【背景・目的】半側空間無視(USN)の出現と回復に係わる病態を明らかにするために脳酸素消費量(CMRO
2)を解析した.【方法】右大脳半球に主病変を有する脳梗塞患者で,USNを呈する時期にPETを施行した13例(A群),回復後にPETを施行した11例(B群),右大脳半球の主幹動脈病変を有しながらもUSNを呈さなかった27例(C群),及び健常成人8例(NV群)について局所のCMRO
2を比較した.【結果】A群及びB群は,C群あるいはNV群よりも,左小脳半球,右前頭葉,右側頭葉,右頭頂葉,右基底核,右視床及び両側帯状回においてCMRO
2が有意に低下した.左下頭頂小葉を除くと,A群とB群の間にはCMRO
2の有意差はなかった.【結論】USNの出現には広範な領域での脳循環代謝障害が関与したが,USNの回復には一定領域の関与を特定できず,これはUSNの出現機序や回復機序の多様性を反映するものと考えられた.
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