脳卒中
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27 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 中村 一仁, 一ノ瀬 努, 正村 清弥, 川上 太一郎, 寺川 雄三, 松尾 崇史, 村田 敬二, 阪口 正和
    2005 年 27 巻 3 号 p. 389-395
    発行日: 2005/09/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    急性期椎骨脳底動脈域狭窄・閉塞に対する脳血管内手術6症例(7回)の検討を行った.年齢は56~77歳(平均68歳),全例男性.病変部位は椎骨動脈(以下VA)2例(3回),脳底動脈(以下BA)3例,後大脳動脈1例.GOS,狭窄の改善率,NIHSSの改善度について検討した.結果,GR3例,MDl例,SD1例,DI例であり,狭窄改善率は0~80%(平均63%)であった.平均NIHSSは術前24,術後16であり改善傾向を認めた.術前のNIHSS23点以上の重症例3例に関しては,急性期血行再建を行ってもD1例,SD2例と予後不良であり,重症例については急性期血管内治療による血行再建術の適応は乏しいと考えられた.しかし,NIHSS中等例についてはPTAを中心とした急性期椎骨脳底動脈狭窄・閉塞に対する血管内手術は血行再建術の有効な手段であり,その予後改善効果を期待できる治療であると思われる.
  • 佐藤 美佳, 長田 乾, 鈴木 明文
    2005 年 27 巻 3 号 p. 396-401
    発行日: 2005/09/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    脳卒中によりPure motor monoparesis(PMM)を呈した症例について,急性期の頭部MRI拡散強調画像を用いて検討した.5年間の脳梗塞,脳出血連続症例3226例中,PMMは32例(約1%;上肢26例,下肢6例)で,31例は脳梗寒,1例のみ脳出血であった.上肢のPMMの責任病巣は,放線冠や半卵円中心や中心前回に,下肢のPMMは内包後脚―放線冠後部に多く認められた.9例で2つ以上の多発性の病巣を認めた.発症機序による検討では,動脈原性塞栓8例(25%),心原性塞栓7例(21.9%)と約半数が塞栓性機序であった.抗血小板,抗凝固療法を開始したが,約2.9年の観察期間において7例(21.9%)が脳梗塞を再発した.PMMは,小梗塞でも塞栓性機序が稀ではなく,再発のリスクも考え,的確な診断と治療が必要である.
  • 山田 圭一, 吉川 幸弘, 西村 進一, 高橋 一浩, 井上 洋人
    2005 年 27 巻 3 号 p. 402-406
    発行日: 2005/09/25
    公開日: 2009/12/07
    ジャーナル フリー
    ラクナ梗塞に対するフリーラジカルスカベンジャーのエダラボンの治療効果を評価するため,発症後24時間以内のラクナ梗塞に対し,無作為にエダラボン(A群)またはオザグレルNa(B群)を14日間単独投与した.NIH Stroke Scale(NIHSS)が2点以上改善した症例はA群:72.7%,B群:61.5%で,改善率では両群間に有意差はなかったが,退院時のmodified Rankin Scale(mRS)による転帰ではmRS1以下のものはA群:86.4%,B群:57.7%と有意差を認めた(p<0.05).また,入院時から20日目までのNIHSSの推移において7日目以降に2点以上改善したものはA群:40.9%,B群:26.9%で,エダラボン群では発症1週間後でも症状が改善する傾向があり,その治療効果を最大限得るには1週間以上の継続投与が望ましいと考えられた.
  • 中村 歩希, 伊藤 英道, 桜井 孝, 池田 律子, 橋本 卓雄
    2005 年 27 巻 3 号 p. 407-411
    発行日: 2005/09/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性.既往疾患として2年前に心臓のバイパス術を受けた時に,頭部MRAで右椎骨動脈閉塞を指摘されていた.平成16年11月,突然の意識障害・両側外転神経麻痺を呈して当院へ搬送となった.頭部CTにて後頭蓋窩にくも膜下出血を認め入院加療となった.その後の脳血管撮影や頭部MRIより,occlusionを示した右椎骨動脈解離によるくも膜下出血と診断した.そして,既往疾患時に指摘された右椎骨動脈閉塞は,偶発的右椎骨動脈解離の可能性が考えられた.出血発症以外の椎骨動脈解離において血管撮影上膨隆した所見が,その後に残存したり増大するときは出血の危険性を考慮すべきとされてきた.しかし,椎骨動脈閉塞所見においても動脈解離を考慮し,出血を併発するリスクがあることを留意すべきと思われた.
  • 今井 啓輔, 森 貴久, 泉本 一, 高畠 望, 國枝 武伸, 大淵 尚, 宮下 裕介, 清水 英男
    2005 年 27 巻 3 号 p. 412-418
    発行日: 2005/09/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は低用量経口避妊薬服用中の32歳女性である.右中大脳動脈塞栓性閉塞にて当科入院.経胸壁心臓超音波検査にて拡張型心筋症と診断され,左室心尖部の可動性血栓がみとめられた.抗凝固療法を開始したが,第7病日に左内頸動脈(ICA)塞栓症を再発した.重篤な症状,頭部CTでのearly CT signの欠如,脳血管撮影上の左ICA閉塞所見より局所血栓溶解療法では治療困難と判断し,近位血流遮断下でのマイクロスネアを用いた血栓回収治療と経皮的脳血管形成術を施行した.その結果,血栓の一部が回収され,左中大脳動脈閉塞は残存したがICAは完全に再開通した.術直後より循環動態,神経症候ともに急激に改善した.第94病日には運動性失語を残したが,日常生活は完全に自立できた.本症例では心室内血栓に由来する左ICA塞栓症に対して血栓回収治療をおこなったことが良好な転帰につながったと考えられた.
  • 辻本 昌史, 橋詰 淳, 須賀 徳明, 冨田 稔, 両角 佐織, 千田 穣, 安井 敬三, 長谷川 康博, 柳 務
    2005 年 27 巻 3 号 p. 419-423
    発行日: 2005/09/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    MRAによって解離性の脳血管変化をとらえることができた1例を経験した.症例は53歳男性.左下肢の急性運動麻痺にて入院した.入院時のdiffusion MRIにて右前大脳動脈領域に一致した領域に脳梗塞像を認めた.また入院時のMRAにおいて右前大脳動脈A2部に血管壁の不整像および二腔構造の一部の所見が観察され解離を強く疑うことができた.抗血小板療法とともにリハビリを行ったところ,入院1カ月後には独歩可能となった.脳血管造影においてMRAで認められたA2部の異常部位が明らかな二腔構造を呈しており同領域の脳動脈解離であることを確認した.また経時的に施行したMRAにおいて,入院時不整であった部位が途絶様になり回復していく所見をとらえた.本症例は無侵襲であるMRAが脳動脈解離を診断し,経過を見るうえで有用であった貴重な症例と考える.
  • 牧浦 倫子, 矢坂 正弘, 峰松 一夫
    2005 年 27 巻 3 号 p. 424-428
    発行日: 2005/09/25
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    抜歯を受けるために抗凝固療法薬を減量または休薬すると重篤な脳梗塞を発症するという報告がある.適切な局所止血処置を行えば,抗凝固療法維持量を継続しながらでも安全な抜歯が可能である.今後この問題について医科と歯科で情報を共有することが望まれる.
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