背景及び目的
頸部頸動脈狭窄症においては, 中等度狭窄病変による虚血性イベントの危険性は十分には解明されておらず, また, 頸動脈内膜剥離術 (CEA) の有効性も明らかではない. しかしながら, こうした病変の中には, 比較的厚いplaque volumeを有した病変も存在する. 今回われわれは, high-resolution MRIを用いてplaque volumeを定量的に算出し, 病理所見や背景因子と比較し, plaque volume測定の意義を検討した.
方法
2003年4月より2005年10月までの間で, 本疾患に対してCEAを施行した連続22症例22病変を対象とし, PDWIをもとにplaque volumeを定量的に算出した. そして, これらの結果と臨床データとの統計学的解析を行った.
結果
平均plaque volumeは, 無症候性8病変で1,154.0±666.2mm
3, 症候性14病変で983.9±349.4mm
3と有意に無症候性で高値を呈した (p=0.02). 無症候性病変の中には, plaque内出血を合併した病変が多く見られた.
結論
plaque volumeの増大には, 新生血管とplaque内出血が深く関与しており, それは動脈硬化進行度そのものを表しているものと考えられた. 本疾患においては, その狭窄度だけではなく, plaqueの性状, plaque volumeも考慮し治療へのアプローチを図る必要性がある.
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