脳卒中
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32 巻 , 2 号
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原著
  • 中嶋 浩二, 糸川 博, 西川 英輔, 大石 敦宣, 加藤 晶人, 岡本 紀善, 鈴木 龍太
    2010 年 32 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    【背景および目的】バルーン閉塞試験を行う前に,ウィリス動脈輪における前交通動脈を介した側副血行の程度を予測するための方法として,頸動脈超音波検査と用手的頸動脈圧迫法(以下,Matas test)を組み合わせて側副血行路の程度を評価した.【方法】対象は,45症例(脳血管撮影34例,心臓カテーテル検査11例)である.まず,Matas test下に頸動脈撮影を行い,画像所見からcross-fillingを3つのgradeに分類した.さらに,一側の内頸動脈において,頸動脈超音波検査を行い,Matas test前とMatas test施行中の流速を測定し,その変化率について,頸動脈撮影におけるcross-fillingのgradeと対比させた.【結果】良好なcross-fillingを認めるgrade 3の群では,Matas test下で内頸動脈の流速が,その他の群と比較して有意に上昇していた.【結論】Matas test下での頸動脈超音波検査を行い,対側の頸部内頸動脈において,収縮期最大流速の上昇率を評価することは,前交通動脈を介した側副血行を評価する方法として有用である.
  • 姉川 敬裕, 矢坂 正弘, 中村 麻子, 湧川 佳幸, 齊藤 正樹, 岡田 靖
    2010 年 32 巻 2 号 p. 129-132
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    非弁膜性心房細動(NVAF)ではCHADS2スコアが脳梗塞発症率と関連することが知られている.しかし,CHADS2スコアと脳梗塞重症度の関連性はこれまで研究されていない.そこで,NVAFに伴う脳梗塞の重症度や転帰をCHADS2スコアと対比研究した.対象はNVAFを伴う急性脳梗塞236例で,CHADS2スコア0が10.6%,1が22.9%,2が21.6%,3が17.8%,4が22.9%,5以上が4.2% であった.入院時のNIH Stroke Scale score(NIHSSスコア)は4以下,5から22,および23以上がそれぞれ,41.1%,54.7%,および4.2% を占め,CHADS2スコア間でのNIHSSスコアの差異は見られなかった.退院時のmodified Rankin Scale(mRS)は1以下,2から3,および4以上がそれぞれ,33.5%,25.0%,および41.5% で,CHADS2スコア毎の差異はなかった.NVAFに伴う脳梗塞においてCHADS2スコアは脳梗塞の重症度や転帰に関係しない.
  • 齋藤 司, 相澤 仁志, 澤田 潤, 油川 陽子, 片山 隆行, 長谷部 直幸, 林 恵充, 安栄 良悟, 佐藤 正夫, 程塚 明
    2010 年 32 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】小脳梗塞の臨床的特徴を検討し,初期診療上の問題点を明らかにする.【方法】2006年1月1日から2008年12月31日までの3年間に,旭川医大病院Stroke teamが診療した脳卒中患者514例のうちの小脳梗塞患者22例(4.3%)を対象とした.【結果】典型的な小脳症状を全く呈さない症例,あるいは一つのみ呈する症例が8例(36.4%)見られた.3例が救急車を利用し発症後3時間以内に受診したにもかかわらず,当初小脳梗塞と診断されず神経内科や脳神経外科以外の病棟に入院した.その3例はいずれもめまいを主訴とし,構音障害と歩行障害が見られなかった.その他2例を合わせ全体の22.7% にあたる5例が,Stroke teamによる初期の診察を受けておらず,それが当初小脳梗塞と診断されなかった要因の一つと考えられた.【結論】めまいや嘔吐を主訴とする場合は,常に小脳梗塞である可能性を考慮する必要がある.Stroke teamによる早期の正確な神経学的診察が重要である.
  • 和田 陽介, 園田 茂, 永井 将太, 國分 実伸, 奥山 夕子, 川北 美奈子, 寺西 利生, 近藤 和泉
    2010 年 32 巻 2 号 p. 138-145
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    【目的】脳卒中患者における回復期リハビリテーション内容の違いが退院後のADLに与える影響を明らかにすることである.【方法】FIT programを受けた脳卒中患者81名(FIT群)と従来型の訓練を受けた脳卒中患者49名(Pre-FIT群)を対象に退院18カ月後のADLを調査した.当院入院時と退院時にFIMを記録し退院18カ月後はFIM質問紙(Flow-FIM)を用いて郵送調査した.【結果】FIM運動項目合計点(FIM-M)はPre-FIT群が入院時50.5点,退院時68.7点,退院18カ月後64.0点でFIT群が入院時52.8点,退院時75.6点,退院18カ月後71.8点であり退院時と退院18カ月後はFIT群が有意に高かった(p‹0.05).退院18カ月後のFIM-M各項目における6点と7点の全体人数に占める割合は,13項目全てでFIT群がPre-FIT群よりも高い割合を示した.【結論】FIT programの効果は退院18カ月後まで残存していたため,退院時のADLを高くすることは,維持期のADLに寄与する.
  • 中戸川 裕一, 山崎 友裕, 太田 仲郎, 道傳 整, 山添 知宏, 渡邊 水樹, 稲永 親憲, 山本 貴道, 堺 常雄, 田中 篤太郎
    2010 年 32 巻 2 号 p. 146-150
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    【背景及び目的】くも膜下出血(SAH)後の遅発性脳血管攣縮(VS)治療に対して,エイコサペンタエン酸(EPA)の投与量を通常の1,800mgと4,400–5,700mgに増量した時で脳血管撮影上VSの有無と退院時modified Rankin Scale(mRS)について検討した.【方法】症例は,当院で急性期外科手術施行したSAH症例連続87症例であり,術後のVS予防に,EPA量を変化させて投与した.【結果】EPAを増量すると統計学的有意差をもって脳血管撮影上VSの発生率は低く,退院時mRSを0とそれ以外に分けても有意差をもってmRSが0の割合が高かった.【結論】EPAは破裂脳動脈瘤術後のVSに対して有効と思われ,その効果は用量依存性である可能性が示唆された.
症例報告
  • 田中 弘二, 松本 省二, 小早川 優子, 田中 公裕, 川尻 真和, 山田 猛, 松本 俊一
    2010 年 32 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    遺残原始舌下動脈(persistent primitive hypoglossal artery:PPHA)を伴い,脳底動脈への心原性塞栓によりtop of the basilar syndromeを来した1例を報告した.症例は94歳,女性.意識障害のため最終未発症時刻から15時間後,当院へ救急搬送された.来院時,深昏睡で自発運動はなく,眼球は正中固定し対光反射は消失,NIHSSは40点と評価した.心電図モニターにて心房細動を認めた.頭部MRIにて両側視床,大脳脚を含む中脳に新鮮梗塞を認めた.MRAにて右内頸動脈より分岐するPPHAから起始する脳底動脈が末端で閉塞している所見を認めた.PPHAを伴う症例においては椎骨動脈,後交通動脈などの後方循環の発達が悪く,症状が重篤化しやすいと考えられる.
  • 西村 裕之, 中嶋 匡, 浮田 透, 辻 雅夫, 三宅 裕治, 大村 武久, 立花 久大
    2010 年 32 巻 2 号 p. 156-162
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.200X年某日午前11時半頃テニスの休憩中にベンチで崩れるように倒れ意識を失い,12時10分当院に救急搬送され入院した.入院時JCS I-1,構音障害,左半側空間無視,病態失認を認めた.右への共同偏視,左同名性半盲,左中枢性顔面神経麻痺を認めた.深部腱反射は左上下肢にて亢進し,Chaddock,Babinski反射陽性であった.左片麻痺(上肢0/5,下肢1/5),左側表在感覚鈍麻を認めた.頭部CTでは島皮質に淡い低吸収域を認め,ASPECTS 6点であったが,家族の希望があったためtPA投与を行った(発症後100分で開始).投与30分後に左下肢筋力は1–2/5になった.入院日に行った心エコーで左房粘液腫と診断し,後日他院にて腫瘍が摘出され病理学的に確認された.これまで左房粘液腫による脳梗塞に対しtPA治療を行った症例は少数であるため,文献的考察を加え報告した.
  • 前川 秀継, 波出石 弘, 田中美 千裕
    2010 年 32 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    未破裂内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤が動眼神経に窓形成を来した稀な1例を報告する.症例は71歳,女性.めまいの精査中に左内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤を指摘され当科紹介された.術前に動眼神経麻痺の症状,所見はみられなかった.脳動脈瘤頚部クリッピング術を行ったところ,動脈瘤は動眼神経を貫通し動眼神経に窓形成を来していた.動脈瘤を動眼神経より剥離しクリッピングを行った.術後も動眼神経麻痺はみられなかった.術前に動脈瘤と動眼神経の関係を想起することは困難であったが,動脈瘤と動眼神経の剥離が必要な場合でも慎重に操作を行い動眼神経を温存すれば永続的な動眼神経麻痺を防ぐことができると考えられた.
  • 清水 高弘, 高田 達郎, 下出 淳子, 伊佐早 健司, 櫻井 謙三, 平山 俊和, 長谷川 泰弘
    2010 年 32 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.追突事故による頸椎捻挫を受傷.2カ月後,突然の右下肢脱力を主訴に入院した.軽度右片麻痺あり,CT angiographyにて左内頸動脈(ICA)錐体部の高度狭窄を認めた.入院後,麻痺が進行し,新たに失語も出現した.MRIでは左ICA領域に散在性脳梗塞を認め,SPECTにて左ICA領域の広範な脳血流低下を確認した.第4病日実施の脳血管撮影で狭窄の進行および血栓形成を認め,外傷性ICA解離と診断した.同血管病変にもとづく血行力学性および塞栓性機序による脳梗塞と考え, 補液量の増加及びアルガトロバン持続投与と抗血小板薬内服による抗血栓療法の強化を図った.その後は症状の増悪なく,独歩退院となった.受傷当初,わずかな頸椎捻挫様症状を呈する交通外傷患者であっても,数カ月を経て頭蓋外頸動脈解離に伴う脳梗塞を発症することがあり,慎重な経過観察が望まれる.
  • 山本 良央, 小山 主夫, 黒川 隆史, 黒岩 義之
    2010 年 32 巻 2 号 p. 174-178
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は30歳,男性.特記すべき既往歴や家族歴はない.某日夜から朝にかけて大量に飲酒,仮眠を取った後,頭痛および左口唇周囲のしびれ感を自覚,左片麻痺を発症した.頭部MRIにて右中脳腹側に脳梗塞を認め脳幹梗塞と診断した.MRAでは特記すべき異常を認めなかった.脳梗塞の原因検索を行ったが,血管炎,凝固異常,心原性塞栓や奇異性塞栓を示唆する所見はなかった.脳血管撮影で,右椎骨動脈に窓形成を認め,脳梗塞の原因は窓形成部からの塞栓症と考えた.窓形成による脳梗塞の報告は少ないが,原因の特定できない脳梗塞では脳血管撮影まで含めた精査が必要なことが示唆された.
  • 柴田 憲一, 山下 泰治, 長野 祐久, 由村 健夫
    2010 年 32 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,男性で,頭痛,嘔吐を主訴に救急搬送された.性転換術による精巣摘出の既往があり,来院1カ月前から女性化目的に経口避妊薬を内服していた.来院時の神経学的所見では,軽度の意識障害のみで局所徴候はなかった.血液検査では凝固系の亢進があり,頭部CTでは直静脈洞,上矢状静脈洞,左横静脈洞に高吸収域を認めた.MRVでは左横静脈洞の信号消失と右横静脈洞の信号低下があり,脳静脈洞血栓症と診断した.抗凝固療法を開始し,経過中に出血性梗塞を来したものの,再開通を得た.静脈血栓症の原因として経口避妊薬は知られているが,今回はさらにアンドロゲン低下による線維素溶解能の低下が素地にあったものと考えられた.
  • 石川 達也, 鰐渕 博, 阿部 圭市, 岡田 芳和
    2010 年 32 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    真の後交通動脈瘤は比較的稀とされている.今回我々は,前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血(SAH)で発症し,術前検査にて後交通動脈に未破裂動脈瘤の存在を確認したが,多発性であることは判定困難であった1例を経験した.症例は83歳,女性.突然の頭痛にて発症した.angiography及び3-dimensional computed tomography angiography(3DCTA)にて前交通動脈及び右後交通動脈に動脈瘤を認め,クリッピング術を施行した.術中所見では,右後交通動脈に,画像所見と合致する4mmの動脈瘤と,それとは別に2mmの小さな嚢状動脈瘤を認めた.4mmの動脈瘤はpremammillary arteryとの分岐部に,2mmのものは非分岐部に存在しており,ともにクリッピング可能であった.多発動脈瘤例では,今回報告したような小型動脈瘤が存在する可能性があることも念頭に置き,詳細な術前診断,術中検索を行う必要がある.
  • 村山 浩通, 松尾 成吾, 西村 尚志, 新村 核, 善本 晴子, 刀川 優一, 堀 智勝, 岡田 麻美, 鈴木 真治, 小幡 茂人
    2010 年 32 巻 2 号 p. 190-196
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は68歳と64歳の男性,対側側頭葉病変の既往があり,高血圧性脳出血で救急搬送された.当初,感覚性失語と思われたが,ABR波形は正常パターンで皮質聾と考えられた.皮質聾,聴覚失認は内側膝状体,聴放線,Heschl横回(Heschl’s transverse gyrus)の両側障害で起こり,患者はあたかも聾者のようにふるまったり,一見,失語と紛らわしいことがある.通常,側頭葉病変の既往に対側大脳の障害が加わったことで発症すると言われるが,臨床上,遭遇することは稀でありこのような既往を有する場合は注意すべきと考える.
  • 中川 敬夫, 橋本 智哉, 佐久間 敬宏, 井戸 一憲, 菊田 健一郎
    2010 年 32 巻 2 号 p. 197-202
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は,27歳(症例1)および39歳(症例2)の男性で,ともに突然のめまい,悪心・嘔吐で発症した.頭部CTにて小脳出血を認め,頭部MRIの所見と併せ,海綿状血管腫を疑った.2症例とも症状が速やかに消失したため,保存的に経過観察したが,症例1は約2カ月後に,症例2は8日後に再出血を来した.摘出術を施行し,ともに神経症状を残すことなく社会復帰した.病理所見にて海綿状血管腫と診断した.出血性小脳海綿状血管腫の再出血率はいまだ不明であるが,天幕下海綿状血管腫のうち,脳幹や脳神経に局在するものと比べると,摘出術による後遺症を引き起こす危険性は小さく,摘出術が治療として推奨される.
  • 宗田 高穂, 高垣 匡寿, 山田 公人, 出原 誠, 寺本 佳史, 森内 秀祐, 伊藤 守
    2010 年 32 巻 2 号 p. 203-206
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2010/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性である.既往歴として左前頭葉の脳梗塞があり,軽度の超皮質性運動性失語を残していた.当時の頭部MRAにより,右前下小脳動脈は右椎骨動脈から分岐していることが指摘されていた.2009年9月構音障害の増悪と左半身の感覚障害を訴え救急受診した.来院時は左方への眼球共同偏倚が認められたが,入院後に核間性眼筋麻痺へと移行した.来院時の頭部MRAで右椎骨動脈の閉塞が認められ,入院後の頭部MRIで延髄上部から橋下部の右正中背側に高信号域の出現が認められた.右椎骨動脈の閉塞により橋の症状,病変が出現した稀な症例と考えた.
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