脳卒中
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29 巻 , 1 号
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原著
  • 真邊 泰宏, 河野 祥一郎, 田中 智貴, 藤田 浩平, 奈良井 恒, 大森 信彦
    2007 年 29 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    脳梗塞発症早期に高度高血圧を呈した症例の臨床的検討を行った. 対象は発症2日以内の脳梗塞連続300例 (男性176名, 女性124名, 平均年齢73歳). 高度高血圧群は55例 (18%) に認められた. 心原性塞栓症 (36.4%) が多く, 梗塞巣はテント上皮質枝領域 (54.6%) に多く認められた. 高度高血圧群と非高度高血圧群の比較検討では, 年齢, 性差, 糖尿病, 高脂血症, 心房細動, 虚血性心疾患, 脳卒中既往, 大脳白質病変, 死亡率に有意差はなかった. 高度高血圧群では高血圧既往, 腎疾患既往, 頚動脈狭窄が有意に高かった. 入退院時転帰 (modified Rankin Scale [mRS] スコア) でも有意に高かった. ロジスティック回帰分析では高血圧既往を除く因子で解析すると糖尿病既往がオッズ比2.29で高度高血圧の有無に対する独立した因子であった. 今回の結果より高度高血圧群は臓器障害が進行しており, 予後不良因子と成り得ることが示唆された. 臨床病型や既往歴・合併症別によりきめ細かな血圧管理を行う必要があると考えられた.
  • 篠原 幸人, 峰松 一夫, 天野 隆弘, 大橋 靖雄, mRS信頼性研究グループ
    2007 年 29 巻 1 号 p. 6-13
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    脳卒中の概括予後評価尺度として頻用されているmodified Rankin Scale (mRS) の本邦の医療環境下における信頼性を検討した. mRSのグレード判定において参考にすべき点を明示した判定基準書と, それに対応した問診票とをまず, 作成した. 次に9名の神経内科医が問診票に従って脳卒中 (今回は46名の脳梗塞) 患者を診察している様子をビデオに収録した. そのビデオを約8週間の間隔を空けて2回, 評価者 (医師10名, 看護師6名, 理学療法士4名) に呈示し, 判定基準書に従ってmRSを評価させた. その結果, 評価者間一致性の級内相関係数は, 医師0.947, コメディカル0.963と共に良好であった. また, 8週間の間を置いた場合の評価者内再現性は各々0.865, 0.871と良好であった. 以上の結果より, 著者らが作成した判定基準書および問診票を用いたmRS判定は, 評価の質の確保が可能であり, 本邦の医療環境下における臨床研究などに十分使用できるものであることが示された.
  • 山本 慎司, 森 貴久, 今井 啓輔, 泉本 一, 國枝 武伸
    2007 年 29 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    症候性頭蓋内動脈硬化性狭窄病変に対する待機的ステント留置術の長期成績を評価した. 対象は2000年10月以降当科にて手術を行い, 術後1年以上経過した連続15例 (男性13例, 女性2例, 平均70.4歳). 内科的治療抵抗性の70%狭窄以上の病変 (内頚動脈6例, 中大脳動脈1例, 椎骨動脈5例, 脳底動脈3例, 森分類typeB11例, typeC4例) に対してバルーン拡張に引き続きステント留置を施行したが, 周術期合併症は認めず, 平均27.2カ月の術後追跡期間中には支配領域での虚血症状の再発は生じなかった. 2例 (13.3%) で50%以上の無症候性再狭窄を認め, 1例 (6.7%) にバルーン拡張を追加し対応した. 手術適応や治療戦略を十分検討した上での待機的頭蓋内動脈ステント留置術は, 周術期合併症や再狭窄は比較的少なく, 長期的にも良好な臨床転帰が得られる可能性が示唆された.
  • 篠原 幸人, 小林 慎, 梅田 俊也
    2007 年 29 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    各種脳血管障害治療の医療経済分析は本邦では十分なされていない. 今回我々は脳梗塞急性期治療薬として効果が示された塩酸ファスジル (以下ファスジル) を, 70歳男性の脳梗塞急性期治療を例に, その医療経済性を検討した. ファスジルを用いたプラセボ対照二重盲検比較試験のmodified Rankin Scale (発症1カ月後) の分布を基に, 急性期医療費, 介護費用および質調整生存年 (quality adjusted life years ; QALYs) を計算した. 急性期医療費はDPCによる包括点数, 退院後介護費用とQALYsはマルコフモデルで推計した. ファスジル使用では急性期医療費6万円, 介護費用141万円の減少, QALYsは0.79の延長が期待でき, 感度分析の優劣逆転はなかった. ファスジルによる脳梗塞急性期治療の医療経済的有用性が示唆され, 各種脳血管障害治療における今後の医療経済分析の重要性を強調した.
  • 川原 一郎, 森川 実, 中本 守人, 北川 直毅, 堤 圭介, 永田 泉
    2007 年 29 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    背景及び目的
    頸部頸動脈狭窄症においては, 中等度狭窄病変による虚血性イベントの危険性は十分には解明されておらず, また, 頸動脈内膜剥離術 (CEA) の有効性も明らかではない. しかしながら, こうした病変の中には, 比較的厚いplaque volumeを有した病変も存在する. 今回われわれは, high-resolution MRIを用いてplaque volumeを定量的に算出し, 病理所見や背景因子と比較し, plaque volume測定の意義を検討した.
    方法
    2003年4月より2005年10月までの間で, 本疾患に対してCEAを施行した連続22症例22病変を対象とし, PDWIをもとにplaque volumeを定量的に算出した. そして, これらの結果と臨床データとの統計学的解析を行った.
    結果
    平均plaque volumeは, 無症候性8病変で1,154.0±666.2mm3, 症候性14病変で983.9±349.4mm3と有意に無症候性で高値を呈した (p=0.02). 無症候性病変の中には, plaque内出血を合併した病変が多く見られた.
    結論
    plaque volumeの増大には, 新生血管とplaque内出血が深く関与しており, それは動脈硬化進行度そのものを表しているものと考えられた. 本疾患においては, その狭窄度だけではなく, plaqueの性状, plaque volumeも考慮し治療へのアプローチを図る必要性がある.
  • 豊田 章宏, 山根 冠児, 安井 信之, 畑 隆志, 岡田 靖, 長谷川 泰弘, 成冨 博章, 峰松 一夫
    2007 年 29 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    【目的】 脳卒中初期治療をStroke Unit (SU) で行うことが推奨されているが, 運営体制の明確な基準が必要であり, 本稿ではリハビリ (リハ) の面から検討した.
    【方法】 2004年12月から1年間で発症3日以内入院の完成型脳卒中 (くも膜下出血除く) のうち, 入院前ADL自立 (mRS0~2) の3,765例を対象とし, 7日以内にリハ開始した2,655例としなかった1,110例とで比較.
    【結果】 両群間で年齢, 性差, 基礎疾患, 病型, 入院後の検査治療等に差はなかった. 入院中のリハ日数はリハ群13.7日, 非リハ群3.0日で, リハ群では嚥下評価, クリニカルパス, 多職種合同カンファレンスの実施が高率, 転帰では, 自宅退院率に差はないが (リハ群51.9%, 非リハ群58.4%), 死亡率は明らかな差を認めた (リハ群2.6%, 非リハ群16.6%).
    【結論】 SU運営に際してはリハも含めたチーム医療が肝要である.
症例報告
  • 早川 幹人, 吉村 まどか, 椎尾 康, 中瀬 浩史
    2007 年 29 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    症例は79歳, 女性. 失語と右片麻痺を呈し, MRIにて左中大脳動脈領域に梗塞巣を認めた. 発作性心房細動を有したことから心原性脳塞栓症と診断, エダラボン投与による保存的加療を開始した. 出血性変化のため抗凝固療法は未導入であった. 第6病日に血清LDH, 肝酵素, CRPの急激な上昇, 尿沈渣にて円柱形成を認めた. 腹部造影CT, 腎血流シンチにて左腎梗塞と診断, 心房細動に伴う塞栓症と考えられた. エダラボン投与に関連したと考えられる急性腎不全が報告されているが, 一方, エダラボン投与下の腎不全が腎梗塞によるものであった症例も報告がなされている. 本例では腎機能障害を認めなかったが, エダラボンによる腎機能障害の機序を考えるには, 腎梗塞など, エダラボン投与という要因以外に明らかな腎障害の原因となりうる疾患を有する症例を除外した上での更なる検討が重要であると考えられる.
  • 西林 百佳, 竹川 英宏, 大門 康寿, 小川 知宏, 鈴木 圭輔, 中村 新, 星野 雄哉, 斎須 章浩, 平田 幸一
    2007 年 29 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    症例は55歳女性で, 片頭痛はあるが, 動脈硬化性疾患や心疾患はない. 突然激しい前頭部拍動痛と下肢優位の左片麻痺が出現し, 発症1時間で来院した. 頭部CTで出血はなく脳梗塞と診断し, tissue plasminogen activator (t-PA) の投与を考慮したが, 脳動脈解離を疑い保存的加療を行い軽快した. 頭部MRIでは右前大脳動脈領域に梗塞巣を認めたが, 頭蓋内血管に明らかな異常はなかった. 第15病日には右前大脳動脈A2 segmentに狭窄像と嚢状拡大があり, 脳動脈解離による脳梗塞と診断した. 脳動脈解離の画像所見は発症3カ月以内, 特に2週間以内に変化がみられることが多く, 脳動脈瘤形成によるくも膜下出血の合併により重篤な経過をたどる場合がある. したがって, 脳動脈解離では経時的に画像検査を施行する必要があり, t-PAの適応についても慎重に検討を行うことが重要と考えられる.
  • 小濱 みさき, 菅原 孝行, 関 博文, 小川 欣一, 遠藤 英彦, 樋口 紘
    2007 年 29 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    症状が階段状に進行した頭蓋内内頚動脈解離の1例を経験したので報告する. 症例は43歳女性である. 左片麻痺にて, 発症12時間後に来院した. pure motor paresisと, 頭部CT上右内包に小梗塞巣を認め, ラクナ梗塞と診断して抗血小板剤, 脳保護薬を開始した. 第3病日には右前頭葉領域に新たな梗塞巣が出現した. DSAにて右内頚動脈Carotid artery (以下C) 1-2の解離を認めたため, 抗凝固療法を開始した. 第11病日に意識レベルがJCS2に, 頭部CTでは中大脳動脈領域へ梗塞巣が拡大した. 第20病日の3D CTAにて右内頚動脈遠位部の閉塞が確認され, 第24病日に突然意識レベルがJCS100に低下し瞳孔不同を認め, 外減圧術を施行した. 第108病日のDSAにて右内頚動脈は再開通しており, 意識レベルJCS1, 左完全片麻痺にてリハビリ病院へ転院した.
    頭蓋内内頚動脈解離は稀であり, 治療法についても議論の余地があるところである. 文献的な考察を加え報告する.
班研究紹介シリーズ
  • 峰松 一夫, 上原 敏志, 安井 信之, 畑 隆志, 植田 敏浩, 岡田 靖, 豊田 章宏, 成冨 博章, 豊田 百合子, 長谷川 泰弘
    2007 年 29 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2007/01/25
    公開日: 2008/11/14
    ジャーナル フリー
    The significance of the stroke unit (SU) in Japan, where the medical system differs from those in Europe and the USA, remains unclear. We conducted a prospective multicenter study to clarify this issue. The study subjects consisted of 7614 consecutive patients with completed stroke, excluding subarachnoid hemorrhage, who were admitted to 117 hospitals in Japan within 72 hours of stroke onset from December 2004 to December 2005. We divided the hospitals into those with and those without an SU, and investigated whether or not the treatment in the SU could improve the patients' clinical outcome. In our preliminary analysis using data for the initial 4268 patients, logistic regression analysis demonstrated that the only significant and independent predictor of case fatality at 28 days and 3 months after onset was the NIHSS score on admission. Treatment in the SU, however, was significantly associated with a favorable outcome (mRS, 0-2) at 3 months after stroke onset as well as age, male gender, the pre-stroke mRS score, and the NIHSS score on admission. Assessments of swallowing functions and the application of an early rehabilitation program within the initial week were more frequently given in acute stroke patients at hospitals with an SU than at those without an SU. The present results indicate that the treatment in an SU may also improve the clinical outcome of patients at 3 months after stroke onset in Japan.
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