エネルギー代謝, および脳比重を測定し, aspirin (AS) 投与, および生食 (SL) 投与の場合と比較した.
    AG投与はASおよびSL投与に比し, 脳血流量の虚血前値への回復時間 (recovery time;RT) を短縮した (RTAG=19.2±10.6min, RTAs=46.1±12.6min, vsRTSL=90.1±24.5min) (各々p<0.01).脳内エネルギー代謝はAG投与により, ASおよびSL投与に比して血流回復に伴い急速な回復を示し, その改善は実験終了まで持続した (各々p<0.05).AG投与ではASおよびSL投与でみられた脳虚血再灌流後のreactive hyperemiaを認めず, 他の2群に比してより強い脳浮腫抑制効果を認めた (各々p<0.001).以上の結果, 抗トロンビン作用を有するargatrobanの投与は脳虚血-再灌流後の脳血流-代謝の改善と抗浮腫効果を示し, 脳虚血-再灌流後の脳循環-代謝障害を改善した.
  • 難波 昭子, 浜野 均, 北川 泰久, 篠原 幸人
    1997 年 19 巻 5 号 p. 389-396
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳卒中初回発作症例43例 (平均年齢65±13歳, 男性34例, 女性9例) を対象に, MRI上の虚血性無症候性脳血管性病巣 (ACI), 脳室周囲高信号域 (PVH) の特徴と, これらと脳卒中危険因子・脳主幹動脈アテローム硬化との関連を検討した.ACIは43例中29例 (67.4%) にみられ, 同様対象におけるCTを用いた過去の報告に比し遥かに高率であった.ACIとの関連で, 高血圧, アテローム硬化は高いオッズ比を呈した.PVHは43例中32例 (74.4%) に認められ, 70歳以上では全例に認められた.PVHは, 4分割表では高血圧およびアテローム硬化と, またそのgradeは年齢, 男性, 高血圧, 糖尿病と関連を示した.ACI, PVHを有する症例では脳主幹動脈アテローム硬化を併発している可能性が高く, たとえラクナ梗塞であっても, largevessel diseaseの有無を十分検索し, その治療法を検討する必要があると思われた.
  • 酒寄 修, 北村 伸, 三品 雅洋, 山崎 峰雄, 赫 彰郎
    1997 年 19 巻 5 号 p. 397-405
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    慢性期脳梗塞例18例を対象に, 精神症候および非特異的自覚症状と脳血流量の関係をあきらかにするために, nilvadipine投与前後に123IMP-ARG法SPECTを用いて局所脳血流量 (CBF) を測定し比較検討をおこなった.
    投与前高血圧群の局所脳血流量は, nilvadipine投与後に平均約11%の上昇を示したが, 正常血圧群では変化を認めなかった.精神症候の改善率は高血圧群でより高い値を示した.さらに精神症候改善例の局所脳血流量は前頭葉を中心に投与後約14%の有意な上昇を示したが, 精神症候不変例あるいは精神症候なし例の脳血流量にはあきらかな変化を認めなかった.
    以上, 脳梗塞患者の精神症候の発現あるいはその改善と, 前頭葉を中心とした全般的脳血流量の変化が密接に関連している可能性が示唆された.またnilvadipineに代表される脳血管選択性Ca拮抗薬の臨床効果は, 高血圧例でより期待出来ることが脳循環の面から裏付けられた.
  • 大谷 良, 長束 一行, 成冨 博章, 秋山 義典, 橋本 信夫
    1997 年 19 巻 5 号 p. 406-412
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    頸動脈内膜剥離術 (CEA) 後の頸部超音波所見に関する報告は少ない.CEA24±29カ月後に頸部超音波検査をした62例の総頸動脈断端部, 分岐部, 内頸動脈近位部におけるプラーク陽性率, プラーク性状, プラーク形成影響因子を検討した.いずれの部位でも術後早期よりプラークがみられることが多く, 術後期間とプラーク陽性率は無関係であった.プラーク性状は部位によって異なり, 特に総頸動脈断端部において動脈硬化性ではない隆起性のものがみられるのが特徴的であった.いずれの部位でもプラーク指数 (プラークの高さの総和) は動脈硬化危険因子の有無と無関係であった.CEA後にみられるプラークは早期よりみられてその後変化しないこと等から, 主として術後修復機転の結果を反映するものではないかと考えられる.
  • 古志 武彦, 横田 千晶, 田中 裕, 峰松 一夫, 山口 武典
    1997 年 19 巻 5 号 p. 413-417
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    難聴が先行し, 一定期間後に階段状の経過で前下小脳動脈 (AICA) 症候群が完成した2症例を報告した.症例1は65歳の女性で, 左耳の難聴の出現の10日後に, 回転性めまい, 構音障害, 右注視時眼振, 左上下肢および体幹失調が出現した.これより11日後に左末梢性顔面神経麻痺が加わり, MRIで橋下部左外側部に梗塞巣を認めた.症例2は69歳の男性で, 右耳の難聴出現より約1年後に, 体幹失調が出現.翌日にはさらに, 構音障害, 右顔面異常感覚, 右上下肢失調, 右末梢性顔面神経麻痺が加わり, 橋下部右外側部に梗塞巣を認めた.2例とも, 最終的には典型的AICA症候群を呈したが, 難聴が10日あるいは1年以上先行した点が特徴的であった.他の中枢神経症候を伴わない難聴のみが出現した場合でも, AICA領域の脳血管障害の初発症候である可能性を考慮する必要がある.
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