8人兄弟のうち3人に脳動脈瘤,.あるいは漏斗状拡大を認めた.概要は次の通りである.
1.66歳の次女(8人兄弟姉妹の4番目)
1995年,左内頸動脈一後交通動脈分岐部の破裂脳動脈瘤に対し,手術を施行した.
2.55歳の4男(末子)
1990年暮れに脳梗塞の精査中に左内頸動脈―後交通動脈分岐部の未破裂脳動脈瘤を認め,手術を施行した.
3.57歳の3男(8人兄弟の7番目)
Magnetic Resonance Angiography(以下MRA)による頭蓋内血管の精査中に左内頸動脈―後交通動脈分岐部の漏斗状拡大を認め,1997年4月に手術を施行した.
家族性脳動脈瘤は,一般の脳動脈瘤に比べ,若くして破裂し,同一部位,あるいは対側同部位(mirrorsite)に多い,比較的小さいうちに破裂する,多発しやすい,やや女性に多い,同年代に破裂するなどの特徴を指摘されている.そのなかで,家族性とする定義や,家族,家系のどこまで,いつ検査すべきか,informedconsentをどうするか,MRAは検査法として信頼するに足りるか,小さくても破裂しうるならinfundibular dilatationが疑われた時にどうするか,followupをどうするか,など解決すべき問題は数多いものと思われた.自験例を報告するとともに,若干の文献的考察を加えた.
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