脳卒中
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30 巻 , 1 号
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原著
  • 石川 達也, 湯浅 直樹, 大友 卓, 松田 博, 北川 泰久, 高木 繁治
    2008 年 30 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    オザグレルナトリウムは脳血栓症急性期(特に発症5日以内)の治療薬剤として広く用いられている.その投与開始時間と予後との関連についてはいくつかの報告があるが,stroke scaleを用いて検討した報告は十分でなく一定の見解が得られていない.我々は急性期脳梗塞患者のうちオザグレルナトリウムを投与した198例(ラクナ梗塞(LA)118例,アテローム血栓性脳梗塞(AT)80例)に対し投与開始時間を3群に分けそれぞれの時間にJapan Stroke Scale(JSS),NIH Stroke Scale(NIHSS),modified Rankin Scale(m-RS)を用いて機能評価を行い本剤の有効性に及ぼす影響について検討した.LAおよびATにおいてJSS 3.0以上の中等症例で発症6時間以内の投与例で改善が良好で,m-RSの検討ではLA, ATともに投与開始時間における重症度に関して一定の見解が得られなかった.以上の結果より,発症6時間以内のオザグレルナトリウムの早期投与はLA, ATいずれにおいても臨床症状の改善に役立つと思われた.
  • 福本 真也, 久門 良明, 伊賀瀬 圭二, 渡邉 英昭, 田川 雅彦, 大西 丘倫
    2008 年 30 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    CASとCEAの周術期および長期成績を明らかにするため,急性期手術,慢性期手術に分けて検討した.対象は1998年1月から2006年10月までに当院で頚部内頚動脈血行再建術を施行された連続103症例(CAS 52例,CEA 51例)とした.周術期成績:慢性期手術の成績は,CAS, CEAともに永続的神経障害2.1%,死亡例0例と良好であった.これに対し急性期手術の成績は,死亡例は0例であったが,永続的神経障害はCAS, CEAとも25%と高率であった.長期成績:脳梗塞発症は,急性期手術・慢性期手術ともにCASでは平均追跡期間3年,CEAでは平均追跡期間4年3カ月の間認めなかった.ADLを低下させた他疾患の発症は,慢性期手術ではCASで7.9%,CEAで19%であり,急性期手術ではCAS, CEAともに0%であった.CASは長期成績も良好であり,CEA high risk症例に対する治療として期待がかかる.
  • 阿美古 将, 井川 房夫, 大林 直彦, 光原 崇文, 野坂 亮, いな川 哲二
    2008 年 30 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    日本脳ドック学会による未破裂脳動脈瘤の手術適応は5 mm以上であるが,5 mm未満の破裂脳動脈瘤も少なからず経験する.我々は,5 mm未満の小型破裂脳動脈瘤の特徴について検討した.1999年4月から2004年3月までに当院に入院したくも膜下出血患者は252例あり,脳血管撮影(DSA)を行われた患者は201例であった.そのうち,DSA上動脈瘤の長径が5 mm未満であったものは64例(31.8%)であった.DSAを行った201例全体をA群,DSA上5 mm未満の群をB群として,年齢・性別・家族歴・高血圧の既往・動脈瘤の部位についてそれぞれ比較検討した.その結果,B群において40歳以下,男性,Acom/DACAで有意に小型破裂動脈瘤が多いことが示された.以上の結果および文献的考察から,特に本邦では動脈瘤は小型であっても破裂する危険性があり,小型の動脈瘤についてさらなる検討が必要であると思われた.
  • 戸島 雅彦, 憲 克彦, 金谷 潤子, 生駒 一憲
    2008 年 30 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:回復期リハビリ病棟の脳卒中116例に活動レベルの目標値と予定訓練期間を設定し,実際の最終評価値や入院期間との間に生じた誤差の要因を検討する.方法:入院後初回評価時(57.4±15.7病日)に協議によりFIM項目毎の目標値と予定入院期間を設定した.症例をFIM合計値の目標誤差(FIM目標値-最終評価値)及び期間誤差(入院期間-予定入院期間)から各2分割(目標A/B,期間I/II)して計4群(AI:39例,AII:32例,BI:22例,BII:23例)に分類し,群間で臨床評価値を比較した.結果:AII群は初回FIM, SIAS合計は低値ながら認知能力は保たれていた.BI群は初回評価で認知能力と体幹能力の低下を認めた.BII群は初回SIAS, FIM値が極めて小さかった.自宅復帰率はBIとBII群で有意に低かった.結論:到達目標値と予定入院期間のより正確な設定にはリハビリ効率の検討が必要であると考察した.
  • 松本 正人, 粕谷 泰道, 宗像 良二, 村松 広行, 市川 剛, 堀内 一臣, 佐藤 拓, 遠藤 雄司, 佐久間 潤, 鈴木 恭一, 佐々 ...
    2008 年 30 巻 1 号 p. 24-32
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれが開発した血流動態と血管の形態の情報が得られるd3D-CTA(dynamic 3D-CTA)が脳梗塞例に対して応用可能か否かについて検討した.ラクナ梗塞17例,心原性脳塞栓症14例,アテローム血栓性脳梗塞10例の計41例を対象とした.d3D-CTAは64列のmulti-detector row CT scannerを用い,造影剤を毎秒6 ml,合計30 mlをbolusで注入し,scan delay 5秒でダイナミックスキャンを30秒間行った.全例でd3D-CTAによって血管の閉塞あるいは狭窄の有無の診断に加えて三次元画像での血流動態とfunctional mapにより脳循環についての情報が得られた.d3D-CTAは撮像範囲に制限があることや放射線被曝の問題があるが,一回のスキャンで血管の形態異常の有無,血流動態さらに脳循環の情報が得られ,脳梗塞の診断,治療に応用できる可能性が示唆された.
  • 永沢 光, 横田 千晶, 峰松 一夫
    2008 年 30 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:脳卒中の臨床病型別にアディポネクチン(ADPN)濃度を比較検討する.方法:ADPNと脳卒中病型との関連を173症例で検討した.結果:ADPN濃度はアテローム血栓性脳梗塞(ABI)8.5±4.2,ラクナ梗塞(LI)7.8±3.4,心原性脳塞栓(CES)13.2±9.5,その他の脳梗塞(OTI)11.4±71,脳出血12.6±8.1 μg/mlであった(p=0.04).脳梗塞群と脳出血群ではADPN濃度に明らかな違いは認めなかった.脳梗塞例のうち血栓性脳梗塞群(ABI, LI)と非血栓性脳梗塞群(CES, OTI)では,前者で有意に低値であった(8.3±4.1 vs. 12.2±8.4 μg/ml;p=0.01).結論:低ADPN血症は,脳動脈硬化病変を起因とする血栓性脳梗塞と関連した.
  • 有本 裕彦, 高里 良男, 正岡 博幸, 早川 隆宣, 秋元 秀昭, 八ツ繁 寛, 東森 俊樹, 森川 健太郎, 菅原 貴志, 小町 裕志, ...
    2008 年 30 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    「目的」来院時の臨床症状や検査結果から脳幹出血患者の予後因子の検討を行った.「方法」過去5年間に当院に入院した脳幹出血70例(男51名,女19名,29∼93歳,平均59歳)の年齢,来院時臨床症状,来院後6時間以内の血糖値,白血球数,来院時CTでの血腫量,血腫の範囲,水頭症の合併,脳室内穿破の有無と予後を統計学的に解析し検討した.「結果及び結論」年齢では70歳以上の83%が死亡,70歳以下の55%が死亡し70歳以上で死亡率が増加する傾向を認めたが有意な相関はなかった(P=0.07).臨床症状では来院時に四肢麻痺か除脳硬直肢位(P<0.01),対光反射消失例(P<0.05)が有意に予後不良であった.来院時血糖値は200 mg/dl以上の症例(P<0.05),白血球数は10,000 /mm2以上(P<0.01)で予後と相関が認められた.またCT所見では血腫量が6 ml以上の血腫で最も強く予後に相関が見られた(P<0.001).血腫範囲では中心型血腫や中脳・視床,延髄に進展のみられる例(P<0.05),水頭症合併例,脳室内穿破合併例に予後と相関が認められた(P<0.01).
  • 緒方 利安, 矢坂 正弘, 湧川 佳幸, 井林 雪郎, 岡田 靖
    2008 年 30 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】入院時高血糖は急性期脳梗塞の神経症状増悪関連因子として注目されている。今回、高血糖を呈する軽症脳梗塞患者におけるエダラボンの退院時転帰へ及ぼす影響を明らかにする目的で、単変量及び多変量解析で検討した。【方法】対象は2002年1月から2005年9月までに当院に発症7日以内に入院した虚血性脳血管障害連続872例中、入院時のNational Institute of Health and Stroke Scale(NIHSS)スコアが1以上、かつ4以下の患者425例の中で入院時高血糖(≥200 mg/dl)を呈した32例である。退院時転帰がmodified Rankin Scale(mRS)で0または1であることと背景因子や治療との関連性を調べ、単変量でp<0.10を独立変数、mRSが0または1であることを従属変数としてLogistic regression analysisで解析した。【結果】単変量解析では入院時NIHSSと退院時mRSに負の相関関係がみられ(p=0.036)、エダラボン投与群(93%)が非投与群(64.7%)よりmRS0∼1の占める割合が高い傾向を示した(p=0.051)。また、入院時クレアチニン値が異常値(男性で1.2 mg/dl以上、女性で0.8 mg/dl以上)を示した群(40%)がクレアチニン値正常の群(85.2%)よりも退院時mRS0∼1であった症例の割合が少なかった(p=0.023)。単変量解析で有意だったNIHSSスコア、エダラボンの使用、血清クレアチニン値の異常を独立変数、退院時mRSが0∼1であることを従属変数としたlogisteric regression analysisでは、NIHSSスコアが低値であることとともに、エダラボンを使用していることが予後良好と有意に関連していた(p=0.046)。【結論】エダラボンは、発症時に高血糖を呈している、軽症の急性虚血性脳血管障害の予後を改善させる可能性がある。
  • 山田 浩史, 加藤 文太, 高石 智, 平山 俊和, 長谷川 泰弘
    2008 年 30 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    穿通枝領域梗塞急性期における進行増悪の予測因子を検討した.対象は発症3日以内の非心原性で主幹動脈病変を伴わない穿通枝梗塞61例である.入院後2日以内にNIHSS 2点以上の増悪があったものを進行群とし,臨床評価項目と進行の有無との関連を検討した.安定群45例,進行群16例で,進行群では脂質代謝異常を有する例,病巣の長径が15 mm以上の例が多く,入院時D-dimerが有意に高値であった.ロジスティック回帰分析では,病巣サイズ(15 mm以上)とD-dimerが進行の有無と有意な関連を認めた.病巣サイズとD-dimerは,穿通枝領域梗塞における進行性脳卒中の予測因子であることが示唆された.
症例報告
  • 若林 和樹, 黒崎 みのり, 甲賀 英明, 田村 勝
    2008 年 30 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    遺残環椎前分節動脈(PPPIA)は胎生期遺残動脈の1つであるが発生頻度が低いものと推定されている。今回我々はPPPIA1型に合併したperimesencephalic nonaneurysmal subarachnoid hemorrhage(PSH)の1例を経験した。症例は61歳男性で突然の頭痛、嘔吐で発症した。頭部CTにて脳幹周囲脳槽に強いくも膜下出血を認め、発症当日の脳血管撮影にて明らかな出血源を認めなかった。第4,14病日に脳血管撮影を再検したが出血源は同定されなかった。その後再出血なく、現在経過観察中である。一般にPSHの予後は良好とされるが、遺残動脈には脳動脈瘤合併の割合が高いとされ、また遅発性に脳動脈瘤新生の報告1)もあるため今後も注意が必要である。
  • 田中 章浩, 永金 義成, 細見 明子, 栗山 長門, 徳田 隆彦, 中川 正法
    2008 年 30 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    症例は74歳、女性。左後頚部痛を伴う左上下肢麻痺の発症後1時間17分で来院した。虚血性脳血管障害を疑い、アルテプラーゼ静注療法を検討したが、麻痺が急速に改善したため適応外と判断した。第2病日にかけて麻痺はさらに改善したが、左ホルネル症候群が明らかとなり、脊髄MRIで脊髄硬膜外血腫と診断した。突然発症する顔面を含まない片麻痺症例では、脊髄硬膜外血腫などの頚髄病変を鑑別すべきであり、本症例では同側のホルネル症候群が重要な所見であった。
  • 大森 信彦, 竹内 一裕, 高橋 雅也, 竹久 紫乃, 株丹 浩二, 田中 智貴, 奈良井 恒, 真邊 泰宏
    2008 年 30 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    ごくまれな脊椎手術周術期合併症に硬膜外血腫などが報告されているが、テント上の出血例は極めて少ない。今回、われわれは、術直後にテント上にくも膜下出血をきたし、症候性てんかんによる意識障害を呈した2症例を経験したので報告する。
    症例1は80歳の男性。腰椎脊柱管狭窄症による歩行障害のため、当院整形外科入院。腹臥位にて、L3/4,4/5の椎体間固定術を施行された。閉創直後に誘因なく血圧低下。直ちに補液と昇圧剤の投与により正常に復し、リカバリー室入室後抜管した。その直後、全身強直性痙攣が出現し、両眼上転、開眼したまま瞬きせずJCS300の状態となった。頭部CTにて、テント上にくも膜下出血および硬膜下血腫を認めた。症候性てんかんとして加療し、約24時間後に清明となった。症例2は83歳の男性。化膿性脊椎炎にてL4/5の病巣掻爬および腰椎後方侵入椎体間固定術施行。術直後、意識レベルの改善不良のため、頭部CT施行。テント上にごく軽度のくも膜下出血を認めた。症候性てんかんとして加療し、12時間以内に清明となった。両症例ともに明らかな硬膜損傷は認めていないが、低髄液圧症候群を誘因としたテント上頭蓋内出血により症候性てんかんを発症したと推測され、脊椎手術の周術期合併症として念頭に置くべき病態と考えられた。
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