脳卒中
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33 巻 , 5 号
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総説
  • 出口 一郎, 傳法 倫久, 内野 晃, 棚橋 紀夫
    2011 年 33 巻 5 号 p. 473-479
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
    ジャーナル フリー
    拡散強調MRI (DWI)は,超急性期から脳虚血の広がりや組織障害の分布を検出でき,急性期脳梗塞の診断,治療指針の決定に広く利用されている.脳梗塞急性期症例における血栓溶解療法の適応選択に,diffusion-perfusion mismatch(DPM)が注目されたが,灌流画像による血流評価は時間を要し,限られた施設でしかできないのが現状である.近年,DPMの代わりに臨床的重症度とDWI所見を組み合わせたclinical-diffusion mismatch(CDM)や主幹動脈病変の有無とDWI所見を組み合わせたMRA-diffusion mismatch(MDM)が,急性期血栓溶解療法の患者選択に有用であるかの検討がなされている.本稿では脳梗塞急性期症例におけるCDM,MDMを中心に概説する.
  • 加藤 裕司, 傳法 倫久, 武田 英孝, 棚橋 紀夫
    2011 年 33 巻 5 号 p. 480-487
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
    ジャーナル フリー
    下大静脈弁(Eustachian valve; EV)は胎生期の右房遺残構造物で,従来,病的意義がないとされてきたが,近年,欧米の循環器領域を中心に,卵円孔の自然閉鎖を阻害し,右-左シャントを助長することで奇異性脳塞栓症を惹起するとの報告が相次いでいる.一方,本邦では同様の報告はほとんどない.EVの頻度については,人種差を考慮する必要があるが,本邦では見過ごされている可能性がある.EVは高率に卵円孔開存症を合併し,右-左シャントを助長するとともに,末梢静脈からの栓子を捕捉,あるいはEVそのものが血栓形成の温床になることで奇異性脳塞栓症の原因となりうるから,10 mm以上の比較的大きいEVには留意する必要がある.
原著
  • 芝崎 謙作, 木村 和美, 植村 順一, 坂井 健一郎, 坂本 悠記, 藤井 修一
    2011 年 33 巻 5 号 p. 488-494
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
    ジャーナル フリー
    2010年5月~2011年1月に入院した発症24時間以内の脳血管障害患者140例を前向きに登録した.入院後7日以内に睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing: SDB[呼吸障害指数(respiratory disturbance index: RDI,睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計回数) ≥5と定義]の有無を調べた.RDI<5,5~14(軽症),15~29(中等症),≥30(重症)に分け,関連因子を調べた.SDBは125例(89%)に認めた.脳血管障害分類別でのSDBの頻度は,TIA 17/20例(85%),脳梗塞83/94例(88%)[アテローム血栓性7/7例(100%),ラクナ12/12例(100%),心原性30/33例(91%),その他/分類不能34/42例(81%)],脳内出血25/26例(96%)であった.重症SDBは,血管系危険因子を3つ以上有する患者で多かった(p=0.0052).急性期脳血管障害患者はSDBを高率に合併し,血管系危険因子を3つ以上有する場合は重症SDBのリスクである.
症例報告
  • 藤盛 寿一, 遠藤 俊毅, 田澤 泰, 中村 起也, 渡辺 みか, 冨永 悌二
    2011 年 33 巻 5 号 p. 495-500
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
    ジャーナル フリー
    脊髄出血にて発症した脊髄海綿状血管腫の2例を経験した.症例1は72歳の男性で左下肢近位筋の筋力低下,左第2~3腰髄(L)領域の感覚障害および左膝蓋腱反射の亢進を認めた.MRIにて第11胸椎(Th)レベル傍正中左側の海綿状血管腫および第9-10胸椎レベルの脊髄出血を認めた.39病日目に血管腫摘出術が施行され神経症状の回復は良好であった.症例2は65歳の女性で,上腕内側,側胸部,背部の体動時の痛みを左側優位に認めたが他覚的神経学的異常を認めなかった.MRIでは第1胸椎レベル傍正中左側の海綿状血管腫および第6頸椎(C)から第4胸椎(Th)レベルの脊髄出血を認めた.疼痛は半減したが残存した.他覚的異常に乏しいことから経過観察の上,再出血を認める場合には積極的に手術を検討する方針とした.脊髄海綿状血管腫は稀な疾患で,脊髄出血により急性発症する場合があり,個々の症例に応じた治療方針決定が重要となる.
  • 吉村 元, 山上 宏, 藤堂 謙一, 川本 未知, 幸原 伸夫
    2011 年 33 巻 5 号 p. 501-505
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
    ジャーナル フリー
    :症例は生来健康な22歳男性.性交後に右後頭部痛と顔面を含む左半身感覚障害,左上同名性四分盲を生じ,頭部MRIで右後頭葉と右視床に脳梗塞巣,頭部MRAにて右後大脳動脈にpearl & string signを認めた.性交を契機とした後大脳動脈解離による脳梗塞と診断し,抗血小板薬による保存的加療を行った.経過は良好で,クモ膜下出血の合併や脳梗塞再発は認めず,MRA上右後大脳動脈の壁不整所見も経時的に改善した.脳動脈解離は若年性脳梗塞の原因として重要であるが,性交が誘因となることもあり,頭痛や神経症状発症時の状況を詳しく病歴聴取することが大切である.また,性行為に伴って生じる頭痛は一般に経過良好なprimary headache associated with sexual activityとして知られているが,本症例のような脳動脈解離を鑑別する必要がある.
  • 吉本 祐介, 佐々田 晋, 進藤 徳久, 大塚 真司, 日下 昇, 荻原 浩太郎, 西浦 司
    2011 年 33 巻 5 号 p. 506-510
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,発症初期に片麻痺を来し,当初虚血性脳血管障害として加療された頸髄硬膜外血腫の1例を経験した.この症例では,発症時に頸髄が片側優位に圧排されたため片麻痺を来したものと思われた.突然発症の片麻痺を来す疾患の鑑別診断として,脳卒中は当然のことながら,その他に頸椎レベルの病変も常に念頭に診療に当たるべきであり,頭部CTやMRIによっても片麻痺の責任病巣が明らかでない場合には,迅速に頸椎レベルまで検索範囲を広げて精査する必要があると思われた.
  • 佐藤 元美, 溝渕 雅之, 津野 和幸, 中嶋 裕之, 吉岡 純二
    2011 年 33 巻 5 号 p. 511-516
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血で発症したA1部の非外傷性解離性前大脳動脈瘤の1症例を経験した.症例は51歳男性で,突然の意識消失で発症し入院した.頭部CT,頭部MRI/MRA,脳血管撮影から左前大脳動脈A1部の解離性動脈瘤の破裂によるくも膜下出血と診断した.このため,左前頭側頭開頭による動脈瘤trapping術を施行し,良好な転帰を得た.この治療経験から,近年の文献的考察を加え,A1部の解離性前大脳動脈瘤における出血例の最近の治療を検討すると,治療は手術による動脈瘤trapping術をベースとして他の術式を検討することが良いと思われた.
  • 中嶋 浩二, 中條 敬人, 河面 倫有, 加藤 晶人, 今泉 陽一, 清水 裕樹, 杉江 正行, 村上 秀友, 市川 博雄, 泉山 仁
    2011 年 33 巻 5 号 p. 517-523
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の男性で,散歩中,突然の右片麻痺と構音障害を自覚し,当院へ緊急入院となった.頭部CTでは明らかな異常所見を指摘できず,MRI拡散強調画像を行ったところ,延髄左傍正中部に淡い高信号域を認めた.発症6日後に行ったMRI拡散強調画像では,延髄左傍正中部に強い高信号域を認めた.発症7日後の脳血管撮影では,左遠位椎骨動脈と脳底動脈で閉塞を認め,これがMMIの原因と考えられた.発症14日後に行ったbasi-parallel anatomical scanning MR imaging (BPAS-MRI)では,左遠位椎骨動脈に狭小化を認めた.MMIの原因として,遠位椎骨動脈の動脈硬化が重要で,多くはbranch occlusionの様式で梗塞を発症するといわれている.われわれの経験から,MMIの症例においてBPAS-MRIを行うことは,MMIの発症機序の推定に有用であることが示唆された.
  • 水橋 里弥, 沖山 幸一, 藤川 厚, 永野 修, 町田 利生, 佐伯 直勝, 小野 純一
    2011 年 33 巻 5 号 p. 524-531
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性.画像診断にて右内頸-前脈絡叢動脈瘤を指摘され,術中運動誘発電位(MEP)モニタリング下に,開頭clipping術を予定した.しかし,術中clipをかけることによりMEPが消失したため,Bemsheet®を使用したwrapping and coatingのみを施行し終刀した.術後の経過は良好で,新たな神経脱落症状も認めず1週間後自宅退院となった.手術約2カ月後,発熱に続く左半身不全麻痺を主訴に外来受診.頭部MRI/MRAにて右前脈絡叢動脈灌流領域に脳梗塞像,および右内頸動脈の狭窄を認めた.入院後梗塞巣周囲に浮腫が出現,見当識障害を呈した.手術材料による血管炎を疑いステロイドおよびグリセオールの投与を施行し炎症所見は改善したが,左半身不全麻痺,高次脳機能障害が後遺した.本症例は手術の際に使用したBemsheet®により遅発性動脈狭窄が誘発されたと考えられ,今後はより安全なwrapping and coating材の検討が必要と考えられる.
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