脳卒中
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30 巻 , 4 号
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原著
  • 熊谷 智昭, 三品 雅洋, 武井 健吉, 松本 尚, 小南 修史, 福地 孝明, 水成 隆之, 益子 邦洋, 小林 士郎, 片山 泰朗, 赫 ...
    2008 年 30 巻 4 号 p. 545-550
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    千葉県における2001年10月27日から2007年6月30日までの脳卒中患者のヘリコプター搬送を調査した.全搬送3,303例のうち日本医科大学千葉北総病院脳神経センターに入院した患者は338例,救急要請から当院到着までの時間は平均28.4±6.8分で,脳血管障害が65.4%,頭部外傷が29.0%,その他が5.6%であった.脳血管障害の内訳は,脳内出血が34.8%,くも膜下出血が24.0%,心原性脳塞栓が20.8%,アテローム血栓性脳梗塞が13.6%,ラクナ梗塞が3.2%,その他の脳梗塞が2.7%,一過性脳虚血発作が0.9%であった.脳梗塞90例中3例においてアルテプラーゼ経静脈投与による血栓溶解療法が行われたが,いずれも初診時重症で溶解しなかった.脳卒中急性期治療を地域差なく行うためにヘリコプター搬送は有効であったが,血栓溶解療法適応例では,より軽症での搬送も考慮されるべきかもしれない.
  • 田邑 愛子, 山本 康正, 大原 亮, 濱中 正嗣, 尾原 知行
    2008 年 30 巻 4 号 p. 551-556
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    中大脳動脈(MCA:middle cerebral artery)皮質枝よりの髄質動脈,レンズ核線条体動脈,MCA insular segmentより分枝した穿通枝の間に境界領域が存在し,この境界領域梗塞はDeep cerebral infarcts extending to the subinsular region(DCIs)として報告されている.今回,MCA閉塞に伴うDCIsの2症例を経験した.症例1は75歳男性.右片麻痺,右顔面神経麻痺,構音障害,hypophoniaを認めた.拡散強調画像にて傍側脳室部を上限として島葉皮質下に沿ってDCIsを認めた.症例2は101歳女性.傾眠,左片麻痺,左顔面神経麻痺,構音障害で発症した.拡散強調画像でDCIsが認められた.島葉皮質下に境界領域が存在することを認識することは,脳虚血病態を理解する上で重要であると考えられる.
  • 中瀬 泰然, 小倉 直子, 前田 哲也, 山崎 貴史, 亀田 知明, 佐藤 雄一, 長田 乾
    2008 年 30 巻 4 号 p. 557-561
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    目的:視床梗塞において臨床症状と血管支配を含めた解剖学的構築との関連については様々な報告がある.本研究では急性期両側視床梗塞を呈した連続症例を検討し,臨床像および予後規定因子について解析した.
    方法:2001年4月∼2005年3月に入院した脳梗塞症例のうち,入院時MRIおよびMRAにて病巣と血管病変を同定し得た両側視床梗塞9例を対象とした.予後は退院時mRSにて判定した.
    結果:予後良好例(mRS 0∼2)5例,不良例(mRS 4以上)4例であった.予後良好例で記銘力低下,失見当識,過眠傾向などの精神症状が認められ,予後不良例では四肢麻痺,動眼神経麻痺,球麻痺が認められた.予後不良例の特徴として,脳幹・小脳梗塞の合併,発症時高齢(72.0±15.3歳vs 58.2±11.9歳)と,脳底動脈閉塞が観察された.
    結論:高齢発症,脳底動脈閉塞の有無が予後規定因子となりうることが示唆された.
  • 植松 大輔
    2008 年 30 巻 4 号 p. 562-569
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    背景および目的:動脈硬化の高リスク患者の脳虚血病変をスクリーニングする簡便法があれば有用である.本研究では動脈硬化指数(AI)を年齢・危険因子数で補正した新しい動脈硬化指数(RAI)を用いて頸動脈病変や脳梗塞の既往に対する寄与度を検討した.
    方法:高コレステロール血症患者56例を対象にRAIを求め,頸動脈病変の有無,脳梗塞の有無および病型に対するRAIの寄与度を検討した.
    結果:頸動脈病変や脳梗塞の有無によってAIには差は認められなかったが,RAIは病変や脳梗塞があると増加した.RAIの頸動脈病変の有無に関する寄与度(オッズ比)は有意に大きく.脳梗塞の有無に関しては有意傾向が認められた.アトルバスタチン投与により,血清コレステロール値およびRAIは有意に低下したが,さらに積極的な危険因子の管理が必要であると考えられた.
    結論:AIを年齢・危険因子数で補正したRAIは,脳虚血病変のリスクスクリーニングのための関連因子として有用である可能性が示唆された.
  • 今井 啓輔, 濱中 正嗣, 牧野 雅弘, 竹上 徹郎, 武澤 秀理, 巨島 文子, 小田 健一郎, 丸山 大輔, 梅澤 邦彦, 濱崎 公順
    2008 年 30 巻 4 号 p. 570-576
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    【背景及び目的】rt-PA静注(IVtPA)禁忌例・重症例に対する緊急脳血管内血行再建術(ENER)の有用性を検討した.【方法】脳梗塞連続301例中,ENER(ENER群)とIVtPA(IVtPA群)を施行した例にて,治療前NIHSSスコア中央値(B-NIH),直後の再開通例(RE),24時間後のNIHSSスコア改善例(G-24NIH),症候性頭蓋内出血例(sICH),3カ月後のmRS良好例(G-3mRS)を比較した.【結果】ENER群(11例)とIVtPA群(13例)にて,B-NIHは20点,16点(p<0.05),REは9例と5例であった(p<0.05).G-24NIHは7例,5例,sICHは0例,1例,G-3mRSは4例,6例であり,各項目で有意差はなかった.【結論】IVtPA禁忌例・重症例に対するENERは,少数例ではIVtPAと同程度に有用であり,今後,多数例での検討が必要である.
症例報告
  • 中嶋 匡, 西村 裕之, 西原 賢太郎, 浮田 透, 辻 雅夫, 三宅 裕治, 大村 武久, 立花 久大
    2008 年 30 巻 4 号 p. 577-582
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性.2006年11月21日右手の動かしにくさを自覚し,以後徐々に症状増悪した.11月23日には構音障害と運動性失語が出現した.11月24日右上肢のけいれん後右片麻痺が出現し当院へ入院した.入院時,意識障害,全失語,軽度右片麻痺を認めた.入院当日の頭部MRIは,拡散強調画像およびFLAIR画像で左前頭葉皮質にリボン状に高信号を認めた.緩徐進行性の経過から,seizureを伴った血栓性脳梗塞と診断し,抗てんかん薬投与と抗血小板療法を行った.入院後物品呼称や名前を言うことが可能となり,右下肢麻痺は消失した.右上肢麻痺も徐々に改善し,失語症と共に26日には消失した.以上より本例をfocal inhibitory seizureと診断した.本症は従来考えられていたよりも稀な病態でなく,抗てんかん薬で治療可能であることから,脳梗塞との鑑別上留意すべき病態であると考えられた.
  • 安田 高志, 高橋 若生, 瀧澤 俊也, 藤邑 尚史, 高木 繁治
    2008 年 30 巻 4 号 p. 583-588
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    患者は61歳男性.高血圧の既往あり.2006年7月中旬構音障害が出現し,脳梗塞の診断にて当院に入院した.MRangiography(MRA)では,左内頸動脈に壁の不整が認められたため,artery-to-artery embolismを疑い,抗血小板薬の点滴を行った.入院7日後,下肢動脈塞栓症を来たし,シネMRIにて大動脈を精査したところ,塞栓源と思われる大動脈弓部の可動性血栓が確認された.いわゆる大動脈原性塞栓症の診断において,シネMRIも有用な選択肢となる可能性が示唆された.
  • 別宮 豪一, 大江 洋史, 山寺 みさき, 三原 雅史, 高橋 正紀, 山本 洋一, 永野 恵子, 坂口 学, 北川 一夫, 佐古田 三郎
    2008 年 30 巻 4 号 p. 589-592
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性.30歳頃から打撲や捻挫した部位に限局した一過性の浮腫や,顔面全体の腫脹が出現するエピソードがあった.47歳時に兄や父とともにC1-inhibitorの活性低下を指摘され,遺伝性血管神経性浮腫と診断された.2002年6月某日(62歳時)に運動性失語および右上肢の脱力が出現.頭部MRIにて左放線冠および左頭頂葉皮質下に梗塞巣を認めた.経食道心エコーにて卵円孔開存を認め,また経過中に肺塞栓症および下肢深部静脈血栓症の合併を認めたため,奇異性脳塞栓症と考えられた.遺伝性血管神経性浮腫患者では,C1-inhibitor活性が低下しており,その結果線溶系が抑制されるため,塞栓症発症のリスクが高くなる可能性があり注意が必要と考えられる.
  • 長谷川 祐三, 早坂 典洋, 樋口 佳則, 海老原 幸一, 藤川 厚, 堀口 健太郎, 田宮 亜堂, 小林 英一, 遠藤 真美子, 木下 香 ...
    2008 年 30 巻 4 号 p. 593-599
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    高安大動脈炎は大動脈と第1次分枝の原因不明な非特異的炎症性疾患で8∼35%に脳卒中を合併する.また小児の脳卒中も10万人に2.7人の頻度で日常経験することは少ない.
    今回我々は高安大動脈炎で脳動脈炎を伴い,脳卒中をきたした小児例を経験したので報告する.症例は3歳男児.全身痙攣にて発症し,頭部CTで左側頭葉脳内出血・くも膜下出血を認め,脳血管撮影では左半球の複数脳動脈の壁不整を認めた.胸腹部3DCTAで大動脈弓と第1次分枝及び胸部大動脈の拡張・壁肥厚,腎動脈狭窄を認め,高安大動脈炎に伴う脳動脈炎・出血性脳梗塞と診断した.脳梗塞は保存的に治療.高安大動脈炎はプレドニゾロンとメソトレキセート投与により改善し,ほぼ神経学的欠落症状なく退院した.
    高安大動脈炎に伴う脳動脈炎は非常に稀であるが,小児脳卒中の鑑別診断の1つとして考慮すべき疾患と考えられた.早期診断・早期治療により良好な経過が得られた.
  • 横須賀 公彦, 平野 一宏, 関原 嘉信, 石井 則宏, 鈴木 康夫, 石井 鐐二, 西村 広健
    2008 年 30 巻 4 号 p. 600-603
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    内視鏡下血腫除去術で良好な経過をとった慢性被膜化脳内血腫(CEIH)を経験したので報告する.症例は60歳女性,意識障害と右片麻痺で発症した.左被殻出血と診断し,保存的治療を行ったが,発症18日目に意識障害が進行し,血腫の増大がみられた.脳血管撮影では明らかな異常所見なく,21日目に内視鏡下血腫除去術を施行した.亜急性期の血腫がみられ,被膜は肉芽組織であった.術後,意識障害は改善した.CEIHの発症原因は不詳であるが,治療は形成過程に被膜が関与している可能性があり,また,海綿状血管腫の合併例もあることから,開頭による被膜を含めた摘出術が行われている.本症例の如く,脳血管撮影で明らかな血管奇形がなく,新たな出血を繰り返す症例でなければ,内視鏡下血腫除去術はCEIHに対して低侵襲で,有効な治療法であると考えられた.
短報
  • 西郊 靖子, 加藤 理恵, 小山 主夫, 出井 ふみ, 高橋 希和, 若林 秀隆, 佐鹿 博信
    2008 年 30 巻 4 号 p. 604-609
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/08
    ジャーナル フリー
    【目的】延髄外側症候群患者における摂食・嚥下リハビリテーションが,脳卒中急性期のリスクとなる再発/進行や誤嚥性肺炎に対してどのような影響を及ぼすか検討した.【対象と方法】延髄外側症候群の連続症例を対象として,2004年9月の摂食・嚥下リハビリテーション立ち上げ以前の2年間の10例(未介入群)と立ち上げ後2年間の10例(介入群)をそれぞれの年齢,入院期間,絶食期間,リスク(再発/進行率・誤嚥性肺炎発生率)及び転帰を比較検討した.【結果】未介入群は平均年齢64歳(男9例,女1例;梗塞8例,出血2例)であった.介入群は平均年齢60歳(男8例,女2;梗塞10例)であった.発症から経口摂食(直接訓練)開始までの期間は,未介入群10.9日に対して介入群2.3日(p=0.005)であった.嚥下造影は介入群9例に施行した.転帰では自宅退院が未介入群4例,介入群6例で,機能ゴールでは,歩行自律が両群とも7例であり有意差を認めなかった.未介入は転院が多かった.退院時の食事形態(藤島の嚥下食1))は未介入群で嚥下III 3例・移行食5例・普通食2例で,介入群は移行食3例・刻み粥食2例,普通食4例と回復がやや早かった.退院時フォロー時の最終摂食能力は普通食が両群とも7例で有意差がなかった.誤嚥性肺炎は未介入群6例,介入群3例であり有意差(p=0.04)を認めた.脳卒中の再発/進行は,6例(両群ともに3例)で,発症3∼8日目に座位開始などの安静を変更した時に再発/進行していた(p>0.05).【考察】最終的摂食・嚥下機能には有意差がないが,発症2日目より摂食・嚥下リハビリテーションが関わることで,誤嚥性肺炎予防と早期機能回復を促していると考えられた.また摂食・嚥下リハビリテーションを早期に開始することは,脳卒中の再発/進行リスクにならないと考えられた.
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