背景と目的:Branch Atheromatous Disease(BAD)は進行しやすく,予後も悪いことが多いが,関連する因子は詳細に検討されていない.そこでBADの進行と予後に関連する因子を明らかにするため,テント上(s-BAD)とテント下(i-BAD)に分類して比較検討した.
対象と方法:発症48時間以内に頭部MRI拡散強調画像を施行しBADと考えられた110例(s-BAD 74例,i-BAD 36例)で,入院後48時間以内にNIHSSが2点以上悪化を進行例,退院時modified Rankin Scale(mRS)>2を予後不良例とした.
結果:進行例はs-BAD 17例(23.0%),i-BAD 15例(41.7%)で予後不良例はs-BAD 32例(43.2%),i-BAD 13例(36.1%)であった.多変量解析で進行と有意に関連した因子はs-BADでは年齢(OR 1.09,95%CI 1.00∼1.18,p<0.05),i-BADでは糖尿病(OR 7.34,95%CI 1.08∼49.57,p<0.05)であった.予後不良の有意な関連因子はs-BADでは年齢(OR 1.11,95%CI 1.01∼1.22,p<0.05),入院時NIHSS(OR 2.01,95%CI 1.22∼3.29,p<0.01),i-BADでは年齢(OR 1.15,95%CI 1.02∼1.30,p<0.05)であった.
結論:BADの進行と予後に関連する因子はテント上下で差異を認め,血管系により病態が異なる可能性もあり,今後さらなる検討が必要である.
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