脳卒中
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20 巻 , 4 号
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  • 高橋 恵理, 北岡 卓治, 久山 秀幸, 長尾 省吾
    1998 年 20 巻 4 号 p. 375-382
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    一過性脳虚血障害におけるアルカリ化剤(THAM)の効果をラット中大脳動脈閉塞―再灌流モデルを用い検討した.THAM群は0.3MTHAM(2ml/kg/hr)を,対照群は生食を閉塞前より持続投与した.右中大脳動脈を閉塞し2時間虚血の後,再灌流2時間後に脳を摘出し,脳水分量,組織pH,および梗塞巣体積を測定した.その結果,基底核領域では有意な脳水分量の増加は認められなかった.一方,梗塞側皮質領域の水分量は対照群では全ての領域で有意に増加したが,THAM群では有意な増加は一部の領域のみであった.対照群では右中大脳動脈還流領域に一致して組織pHが低下したが,THAM群ではpHが低下している領域は有意に縮小した.梗塞巣体積は対照群に比べ,THAM群では有意に縮小した.THAMは一過性脳虚血部のアシドーシスと脳浮腫を改善し,梗塞巣を縮小させ,一過性虚血において神経細胞保護作用があることが示唆された.
  • 吉田 憲司, Markus Boerschel, 古市 眞, 清水 英夫
    1998 年 20 巻 4 号 p. 383-386
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    超音波カラードプラおよびパワードプラによる頭蓋内血管の3次元画像化について報告する.対象は正常人とした.3次元画像は,経頭蓋超音波により連続して得られた血流画像をもとにして,最大値投影処理にて構築した.2次元血流画像の3次元化の方法や今後の可能性について考察した.
  • 渋江 有恒, 西丸 雄也
    1998 年 20 巻 4 号 p. 387-392
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    橋の無症候性梗塞病巣の病態を明らかにするため,病型,分布および臨床背景を症候性橋梗塞と対比して検討した.対象は平成1年1月から7年間に当院へ入院した虚血性脳血管障害患者のうち,MR検査で橋に虚血性病変が認められた95例(男性72例,女性23例,平均年齢66歳)であり,これらの症例における橋の無症候性病巣は62個,症候性病巣は75個であった.無症候性病巣の病型はすべてラクナ梗塞であり,症候性ラクナ病巣と比較すると平均直径が有意に小さく,傍正中枝領域に好発し,橋下部に少ないという特徴がみられた.危険因子では,無症候性病巣のみを有する群は症候性病巣を有する群に比べて,心疾患および高脂血症と関連がやや少ないのみだった.以上より,橋においては主要な神経核と神経線維が比較的まばらな部位の小梗塞巣が無症候性病巣になりやすいと考えられた.
  • 渡辺 正樹, 浜田 健介, 竹内 英之, 真野 和夫, 渡邉 英夫
    1998 年 20 巻 4 号 p. 393-399
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    視床内側部梗塞14例について,その成因と症候の関連をMRI, MR angiography所見も参考にして検討した.症候を起こすものは従来の報告通りMRIにおいて左側あるいは両側障害例であった.何らかの精神知的機能障害が恒常的にみられる例は14例中9例で,重症例で心原性塞栓が原因と考えられるものが多かった.精神知的機能障害軽症例,垂直眼球麻痺例,無症候例の中には低血圧や起立時血圧低下が発症の誘因と考えられる例も認められた.このような例ではMRIにて他領域に合併病変を認めず,MR angiography上でのWillis輪の形成不全(P1低形成)を伴う場合が多かった.視床内側部梗塞の成因は多彩で,治療法も大きく異なると考えられた.
  • 山根 冠児, 島 健, 岡田 芳和, 西田 正博, 豊田 章宏
    1998 年 20 巻 4 号 p. 400-407
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    内頸動脈狭窄による脳循環の病態と血栓内膜切除術(CEA)が脳循環に及ぼす影響を検討した.CEAを行った152例を対象とし,Xe-CTによる脳血流(rCBF)測定,術中に内頸動脈の血流量(ICAF),内頸動脈のstump pressure,体性感覚誘発電位(SEP),酸素供給状態の記録を行った.ICAFは狭窄が高度になるにつれ減少した.6例(15.8%)でrCBFが狭窄側で有意に低下していた.CEAの手術成績は術後1カ月での死亡はなく,morbidityは4例(2.4%)であった.CEAによるICAFの増加は平均51ml/minで,1例で260ml/minの増加があり術後にhyperperfusionと考えられる神経症状が出現した.術前にrCBFが低下していた6例はCEAにより全例改善した.CEAの術中モニタリングでは内頸動脈の遮断による脳虚血の監視にはSEPが最も鋭敏であった.
  • 宮本 智之, 宮本 雅之, 市丸 雄平, 片山 宗一, 平田 幸一
    1998 年 20 巻 4 号 p. 408-412
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    両側延髄内側梗塞を呈した51歳男性に対し,慢性期に非観血型自動血圧装置(ABPM)を装着,血圧日内変動をみたところ夜間睡眠中の降圧現象が消失していた.延髄は中枢神経における呼吸・循環調節の一次中枢であるが,血圧に対して抑制的に作用するとされる延髄内側部に存在する縫線核のGABAニューロンの障害が,睡眠時の血圧抑制機構に影響を及ぼしているためと推察した.
  • 笹原 篤, 糟谷 英俊, 清水 隆, 中谷 幸太郎, 高倉 公朋
    1998 年 20 巻 4 号 p. 413-420
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Wallenberg症候群にて発症した後下小脳動脈(PICA)のみの解離性動脈瘤(DA)の2例を報告する.1例は34歳の男性で,発症直後の脳血管撮影にて動脈瘤が大きかったため,後頭下開頭にてproximal clippingが行われた.もう1例は49歳の男性で保存的に加療され,6カ月後の脳血管撮影にて動脈瘤は消失しほぼ正常所見を呈していた.著者らは文献上発表されている症例をもとに治療指針について若干の考察を加えた.Wallenberg症候群の診断には詳細な神経学的診察が必要であり,その原因としてPICAのDAがかなりの頻度であると思われる.
  • 瀧川 みき, 田中 弘道, 鍵本 比呂志, 斎藤 潤
    1998 年 20 巻 4 号 p. 421-425
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    77歳男性.起床時より嘔気,嘔吐,ふらつき,複視が出現し,歩行が不可能となった.眼球症状として,左眼の内転障害,右眼の外転位,両眼の輻輳障害,交代性外斜視を認め,その他の症状として右手掌と右顔面にしびれ感(dysesthesia)を認めた.右眼の外転位は正面視では第7病日にはめだたなくなったが,上方視,下方視では著明であった.この外転位は退院時(第16病日)にもわずかに存在していた.また,交代性外斜視は第12病日にはほとんど消失していた.左眼の内転障害と輻輳障害は,改善は認めるものの退院時(第16病日)にも残存していた.MRIにて,橋上部の左側傍正中部被蓋にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈す,新しい梗塞巣が確認された.病側眼の内転障害,輻輳障害および交代性外斜視を呈した機序としては,高度にMLFが障害されたことに伴う対側PPRFの過興奮が原因と考えられた.
  • 橋本 洋一郎, 寺崎 修司, 原 靖幸, 日野 洋健, 内野 誠
    1998 年 20 巻 4 号 p. 426-429
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    59歳右利き女性で,左片麻痺を呈し,第2病日の頭部X線CTで右線条体内包梗塞,両側の側頭―後頭境界部の梗塞を認めた.血小板数が多く,本態性血小板血症と診断した.第2病日の脳血管造影では右中大脳動脈主幹部に75%の狭窄を2ヵ所,左中大脳動脈主幹部に50%の狭窄を認めた.抗血栓療法を行い,第9病日に脳血管造影を再度施行したところ両側中大脳動脈の狭窄性病変は消失していた.経胸壁および経食道心エコーで心疾患や大動脈病変はなく,24時間ホルター心電図でも不整脈はなかった.抗血栓療法で本態性血小板血症に伴う両側中大脳動脈主幹部の血栓性狭の消失を血管造影で証明し得た貴重な症例であった。
  • 井口 保之, 鈴木 正彦, 伊藤 保彦, 中林 治夫, 渡邊 禮次郎
    1998 年 20 巻 4 号 p. 430-434
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は26歳女性.左片麻痺で発症,頭部MRIおよび脳血管造影により右中大脳動脈皮質枝領域の脳梗塞と診断した.本例は脳梗塞とほぼ同時期に発症したと考えられるネフローゼ症候群を合併しており,腎生検からその原因は膜性腎症と診断,ネフローゼ状態はプレドニゾロン経口投与により改善,発症2ヵ月後に軽度の左片麻痺を残し退院となった.本例では凝固線溶系の異常を認めず,脳梗塞の発症には血管炎,およびネフローゼ状態に伴う血管内脱水が関与していると考えた.
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