脳卒中
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20 巻 , 3 号
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  • 南 政博, 美馬 達夫, 森 惟明
    1998 年 20 巻 3 号 p. 299-306
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    臨床的に,全脳室に鋳型を形成するような重症脳室内出血は予後が悪いと報告されている.我々は,脳室内出血の発症時,頭蓋内圧が上昇し脳血流が低下するため,広範囲の脳に脳虚血が生じていると考え,脳室内出血に長時間持続する脳血流の低下が合併する場合に,予後が悪くなるという仮説をたてた.脳血流の低下の病態を模倣するために,ラットで両側総頸動脈を閉塞し,脳室内血液注入を起こした場合の脳への影響を調べた.Wistarラットを用い,ハロセン麻酔下で以下の6群の実験を施行し,1カ月間の死亡率,実験終了6時間後の脳含水量(%),組織学的変化を比較した.第1群:正常対照.第2群:両側総頸動脈閉塞第3群:脳室内生食注入.第4群:脳室内血液注入.第5群:両側総頸動脈閉塞+脳室内生食注入.第6群:両側総頸動脈閉塞+脳室内血液注入.実験の結果,第6群では,術直後より45.5%(30/66)が瀕死の状態に陥り,手術後16時間までに全例死亡したが,他の全ての群では死亡率は0%であった.また,第6群においてのみ,水分含有量(%)は有意に増加し,組織学的にも大脳皮質下,脳梁,脳幹に著明な浮腫を認めた.以上の結果より,脳室内出血に脳血流の低下が長時間持続する病態が合併した場合には,致死的な脳浮腫を引き起こすことが動物実験で明らかとなった.
  • 宮崎 晶子, 渡辺 弘美, 渡辺 雅幸, 内山 真一郎, 岩田 誠
    1998 年 20 巻 3 号 p. 307-311
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    脳血管障害(CVD)患者46名を対象として,CVD発症前の行動パターンの特徴とタイプAとの関連について検討した.全28項目の質問表を作成,実施した結果,タイプAと判定されたのは,対象群42名中20名(47.6%)であったのに対し,CVD群では25名(54.3%)であり,タイプAの割合については両群間に有意差は認められなかった.しかしタイプAスコアーは対照群よりもCVD群の方が高い傾向が認められた.さらに因子分析を行った結果,第1因子:仕事熱心,競争心の強さ,第2因子:時間的切迫感が強くイライラしやすい,第3因子:几帳面さの3因子が抽出された.第1,第2因子の因子得点は,CVD群の方が対照群よりも有意に高いことから,CVD群はそれらの行動傾向をより強く示す可能性が示唆された.また両因子はタイプAの概念と共通するものであり,CVD患者の発症前の行動パターンにおけるタイプAとの関連性が示唆された.
  • 羽生 春夫, 嶺崎 隆幸, 大山 満, 桝井 武, 原田 雅義
    1998 年 20 巻 3 号 p. 312-317
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    一側脳幹に限局した脳梗塞17例を対象に,SPECTによる脳血流量の左右差を指標として大脳,小脳半球に及ぼす影響を検討した.大脳半球の血流低下がみられたのは7例で,中脳から橋上部までの病巣では同側に,橋中部から延髄における病巣では対側に認められ,これらの病巣はすべて脳幹被蓋を含む病巣であった.小脳半球の血流低下は6例にみられ,橋中部から下部を境に上方(吻側)の病巣では対側に,下方(尾側)の病巣では同側にみられ,脳幹腹側の病巣で認めやすい傾向にあった.大脳半球の血流低下は発症後1~2カ月以内に認められたが,小脳半球の血流低下は数カ月以降の慢性期にまで認められることも少なくなかった.臨床症状との関連は不明であるが,脳幹に限局した小病変でも遠隔領域に血流低下が出現する場合があり,この機序として脳幹を上行,下行する投射線維を介した抑制機序,すなわちdias-chisisとの関連が推測された.
  • 岡田 和悟, 小林 祥泰, 青木 耕, 須山 信夫, 山口 修平
    1998 年 20 巻 3 号 p. 318-323
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    脳卒中患者135名を対象として,意欲低下の評価をApathy Scale(Starkstein)邦訳版である「やる気スコア」を用いて行い,その信頼性,妥当性について検討し,客観的評価法と比較検討した.スコアの信頼性は,ρ=0.963,p<0.0001(n=20)と良好であり,問診方式と自己記入式との相関も良好であった.意欲低下の有無の判定とスコアの得点の検討から,カットオフ値を16点とした場合,最も良好な感度(81.3%)および特異度(85.3%)が得られた.客観的評価法(SKETCH)と比較して,スコアの識別能は,意欲低下,感情障害とも80.0%程度を示し,障害程度に比例して有意に高値であった.結語:「やる気スコア」による意欲低下の評価は,臨床評価として使用しうると考えられた.また軽度以上の障害を示す例において有用であると考えられた.
  • 松崎 隆幸, 嶋崎 光哲, 吉田 英人, 関 隆史
    1998 年 20 巻 3 号 p. 324-328
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    未破裂脳動脈瘤に対する予防的手術法は,クリッピングが理想的であるが,必ずしもすべての症例で可能とは限らない.穿通枝の存在や柄部の状況によっては,より安全な手術法である被包術が選択される傾向にある.本報告では,43例,53個の未破裂瘤に対する手術結果を分析した.被包術は7個の瘤に施行され14.3%を数えた.被包術自体による手術合併症として,術後1年を経て破裂死亡した脳底動脈瘤例を経験した.不完全な被包術は追跡的には,極めて危険であるが瘤全体を露出しての本法は,予防的手術という観点からはその臨床的意義は大きい.術前にある程度柄部の状態は,画像診断により把握は可能であるも穿通枝の関与は困難なことが多い.かかる症例の場合には,慎重な被包術を駆使することにより,より安全な未破裂瘤に対する予防効果が期待でき,ひいてはクモ膜下出血例の減少につながると期待される.
  • 金子 誠, 米山 公啓, 高津 竜太郎, 加茂 力, 杉原 浩
    1998 年 20 巻 3 号 p. 329-335
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    非観血的に局所脳酸素飽和度(regional oxygensaturation,:rSO2)を前額部で絶対値として測定できる近赤外線cerebral oximeter装置を用いて,健常者,Alzheimer型痴呆(AD)および脳血管性痴呆(VD)につきrSO2の検討を行った.
    健常者では年代別のrSO2の平均値は20歳代に比べ30歳代から70歳代までは有意な変化はなかった.80歳代では20歳代に比べ有意な上昇を認めた.加齢により脳血流が低下することはすでに知られている.さらに本研究の検討条件および本装置の原理から80歳代でrSO2の上昇は脳酸素消費量の低下の影響が大きいと考えた.ADのrSO2は高齢健常者と比べ有意な上昇を認めた.また,VDでは高齢健常者に比べ有意に低値であった.これは前頭葉でADでは脳酸素消費量の低下の影響が大きく,VDでは脳血流量の減少の影響が大きいことを反映していると考えた.
  • 川畑 信也
    1998 年 20 巻 3 号 p. 336-342
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    脳ドックにて診断された無症候性脳梗塞43名を対象に,123I-IMP-ARG法により算出された平均脳血流量mCBFならびに局所脳血流量rCBFについて,健常者36名と症候性ラクナ梗塞39名と対比して検討を行った.健常者のmCBFは,36.2±6.2ml/100g/分,無症候性脳梗塞では34.6±6.2ml/100g/分,症候性脳梗塞では30.2±4.4ml/100g/分であった.無症候性脳梗塞と健常者間では,mCBFに有意な違いはみられなかった.症候性脳梗塞のmCBFは,他の2群と比べて有意に低値を示していた.無症候性脳梗塞のrCBFは,いずれの部位においても健常者のrCBFと有意な違いはみられなかった.一方,左上前頭葉を除くすべての部位において症候性脳梗塞のrCBFは,無症候性脳梗塞と比べて有意に低値を示していた.無症候性脳梗塞の脳循環動態は,症候性脳梗塞と一線を画し,健常者と類似した脳循環動態を示すものと考えられる.
  • 小林 祥泰, 赤澤 とし子, 柳澤 振一郎, 藤野 志朗
    1998 年 20 巻 3 号 p. 343-350
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    アルガトロバン(A群)とプラセボ(P群)の二重盲検比較試験のデータを用い,脳血栓症急性期における従来の治療と,これにアルガトロバンによる抗トロンビン療法を加えた治療との間で費用―効果分析(CEA:Cost-effectiveness analysis)を行った.本分析に当っては入院期間を最長で90日と仮定し,入院日数の短縮をエフェクティブネスとして,直接費用のみの場合と直接費用に間接費用を加えた場合についてレトロスペクティブに検討した.
    その結果,患者一人当たりの入院日数の短縮に伴う退院後の残日数(90日―入院日数:E)および総費用(直接費用:DC,直接費用+間接費用:DC+IC)の期待値は,A群が平均56.2日,DC103.5万円,DC+IC155.8万円,P群が平均35.9日,DC126.1万円,DC+IC174.0万円となり,A群はP群に比し平均20.3日間入院日数が短縮し,DC22.6万円,DC+ICで18.2万円の費用削減が期待できると推計された.
    退院後の残日数当りの平均費用(C/E)は,DC,DC+ICいずれの場合もP群に比しA群で小さい.また,P群の治療にカルガトロバンを追加することによる効果の増大に対して,それに要する費用は減少する.すなわち△C/△Eはマイナスとなり,アルガトロバンを加えた治療がプラセボに比し費用効果的であると考えられる.アルガトロバンは臨床効果のみならず医療経済性評価においてもその有用性が検証された.
  • 天神 博志, 大森 義男, 今堀 良夫, 上田 聖, 中島 健二
    1998 年 20 巻 3 号 p. 351-355
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    脳血流量,脳循環予備能及び全身状態に考慮したSTA-MCA anastomosisの適応を論じる.国際共同研究の基準に年齢,脳血流量(CBF),脳循環予備能(oxygen extraction fraction)を追加した基準は定め,その基準を満たした6例のSTA-MCA anastomosis症例の周術期合併症,脳循環諸量の変化,脳虚血性続発症を検討した.その結果,全例で周術期合併症を認めなかった.脳循環諸量は改善する傾向にあった.全例で脳虚血性続発症を認めなかった.手術適応を決定するにあたり,患者の年齢,全身合併症,脳血流量,脳循環予備能を考慮にいれるならば,本術式が脳梗塞の予防に寄与する可能性が得られた.
  • 大木 教久, 篠原 幸人, 丹羽 潔, 松田 博
    1998 年 20 巻 3 号 p. 356-364
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    脳虚血や外傷による脳損傷の軽減に有効である低脳温状態が,脳循環自動調節能に及ぼす影響を検討した.麻酔下人工呼吸管理のWistar ratを正常脳温群(37℃,n=6),低脳温I群(31℃,n=6),低脳温II群(27℃,n=6),低脳温III群(25℃,n=6)の計4群に分けた.これらのratに閉鎖式頭窓を植え込み,平均動脈血圧が100~40mmHg間の脳皮質血流(laser-Doppler flowmeter)と脳軟膜血管口径(CCDcamera)を持続的に測定した.脳循環自動調節能は低脳温全群で破綻していた.30~60μmの脳軟膜血管口径は正常脳温群では血圧下降に伴い拡張反応がみられたが,低脳温群では十分な拡張反応がみられず,低脳温III群では平均動脈血圧が40mmHgで有意な血管口径狭小化を示した.高度低脳温では,neurotransrnitterやnitric oxide産生などに変化が生じることが知られているが,高度低脳温に低血圧負荷が加わった時,pH-statの状態では正常でみられる脳血管拡張反応が障害を受け,脳皮質血流が維持できなくなることを示した.その機序として従来強調されたhypercapniaのみによるものではなく,低温が直接脳血管に及ぼす影響も考えられた.この結果から,心肺バイパス術などの低温状態では,軽度の血圧低下にても脳血流が著明に減少し,脳機能全体にも障害が及ぶ可能性があり,超低温下での血圧コントロールは慎重に行う必要があることを強調した.
  • 日野 洋健, 橋本 洋一郎, 蓮村 カオリ, 寺崎 修司, 内野 誠
    1998 年 20 巻 3 号 p. 365-368
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は78歳女性.一過性脳虚血発作を繰り返した後に脳梗塞を発症.脳梗塞発症後およそ2カ月後に脳梗塞側(右眼)の視力低下が出現.その後急速な視力低下と眼痛が出現,血管新生緑内障を発症し,汎網膜光凝固を行ったが最終的には光覚弁に至り,血管新生緑内障の進行を止めるのは困難であった.脳血管造影にて右総頸動脈の外頸動脈と内頸動脈分岐部および起始部の高度狭窄を認め,さらに右眼動脈の狭窄性病変を認めCEAを施行した.本症例は内頸動脈狭窄と眼動脈狭窄により血管新生緑内障を発症したと考えられた.早期に頸部血管エコー検査による内頸動脈病変のスクリーニング,脳血管造影による確認を行い脳梗塞の予防を行うだけでなく,眼科医との協力の下,眼症状を定期的に検査し眼症候の終末像であるis-chemic oculopathyに至らないよう予防していくことが重要であると考えられた.
  • 中里 良彦, 前田 晃宏, 根岸 輝彦, 田村 直俊, 島津 邦男
    1998 年 20 巻 3 号 p. 369-372
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は48歳男性,頻回の複視発作,左口唇,左手指のしびれ,意識障害を主訴に来院した.頭部MRIで左視床,橋上部腹側中心に多発性脳梗塞像を認めた.脳血管撮影にて頭蓋内の両側椎骨動脈に特徴的なstrings of beads様の狭窄所見を認めfibromuscular dysplasia(FMD)と診断した.両側腎動脈には異常はなかった.本症例は頭蓋内両側椎骨動脈に限局したFMDによる動脈狭窄病変が原因で生じたthromboembolic TIAおよび脳梗塞と考えた.
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