脳卒中
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20 巻 , 2 号
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  • 北園 孝成, 井林 雪郎, 長尾 哲彦, 竹迫 仁則, 藤島 正敏
    1998 年 20 巻 2 号 p. 225-238
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    カリウムチャンネルは,ほぼすべての細胞膜に存在し,その膜電位の調節に関与している.脳血管においては,ATP感受性カリウムチャンネル,カルシウム作動性カリウムチャンネル,電位依存性(遅延整流性)カリウムチャンネル,内向き整流性カリウムチャンネルの少なくとも4種類のカリウムチャンネルが同定されている.ATP感受性カリウムチャンネルとカルシウム作動性カリウムチャンネルが活性化されると,血管平滑筋の過分極が起こり,脳血管は拡張する.これらのカリウムチャンネルは,種々の刺激による脳血管拡張反応を媒介する重要な因子である.また,高血圧・糖尿病などの病態において,これらのカリウムチャンネルの活性が変化していることが報告されており,各病態との関連が注目されている.近年,ATP感受性カリウムチャンネルの開口薬が,くも膜下出血による脳血管攣縮を改善し,脳梗塞巣を縮小させることが報告されている.すなわち,カリウムチャンネルは,脳血管障害治療の新たなターゲットとなってきている.
  • 青山 晃治, 小林 祥泰, 岡田 和悟, 卜蔵 浩和, 山口 修平
    1998 年 20 巻 2 号 p. 239-243
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    脳血管障害患者57例についてapathyとうつ状態が認知機能に与える影響について検討した.Apathyの評価にはStarksteinらが報告したapathy scale(AS)の邦訳版を用い,うつ状態の評価にはZungの自己評価式うつ状態スケール(SDS)を用いた.Apathyは,動作性IQ,前頭葉機能,および発症後期間との相関を認め,うつ状態に比べてより密接な認知機能への関与が示唆された.
  • 渡辺 正樹, 西村 麗, 新美 由紀, 真野 和夫, 渡邊 英夫
    1998 年 20 巻 2 号 p. 244-248
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Binswanger脳症33例において夜間降圧障害の意義を臨床的に検討した.24時間血圧測定(30分毎)において,non-dipper(夜間平均血圧≧昼間平均血圧)は16例(48.5%)にみられ,ラクナ型脳梗塞(18.4%)より高頻度であった.本疾患の中でもnon-dipper例はdipper例より野菜名想起,かなひろいテスト,歩行能力の障害が強かった.non-dipper例は脳MRI上の脳室周囲高信号域,大脳皮質や脳幹の小高信号の程度が強かったが,MR angiography上の脳内大血管病変や頸動脈エコー上のプラークの程度はdipper例と差がなかった.本疾患におけるnon-dipperは病態の進行を意味し,大脳白質をはじめとする脳内小血管病変がその出現に関与すると考えられた.
  • 黄 海燕, 荒井 祥一, 木内 博之, 近蒲 健男, 吉本 高志
    1998 年 20 巻 2 号 p. 249-257
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    ラット中大脳動脈(MCA)閉塞モデルにおけるサイクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)のmRNAおよび蛋白の発現について,それぞれin situ hybridization法と免疫染色法により検討した.COX-21mRNAは,30分のMCA閉塞後の血流再開において,再開4時間より虚血領域の大脳皮質に著明な誘導を認め,24時間まで持続した.90分のMCA閉塞後の血流再開および永久閉塞では,虚血領域を除く虚血側の大脳皮質全体,内側線条体および両側海馬で誘導を認めた.永久閉塞24時間の免疫染色では,大脳皮質の神経細胞と海馬顆粒および錐体細胞に免疫性が確認された.以上よりCOX-2はMCA閉塞後,immediate early geneと同様に,虚血領城のみならず虚血周辺部や遠隔部においても誘導され,これらの部位におけるアラキドン酸代謝の亢進が考えれた.
  • 福岡 正晃, 美馬 達夫, 平山 晃斉, 森 惟明
    1998 年 20 巻 2 号 p. 258-266
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    遅発性神経細胞死にアポトーシス(programmed cell death)が関与しているという最近の報告は,「海馬CA1の神経細胞が短時間の前脳虚血に脆弱で選択的な細胞死を引き起こすことは,将来の長時間の虚血侵襲の際に脳全体と生命を守っていることに役立っている」という仮説が成り立つ可能性を示唆する.我々は,この仮説を検証する一つの実験方法として,砂ネズミを用い,予め5分間の前脳虚血を負荷せずに15分間前脳虚血を加えた群(A群)と,予め5分間の前脳虚血を負荷し海馬CA1の選択的な細胞死を生じさせておき,10日後に15分間前脳虚血を負荷した群(B群)において,2週間の観察で,B群では有意に生存率が高く,体重減少も軽減していることを前回報告した(脳卒中19: 145-152, 1997).しかし,2週間生き残った砂ネズミの組織学的検討では両群の違いはほとんどなかったため,今回は死亡する前の時点での脳浮腫測定および組織学的解析を新たに行った.大脳の水分含有量を15分間前脳虚血の2時間後,2日後,7日後について調べたところ,B群はA群より脳浮腫の増加が有意に抑制されていた(p<0.01).また,15分間前脳虚血の2日後の大脳皮質および視床下部の組織学的検討において,B群では細胞障害が少ない傾向が認められた.予め負荷しておいた5分間前脳虚血は,生体にとって好ましい効果をもたらしたが,その効果には脳浮腫抑制および細胞障害の軽減が関与していることが示された.
  • 定永 史子, 八尾 博史, 井林 雪郎, 藤島 正敏
    1998 年 20 巻 2 号 p. 267-271
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    ラットを用いて,光感受性色素ローズベンガル(20mg/kg)を静注し,頭蓋骨上からクリプトンレーザー(568nm, 4分間)を照射することにより,血栓性大脳皮質梗塞モデルを作製した.レーザーの出力が5,10,20mWでは全例に梗塞が認められたが,2mWでは梗塞巣は作製できなかった.色素レーザーを組み合わせたアルゴンレーザーに比較して,クリプトンレーザーは調節設定が簡便である.しかもこのモデルは良好な再現性を示し,かっ脳表面温度の上昇も少なく,均一な梗塞巣が形成され,脳血栓症モデルとしての条件を十分に満たしていた.このモデルは,脳血栓症の病態解明や抗血栓薬の効果判定にも,有用なモデルとして今後活用できるであろう.
  • 立川 浩, 松島 一士, 三枝 倫子, 篠原 幸人
    1998 年 20 巻 2 号 p. 272-275
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    39歳男性.スノーボード外傷の約1カ月後に頭痛,嘔気,めまい,嚥下障害および構音障害が出現し,臨床的に左Wallenberg症候群と診断された.頭部MRIでは左延髄背外側と左小脳半球に梗塞巣が描出された.左椎骨動脈造影では,椎骨動脈の頭蓋内入口部から脳底動脈移行部におよぶ動脈閉塞を認め,MRIでは同部位に解離性動脈瘤が確認された.本例はスノーボード外傷による頭頸部の過伸展,回旋が原因で椎骨動脈障害を生じたものと考えられた.近年スノーボードが大流行し,種々のタイプの外傷が報告されているが,外傷性解離性椎骨動脈瘤を生じ,Wallenberg症候群を呈した報告の中でスノーボード外傷に起因した症例は,我々が調べ得た限りでは未だ報告されていない.しかし,今後もスノーボード外傷は増加すると考えられるので,スノーボード外傷性脳血管障害に対する諸家の注意を喚起する目的で報告した.
  • 橋本 洋一郎, 寺崎 修司, 原 靖幸, 日野 洋健, 内野 誠
    1998 年 20 巻 2 号 p. 276-280
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/12/07
    ジャーナル フリー
    72歳右利き女性で,意識障害(JCS20),左片麻痺に対する病態失認,軽度の左半側空間無視,構音障害,左片麻痺,左半身の感覚障害,左バビンスキー徴候を呈した.心房細動あり,右中大脳動脈領域の心原性脳塞栓症として治療を開始した.第3病日のX線CTでは右視床に広範な梗塞巣,第13病日の造影MRIでは右視床のほぼ全域,左大脳脚,右小脳半球,両側海馬が造影,第5病日のSPECTで右側の基底核から大脳皮質の血流低下が認められた.第7病日の脳血管造影では右後大脳動脈がP2segmentから描出不良で,一部の分枝をだしているのみであった.左半側空間無視は数日で,病態失認は第15病日頃に消失した.広範な右視床梗塞による注意・覚醒系の障害,左半身感覚障害,両側海馬などの他の病巣の影響などで左片麻痺に対する病態失認が出現したものと考えられた.
  • 古井 英介, 中島 孝, 福原 信義, 榛沢 和彦, 江塚 勇
    1998 年 20 巻 2 号 p. 281-285
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は書字困難を訴えた62歳右利き男性で,標準失語症検査(SLTA)で書字および語想起,物品呼称の障害を伴っていた.両側内頸動脈が閉塞し,左放線冠と左外側後頭側頭回に限局した脳梗塞があり,SPECTで左中大脳動脈領域の広範な血流低下を認めた.左浅側頭動脈一中大脳動脈吻合術直後より言語症状は改善し,術前のSLTAでの成績低下は全て消失し,血流低下の改善も認めた.本例の言語症状の原因は,梗塞巣よりも広範な部位での脳血量の低下と考えた.脳梗塞により言語症状を呈する症例の中には,頭蓋外一頭蓋内バイパス手術により改善する例があり,SPECTおよび頸動脈超音波を用いた血管系の検索が重要である.
  • 木村 知一郎, 上田 孝
    1998 年 20 巻 2 号 p. 286-292
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    8人兄弟のうち3人に脳動脈瘤,.あるいは漏斗状拡大を認めた.概要は次の通りである.
    1.66歳の次女(8人兄弟姉妹の4番目)
    1995年,左内頸動脈一後交通動脈分岐部の破裂脳動脈瘤に対し,手術を施行した.
    2.55歳の4男(末子)
    1990年暮れに脳梗塞の精査中に左内頸動脈―後交通動脈分岐部の未破裂脳動脈瘤を認め,手術を施行した.
    3.57歳の3男(8人兄弟の7番目)
    Magnetic Resonance Angiography(以下MRA)による頭蓋内血管の精査中に左内頸動脈―後交通動脈分岐部の漏斗状拡大を認め,1997年4月に手術を施行した.
    家族性脳動脈瘤は,一般の脳動脈瘤に比べ,若くして破裂し,同一部位,あるいは対側同部位(mirrorsite)に多い,比較的小さいうちに破裂する,多発しやすい,やや女性に多い,同年代に破裂するなどの特徴を指摘されている.そのなかで,家族性とする定義や,家族,家系のどこまで,いつ検査すべきか,informedconsentをどうするか,MRAは検査法として信頼するに足りるか,小さくても破裂しうるならinfundibular dilatationが疑われた時にどうするか,followupをどうするか,など解決すべき問題は数多いものと思われた.自験例を報告するとともに,若干の文献的考察を加えた.
  • 中村 智実, 牧野 雅弘, 水野 敏樹, 高梨 芳彰, 中島 健二
    1998 年 20 巻 2 号 p. 293-296
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌手術の待機中に自己血輸血を目的として,約400ccの採血を行ったところ,大脳深部終末領域梗塞を発症した1例を報告した.症例は57歳女性.糖尿病にてインスリン治療中に直腸癌を指摘され,手術目的にて外科入院.術前に自己血輸血目的の採血を行った直後に傾眠,全失語,および右不全片麻痺が出現し,当科受診.MRIにて左大脳深部の中大脳動脈終末領域梗塞を認め,脳血管撮影では左内頸動脈が頭蓋内で閉塞していた.内頸動脈閉塞症は無症候性であることもあり,その場合,不用意な大量の採血を行うと,血行力学的脳梗塞を引き起こす可能性があることが示唆された.近年,自己血輸血が待機手術においては頻用されるようになったが,動脈硬化の危険因子を有する患者に対しては術前の採血の前に,MRAや頸部超音波検査などの非侵襲な検査によって,頭蓋内外の動脈硬化性血管病変を評価しておく必要があると考えられた.
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